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金完燮(キム・ワンソプ)氏の『娼婦論』を読んで
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 01 日 22:10:53:

(回答先: 西尾幹二氏と金完燮氏(『親日派のための弁明』の著者)の対談 投稿者 TORA 日時 2003 年 2 月 01 日 20:49:05)


TORAさんが転載してくれた西尾氏の文章に、「最近、彼の韓国での処女作『娼婦論』というのが日本で翻訳出版された。「私はまだもらっていないが」と言うと「先生にお贈りすると、こんな本を書いた人物とは対談できない、と言われはしないかと心配して、まだ送っていません。27日にもってきます。」「私はどんな内容の本にも驚きませんよ」と答えて、みんなで大笑いになった」という内容があるので、簡単に紹介したい。


『娼婦論』(金完燮(キム・ワンソプ)著・李 幸子訳・日本文芸社刊・1500円)


『娼婦論』は、「男性に股をひらいてやる代価として、生活を営み子孫を残すことは、決して恥ではない。だから、女性たちよ、服を脱ぎ裸体をさらすのだ。大股びらきをしよう。そして愛と微笑みをもって男たちを迎え入れよう。当分の間はがまんしなければならない。娼婦魂−これだけが男女すべてを混沌と葛藤から救い出すことのできる唯一の解決策である。」という文章が締めくくりになっている。

本人が西尾氏に語った内容から推察できるように、フェミニストに限らず、まっとうな人たちからは憎悪と敵意を向けられる内容であることを承知して書いたものであろう。


この書籍に書かれた内容は、次の二つの文章に集約されていると思われる。

「娼婦魂とは女性の殊遇に関する科学的な自覚であり、男性優位の社会で生存し発展するための女性階級の政治的戦術である。それはまた、男性の性欲を充足してやるタイかとしての生活保障を、さりげなく、また堂々と求める意識改革である。」


「オスの要求をより寛大に受け入れて彼らをいたわってやろう。オスとは、わかってみれば不幸な存在である。彼らが求めるあらゆる価値は女性に回帰することによってのみ達成される。そして、このオスたちは女性の陰部に自分の男根を押し込むたびに、幻覚状態ではあるが、そのような救いを覚えるものである。」


6つからなる章のタイトルを列挙する。

第1章 家族の起源と性解放への道
第2章 セックス産業がもたらす経済効果
第3章 純潔イデオロギーと女性の深層心理
第4章 若い男女の本質と古い固定観念
第5章 これからの女性像と結婚という概念
第6章 従軍慰安婦制度の問題点と与えられた命題

12月初めに読み終えたものなのだが、「マルクス主義的家族観を基礎にしながら、それを市場主義的社会制度に組替えたもの」という印象が残っている。

雑駁に言ってしまうと、「自由恋愛+取引としての性行為+扶養・被扶養の夫婦関係」を論理的脈絡をつけて語ったものである。

私も、売春は国家が取り締まるべき取引だとは思っていないし、銀行員と娼婦のどちらを好ましい職業かと問われれば娼婦と答える過激?な価値観を持っているが、キム・ワンソプ氏がこの書で展開した内容は、知的好奇心旺盛でませた高校生が着想するレベルの内容にそこそこの論理性を付与したものと評価している。

失礼ながら、わざわざ一冊の本にまとめるほどのものかという感想を持っている。
(スケベでその問題では許容範囲が広いと自認しているが、おいおいそこまで思い込みでぶっとぶなよと辟易する記述もある)


『親日派のための弁明』と比較すると、思いをぶちまけるという構えが強く出ており、論理性にもやや欠けている。

ということで、推奨書籍としては取り上げなかった。
(がちがちの性愛観や家族観だと自認している人には一読の価値があるかもしれない)

ネット上の公開では韓国の女性から激しい批判と憎悪が投げかけられたそうだが、男性の私ではなく、女性に読んでもらって論評していただきたい一冊である。

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