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パレスチナ問題へのサウジとエジプトの関与を求めよ(フォーリンアフェアーズ2002年4月11日) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 19 日 23:15:28:

パレスチナ問題へのサウジとエジプトの関与を求めよ
Share the Burden in the Middle East

レイチェル・ブロンソン
米外交問題評議会シニア・フェロー、中東地域研究ディレクター


ワシントンの力だけでは、イスラエル・パレスチナ紛争を終わらせることはできない。エジプト、サウジアラビアを含むアラブ主要諸国を紛争解決への努力に参加させなければならない。

アラブ諸国は、暴力を煽るような雰囲気をつくるのを控えるだけではなく、アラファトが自爆テロを批判し、ハマスやイスラム教徒ジハード団とは一線を画すように働きかける必要がある。一方で、ワシントンもイスラエル首相に対して、ヨルダン川西岸からの撤退を表明するように要求し、和平に向けた現実的な政治構想を表明すべきだ。アメリカがイスラエルと緊密な関係にあるように、エジプトのムバラク大統領はパレスチナ指導者と緊密な関係にあるし、サウジアラビアのアブダラ皇太子もイスラム世界との特別な関係を持っている。これらの三国が積極的に協力しない限り、中東に平和が訪れることはない。アメリカ単独では何もできない。

アラブ諸国が、これまでになく、イスラエル・パレスチナ紛争の解決に向けて協力的に成る可能性もある。 現在のアラブ世界は混沌としている。衛星テレビやインターネットの発達によって、アラブ諸国の指導者たちがメディアを検閲し、民衆を「コントロール」することが難しくなりつつある。こうしたなか、アラブ諸国の政権にとって、イスラエル・パレスチナ紛争に関係する暴力やレトリックを抑制することが自己利益となりつつある。サウジアラビアのアブダラ皇太子が現在注目を集めている和平案を提案したのは、一つには、この点を考慮したからだ。

現在、中東地域で懸念されているのは、地域戦争が起きることではなく、地域全体が混乱に陥ることだ。アメリカやイスラエルに向けられている怒りが、今後は、アラブ諸国の指導者たちにも向けられる可能性もある。パウエル国務長官は、アラブ諸国政権の自己利益の認識が変わりつつあることをうまく利用しなければならない。
エジプトとサウジアラビアがイスラエル・パレスチナ紛争の解決に直接的に関与すれば、クリントン政権の政策、オスロ合意、過去三〇年間のパレスチナ政治から大きく状況を前進させることができる。

一九六七年の第三次中東戦争以降、アラブ諸国がパレスチナ問題よりも自国の利益を優先するようになるにつれて、パレスチナ解放機構(PLO)がパレスチナ人を代表する主要組織となった。事実PLOは、マドリード中東和平会議(一九九一年)ではヨルダン代表団の一部だったが、オスロ合意(一九九三年)ではイスラエルの主要交渉相手として正式に認められた。しかし、二回目のキャンプデービッド会談では、アラファトにはパレスチナ国家建設問題を解決する能力も意思もないことが明らかになる。

当然、サウジアラビアとエジプトの政治的関与がなければ、イスラエルとパレスチナの問題は前進しない。アメリカは暴力を終わらせるためにサウジアラビアとエジプトが積極的に関与するように説得し、両国が、アラファトに対して、民間人を対象とする自爆テロを非難し、止めるように要請すべきだ。同時に、アメリカはイスラエルに報復攻撃を止めるように要求する必要もある。アラブ諸国の指導者たちは、ワシントンの信頼を勝ち取りたいのなら、信頼されるような協調行動をとるべきだろう。

しかし、そのようなやり方は、ワシントンがイスラエルへの働きかけも同時に行う場合にのみ有効だろう。アメリカはイスラエルのシャロン首相に対して、どのような和平であれば受け入れ可能なのか、その構想を描くように要求すべきである。だが、シャロンは、現状ではパレスチナの最終地位問題を論じるのは困難であるとして、暫定的な解決案しか提示していない。

シャロンが示した解決案を基にパレスチナ自治政府が交渉に応じるはずはない。シャロンは暴力を終わらせることを要求し、パレスチナ自治政府は最終地位交渉に固執している。ワシントンは、シャロンがより建設的な案を提示するように求めるべきである。

現状ではアラファトとシャロンに圧力をかけすぎると、両者ともに失脚してしまうと考える者もいる。しかし、アメリカの役割とは、日常的に行われている暴力だけにとらわれず、どこに圧力をかけ、どのような政治的判断をすれば、当事者すべての利益を脅かしている混乱状態の中から抜け出せるのかを見極めることにある。サウジアラビアとエジプトの取り込みに重点を置くことは、この点からみても、賢明なスタートだろう。

ブッシュ政権は、エジプトとサウジアラビアに本格的な関与を早く開始しないと、タイミングを失してしまうことを納得させなければならない。カイロとリヤドは、ワシントンがシャロンに圧力をかけるのを期待するのと同様に、自分たちもアラファトに圧力をかける必要がある。現在のところ、アメリカはイスラエルのパレスチナへの侵入を事実上容認しており、一方で、エジプトはイスラエルとの関係を断絶している。今こそ、アメリカ・エジプト・サウジアラビアは、中東和平の実現に向けた影響力を発揮すべきである。●

■Rachel Bronson 米外交問題評議会シニア・フェロー、中東地域研究ディレクター

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