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(回答先: ユダヤ教とイスラム教の異教徒に対する考え方を知りたい 投稿者 ひもろぎ 日時 2002 年 4 月 25 日 08:47:42)
ひもろぎさん、初めまして。
ユダヤ教もイスラム教も信仰対象ではないなので詳しくはありませんが、報道や書物を通じて自分が考えている内容を書きます。
＞現在係争中のイスラエルと中近東諸国の紛争は、端的に考えればユダヤ教とイスラム
＞教の異教徒に対する考え方の衝突ではないかと考えています
日本をはじめとする「文明諸国」では報道や書物を通じてそのようなイメージを広めていますが、パレスチナ問題は、宗教の対立ではなく、土地や生存権を強奪した者たちと強奪された者たちの対立です。
それが宗教的な色彩を帯びているのは、強奪者（イスラエル）が強奪の“正当性”を宗教に求めたからであり、日本も含まれる「文明諸国」が、同意するにしろ反対するにしろ、その主張を採り入れているからでしかありません。
宗教的対立という側面を語るにしても、ユダヤ教とイスラムではなく、シオニズムとイスラムでなくてはなりません。
パレスチナの土地を強奪し「イスラエル」を建国した主力は、１９世紀末に欧州で生まれた近代的シオニズムを信奉するシオニストです。
ユダヤ教徒すべてが「イスラエル」やシオニストを支持しているわけでもありません。
（同じユダヤ教徒からの脅迫や迫害が恐いので、渋々「イスラエル」支援に献金している人は多くいますが．．．）
強奪されたパレスチナは、対抗の正当性を宗教に求めているわけではありません。
パレスチナにはイスラム教徒が多いとしても、キリスト教徒もいます。アラファト議長の基盤であるＰＬＯも、民族派や社会主義者が主力で、ハマスやイスラム聖戦といったイスラムを基盤とする組織はＰＬＯの外にあります。
そして、パレスチナ問題を自己の利益のために利用してきたしこれからも利用しようとしている勢力がいることも重要な問題です。（参考書き込みを後ろに添付）
＞この好戦的な二つの宗教の異教徒に対する考え方が今ひとつよくわかりません。
ユダヤ教とイスラムを“好戦的”な宗教の代表とする見方には賛同できません。
歴史的に見れば、カソリック＆プロテスタント諸派ほど、“好戦的”で異教徒や異端に対して“不寛容”な宗教はないとも言えます。
「十字軍」、「異端審問＝魔女狩り」、「南北アメリカでの虐殺と強奪」、「アジア・アフリカ・太平洋地域での植民地支配」、「第一次世界大戦」（オスマントルコ・ロシア（東方正教会）・日本も参戦）、「第二次世界大戦」（日本・ソ連も参戦）を顧みれば、カソリック＆プロテスタント諸派が、どれほど“好戦的”で“侵略的”で“不寛容”かがわかるはずです。
カソリック→プロテステント諸派及び無神論の流れを汲む世界観・歴史観・国家観・文明観・価値観を至上のものとして近代化を進めてきた日本は、学校教育やメディアでそのような見方は広められていないので、そう考えない人が多いだけです。
ユダヤ人（ユダヤ教徒）は、神に選ばれた民という選民意識に見られるように、ユダヤ教及びユダヤ教徒を至上のものと考えており、異教や異教徒を動物並みに劣ったものと考える傾向があると思っています。（そのような考えがどこまで表立った言動につながるかは、社会状況や周りとの力関係に拠ると考えています）
ユダヤ教徒は、イスラム教徒に限らず、キリスト教徒やその他宗教を信仰する人たちにも同じ思いを持っています。歴史的な状況から、異教徒敵視の表立った言動がパレスチナで現れていると考えた方がいいでしょう。
古代ユダヤ教は、祭司階級と一般信徒というカソリック的な組織でしたが、古代イスラエルの滅亡により、神殿もなくなり、祭司階級も表立ってはいなくなり、イスラム的な宗教指導者と一般信徒というかたちになりました。
ムスリム（イスラム教徒）は、イスラムという宗教のもとに異なる民族を糾合して“宗教的共同体”が形成されることを望んでいます。ムスリムである限り、人種を超えて平等であるという意識を持っています。そのため、イスラム教には、宗教指導者はいても聖職者はいません。
歴史的にも、イスラムの布教を阻害する勢力に戦いを仕掛けながらムスリムを増やしていったように、宗教を旗印にした戦争を行ってきました。しかし、布教活動後や政治的支配後も改宗しない異教徒も排除の対象ではなく、租税的な差別で対応するというものです。
これは、古代イスラエルの滅亡後に中東・アフリカ・イベリア半島という将来イスラム圏になる地域に残ったユダヤ教徒とムスリムの“共存関係”を顧みればわかります。
中東でのユダヤ人とムスリムの激しい対立は、シオニスト（欧州ユダヤ人一部）がパレスチナの土地を強奪し始めた２０世紀になってからです。
＞現在のところは、極道同士の喧嘩みたいなもので、ただ、放置しておけば一般社会の
＞ルール破壊につながるから何とかしなければならない程度の問題だと考えているの
＞で、間違っているようでしたら、考え方を変えるきっかけを与えてください。
これまで書いてきたことからご理解いただけると思いますが、「極道同士の喧嘩」ではなく、極道が難癖を付けてカタギの人を叩きのめしたり殺戮しているものだと考えています。
「窮鼠猫を噛む」ではありませんが、カタギの人も、強奪と殺戮をうけた上にさらにじりじりと強奪され続けて追い詰められたら、あらゆる手段を行使して対抗するものだと思います。その一つが“自爆テロ”です。
日本を含む「文明諸国」の人々が、政府や主要メディアの言動に流されることなく、冷静にものごとを考えなければ、９・１１空爆テロとパレスチナ問題は、世界の人々に大きな亀裂と大災厄をもたらす「大戦争」につながっていくと考えています。
最後に、いろいろな関連サイトや書物を探されることをお奨めします。
================================================================================この問題にはついては、これまでいくつかの書き込みをしていますので、よろしければご参照ください。
［参考書き込み］
１）パレスチナ問題
『「約束の地」から始まるイスラエルの“強奪と虐殺”の歴史』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/478.html
『『近代パレスチナ問題』と「文明諸国」の対応』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/481.html
『シャロン政権は「対テロの戦い」を拡大するために自国民を生け贄に捧げている』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/482.html
２）パレスチナ問題の根源とカソリック＆プロテスタント諸派の問題
『【世界は「大宗教戦争」のまっただ中にある】『十字軍』と『魔女裁判』は今なお進行している現実のものである』〈その１〉から〈その３〉まで
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/587.html
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/588.html
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/589.html
２）現状のパレスチナ紛争の狙い
『ブッシュ政権の「対テロ戦争」が“主戦場”に移るかどうかの瀬戸際 《アラブ諸国にはパレスチナ支援策を冷静に考えて欲しい》』
http://www.asyura.com/2002/war10/msg/1057.html
『「ブッシュ提案」は危険な罠 《一時的に生まれるであろう“平和状況”こそ大きな暴虐の前兆》』
http://www.asyura.com/2002/war10/msg/883.html
『Ｕ.Ｎ.介入で激化した「旧ユーゴ内戦」は今後の“中東波乱”の歴史的サンプル』
http://www.asyura.com/2002/war11/msg/204.html
『《中東情勢は風雲急》アラファト議長は政治的シオニストに魂を売った裏切り者』
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/434.html
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