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<TWP特報/スクープ>トヨタが銀行再編に参戦 UFJ・みずほ危機に揺れる企業群 [ウイークリーポストコム]
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 25 日 16:36:35:


(1) ダイエーより下がったUFJ、みずほの株安

 竹中大臣と自民党、銀行が不良債権処理のやり方をめぐって不毛な綱引きと対立を続けている間、そのはざまでUFJとみずほという2つのメガバンクの株価はつるべ落としの様を呈し、“額面割れ”に迫りつつある。
 市場関係者の間では、それを≪倒産株価≫ともいう。
 実際、UFJホールディングスの株価は11月19日にストップ安の8万9000円をつけ、一方のみずほホールディングス株も9万9700円まで売り込まれた。一見、まだ高そうだが、他の多くの上場企業のように1株額面50円で換算すると、UFJは89円、みずほは99円ということになる。両行が経営支援しているダイエー(116円)より低い。中間決算の基準日の9月末の株価と比べると、いずれもこの1か月半で3分の1に急落した。
 UFJ銀行頭取で全国銀行協会会長の寺西正司氏は、
「最近の株価下落は経営実態を反映しておらず、異常だ」
 ――と悲鳴をあげたが、もはや2つのメガバンクは小泉首相や竹中大臣の掲げる不良債権処理を進めるどころか、もはや≪市場からの退場=破綻≫寸前とまで見られているといっていい。
 世界最大の資金量を誇り、上場企業の7割と取引があるみずほと、傘下に多くの企業を抱えるUFJが、このまま進退極まればどうなるか。
 UFJとみずほがそれぞれメーンバンク、または主要取引銀行となっている各業種の代表的企業をまとめたが、ゼネコン、流通、商社や製鉄、電機などあらゆる業種の大企業に融資し、株を持ち合っていることがわかる。その他にも両行合わせて数十万社の中小企業の取引先がある。
 メガバンク危機の恐さは、そうした企業が資金ルートを絶たれるだけでなく、影響が下請けや納入業者などに広がり、たとえみずほやUFJと直接取引のない企業も連鎖倒産に追い込まれる事態が容易に想像できることだ。しかも、東京地盤のみずほと、関西と東海を基盤としたUFJの取引先は全国にまたがる。
 日本経済全体がクラッシュを起こすばかりか、それこそ世界恐慌に引きずり込むことにもつながりかねないほどの深刻さを秘めている。学者大臣の竹中氏が、“大銀行は潰す”“一時国有化すればいい”と軽々しく口にするほど簡単に乗り切れる事態ではない。
 業種別に見ていこう。
 みずほは飛島建設、ハザマ、長谷工コーポレーションなど経営再建が困難とみられている建設会社を多く抱え、まさにゼネコン危機に直撃されている。大型合併が続く鉄鋼業界の新日鉄とNKK、神戸製鋼という3社はいずれも同行がメーンバンクであり、3社合わせた負債額は軽く1000億円を超える。
 また、5860億円(01年度)の赤字を計上した日立製作所、同じく1571億円(01年度)の赤字を出した富士通ともにみずほ系であり、IT不況の影も重くのしかかっている。
 一方のUFJも厳しい。今年8月に債権放棄を行なった流通業界最大手で経営再建中のダイエーがあるのをはじめ、やはり経営不振の松坂屋のメーンバンクとして流通危機のあおりをまともに受けている。
 そればかりではない。商社危機にも直面している。業界で“負け組”といわれるトーメン、ニチメン、日商岩井はいずれもUFJグループだ。巨額の資金を動かし、何万社もの取引先を持つ商社の経営不安は日本経済クラッシュの震源地になりかねないとみられているだけに、UFJがそれらの商社をどこまで支えきれるか、1社でも行き詰まればメーンバンクともども深刻な事態に陥る危険性がある。
 さらにUFJは総会屋への利益供与事件で摘発された日本信販や、アプラスというノンバンク危機の火種も抱えている。2000億円の債権放棄をする藤和不動産、ミサワホーム、大京など不動産業界への融資も突出している。
 4大メガバンクの中でUFJの株価が最も急激に下がっているのは、多くの不況業種を抱えるマイナス面を反映しているのではないか。


