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「世界−内−存在」としてのヒト
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 19 日 20:50:39:

(回答先: あっしら殿 ; [A purpose of being] +α です。 投稿者 如往 日時 2002 年 12 月 19 日 18:19:01)


如往さん、お久しぶりです。
少しばかり刺激を求めていたところなのでありがたい投稿です。

ハイデガーは、ギリシア以降の“西洋”哲学の基礎である主観−客観構造を超えて、近代(現代)哲学の潮流を定立した人だと考えています。

「観想する主体」から「投企する主体」への転換を理論付けたという点で、実に近代的な存在(人間的自然と自然的自然)=認識論だと言えます。
「知的エリートたる哲学者」の哲学から「自覚せし主体者としての大衆」の哲学に変容させたとも言えます。
(「自覚せし主体者としての大衆」は“近代的自我”に置き換えることができ、西欧世界でそのような存在が広がった基礎は、近代の政治条件・経済条件・教育条件が歴史的継承意識と相俟ったものだと考えています)

ハイデガーを評価する場合、入党までしたナチスとの関わりを避けて通れないのですが、「共同体−内−存在」としてナチス運動に投企することを選択したことは理解できます。
(結局、民族共同体理念の希薄さでナチスを批判するようになったのですから、ハイデガーは、政治的にはウルトラ・ナチズムとも言えます。戦後、ナチスとの関係に沈黙したのは、世界を覆う勢いでのナチズムの歴史的総括の在り方に辟易したからではないかと推察しています)
ナチズムはヒトラーの独裁に還元されがちですが、主体的大衆運動であったという重要な側面を見逃すことはできません。(戦前の日本をファシズムと呼んだり、独裁的な政治をファシズムと呼ぶのはこの意味で大いなる錯誤です)


如往さんが書かれた内容について一点に絞ってレスさせていただきます。


>●「存在理由の完結」

>このような経緯から、最近では哲学や宗教から離れてもっと自明なものとして、「ヒ
>ト(生物)の存在理由は遺伝(DNA)の承継にあり、個別的生はそのための個体維持
>である。」との生物学的な定義を存在理由の主概念として採用しています。そして、
>これが、問:「自分は一体何の謂れでここにあるのか。」への答えであり、存在理由
>を叙述するのにこれ以上でもこれ以下でもあり得ず、従って、「存在目的」は下位概
>念上では「存在理由の完結」に導かれると捉えています。

個としてのヒトの「存在理由」は、たんに「人間的自然として世界に投げ出された」からであり、よって、「存在目的」は措定できないと考えています。(他の存在も、この意味ではまったく等価です)
個としてのヒトを世界に投げ出した主体は、神でも生物学的摂理でもかまわないと思っています。(性行為や人工授精が主体だと言うことはできませんから、ヒトが主体と言うわけにはいきません)

投げ出した主体の目的を個であるヒトが認識することはできないので、「存在目的」は、世界−内−存在としての個が選び取り行うものでしかなく、存在論的な意味での目的はないことになります。
個に存在目的が措定できないのですから、同じように類にも存在目的を措定できないことになります。

ハイデガーの言を借りると、世界−内−存在として世界と関係しながら自己の在り方変えていくという自己超越的な力の源泉としての「脱自(対自)的実存」は、理論化されたものに支えられているかどうかはともかく、人間的自然(実存)であるかぎり遍くそうであると考えています。
(生まれ落ちたときから「世界−内−存在」として他者及び客体と関係づけられ、脱自的実存として生きているのがヒトだと思っています)

生物学的「存在理由」も、個々が選び取る対象でしかありません。
神や自然摂理が、種の保存を目的として個であるヒトを世界に投げ出したかどうかも不確かです。
種の総員が種の保存を放棄するのなら、それはそれでよしと考えているかもしれません(笑)

「世界内存在」としての絶対的実存が危殆に瀕している、すなわち、世界と関係しながら自己の在り方変えていくという条件が脅かされているという現実を感得し、その論理的理由を認識することが今日的テーマだと思っています。

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