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「原理論」に対するレスです
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/789.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 08 日 21:30:01:

(回答先: Re:寄生性についてお伺いします−まず原理論から− 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 3 月 07 日 23:29:19)


すみちゃん、こんばんわ。
レスありがとうございます。

自分だけの思考はどうしてもある枠に収まってしまいますし、こんなことはみなさんわかっているだろうから書くまでもないだろうとか、不特定多数の価値観・世界観基盤はわからないでのどう書けばわかりやすくなるのかも暗中模索です。

レスをいただけば、その刺激で書くべきことや説明のポイントが少しは明瞭になるので助かります。


> (寄生性と共同体との関係)

スミスもリカードも、国際商人&国際金融家の振る舞いをもっともらしく正当化するために知的奮闘を行った人たちだと思っています。

そのおかげで、国際商人&国際金融家の価値観や活動論理が窺い知れるので助かりますが(笑)

リカードとリストについては、『【経済学理論の虚妄】 「比較優位」というリカードの“詐欺的理論”が今なお生き延びている不可思議 − 「自由貿易主義」は「保護貿易主義」である − 』( http://www.asyura.com/2002/dispute3/msg/570.html )という書き込みをしていますのでご参照ください。


>だけどイギリス人はインドの織物工を多数集めて、その手首を切断したんですね。
>高付加価値製品を自作できないように。イギリス人が本当にリカードの理論を信じて
>るんなら、こんなことをする理由がない。最適地生産が両方の利益になるなんて理論
>は真っ赤な嘘であることは良く分かってたんですね。だけどドイツ人はだませなかっ
>たと理解しています。  彼らは大資本を集めて工業生産に励みました。
>イギリス人(その寄生者)は、インド人をだませなかったんでその手首をきりました。
イギリス人(国際商人の手先)がインドの織物工の手首を切断したのは、高付加価値製品の生産を抑止するためではなく、普及品の生産を抑止するためです。

高付加価値製品であるインド更紗は、英国では生産できず、欧州の金持ち層に人気の商品ですから、貴重な輸入品です。ですから、インド更紗は今でも生き残っているように、“保護”されました。

インド人は、英国製綿織物の流入が人々の生活基盤を破壊し共同体を崩壊させると考え、その排斥運動を展開しました。それを武力で抑えこもうとするとともに、財の供給ができなければ英国製を買うしかないだろうということで織物工の手首を切ったのです。

>ドイツ人はだませず、手首を切ることもできなかったので、工業生産力で追い抜かれ
>てしまいました。彼らがドイツ人の手首を切ったときには1918年になっていました。
>現在人は簡単にだまされますから、手首を切る必要がありません。 

ドイツは陸軍ベースでは強力な軍事力を持っていたので、手首を切ることはできませんでした。
英国の「産業革命」と呼ばれていますが、産業革命期に機械を製造した技術者の大半はドイツ人です。手工業で技能を蓄積していたドイツ人が4千名も英国に渡り産業革命を起こしたのです。(当時の4千名というのは、今だったら10万人の技術者にも相当する膨大な数です)

ですから、ドイツが近代産業化を進めれば英国を追い抜くのは当然だと言えます。
ドイツの歴史的な力が近代と結びついたことで、ドイツは、二つの大戦を戦わざるを得なくなったとも言えます。


>現在は、グローバリズムとか、トランスナショナルエコノミーとか偉そうな名前が付
>いていますが、要するに低コスト地で生産し、高く売れる場所で販売するという話だ
>と理解しています。  
> それが全体の利益になるという理屈は、リカードの嘘の高級バージョンにすぎない
>と思います。

そう思います。

グローバリズムの恐さは、「低コスト地で生産し、高く売れる場所で販売する」というだけにとどまらず、これまで共同体利益を重視して公有になっていた電力・水道・ガス・道路などの公共的財供給主体を“民営化”しようとしたり、イスラム法的銀行営業の規制を取っ払おうとしていることにあります。

寄生者は、「近代」をリードをしてきた産業に限界性が生じたことを認識しています。
世界すべてが自由貿易に組み込まれると、産業活動が利益を生み出すものではないことが明瞭にわかるようになります。
(「供給=需要」と「利潤の源泉は国際取引余剰(黒字)である」という認識は極めて重要です)

