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軍事社会主義国 ビル・トッテン
投稿者 123 日時 2002 年 11 月 16 日 02:03:19:

(回答先: 「戦争中毒 (アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由)」 投稿者 既出かな? 日時 2002 年 11 月 15 日 19:28:58)

個人消費が足りない日本では、社会消費を増やすことがデフレの解決策となります。それにもかかわらず、なぜ日本では、ヨーロッパのような、社会民主主義国への政策転換の声がまったく聞かれないのか。むしろ、個人消費のたりない米国のような軍事社会主義への道を進むことすら危惧されます。経済の条件が変わったいま、日本政府が根本的な方向転換を図ることを期待するのは無理なのでしょうか。
(ビル・トッテン)


軍事社会主義国
ビル・トッテン

米国が社会主義国であると私が言うと、このアメリカ人は何を言っているのか、という顔をされる。しかし資本や土地の私有こそ禁じていないが、国家が全体の利益のために生産や分配を管理する社会体制という、社会主義の定義に米国は当てはまる。そして米国のそれは北欧にみられる社会民主主義ではなく、国家が特定の大企業の利益のために戦争を行うという軍事社会主義国なのである。

戦争で経済危機回避
例えば今、執拗(しつよう)にイラクとの戦争を始めたがっているブッシュ大統領だが、もはや米国政府は共和党であれ民主党であれ、どこかで戦争をしていなければならないという必要にかられている。特にイラクは過去十年以上、ブッシュ親子二代にわたり、対戦国の対象としてきた国であり、そのために払ったこれまでの努力を無駄にするわけにはいかないのである。
米国の軍事社会主義は今に始まったことではない。十九世紀に入り資本主義経済が発展すると、利益追求のために大量生産が行われる一方で資本家は人件費を含むコストを低く押さえようとし、このため生産に所得が追いつかなくなった。

消費が振るわなくなると生産が過剰となり、価格が暴落、そして倒産や失業といった危機的な局面が循環的にもたらされた。最悪の世界恐慌となった一九三〇年代にはニューディール政策も奏功せず、米国の景気が回復したのは第二次大戦により人工的に消費をつくり出した後であった。
消費不足、すなわち生産能力の過剰によってもたらされる経済危機を米国は戦争という形で消費するようになり、それ以降の経済的危機も、朝鮮戦争やベトナム戦争、湾岸戦争そのほか数多くの軍事介入によって、すなわち常に戦時体制をとることによって回避してきたのである。
戦争経済は過剰な生産能力を軍事分野で消費することにより、米国経済における成熟と停滞の危機を解決する好機を提供した。米国政府は国家安全保障を理由に戦時体制を次々に確立していったが、これを可能にしたのは米国社会における政界と財界の癒着であった。
つまり戦争から大きな利益を得る大企業が外交政策を決定する地位に就き、企業の利益を優先するために戦争を次々に演出してきたのである。日本には「天下り」があるが、米国にも「回転ドア」と呼ばれる同様のシステムがある。

米国の「回転ドア」
この回転ドアから、米国政府には一九四〇年代以降、数多くの大企業経営者が政策立案者として入り込んだ。これは現在でも顕著で、現ブッシュ政権をみても企業とのつながりは一目瞭然(りょうぜん)である。
チェイニー副大統領は世界最大手のエネルギー会社、ハリバートン社の元CEO(最高経営責任者)、国家安全保障担当補佐官のライス氏は石油会社シェブロン社の役員、エネルギー副長官のブレイク氏はGE社の副社長、エバンズ商務長官は石油会社トム・ブラウン社の元役員、ミネタ運輸長官は防衛コントラクター、ロッキード・マーチン社の元副社長だ。
さらにオニール財務長官は世界最大のアルミメーカー、アルコア社の元会長、カード主席補佐官は元GM社の主席ロビイスト、フィッシャー環境保護庁副長官はモンサントの副社長、エネルギー次官カード氏は核廃棄物浄化請負業者カイザー・ヒル社のCEO、ラムズフェルド国防長官は製薬会社サール社(現ファーマシア社)の元CEO。そのほか、大企業のロビイストや業界の代表を務めた弁護士といった面々が名を連ねる。
これら米国政府と産業界とのつながりをみれば、米国の国益とは大企業の利益であり、第三世界に多く投資を行っているそれら米国企業の利用に供するために豊富な原材料の供給を確保すること、そして原材料の供給によって利益を上げるだけでなく、企業の生産活動を保証し、その製品を米国や海外で販売できるようにすることだという目標が明白になる。

今も変わらぬ動機
その視点から第二次大戦後の米国の外交政策をみると、米国の輸入や投資にしても、一国の共産化がその地域全体に波及するというドミノ理論を盾にした軍事介入にしても、程度の差はあれ、その政策と行動はあらゆる場所において経済的要因に規定されていることがわかる。その動機は五十年前もそうであったし、湾岸戦争やアフガン戦争など、現在も変わっていないのである。
今、日本政府が憲法を改正して戦争放棄の外交政策を変更し、有事立法によって参戦することを画策しているのを見ると、私はそれを米国とだぶらせてしまう。第二次大戦で利益を得た日本の政治家や大企業のトップが、デフレをもたらしている日本の過剰な生産能力を、戦争によって吸収しようとしているのではないか、と思うからである。
日本が米国を模倣してはならないことは数多くあるが、その中でもデフレ解消のために軍事社会主義の道をとることだけは決してまねてはならないと私は思う。

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