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都心の高速道路建設を凍結するなら、公団への出資金は返してもらう。固定資産税だって課すゼ−。石原慎太郎東京都知事が、長男・石原伸晃行革担当相らを“恫喝（どうかつ）”した。身内であろうが、政策では一切妥協しない慎太郎知事の発言に、建設の優先順位決定も大きく影響を受けそうだ。

「脅し」が飛び出したのは２６日に開かれた政府の道路関係４公団民営化推進委員会。長男のほぼ正面に座った父は、首都圏の自治体の代表として、首都高速中央環状品川線、東京外郭環状道路（外環道）、首都圏中央連絡自動車道（圏央道）建設について「部分的でも経済効果がある。優先順位（プライオリテイー）の高い事業を中止することはマイナス」とクギを刺したまではよくある展開。この知事の真骨頂はここから。
これら環状線建設が中止された場合には「自力で造る方法を探す」と宣言。その際、「都の独自事業のため」には、首都高速道路公団へ出資している１７００億円を引きあげたり、公団が民営化してできる新会社に対しては、会社所有の土地に固定資産税を課したりするなどの対抗措置も、「やらざるをえない」と強気発言を披露してみせた。
ご意見拝聴の伸晃行革相は、道路公団民営化の先兵役で売っている。慎太郎知事も、公団民営化そのことについては「特殊法人は壊滅させることが必要。そうでないと国がもたない」と総論で同調しているが、各論となると、外環道の建設費が「１キロ１０００億円」などと割高扱いされることに真っ向から反発した。日ごろ、環状道路の整備が渋滞解消の切り札と繰り返していることもあり、採算性優先の議論を「乱暴だ」と切り捨てた。
慎太郎知事は、親族が勤務するみずほフィナンシャルグループがシステム障害を起こした際にも遠慮なく「世界の恥」と直言。都の指定金融機関であることをタテに「制裁措置をとる必要がある」と一括した前歴もあるだけに、長男に対しても朝飯前のひと脅しのようだが、公団民営化議論は採算性とワンセットにならざるをえない。
今回の慎太郎発言をきっかけに、どの道路を凍結し、どれを先に造るかの優先順位については、建設費だけでなく、完成時の波及効果も判断基準に組み込む体制の整備など、「採算性」だけでない複眼的な判断基準が求められることになりそう。「慎太郎」のプレゼンスは高まるばかりだ。
ZAKZAK 2002/07/27

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