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有効需要創出策が必要
投稿者 Ddog 日時 2002 年 11 月 21 日 00:43:19:


QUICKエコノミスト情報VOL.69大和総研アメリカ 副社長 岡野進氏02/11/20

【景況判断】現状(3ヵ月前比):やや改善 先行き(3ヵ月後):横ばい
GDP予測:02年度1.0%(0.0%) 03年度1.0%(0.4%)
【金 利】短期:横ばい TIBOR3ヵ月 0.08%
長期:横ばい 10年物新発国債1.00%
【円 相 場】横ばい120円/1ドル
【株 価】株高 日経平均9,500円
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年2月末)の予測値

1.景気見通し:「3兆円規模の有効需要創出策が必要」

11/13発表の7-9月期の実質GDPは前期比0.7%(年率3.0%)とまずまずの結果であった。中 身としてはプラスに寄与したのは民間消費と在庫投資である。民間消費は所得動向から みると、意外なほどに堅調であるが、消費性向の上昇は水準感でいえば90年代前半と比 較してみれば異常というほどではなく、目先反動減は予想されるものの来年にかけては 堅調な転換となる可能性も十分にある。在庫投資についても、7-9月期の寄与度はやや大 きすぎたきらいがあるが、その水準はまだ3兆円以上のマイナスであり、物価下落が加速 しなければマイナスの縮小によって成長率へのプラス寄与を続けるだろう。

民間設備投資は、前期比実質▲0.9%と減少し、名目では▲1.7%と5四半期連続の減少と なった。名目GDPに対する比率で見ると14.1%とほぼボトムに達した感があるが、10-12月 の機械受注見通し(船舶・電力除く民需)で▲6.5%となっており、今しばらく停滞が続くと 見ざるをえない。情報関連投資についても、4-6月期は前期比プラスとなったと推定する が、7-9月期は再び減少した模様である。

景気は全体的には減速局面にあり、「不況入り」となるかどうかはともかく、足元で調 整局面入りしている可能性が高い。ただし、牽引役だった輸出は過剰な水準ではなく、 大きな落ち込みはなさそうだ。加えて第三次産業は緩やかにモメンタムが上昇してきて おり、遅行指標ではあるものの下支え要因として期待できる。

しかし、早期に景気を立て直すためには、不良債権処理にともなうデフレ効果の相殺 として最低3兆円規模の有効需要を創出する政策的な対応が必要である。大胆な政策減税 (投資減税)プラス必要な公的投資の前倒しを行うべきであろう。こうした政策対応が行 われ、かつ、米国景気についても大きな失速が起きないという条件のもとであれば、景 気は来年半ばには持ち直し再加速局面入りすることが展望できるだろう。

2.金融環境:「縮小方向に転換したクレジットリスクプレミアム」

11/6、米国FOMCは0.5%のFF誘導水準の切り下げ(1.75%→1.25%)を決定した。公定歩合 も連動して下げられ0.75%となった。金利政策の変更は2001年12月11日以来である。事前 コンセンサスは0.25%のFF誘導水準切り下げであり、これは事前にほぼ市場に織り込まれ ていたが、利下げ幅が0.5%に拡大したことで市場にはポジティブ・サプライズとなった。

一方、ECB(ヨーロッパ中銀)、BOE(イングランド銀行)は、11/7は金利引下げに踏み切 らなかった。欧州も含めた協調利下げとならなかったことは、世界的な大幅金融緩和と いうシナリオにクギを刺すものになった。

しかしながら、金利格差からみればヨーロッパ通貨に対する更なるドル安の条件が生まれたわけで、事前にある程度織り込まれてい たとはいえ、為替相場の動向次第ではヨーロッパの利下げは早期に実施される可能性が高い。

とりわけドイツは景気の停滞感が増しており、総選挙(9/22)の結果、継続するこ ととなった赤緑連立政権は、ECBに対して利下げを求めている。

ユーロはすでにドルに対 するパリティーを回復したが、7/19の1.0146を超えて上昇が続くようであれば、ECBは強 い利下げ圧力を受けることになるだろう。

クリスマス商戦を控え、米国の利下げは心理的にはプラスであるが、需要創出という 面での実効性はそう大きいとはいえない。

しかし、マクロ政策の課題は「資産デフレ→真 性デフレ」の流れを食い止め、長期的な慢性的デフレへの道を阻止するという点であり、 NYダウが10,000ドル以上に戻る、あるいは不動産価格に再び上昇の動きがでてくるといった事態にでもならなければ、追加的な利下げがありうると想定しておくべきだろう。
この辺りは財政的な刺激策がどの程度の効果を発揮しうるかにもかかっている。

キーポイントは2つ。ひとつは期待インフレ率で、これを2%程度まで回復させることが できるかどうか。

もうひとつはクレジットリスクプレミアムの問題で、こちらは例えば1 0年国債とBaa格社債の格差で3%以内に押さえ込むことができるかどうか、この辺りが一 般的な景気動向以外に追加利下げをせざるを得なくなるかの試金石となるだろう。

