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金利と物価の関係 《日銀政策会議に見られる根源的な誤り》 投稿者 あっしら 日時 2002 年 5 月 07 日 22:18:30:

金利と物価の関係について経済学で教えられるのは、「金利が上昇すると資金需要が減少することで景気が抑制されて物価が下がり、金利が下落すると資金需要が増大して景気が良くなり物価が上がる」という論理であり、「景気が過熱しインフレが激しくなったら金利を上げて抑制する。デフレであれば金利を下げて景気を上向かせる」という“処方箋”である。

しかし、金利と物価の関係についてのこのような説明はまったくの誤りであり、現実は正反対の結果をもたらす。


日銀及び日本政府は、誤った“処方箋”に基づき、「デフレ不況」を解消するためと称して低金利政策を継続している。(量的緩和政策は論理的には正しいデフレ対策)


日銀の「金融政策決定会合議事要旨」でも、

>さらに、中原伸委員とおぼしき人物が「債券相場の長期的な上昇トレンドは終了し、
>先行き、長期金利が強含むリスクがある」と述べたことを引き合いに出し、「ター
>ゲット達成までの間、オーバーバンキングの解消、すなわち銀行信用の収縮を想定
>し、かつ、長期金利が上昇するリスクにも言及しながら、一方でインフレ率は高めら
>れるとする、そのメカニズムとしてどのような姿を想定しているのか」と疑問の声も
>出された。

と、「長期金利が上昇するリスクにも言及しながら、一方でインフレ率は高められるとする」論理に違和感を抱いているようである。


また、

>財務省の出席者からは「物価下落に反転の兆しがみられないなか、従来の短期国債を
>中心とするオペの実体経済に与える影響は限定的であることから、金融政策に当たり
>さらなる工夫を講ずることなどにより、継続的な物価の下落を阻止し、物価を安定さ
>せていくとともに、わが国経済がデフレスパイラルに陥らないよう幅広くご検討をい
>ただき、思い切った対応が取られるようお願いしたい」との要請もあった。

と、財務省の官僚も、とにかく何とかしてよ!と言うだけで、物価と金利の関係を理解した発言はしていないようである。


インフレ=高金利(インフレ率以下の金利で貸し出せば銀行は損を被るからインフレ時は必ず高金利)だからこそ、資金を借りてでも投資に励む。借金の金利以上にインフレ率が進めば、おまけ付きで借金するようなものであり、非銀行経済主体は、借金してでも商品に投資したほうが得だと考える。(勤労者でさえ住宅ローンでそう思ってしまうほど)

インフレが抑制されるのは、高金利政策ではなく、商品価格の上昇(好況期であれば商品供給の増大も伴う)に需要が追いつかなくなって売れなくなったときである。(インフレ状況で勤労者の給与はいちばん最後に上昇するものだから、常にこの危険性をはらんでいる)

低金利は、コスト(=利子もその構成要素)の軽減をもたらすので、同じ利益率の確保でよければ商品販売価格を引き下げられる余地を与え、不況下で厳しい競争環境であれば実際に価格下落を引き起こす。
デフレ=低金利になれば、借金までして生産活動や投資に精を出しても、その活動成果である商品の価格が下がると予測されるので、借金どころか生産活動まで沈滞する。(デフレ状況で借金を望むのは、他に調達手段がない中小企業が生き残りを考えたとき)

そのような状況で何とか売上や利益を上げたいと考えれば、中国など生産コストが低いところで生産した商品を持ち込んで(輸入して)売るしかしない。これは、価格下落余地を広げるとともに国内失業者を増やすので、さらにデフレを進めることになる。(個別企業の利益追求が経済社会全体の「デフレ不況」を深化させることになる)


経済学が教えている「お金の価格=金利が高くなれば、お金に対する需要が減少する」という論理は、消費財に適用できる論理を近代経済活動の“目標”である貨幣に適用してしまった誤りである。
「貨幣A→商品(商品を組み合わせた生産活動)→貨幣B」という循環で活動する経済主体は、金利を勘案した貨幣Aより貨幣Bのほうが多いと予測すれば、お金に対する欲求=需要を減退させないのである。

