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「アラファト議長追放策動」の意味 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 01 日 21:25:26:


9・11以降の「対テロ世界戦争」は「対イスラム世界戦争」であると主張してきたが、現在までの推移はそれを如実に示していると考えている。

(参考書き込み:『【世界は「大宗教戦争」のまっただ中にある】『十字軍』と『魔女裁判』は今なお進行している現実のものである』〈その1〉から〈その3〉:〈 http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/587.html 〉〈 http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/588.html 〉〈 http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/589.html 〉)


「対イスラム世界戦争」と言っても、米国を中心とした「文明諸国」とアラブ諸国(イスラム基盤国家)との戦争ではない。

「対イスラム世界戦争」の戦略は、利子取得を禁じるイスラム法国家の壊滅である。
象徴的に言えば、サウジアラビアとイランの法的基盤を変えることである。
サウジアラビアやイランなどを、パキスタン・マレーシア・インドネシアのような欧米法国家に変容させることが目的である。


「対テロ戦争」の隠された目的(戦略)として“資源収奪”も語られているが、それならば、これまでと同じように、お金で解決できるものである。
資源が目的であれば、それほど愚かではない米欧諸国は、お金を払っても安定的に利用できなくなるアフガニスタン侵略を仕掛けたりはしない。
資源も狙いに含まれていることは間違いないが、より上位の目的が「イスラム法国家の壊滅」であるからこそ、9・11空爆テロが起き、アフガニスタン侵攻へと突き進んでいったのである。


サウド王室は、米国と戦火を交える気は全くなく、生き残りのために法的基盤を変更することも辞さないと考えているかもしれないと考えているが、それは、米国と戦火を交えることが避けられるだけで、内戦に結びつく可能性が大であるから、サウド王室も法的基盤を変更するという選択はできない。

イランも、政治勢力のなかにはサウド王室と同じような道を模索するものがあるだろうが、大勢はイスラム法維持に動くと考えている。


米国が主導している今回の戦争は、国家対国家の戦争というよりは、近代国家対ムスリムの戦争である。
ムスリムと言っても、全ムスリムではなく、イスラム法による国家(共同体)統治を志向するムスリム、すなわち、“過激派”ムスリムである。

(80年代はじめのベイルート爆破テロから、この流れがつくられていると考えている)

シャロン政権によるパレスチナ虐殺侵攻も、シャロン政権の意図が何であれ、世界支配層にとっては「対イスラム世界戦争」の一環として位置づけられたものである。
(シオニストは、米国の動きに乗っかるかたちで、「大イスラエル」を志向している可能性もあるが、とりあえずは、古代イスラエル(ユダ+イスラエル)の復活を目指していると思われる)

ブッシュ政権がこのところ公言している「アラファト議長追放」も、「対イスラム世界戦争」策動の一環である。

以前、アラファト議長はフセイン大統領と並んで“イスラムの裏切り者”と指弾したが、パレスチナ問題を緩和するためにはもちろん膠着状態を保つためだけでも、アラファト議長は不可欠な存在である。

アラファト議長は、イスラエルや米国がどんなに不正義であっても、家族の生活(生存)を維持していくことを優先させたいと願う“多数派”パレスチナ人に支えられてきた。

アラファト氏の次に支持を集めているのは、イスラエルへの聖戦も辞さずと考えるハマスなどの強硬派である。

多数派に支持されているアラファト議長でさえ「対イスラエル自爆攻撃」(テロ)を阻止できないのに、アラファト派の誰かや欧米的近代主義者の誰かが統治責任者となったからといって、「対イスラエル自爆攻撃」(テロ)を阻止することはできない。それどころか、より激しい軍事行動を誘発する可能性のほうが高い。

大統領自身はわからないが、ブッシュ政権は、このことを十分すぎるほど理解している。
「アラファト議長追放」要求は、まさに、パレスチナ人に対する挑発であり、アラブさらにはイスラム世界に対する挑発以外のなにものでもないのである。

パレスチナやアラブ諸国が反米・反イスラエルの動きを強めることを期待した言動である。
別に言い方をすれば、反米・反イスラエル勢力のあぶり出しであり、出てきたところを叩くというものである。

米国の「対イラク攻撃」公言も、イラクを別に攻撃したいのではなく、「アラファト追放要求」と同じ構図の策動である。(イラクは近代国家である)


