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米安保戦略：
先制攻撃の対象に北朝鮮も想定　米政府高官

　【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ政権が発表した包括的な対外政策文書「米国の国家安全保障戦略」について米政府高官は２０日、背景説明を行った。この中で高官は、敵対国家やテロ支援組織に対する先制攻撃や単独軍事行動を辞さない「ブッシュ・ドクトリン」の対象国として、イラクのほかに朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）が想定されるとの考えを表明した。

　発言は、米朝協議再開をにらんで北朝鮮に圧力をかける狙いがあるものと見られるが、ブッシュ政権の北朝鮮に対する敵対意識を改めて浮き彫りにした。日朝首脳会談を受けて、北朝鮮との国交正常化交渉を進める日本政府は、今後、難しいかじ取りを迫られることになる。

　政策文書は、先制攻撃の対象としてイラクを名指ししていないが、同国を念頭に置いていることは明らかだ。そのうえで米政府高官は「現在または近い将来、先制攻撃のドクトリンが適用される国が（イラクの）他にあるか」と聞かれ、「米国との間に深刻な意見の相違があり、米国が計画に懸念を抱く国々がある。一つの例は北朝鮮だろう」と言明。さらに「米国は、北朝鮮の核計画とミサイル拡散の脅威に対処しようと、日本、韓国とともに働いている」「しかし攻撃を防ぐためには、軍事力の行使以外に選択肢がないという場合もあるだろう」と述べた。

　ブッシュ大統領は今年１月の一般教書演説で、イラク、北朝鮮、イランの３カ国を「悪の枢軸」と呼んで批判した。北朝鮮をめぐっては、ブッシ政権には国務省を中心にした対話推進を求める穏健派と、国防総省を中心に「北朝鮮と交渉の必要はない」「場合によっては、イラクの次の標的は北朝鮮だ」と考える強硬派の両派がある。

［毎日新聞９月２１日］ ( 2002-09-21-12:19 )

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