寄生者は、リカード的理屈付けでは貨幣的富の極大化うまくいかないことがわかっているので、必要不可欠の公共財やクレジットカードや電子マネーといった日々の取引から利益(養分)を吸い上げようとしています。

これこそが、世界を丸ごと支配することです。
歯を磨くたびに、電灯を灯すたびに、お湯を沸かすために、食糧を買うたびに、1回ごとは少ない金額だけれども、すべてと言える人が毎日行うことから“養分”を吸い上げようとしています。

財布やポケットに直接手を突っ込む泥棒行為はしないだけで、システムでがんじがらめに縛り上げ、その状態でじりじりと“養分”を吸い上げようとしているのです。


> 昔読んだカール・ポランニー(日本での紹介者.栗本慎一郎)の経済人類学は、近
>代経済学に比べると説得的に思えました。
>  市場経済は、共同体の外部から侵入する異物だという考え方のようです。
>  例えば、ギリシャの都市国家でも、街の外れに居留地があって、異人が住んでい
>ます。  外部との接点です。  そこが市場経済の発祥となったそうです(ポラン
>ニー:「アリストテレスが経済を発見した」)。  決して共同体内部で市場が自生
>したわけではない、異物だったんだという観察です。

> あっしらさんのお考えは、こちらに割合近いように思いますが、いかがでしょう。 
【世界経済を認識する基礎】で書いたことですが、交換(市場経済)は異なる共同体間の遭遇によって起こったと考えています。


>この考え方を延長すると、近代とは、異物が巨大化し、共同体の内部に入り込むプロ
>セスと言っていいように思います。

貨幣経済の全面化とは、人々から共同体性を喪失させることであり、共同体を崩壊させることです。
崩壊した共同体の近代的統合体が国家です。

近代史は、共同体内に癌細胞(寄生者)が発生しそれが大きく成長していく過程です。

>商売人は言います。  「お前は焼き物を作れ。  お前は農作物を作れ。
>そうすれば生産力は最大になって皆得するぞ。  最大多数の最大幸福だ。」
>しかしそうなりません。  そのうちみんなが段々貧乏になってきます。
>生産力は上がったはずなのに、なんでこんなに貧乏なのか。  一般貨幣で交易して
>いるからです。  貨幣を商売人にごっそり持っていかれたんです。
>あっしらさんの理解とは違うでしょうか?  違ってたら間違いを教えてください。

国際商人は、「お前たちのやり方では競争に勝てない。そんな仕事なんかやめて大工場で働け。そうすれば生産力は最大になって皆得するぞ。  最大多数の最大幸福だ。」という働きかけをしてきました。

そして、いわゆる先進国は、多くが貧乏になるのでなく、「最大多数の最大幸福」と錯誤させられる経済条件を実現しました。
これが、先進国国民が「近代」に疑念をなかなか持たない所以です。

先進国国民が経済的に豊かになったのは、生産性が急速に上昇ながらそれまでと変わらない時間働いているからであり、そのおかげで所得で購入できる財やサービスの量が増えたからにすぎません。
正確に言えば、絶対的貨幣(労働価値)基準で評価すれば、徐々に“貧乏”になっています。財やサービスの量という現象的印象で“豊か”になったと錯誤しているだけです。
(錯誤させていると言ったほうが正確ですが)


今後の世界経済は、先進国国民も、現象的印象として“貧乏”になっていると実感する過酷な時代を迎えます。
これも、「世界最終戦争」に寄生者(米英支配層)が勝利できない大きな要因になります。

>(寄生的世界観の増殖)

> 寄生的世界観は、近代人多数の世界観そのものです。
> 昔はこういう世界観は少数派だったでしょう。  それは異人の世界観でした。
> しかし、こうした世界観は、ご指摘のように共同体内部に入り込み、既に破壊は目
>を覆わんばかりに進行しています。  
> こうした事態は、既にカルタゴ支配層遺民の働きや思惑を超えて全面化しつつあり
>ます。

> こうした事態を観察していると、どうも「レトロウイルス」の一種かなあという気
>がしてきます(これは独創的アイディアではありません)。
> この寄生虫は、パラサイトというよりも、「ウイルス」的な増殖形態を持っている
>ようです。  それも致死性の癌ウイルス(オンコウイルス)です。
> 近年の悪徳金融の跋扈を見ていると、癌の進行が感じられます。
> わりとこの考え方には魅力を覚えるんですが、いかがでしょう。  比喩にすぎな
>いのかもしれませんが。