米国の10年国債利回りとBaa格社債の利回り格差でクレジットリスクプレミアムの動向 を観察してみると、最近で格差がもっとも大きかったのは10/9の3.90%であった。

Baa格 は投資適格の最低ランクであるが、クレジットリスクプレミアムが4%近くまで上昇する ということは市場がそうした企業の今後10年程度の倒産確率をその程度にみているとい うことを意味する。

クレジットリスクプレミアムはどうやら低下方向に動き出したよう である。短期金利の低下はある程度(けっして大きくはないが)企業の金利負担を軽減す る方向となるわけで、今回の利下げが方向性転換の契機になった可能性が強い。

10年国債利回り−Baa事業債利回りでみて、現在(11/15)3.54%がさらに低下して0.53%(同時多発
テロ直後のピーク値)を下回る動きとなるかどうか、当面注目したい。

クレジットリスク プレミアムの低下は、底打ちしつつある民間設備投資が回復の方向となるシナリオに現 実味を与える。このことは一方で、これまで国債市場に集中してきた資金が、再び拡散 していくことにつながる。

予想以上の利下げを受けて米国債券市場は金利が下がる方向 に反応したが、今後の財政政策の出方次第では大きな反転(株高、債券安)が起きる可能 性を考慮すべき時期にきたと思われる。

3.注目点:「米イラク戦争は不可避か?」

ブッシュ政権は中間選挙での圧勝に自信を深め、イラク攻撃の準備をさらに加速させ ると予想される。原油価格はここもと安定してきているが、中東情勢の不安定化にとも なって再び上昇すれば、明らかに世界経済にとってマイナスに働こう。

イラクは国連決議を無条件で受け入れると表明した。額面どおりにとることはできな いが、イラクが報告を提出し、国連の査察が順調に行けば、ブッシュ政権としてはイラ ク攻撃を正当化する理由がなくなってくる。

イスラエルにおいては労働党が連立を離脱した結果、総選挙が1月28日に前倒しされる こととなった。

イスラエルがパレスチナ問題で更に強硬な姿勢を出してくると、再び混 乱が拡大しかねない。
こうした情勢の下で、ブッシュ政権がイラク攻撃を急ぐあまりアラブ穏健派諸国との良好な外交関係を壊してしまうような行動に出ると、世界経済にとっての大きなリスクに発展する可能性がある。

<岡野進氏略歴>
1956年生。80年東京大学教養学部基礎科学科卒、大和証券入社。本店第二営業部、株式 部、投資情報部、大和総研経済調査部長などを経て、2002年7月から現職。主な著書「株 価革命とエクイティ・ファイナンス」(東洋経済新報社)、「株価・金利・為替の読み方」(東洋 経済新報社、共著)など。東洋経済「統計月報『エコノミスト・コンセンサス』」などのコ メンテータ。エコノミスト人気調査ランキング19位(2002年3月25日付日経金融新聞)。

エコノミスト「"FRBの危機感" 回復シナリオ狂う」ニッセイ基礎研究
所・櫨氏
QUICKエコノミスト情報VOL.68ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 櫨浩
一氏02/11/13
【景況判断】現状(3ヵ月前比):やや改善 先行き(3ヵ月後):横這いGDP予測:02年度0.6%(0.0%) 03年度0.0%(0.4%)
【金 利】短期:横這い TIBOR3ヵ月 0.08%
長期:横這い 10年物新発国債0.99%
【円 相 場】やや円高117.5円/1ドル
【株 価】横這い 日経平均8,750円
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年2月末)の予測値

