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推奨書籍:『スコット・リッターの証言 イラク戦争 ブッシュ政権が隠したい事実』
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 05 日 00:08:16:


スコット・リッター氏が来日したそうだが、リッター氏との電話インタビューをメインとした『スコット・リッターの証言 イラク戦争 ブッシュ政権が隠したい事実』(ウイリアム・リバーズ+スコット・リッター著・星川 淳訳・合同出版・1200円)を数日前に読み終えたので簡単に紹介したい。

大量破壊兵器開発がイラク攻撃のためのたんなる口実でしかないという論拠として、このスコット・リッター氏の説明は格好の支えになっているようである。

スコット・リッター氏は、湾岸戦争にも海兵隊員として従軍し9、1年から98年までUNSCOMの一員としてイラクでの武器査察に参加した経歴を持っている。(2000年の大統領選挙ではブッシュ氏を応援したそうだ)

以前、スコット・リッター氏を紹介する書き込みがあったときにレスしたように、リッター氏は、CIA及びイスラエルのエージェント(スパイ)としてもイラクで活動した人物である。(人種的にはユダヤ人)

書籍でリッター氏が語っている内容は、イラクには米国や周辺諸国を脅かす軍事力はなく、イラクを攻撃するのは愚行であるということに尽きるものである。

イラクには米国や周辺諸国を脅かす軍事力はないというのは、リッター氏が孤軍奮闘で力説していることではなく、CIAも、同じ見解をブッシュ政権に報告している。
イスラエル政府も、イラクとアルカイダの関係を否定する見方を公表しているくらいで、イラク攻撃に反対はしないもののフセイン政権を叩くべしというキャンペーンは行っていない。

(ブッシュ政権強硬派と国際派である国務省の言動ばかりが報道されていて見えにくいが、CIAは「イラクに緊要な危険はない」というレポートを出してきた:参照書き込み:『ブッシュ政権内部の「イラク観」をめぐる対立 [ニューズウイーク日本版10・16]』( http://www.asyura.com/2002/dispute3/msg/273.html ))

リッター氏(CIAも)がイラク攻撃に反対しているのは、反戦平和だとか、国際政治の道理だといった視点ではなく、書籍の帯にも書かれている「イラク攻撃は前代未聞の愚行だ」という考えに基づいたものである。

イラクの大量兵器開発問題は書籍をお読みいただくとして、「イラク攻撃は前代未聞の愚行だ」という根拠をどのように示しているかを紹介する。

「ピット:イラクに戦争を仕掛けようとする人びとは、よく「イラクに民主主義をもたらす」と主張します。それについてはどう思いますか?

 リッター:<前略>もしイラクの民主化を多数決で進めたら、結果はラムズフェルドたちが望むものにはならない公算が高いからです。(その根拠として、人口の60%が宗教的にイランとつながりが深いシーア派であること、23%はクルド人で、米国はトルコに負けないくらいクルド人の独立を望んでいないことをあげている)<後略>」

「ピット:あなたはスンニ派の統治を映画『ゴッドファーザー』になぞらえていましたね。

 リッター:<前略>サダム・フセインの一族アブナシル家、二万人あまりで二〇〇〇万人の国を牛耳っています。<中略>もしサダム・フセインを退陣させれば、おそらく次のトップもスンニ派から出てくるはずで、上下関係の強いスンニ派の部族力学が働き、サダム・フセインと同種の独裁体制が出来上がるでしょう。<後略>」

「ピット;アメリカがアフガニスタンに踏み込んだときは、北部同盟を代理戦士に仕立てて地上戦を戦わせました。もし、アメリカがイラクを侵攻する場合、クルド人を同じように使う話が盛んに流されていますが、それは有効な選択肢ですか?

 リッター:いいえ。まず第一に、クルド人は自分たち同士が戦争状態にあります。内部抗争がひどすぎるのです。第二に、クルド人がそんなに強い実権を握ることはトルコがけっして認めないでしょう。第三に、クルド人自身、そういう役回りにあまり食指を動かされていないようです。<後略>」


「ピット:中東地域のほかの国々はどんな反応を見せるでしょう?