このような論理さえ理解していない人たちが、自分を一流の知性の持ち主だと考え、金融政策や経済政策を立案している現実には唖然とするしかない。


今、日本に必要なのは、ゆっくりと金利を引き上げ(公定歩合で2%程度)、それにともなう物価上昇を吸収して少し余りが出るほどの低中所得者減税(高額所得者増税)の先行実施であり、金利上昇に伴う“一時的”な弊害(政府債務=国債問題・過剰債務企業問題・資産価格下落)への対策である。

対策に20兆円くらいかかるが、緩やかなインフレと不況脱出は、不良債権の減少と税収の増大をもたらすので、中期的に考えればそのコストを吸収できる。
だらだらと「デフレ不況」を続けていけば、その数倍のコストどころか、疲弊と困窮をさらに強め最後には破滅的な経済状況(制御不能のハイパーインフレ)をもたらすことになる。


※ 日本の経済統計から見た物価と金利と関係を添付データで確認して欲しい。

※ ドル金利と国際商品である原油の価格

『米国金利の反転と原油価格(ロスチャイルド投資顧問レポート2002/03/13)』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/145.html


※ 金利と物価の関係に関する参考書き込み

『【大間違いの経済理論】 “超低金利政策”はデフレを悪化させる 《金利引き上げがインフレを誘発し「デフレ不況」から脱却するための一つ方法》』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/302.html


※ 当該書き込みで引用した日銀政策会合の記事

「中原伸氏最後の日銀会合はねじれ現象、現状維持の多数派は先行き悲観 東京 5月7日(ブルームバーグ) 投稿者 sanetomi 日時 2002 年 5 月 07 日 17:09:09:」

http://www.asyura.com/2002/hasan9/msg/778.html


「日銀議事要旨:現状維持は中原伸氏除く8人の賛成−3月19、20日 東京 5月7日(ブルームバーグ) 投稿者 sanetomi 日時 2002 年 5 月 07 日 17:11:17:」

http://www.asyura.com/2002/hasan9/msg/779.html


==================================================================================
1971年〜75年(列島改造ブーム・石油ショック)

年平均消費者物価上昇率:11.4%
公定歩合推移:73/4/2(5.00%)73/5/30(5.50%)73/7/2(6.00%)73/8/29(7.00%)73/12/22(9.00%)75/4/16(8.50%)75/6/7(8.00%)75/8/13(7.50%)75/10/24(6.50%)
円/ドル:278円程度


1976〜80年(第二次石油ショック)

年平均消費者物価上昇率:6.6%
公定歩合推移:77/3/12(6.00%)77/4/19(5.00%)77/9/5(4.25%)78/3/16(3.50%)79/4/17(4.25%)79/7/24(5.25%)79/11/2(6.25%)80/2/19(7.25%)80/3/19(9.00%)80/8/20(8.25%)80/11/6(7.25%)
円/ドル:234円程度


1981〜85年(円安基調・85年プラザ合意で大幅円高)

年平均消費者物価上昇率:2.8%
公定歩合推移:81/3/18(6.25%)81/12/11(5.50%)83/10/22(5.00%)
円/ドル:228円程度


    消費者   卸売物価
    物価上昇率 上昇率   円/ドル 公定歩合
====================================================
85年             200.60  5.00%
86年 0.7%  −4.7% 160.10 1/30(4.50)3/10(4.00)4/21(3.50)11/1(3.00)
87年 0.0%  −3.2% 122.00 2/23(2.50)
88年 0.7%  −0.5% 125.90  2.50%
89年 2.4%  1.9% 143.40 5/31(3.25) 10/11(3.75) 12/25(4.25)
90年 3.1%  1.6% 135.40 3/20(5.25) 8/30(6.00)
91年 3.3%   1.0% 125.25 7/1(5.50) 11/14(5.00) 12/30(4.50)
92年 1.6%  −0.9% 124.65 4/1(3.25) 7/27(3.50)
93年 1.3%  −1.5% 111.89 2/4(2.50) 9/21(1.75)
94年 0.7%  −1.8%  99.83  1.75%
95年−0.1%  −0.8% 102.91 4/14(1.00) 9/8(0.50)
96年 0.1%  −1.6% 115.98  0.50%
97年 1.8%   0.6% 120.92  0.50%
98年 0.6%  −1.5% 115.20  0.50%
99年−0.3%  −1.5% 102.08  0.50%
00年−0.7%   0.1% 114.90  0.50%
01年−0.7%        120程度 2/13(0.35) 3/1(0.25) 9/19(0.10)

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