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10/07 17:23 天然痘テロに先制作戦 米が予防接種の態勢づくり 外信49
共同
誰もが白い粉におびえた米国の炭疽（たんそ）菌事件の最初の犠
牲者が出てから約一年。捜査が行き詰まる中、ブッシュ政権は炭疽
菌同様に危険な天然痘ウイルスを使った新たなバイオテロに備えた
「先制作戦」（衛生当局者）として、全国民二億八千万人に即座に
予防接種できる態勢づくりを進めている。
生物・化学兵器による対米テロの懸念は皮肉にも、一年前より格
段に深まっている。パレスチナ問題でイスラエル寄りの政策姿勢を
鮮明にした米政府に対するイスラム過激派などの反発が強まってい
るからだ。
テロ組織アルカイダは各国司法当局や米軍に追い詰められている
が、その拠点からは毒ガスの動物実験のビデオが押収された。また
イラクが生物・化学兵器に手を染めていたのは対イラン戦争、国連
査察で実証されている。
一方で炭疽菌事件の捜査は難航。粒子が五マイクロメートル以内
の細かさに精製された「兵器水準」（民主党のゲッパート下院院内
総務）の炭疽菌粉末を作ることのできる犯人は野放しのままだ。
特に米政府が警戒を強めているのは天然痘。ワクチン（種痘）の
普及で一九七七年の発生を最後に根絶されたが、米国とロシアが研
究用にウイルスを保管。テロ対策専門家の間では、管理がずさんな
ロシアからのヤミ市場への流出の恐れや、イラクが保有している可
能性が指摘されている。
天然痘は感染から発症まで時間があるため、炭疽菌やサリンのよ
うに犯行現場を特定、封印することが困難。感染が拡大し、広い地
域全体を隔離するような事態にもなりかねない。
ワシントンに隣接するメリーランド州は今月、医師や看護士、警
察・消防隊員らで構成する約千人の「対天然痘テロ即応部隊」を編
成し、隊員への予防接種を開始する計画だ。
また連邦政府は、社会不安を最小限にとどめるため、発生判明時
点で「かなり広範な緊急予防接種を実行しなければならない」（ウ
ォルター・オレンスタイン疾病対策センター全国予防接種計画局長
）として、全国民にワクチンが行き渡る態勢づくりを検討中。
天然痘の予防接種は副作用が強く、百万人に一―二人が死亡する
と推定される。だがブッシュ政権は「（百万人のうち）三十万人が
死亡することを考えれば…」（同局長）と、集団接種が不可欠と判
断する。
米国には現在一億五千五百万人分のワクチンしかなく、増産する
見通し。さらに大量の隔離施設など膨大なコストがかかるが「恐怖
から自由になるため、可能な限りの手段を講じる」（ブッシュ大統
領）という。（ワシントン共同＝上田泉貴）
（了） ０２１００７ １７２３
[2002-10-07-17:23]
10/07 17:23 天然痘ウイルスと炭疽菌 外信50
天然痘ウイルスは人から人にだけ伝染。初感染では全員が発病、
高熱と全身に発疹（ほっしん）などが出て約３割は死亡する。世界
保健機関（ＷＨＯ）は１９６６年から種痘による根絶計画を進め、
８０年に根絶を宣言した。
炭疽（たんそ）菌は主に牛など家畜に感染し、人間に感染すると
呼吸困難や高熱などを引き起こす。
米国の炭疽菌事件は２００１年１０月５日、フロリダ州の新聞社
で写真編集者が肺炭疽で死亡したのに端を発し、炭疽菌入りの郵便
物を介して、被害はワシントンなどに拡大。発症者は死者５人を含
み１８人に及んだ。（共同）
（了） ０２１００７ １７２２
[2002-10-07-17:23]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。