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【ニューヨーク１２日＝勝田誠】昨年９月の米同時テロの当日朝、米連邦航空局（ＦＡＡ）の地域管制センターで任務に当たっていた管制官ら当局者が１２日、事件から１１か月余りたって初めて、当時の状況や判断について記者会見で明らかにした。

　記者会見によると、管制官が、アメリカン航空１１便の異常に気付いたのは、同機が世界貿易センタービルのツインタワー北棟に突入する、わずか２１分前の午前８時２５分（米東部夏時間）ごろ。コロラド州にある北米に向けて発射されたミサイルの監視などを行う北米航空宇宙防衛司令部（ＮＯＲＡＤ）が異常に気付いたのは、これよりさらに１５分遅れ、突入の６分前だった。

　同便の突入直後に、やはりボストン発のユナイテッド航空１７５便も交信を断ち、マンハッタンを目指していると管制官は気付いた。ニューヨークのマイケル・マコーミック管制官は、「みな、次に何が起こるか分かっていたが、何もできなかった。人生の中で１番つらい時間だった」と振り返るが、交信断絶から、わずか１１分後、同機は南棟に突入したという。

　それから約１分後の同９時４分、マコーミック管制官は、全米上空を飛行中の全民間機を着陸させる「ＡＴＣゼロ」状態を宣言。この前代未聞の緊急措置をとったのは、乗っ取り機が全部で１１機との情報があったからだという。実際には、３機目のアメリカン航空７７便が米国防総省に突っ込み（同９時３８分）、４機目のユナイテッド航空９３便がピッツバーグ近郊に墜落（同１０時）した。全民間機計４５４６機が着陸を完了したのは、１機目突入から約３時間半後だった。

　事件後、米連邦航空局とＮＯＲＡＤの連携が不十分だったことが明るみに出たが、この日の会見で、現在は両航空当局者が瞬時に情報を共有、少しでも航跡を外れる民間機があった場合には、管制官との無線連絡だけでなく、米空軍機のスクランブル発進などの即応体制が可能となった、という。（読売新聞）
[8月13日21時48分更新]

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