宿主が寄生者的世界観をありがたがるという倒錯状況に陥っています。
寄生者は、それをいいことに、より苛烈で効率的な“養分”吸い上げシステムを世界化しようとしています。

「悪徳金融の跋扈」は所詮そのようなものですからそれほど気にしていないのですが、食品など産業分野での“企業不祥事”の跋扈を危機的なものだと考えています。

いいものを造って適正な価格で買ってもらうという姿勢から、利益を出すためなら詐欺でもなんでもやる、いいものを造って売るのではなく売れる仕掛けを用意すればいいんだという風潮の蔓延は、経済社会が広く寄生者の価値観に侵食されていることを物語っています。


>  (寄生的世界観によって人は得をしたのか)
>  一時的、局部的に得になることはあっても、長い目で見ると損をします。
> あなたの時代は得でも、子供は損をします。  後世のことが気にならない構え自
>体が、既に寄生者的世界観のように思います。  共同体では人はそういう考え方を
>できません。

過去(歴史)も忘れ去り、将来に残すツケも考えずに、刹那的金銭欲・物欲に走る人々を賛美する状況は悲劇を通り越して喜劇と呼べるものです。
寄生者は、枯れてしまった宿主を捨て去り、新しい宿主を探せばいいのですが、宿主は、残された残骸のなかで生存を維持するしかありません。

寄生者ではないのに、「小泉改革」や新自由主義の信奉者は、日本をそういう未来を向けて動かしています。

>   (寄生的世界観の起源)
> 古代文明における激烈な文明の相剋、人種間、民族間の激闘に起源があるように思
>います。
> この点はあっしらさんも少し書かれているようですが、まとまってお書きになって
>いるでしょうか?  もしあればご教示下さい。

まとまったものは大昔に書いたことがありますが、阿修羅サイトにはアップしていません。(文書ファイルもなくなっています(笑))

中東とユーラシア大陸は、激烈な文明の相剋・人種間民族間の激闘の歴史を背負っています。

簡単に書けば、遊牧民族と農耕民族のせめぎ合いの歴史です。

中東であれば、肥沃なメソポタミア地域と荒涼とした砂漠が近接しています。
中国も、農耕地域と遊牧地域が隣接しています。

遊牧民族は遊牧が順調であれば商人として農耕民族に接触しますが、牧草がなく生活が困難になれば、その生活形態特性を活かして略奪者として農耕民族に接触します。

田や畑をつくり耕している農耕民族は、もともと移動生活を営んでいる遊牧民族のように逃げるわけには生きません。少々殺されようが耐えるしかありません。
中国史は、ある意味、周辺の遊牧系民族との“折り合い”をどうやってつけるかという歴史です。そのために、中央集権国家制度を確立したり、遊牧系民族を儒教的価値観に取り込んで政治的支配者になるのを許容するなどを行っています。
中国のすごさは、寄生者になりかねない相手を逆に取り込んで国家社会の安寧を確保したことです。(近代になって英国からやってきた寄生者にはうまく対抗することはできませんでしたが)

中東も、イスラムという価値観で人種間民族間の激闘を収束させました。

中東から現在に連なる寄生者が生まれ出たのは、地中海という地理的条件があったからだと思っています。

遊牧民族と農耕民族のせめぎ合いや遊牧民族の略奪といっても、農耕民族を壊滅させてしまってはもとも子もありません。将来のことを考えれば、略奪にも限度があるということになります。

しかし、地中海という共同体間交易に好都合な条件があれば、今回はここ、次はあそこと徹底的な収奪を変えていくことができます。

遊牧民族の一部が地中海国際商人集団になったこと、そして、その活動拠点が崩壊したことが、寄生の世界化の始まりだと考えています。

>なお、もし可能でしたら、貴論考に関連して、(寄生性と日本および日本企業)
>(寄生性と日本国家) (カルタゴ史と日本) (次代の論理)について、順次お伺
>いしたいと思います。 今の事態を放置すると、我々の子孫は悲惨な目にあいそうに
>思われるんで、とりあえず現実の理解だけでもしておきたいからです(これは私の都
>合ですが)。  どうもありがとうございました。

新しいレスに期待しています。
よろしくお願いします。

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