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<読売>冬季五輪フィギュア不正で黒幕拘束

【ニューヨーク３１日＝勝田誠】今年２月の米ソルトレーク冬季
五輪フィギュアスケート競技の採点を巡って審判の不正行為が明る
みになった問題で、米連邦捜査局（ＦＢＩ）は７月３１日、黒幕と
見られる旧ソ連出身で現在はイタリア在住のアリムザン・トフタホ
ウノフ容疑者を、競技を巡る買収と電話利用詐欺の容疑で拘束した
、と発表した。
告訴状によると、トフタホウノフ容疑者は、同五輪開催前の１月
前後から、旧ソ連出身でフランス選手としてアイスダンスに出場し
たマリナ・アニシナ選手の組を優勝させる目的などで、仏スケート
連盟を通して圧力をかけた疑い。同容疑者は「プロ・ホッケーチー
ムを作る手助けをしたい」と述べ、同連盟のディディエ・ガヤゲ会
長に接近。その後、自身のフランス滞在ビザ（査証）延長を手助け
することなども要求しながら、同会長にフランス人のマリレーヌ・
ルグーニュ審判に、アニシナ選手に高得点をつけることなどを求め
た疑い。同容疑者が、同会長らに金品を支払ったかどうかは、明ら
かになっていない。
同容疑者は、五輪開催中も欧州から複数の共犯者と連絡を取り合
っていた模様で、問題になった２月１１日の競技前後には、仲間と
の電話で「フランス側についた審判は３人で、あと２人必要だ」「
（アニシナ選手は）ロシア娘だから、気分が良い」などと会話。ま
た、同容疑者と連絡をとったアニシナ選手の母親に対しても「我々
がチャンピオンを作る。たとえ（競技中に）転倒したとしても、彼
女はナンバーワンだ」などと豪語しており、これらの会話がすべて
捜査当局に盗聴され、証拠となった。
同容疑者は、１９９０年前半に国際的なミス・コンテストを陰で
牛耳っただけでなく、麻薬や武器の違法取引、盗難車売買などにも
関与してきたとされ、フランスから国外退去処分を受けた後は、イ
タリアに持つ３軒の邸宅に移り住んでいた。このため、ＦＢＩは五
輪開催前から「要注意人物」としてマークしていたらしい。
この問題を巡っては、国際スケート連合（ＩＳＵ）が４月、ガヤ
ゲ会長、ルグーニュ審判の２人を３年間の資格停止処分にしたが、
黒幕とされる存在が公になったのは初めて。
ＦＢＩは今回、国際刑事警察機構（ＩＣＰＯ）と地元警察の協力
を得て、イタリア北部にある邸宅で同容疑者を拘束。米国で起きた
事件であるため、今後、米国への身柄移送を求めている。この日の
記者会見の内容によると、米刑法に基づき両容疑での罪が確定する
と、同容疑者は最高で懲役１０年、罰金５０万ドルを科されるとい
う。
◇
米オリンピック委員会（ＵＳＯＣ）は３１日、フィギュアスケー
ト問題で初の身柄拘束者が出たことについて「深い懸念」を示すと
ともに、「完全に開かれた公正な競技のために真相究明が重要だ」
との声明を発表した。

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