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 ジャスコの省コスト店舗    日経流通新聞MJ2001/07/17
http://www.asyura.com/2003/bd24/msg/716.html
投稿者 hou 日時 2003 年 3 月 01 日 15:38:56:

(回答先: リーディングストリーとしての流通業を目指して1 2 ウォルマートの戦略 投稿者 hou 日時 2003 年 3 月 01 日 15:15:35)

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デフレ対策過疎地で学べ、秋田・五城目に見るジャスコの挑戦

秋田駅から北に二十キロほど走ると、まばらな民家、一面の田園風景のなかに、こつぜんと横長の巨大な建物が現れる。その長さは実に二百メートル。ジャスコ五城目(ごじょうめ)店だ。そんな「超郊外」に今年六月出店したジャスコは、この店を、今後の店舗戦略の試金石になると、極めて重視している。売り上げがたたない過疎地でも、地価の高い都市部でも採算が合うような、低コストの店舗オペレーションを確立する挑戦だからだ。

欧米型店舗。
五城目店が位置するのは秋田県南秋田郡五城目町。人口はこの十年で一三%減って現在一万二千人余り。一平方キロメートル当たりの人口は、東京二十三区の二百分の一にも満たない五十八人だ。六十五歳以上の人口構成比は二八・六%と、全国平均を一一・一ポイントも上回っており、典型的な「過疎地」といえる。店舗の北側の森山にはクマやカモシカも生息する。

そんな、田んぼに囲まれた五城目店の売り場面積は約一万平方メートル。約半分が食品だが、衣料品、雑貨から、家具、家電製品までそろえたフルラインの品ぞろえ。これをワンフロアで展開する。天井高は最大八メートルとなり、幅五・四メートルのメーン通路と相まって、店内は都市部の店にはなかなか見られない開放感に満ちている。通常の買い物かごを四個据え付けられる大型カートでの買い回りもしやすい。

衣食住すべての部門の商品を一カ所のレジで精算できる「ワンレジ」。店員による商品の袋詰めサービス。九万平方メートルを超す余裕ある敷地に千六百台分の駐車場――。スタイルはとことん欧米型。ウォルマートやカルフールなどの店をほうふつとさせる。閉店時刻を午後十一時とするなど、深夜営業にも取り組む。いずれも同社の総合スーパー(GMS)の店舗としては初の試みだ。

この店が主な商圏とするのは車で片道二十分の約六万七千人。現在、平日には一日七千人、週末には一万五千人が訪れる。年商目標は四十五億円。平日一日千万円、週末一日二千万円の計算で、大都市圏にある同規模店に比べると半分以下の水準だ。

こうした地域では、少ない競合の中で圧倒的なシェアを獲得する一方で、店舗形態を含めたローコスト体質が構築できているか否かが利益を左右する。ジャスコはこれまでも出店コストが低い「キツネやタヌキが出るところ」(岡田卓也名誉会長相談役)への展開を進めてきたが、五城目店の狙いはさらに、運営手法そのものも変えることだ。売上高に占める店舗運営コストの比率は、全店平均の二七%前後から一気に二〇%まで引き下げる。そのためのノウハウの蓄積の場として、出店コストが低い「過疎地」は、失敗のリスクを低くする意味もある。

五城目店は店舗をワンフロアとしたことで、三・三平方メートル当たりの建設費は十七万五千円と、多層階にした場合の七割程度に抑えた。ワンレジは、顧客が売り場ごとに精算する手間が省けるだけでなく、店員が売り場ごとのレジに張り付く必要がなく、人員の効率配置にもつながるとみる。実際、五城目店の正社員数は、同規模店の約七割の二十八人。一方でパート比率は八五%と高く、全社の七二%を大きく上回る。従来は売り上げの一二%程度となっていた人件費率を八%近くまで下げる考えだ。

同時に、顧客は全店をカートを引いたまま買い回りできるため、客単価が増えると期待できる。実際、開業から十日間の平均客単価は「全社平均の一・四倍」(同社)。顧客の九五%以上が重い荷物も運べる車で来店していることも追い風だ。午後十一時までの深夜営業は、他店でも見られた夕食後に買い物に出掛けるという地方独特の購買行動を考慮した戦術。五城目店では、一日のうち午後七時以降の売り上げ構成が実に三割強に上るという。

売上高の低さから相対的に店舗運営コストが高くなることを嫌って、ライバル大手が二の足を踏んできた「超郊外店」。だが「この立地で黒字化できれば、その手法は都市、郊外を問わず全国に応用できる」(店舗開発を担当する阪本美樹専務)。過疎地を舞台にした新たな挑戦がはじまった。

経費4分の1削減。
ジャスコはこれまでにも、東北地区を中心に五城目町のような超郊外に店舗を構えてきた。柏(青森県柏村、開業は九二年)や御所野(秋田市、同九三年)、下田(青森県下田町、同九五年)などはその代表例。これらの店舗に共通する条件として、(1)土地の安さ(2)良好な道路アクセス(3)主要な地方都市に隣接(4)地元市町村の誘致――などが挙げられる。

五城目店はいずれの条件にも当てはまる。敷地三・三平方メートル当たりの年間賃料は大都市の郊外店の十分の一程度。二〇〇二年秋に店の百メートル先に高速道路が開通すれば、秋田市や能代市から三十分で来ることが可能になる。町が農業地域活性化構想を打ち出して商業施設の誘致に乗り出したのも追い風だった。

ただ、これまで超郊外店の業績は決して順調に推移しているとは言えない。右の既存三店をみても、物流費や本部経費なども計上した場合の営業利益は赤字となっているのが実情。土地・建物への負担は大都市圏に比べれば低いが、同時に売り上げ効率も悪いため、売上高に占める店舗運営コストがいずれの店も二七%前後と重荷になってしまっているためだ。五城目店が過去の店舗と異なるのは、店舗運営に焦点を当てた徹底的なローコスト化をめざしている点にあり、店舗運営コストも四分の一以上削減するのが目標。「継続的に商品を低価格販売するエブリデー・ロー・プライス(EDLP)を実現させるためには、エブリデー・ロー・コスト(EDLC)が絶対に欠かせない」と岡田元也社長は強調する。

ローコスト化の一方の側面である仕入れコストの軽減は、プライベートブランド(PB=自主企画)商品の海外調達による商品原価の引き下げや、今年六月に東北地区で着手した国内メーカーとの直接取引などで、道筋をつけてきた。
今回の五城目店の実験は、それにもう一つのコスト要因である店舗運営を見直すことで、商品・オペレーションの両面から利益の確保につなげようとしたものだ。

「五城目店で蓄積したローコスト運営のノウハウを都心店に移せたら強い」(メリルリンチ証券の鈴木孝之シニアアナリスト)。ジャスコは立地戦略の軸を工場跡地の多い東京・名古屋・大阪など大都市の近郊に移している。五城目店の成否は、都心部を地盤として店舗展開してきた国内ライバル各社に、米ウォルマート・ストアーズなどローコストを最大の武器として日本市場席けんをうかがう外資大手を含めた将来の勢力地図を占う試金石にもなる。


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