 リッター:第一に、この軍事作戦自体が失敗に終わる可能性は十分あります。なぜなら次の三点を含め、あまりにも多くの仮定にもとづいているからです。
● イラクは戦闘放棄するはず
● イラク国民が放棄するはず
● アメリカがサダム排除に本気であることを見せれば、国際社会が支持に馳せ参じるはず。」

「ピット:現在のところ、国際社会はとうてい乗り気とは思えません。

 リッター:むしろイラク攻撃反対で盛り上がりつつあります。今現在、アラブ社会にはすさまじい反感が渦巻いています。もしアメリカが単独でイラク侵攻に踏みきれば・・・」

「ピット:ブレント・スコウクロフト[元国務長官]は最近、それを世界最終戦争(アルマゲドン)と呼びました。

 リッター:そうなる怖れはあります。潜在的可能性はかなり高い。それは時間と犠牲者数という二つの要素のせめぎ合いになるでしょう。もしイラクに攻め込むなら、すばやく勝利しなければなりません。作戦をダラダラ長引かせる余裕はありません。もし、イラクがひと月でもふた月でも持ちこたえられたとしたら、アラブ世界は9・11など子どもだましに見えるような未曾有の大爆発を起こすでしょう。いっぽう、犠牲者が多くなればアメリカ本国で政治的惨劇が起こるはずです。国際社会の非難とアメリカ国民の不満が組み合わされば、大統領は四面楚歌の状態に追い込まれるでしょう。」


「ピット:ブッシュ政権の一部にとっては思うツボでしょう。

 リッター:皮肉なのは、エジプト、ヨルダン、サウジアラビアが崩壊しかねないという警告に対しても、ブッシュ政権からは「それがどうした?」という程度の反応しかないことです。<中略>事態は本当にオサマ・ビンラディンが望んだ文化の衝突になりつつあります。それこそ、彼がアメリカを攻撃した一つの理由でした。これを正用とイスラムとの戦争に発展させたかったのです。ほとんどだれもが、そんなことはバカげているといいますが、ほかでもないアメリカ自身が、これを西洋とイスラムの戦争に仕立ててつつあります。
 しかし、われわれに勝利はないでしょう。突然、国土を占領されるというようなことは起こらないにしろ、勝利できないことによって負けるのです。それはアメリカにとって屈辱的な敗北になる可能性があります。全世界におけるアメリカの影響が後退をはじめる決定的な敗北になるかもしれません。それはアメリカ経済に壊滅的打撃を与えかねません。<中略>
 この対イラク戦争は前代未聞の愚行なのです。」

「ピット:最悪のシナリオは?

 リッター:戦況が総崩れになって、イラク領内で立ち往生した七万人の米兵が殲滅の危機に直面したら、アメリカは核を使うでしょう。疑問の余地はありません。アメリカは核を使います。これは間違いだらけの戦争なのです。こんな戦争から良い結果など出てくるはずがありません。」

「ピット:この戦争に石油はあまり関係ないとお考えですね。

 リッター:ええ、あのへんはどこを掘っても石油だらけの土地です。戦争などしなくてもイラクからは好きなだけ石油を得ることができます。イラクの石油大臣は、経済制裁さえ解除されれば、アメリカの戦略的エネルギー要求を満たすために何でもすると明言しました。イラクはアメリカに石油を渡さないと言っているわけではないのです。」

スコット・リッター氏が反戦平和主義者ではないからこそ、「前代未聞の愚行」という言葉の持つ重さが理解できる。

残念ながら、リッター氏は、石油に代わる目的については愚かなネオコンの策動というだけで意味があることを語っていない。


リッター氏の読みが正解なのか、傲慢なブッシュ政権の軍事力がそれを覆すのか、あと半年もしないうちに明らかになるだろう。

「前代未聞の愚行」に米国が踏み切らなければ、「近代の終焉」が始まらないというのは実に愚かで悲しいことである。

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