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Re: 「新左翼」運動の理論的深化は日本が先行 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 10 日 20:53:06:

(回答先: 実際は日本独特の新左翼語はこの本にみあたらない 投稿者 ただのどかな青空がほしいだけ 日時 2002 年 7 月 10 日 18:10:50)

「ただのどかな青空がほしいだけ」さん、こんばんわ。

X氏問題の口火を切ったのは私ですが、その時にも書いたように、X氏の特定は、書かれている内容に較べれば、取るに足らないことだと思っています。

X氏が取り上げているアラブ世界情報は、9・11以降という条件付きであれば、それほど日本で入手しにくいものではありません。(ごく一部を除き、ほとんどが既知の内容でした)

ボリューム的に多く取り上げられている拘束された「米国赤軍」の供述内容は、あの本以外では読んだことがないので、どういう経路で入手したのか、さらには本物なのかという興味はあります。
逆に言えば、X氏が何者かを特定する重要資料は、多くのページを割いて取り上げている「米国赤軍」の供述内容だと言うことになります。(その内容で日本人ではないかと感じました)

アルジャジーラの放送内容もそうですが、どんな一次情報であれ、あくまでも情報に過ぎないのであって、必ずしも事実に基づいたものだとは言えません。
(この目で見た事象だけを思考のベースにする意味ではなく、語られたものや書かれたものは、そのようなものとして考えるという意味です)

ですから、誰がということよりも、どういうことを書いているのかということを重視しています。


>まず、68年パリ五月革命に端を発しながらも米国東海岸アイビーリーグの最も優秀
>だった学生に運動が飛び火し、新左翼運動が世界化した契機はアメリカにあると理解
>しています。したがって新左翼運動の概念装置は日米含め世界的に共通の枠組みがあ
>る一方、あわせて当然日本は日本の独自の概念も発達したもの、と考えられます。


国際的な新左翼運動には通じていませんが、68年パリ五月革命を新左翼運動の端緒とするのは歴史的に遅すぎますし、同時期の全共闘運動と同じく、68年パリ五月革命をストレートに新左翼運動と捉えていいのかという問題もあります。

全共闘運動・パリ五月革命・米国ベトナム反戦運動に新旧の左翼活動家が強く関わったことは事実ですが、新左翼理論はそれ以前に深められており、その過程を通じて組織的な分裂を繰り返していました。(宗教と同じで、左翼も、教義的に対立すれば組織的に分裂します)

全共闘運動にも関わったアナキズムも、左翼だとみなすとしても、新ではなく、旧になります。また、構造改革派も関わっていましたが、旧左翼の変型と考えたほうがいいでしょう。

ビルダーバーグさんが書かれていたトロツキーの「第4インターナショナル」を新左翼運動の端緒と考えています。
「第4インターナショナル」では、現存する“共産主義”国家であるソ連をどう定義するかが大きな問題になりました。わかりやすい例としては、ソ連を擁護するのか、それとも打倒の対象とするのかの違いです。(トロツキー自身は「堕落した労働者国家」という見方で、擁護しながら、永続革命を追求するという考えのようでした)

日本では、「共産党をはじめとした無産政党の非合法化」という戦前の歴史があり、敗戦がもたらした思想表明や政治活動の自由化は、“知識階層”を中心に、戦前・戦中の国家体制に対する反発からそれに抵抗した象徴としての共産党への入党者やシンパを増やしました。(読売新聞社の社長である渡辺氏をはじめ、現在も活躍している保守の高齢論客の多くがその洗礼を通過しています)
弾圧は数多くあったとしても戦前からそれなりの現実運動を担ってきた欧米の左翼とは次元が異なる情況が日本に生まれたわけです。(日本共産党は、事実上まったくといいほど現実運動を担っていませんでした。これが、戦後に神格化をもたらした要因だとも言えます)

日本共産党が現実的な運動を行うようになったことで、それが基礎としている世界観・組織論・運動論に懐疑の目が向けられるようになりました。
また、ハンガリー動乱で見せたソ連の対応が、共産党の盟主とされていたソ連共産党に懐疑の目を向けさせる大きなきっかけになりました。

そのようにして生まれた懐疑を解消する一つが「第4インターナショナル」→革共同が提示する考え方であり、もう一つが学生運動の主力であった社学同(共産同)の考え方です。
これに、社会党を政治組織とする社会主義協会(戦前の労農派の流れ)を加えたものが、日本では新左翼に分類できると思っています。

(革共同はトロツキーの流れを汲んでいますが、共産同は、共産党の流れを汲んでおり、組織論や運動論で対立し分裂したという感じの組織です。共産同は、革共同から理論を吸収して理論的基盤を強化していった)

60年安保闘争で派手な街頭活動の主力を担ったのが共産同グループです。

このような左翼政治状況であった日本は、戦後から70年頃まで一貫として、世界の「先進国」のなかでもっとも活発な論議が行われることになりました。(大学の経済学部に占めるマルクス主義経済学の割合が日本ほど高い「先進国」はありません。また、宇野経済学という日本独特のマルクス(主義)的経済学の存在も大きな特徴です。最近では、欧米でも宇野経済学を吸収しようという動きがあるようです)

現在の運動は沈滞していますが、新左翼理論は、日本が相対的に高いポジションを占めていると思っています。

>この本をかくにはフルタイムで執筆にあたらなければならないですが(アラブ諸国に
>住んでいるならまだしも)日本での新左翼運動経験があるが、現在アメリカかカナダ
>に長期滞在している日本人でアラビア語を高度に解し、アルジャジ−ラを観ながら一
>次情報をとり、アメリカ人キリスト教徒になり切った上で、しかし正義はイスラム側
>にありと熱い論理を展開する。いったいこの人は普段アメリカやカナダでなにやって
>いるひとなんでしょう?コレ何者?動機も不明、何をやっているのかも想像すらでき
>ない。とにかく著者が日本国内にはすんでいない、ことは賛成していただけるようで
>すが、だからといってアメリカ、カナダに住む日本人といっても、人物像としては、
>理解に苦しみ、想像をこえるものがあり、わたしとしてはその方向での推測はお手上
>げという感じです。わたしは像を結べません。


X氏がアメリカ人キリスト教徒になり切っていると言えるほど、あの本でアメリカ人の意識状況やキリスト教に関する見解が述べられているとは受け止めていません。

あの本を読む限り、「現実の世界に不正義や欺瞞が満ちあふれていることを認識している。その発信源は、米国を中心とした先進国であり、かつては変革を志向したロシアや中国でもある。不正義や欺瞞のおかげでそこそこの生活条件を得ている先進国の国民に、不正義や欺瞞に満ちた世界の変革を期待することはできない。自分が望んでいる変革を「先進国」の国民に依拠することは不可能だから、志向している世界は異なるとは言え、不正義や欺瞞の矛先となってきたイスラム勢力が果敢にも立ち上がった今、彼らと連帯することで、自分が志向する世界変革を実現できる状況が生まれることを切望している」という“精神的”人物像が浮かんできます。


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