アルカイダも、そのような策動に利用されている。
アルカイダが米英権力機構と“無関係”か“関係あり”(エージェントは入り込んでいた)かはわからないが、アルカイダは、米国&シオニストがイスラム世界に攻撃を仕掛けることを期待している。それが、対米及び対シオニストの戦いを拡大する好機だと考えているからである。

これはアルカイダに限らないことで、パレスチナの政治勢力からイスラム世界各国の政治勢力まで幅広い地域と国家である割合で持たれている意識だと思われる。

このような政治勢力は、米国&シオニストとのあいだで決着を付けなければ、パレスチナ問題もアフガン問題も解決できず、“イスラム共同体”の存続(復活)もできないと考えている。

米国ブッシュ政権の狙いも、イスラム国家そのものではなく、そういう勢力を根絶やしにすることで、イスラム国家を変容させることである。


アルカイダの米国での軍事行動が取り沙汰されているが、アルカイダはそういう作戦を採らない。

彼らは、彼我の軍事力の差を理解しているので、米国本土を攻撃するという愚劣な作戦で消耗することを避け、米国(+同盟国)&シオニストを自分たちの領域に引きずり込み、そこでゲリラ戦的に叩きたいと考えているはずである。

そして、その時にどれだけ多くのムスリムを自分たちの戦いに立ち上がらせることができるかが勝敗を決すると考えている。(自分たちの宣伝力と米国&シオニストの悪逆無道が頼り)


圧倒的な軍事力を誇る「文明諸国」とタリバン政権の崩壊で国家さえ持たない勢力となったイスラム復古派との「全面対決」は、両者がそれを志向していることから、避けられないと考えている。

「全面対決」を止めるためには、米国を中心とした「先進諸国」の政権が異なる価値観を持つものに変わるか、サウジアラビアやイランが、イスラム法国家を放棄し、それに反対する勢力を根こそぎにする必要がある。

サウジアラビアやイランがそれを実現したとしても(できないと考えている)、パレスチナという抜き差しならない問題が残っているので、「文明諸国」の価値観や政権が変わらない限り、「全面対決」に向けじわじわと進んでいくことになるだろう。


「対イスラム世界戦争」は、「文明諸国」がムスリムを根絶するために核兵器を使用する覚悟を持たない限り、「ベトナム戦争」と同じように、ムスリム側の勝利になると考えている。(だからこそ、ブッシュ政権は、核兵器をことあるごとに語り、“免疫”を付けていると思われる)

イスラム勢力が米国(+同盟国)&シオニストを自分たちの領域に引き込んでゲリラ戦的に叩くという正しい戦術を採って戦えば、厖大な犠牲者を出すことにはなるが、イスラム勢力が勝利すると予測している。

ムスリム勢力は「文明諸国」軍隊とは違って深い信仰に支えられ、パレスチナの人々も失うものはないところまで追い込まれている。

米国(+同盟国)は傭兵であり、彼らは、死を恐れ文明生活を捨てることも難しい。
大義が維持されている間はそれによって死の恐怖を乗り越える志気もみなぎるが、大義があやふやになっていけば、兵士の志気は低下し、本国でも反戦運動が沸き起こることになる。

核兵器が使われようと使われまいと甚大な人的犠牲者を生み、兵器のために労働と資源が厖大に浪費されることになる。
米国も、年間3千億ドル(36兆円)という軍事予算を民生に回せば、軍需産業は崩壊するとはいえ、国民全体がそこそこの生活水準を手に入れることができる。
(経済的意味で高度化した軍需産業は、就業者をそれほど増大させないので、景気回復にあまり貢献しない。とりわけ、戦後一貫として戦時体制を維持してきた米国は、戦時体制を強化してもほとんど国民経済を潤すことはできない。労働と資源が、浪費される損失のほうがずっと大きい)

強欲者の利益追求のために進められている「対テロ世界戦争」(対イスラム世界戦争)を止めなければ、近い将来に陥ると予測できる「世界同時不況」と相俟って、世界中がとんでもない災厄に見舞われることになる。


米国を“槍”としている国際金融資本家とイスラムとの戦いであることを理解しなければ、9・11自身も、それ以降の世界も見えなくなってしまうだろう。


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