1.景気見通し:「危機感を示す0.5ポイントの米利下げ」11月6日、FOMCはFF金利誘導目標、公定歩合ともに0.5%引き下げ、それぞれ
1.25%、0.7
5%とすることを決定した。今回の利下げ実施そのものは市場では予想されていたとおりで意外感はないが、大方予想の0.25%ではなく0.5%の引き下げ幅となったことは意外で、FRBが現状について厳しい見方をしていることを意味している。この一方で、政策スタンスがこれまでの「景気配慮型」から「中立型」に戻された点では、FRBは市場に逆のメッセージを送ったことになる。つまり、市場の予想を上回る金利の引下げでFRBの危機感が伝えられる一方で、政策スタンスの変更は、FRBがこれで状況は多少なりとも改善する、と判断しているというメッセージとなるからだ。
なぜ、FRBはこのような一見矛盾するメッセージを市場に送ったのか。経済の現状に対するFRBの危機感と、金融政策の効果に対する不安の表われだと思う。前回9月の本稿(QZ 4071)でも紹介した、FRBの『デフレを回避する―90年代の日本からの教訓』は、金融政策で米国がバブルを乗り切れるということを保証しない。今回の市場の予想を上回る利下げ幅はFRBの危機感を示すもの、そして政策スタンスの変更は、企業マインドや消費者マインドの悪化が目立つ市場にこれ以上心理的なマイナス要因を与えたくない、という意図ではないだろうか。
米国経済の順調な回復というシナリオが狂い始めたことは、日本の景気回復が続くというシナリオにも重大な影響を与えている。今年初めからの景気の改善は、輸出の伸びによる鉱工業生産の急速な持ち直しという外需主導のものである。しかし、ここのところ輸出の伸びは鈍化し、鉱工業生産の増加速度も鈍化している。7-9月期の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前期比▲1.7%の減少となり4-6月期の7.1%増から鈍化が明らかだ。10-12月期の受注見通しも▲6.5%の減少で、輸出の伸びが設備投資の回復につながるというシナリオにも狂いが生じている。
2.金融環境:「政策が手詰まりになれば米はドル安へ」日銀は量的金融緩和の強化を行なったが、長期国債買いオペの規模は予想を下回った。今回の総合デフレ対策では、補正予算の議論が回避されており、いずれ年末になれば来年度予算と合わせて補正予算の議論が始まるだろう。ここでまた日銀に何かやれという要求が出てくるのは目に見えている。量的金融緩和の立場からは、日銀がどんなことをしようと、マネーサプライの伸びが現在の前年比3%程度の水準から目に見えて高まらない限り、緩和が不十分だということになるからだ。元々、日銀は長期国債買いオペの規模を拡大していくことの効果に懐疑的だった。それでもこれを続けて行くのは、政府のデフレ対策に歩調を合わせるというポーズに過ぎない。来年3月に総裁、副総裁の任期が迫っており、人事権を握られている日銀としては政府・与党の要求を真正面から拒むことはできない。今後も何度もカードを切らされるのが明らかなら、なるべく手の内のカ―ドを温存しようということだろう。
米国が今回0.5%の利下げを行なったことで、FFレートの誘導水準は1.25%、公定歩合は0.75%となった。減税や防衛費の増加に加えて税収が減少したことによって黒字だった財政収支が赤字化し、金利の低下余地も残りわずかとなってきたことで、米国の経済政策の余地が無くなってきているという声も聞こえ始めた。財政金融政策の余地が縮小してきたことは確かだが、ドルの下落余地が大きいことには注意が必要だ。日本国内では円安によるデフレ脱却が有望な政策と見られているように、米国でも手詰まりになればドルの下落に期待がかかるに違いない。ただでさえ大幅な経常収支の赤字を抱えるドルは、米国政府のスタンスの変化が明確になれば売られて大幅に下落するリスクが高い。米国経済にとっては外需の改善で経済が持ち直し、輸入物価の上昇はインフレにつながるという心配よりは、デフレの防止になるという利点の方が大きいだろう。ドルの下落は米国経済にとっては悪い話ではないが、日本経済にとっては大きなリスクである。
3.注目点:「引き返す勇気が必要になることも」総合デフレ対策で銀行の自己資本の強化について、税効果会計の見直し時期が明記されなかったことで、この件は先送りになったという見方がなされている。しかし、今後再びこの時期の議論が蒸し返されるのは必定だ。法改正が必要なわけではないので与党がどんなに反対しても、腹を括れば政府側の決断で実施できるという強みがある。
不良債権問題の処理が進まないことを懸念する声が大きいが、総合デフレ対策と銘打たれながらデフレの緩和策が弱い点の方が心配だ。不良債権処理は少なくとも短期的にはデフレ効果が大きいのは明らかだろう。金融政策にデフレ対応を期待しても、確実な効果は疑問である。財政赤字の拡大は望ましいことではないが、現在の経済状況ではデフレ圧力の緩和のためにはやむを得ない。補正予算と来年度予算とを合わせて年度末から来年度にかけての経済運営に万全を期すべきである。
10月30日に発表された日銀の「経済・物価の将来展望とリスク評価」では、政策委員の大勢見通しは今年度が、+0.2〜+0.5、来年度が+0.4〜+1.0と、次第に成長率が高まるというものだ。しかし、これは海外経済が緩やかに回復することを前提としたもので、米国経済の現状や欧州経済の鈍化の動きを見ると、下振れするリスクはかなり高いだろう。米国経済の緩やかな回復を前提に組み立てられている現在の経済政策の枠組みも再考せざるを得ない状況も起こり得る。97年は消費税率引上げ後アジアの通貨危機や金融不安が高まるなかで、状況の変化にも関らず財政構造改革路線を遮二無二突っ走ろうとして橋本内閣はつまずいた。万一、状況が大きく変わることがあれば、大胆かつ柔軟に政策の変更が行なわれることを期待するのみである。
<櫨浩一氏略歴>
1955年生。東京大学理学部卒、80年同大学院理学系研究科修士課程終了、ハワイ大学大学院経済学部修士課程修了。81年経済企画庁入庁、経済対策を担当する調整課の課長補佐を努めた後、92年ニッセイ基礎研究所入社、2000年から現職。主な著書・論文「日本の年金ハンドブック」(共著)、「金融マーケットと景気指標の基礎知識」など。東洋経済「統計月報『エコノミスト・コンセンサス』」、などのコメンテータ。

クイックより

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