(2) 奥田ショック

 トヨタの01年度の売上高は約15兆円、1兆1000億円もの経営利益をあげた。さらに今年9月期の中間決算は半年間の経営利益が7940億円という空前の好決算だった。押しも押されもせぬ日本一の優良企業であり、決算書によると、今年9月末の「現金及び現金同等物」の残高、つまり手元の余裕資金を1兆8934億円も持っている。
 現在の日本企業の中で、メガバンクを救済できるのは財務面から見てもおそらくこの会社しかないというのは金融界の一致した見方だ。それだけに、UFJ側が頼みの綱にしていることもうなずける。
 その意味では、銀行株急落の背景のひとつに、トヨタ会長で日本経団連会長を務める奥田碩氏の発言があったことは皮肉といえる。
 奥田氏は11月13日に英国のメディア5社と会見し、そのうち英紙『タイムズ』は、奥田氏が、「4大銀行のうち2行は脆弱だ」と語ったうえで、
<日本の4大銀行のうち少なくとも1行は来月にも国有化の可能性があると示唆した>
 ――と報じた(11月14日付)。
 それを受けて同日のUFJとみずほ株はストップ安をつけた。
 奥田氏はただちに会見を開き、「うちの会社は大株主だ。(国有化が)いいはずがない」と反論してタイムズ側に訂正を申し入れたが、「4大銀行のうち2つは脆弱」という発言をしたことは認めた。そもそも、みずほとUFJの危機は誰もが知るところであり、奥田氏が率直に語った通りである。経済活動全体に責任を負う立場だからこそ、日本のメガバンクへの不安を隠すのではなく、「ではどうすべきか」を堂々と論じるべきだという一石ではなかったか。


(3) 「一時国有化してトヨタへ」

 永田町や霞が関では奥田発言の意味が全く別の位相で受けとめられている。
≪竹中プラン≫にかかわっている自民党金融族幹部がこう語る。
「トヨタはUFJとは旧東海銀行以来のつき合いだが、いくら資金力があるとはいえ、これから何兆円もの不良債権処理を行なわなければならないUFJを丸ごと抱えるとなると大きな損失を覚悟する必要がある。経営判断としてそれはありえない。増資の引き受けにも消極的だろう。むしろトヨタとしては政府に早くメガバンクの処理を進めてほしいのが本音ではないか。例えば、UFJの自力再建が難しい場合、一時国有化して不良債権を切り離すのが竹中プランの骨格だ。そうして優良債権だけを引き継いだ新銀行は高い収益が見込めるから、その段階になればトヨタも投資することができる。奥田発言はメガバンク再編を早く決断してほしいというサインだと考えている」
 しかし、竹中氏が打ち出した金融再生プログラムによると、経営危機に陥って一時国有化など政府の特別支援の対象となった銀行は、不良債権部分の「再生勘定」と通常債権の「新勘定」とに分けて再建をはかる方針になっている。そうしたやり方が外国資本に邦銀を売却するための手法だと批判されているが、トヨタが新銀行を買い取って≪トヨタ銀行≫をつくり、日本の銀行再生に積極的に乗り出すのであれば事情は全く違ってくる。
 経済産業省幹部は、トヨタが銀行危機回避の≪救世主≫になると指摘する。
「UFJが不良債権を分離したらトヨタは買うでしょう。トヨタ本体は無借金でも、グループ企業や下請けメーカーは旧東海銀行→UFJへの依存度が大きい。UFJの破綻はトヨタの地盤である中京経済圏に大きな影響を与える。その面でもトヨタが前面に出て地域経済をバックアップする必要に迫られる。金融部門の強化をはかるという戦略とも一致する。トヨタとしては、地域経済やグループ企業への影響とコストなどを総合的に判断し、UFJを残したまま支援するのと、いったん一時国有化などの手続きを経てから買い取る方法のどちらを選択するかを慎重に検討している段階のようだが、いずれにしても、トヨタが乗り出せば市場の評価は一変し、メガバンク危機そのものが落ちつく可能性が高い」

(4) 『金融危機対応会議』を密かに準備

 首相官邸では、銀行株の暴落を受けてひそかに『金融危機対応会議』を開く準備が進められている。
 この会議は金融非常事態が発生した場合に招集され、小泉首相を議長に、メンバーは財務大臣、金融大臣、官房長官、金融庁長官、日銀総裁の6人だ。銀行の一時国有化を決定する場合に開かねばならないと定められているが、01年に設置されて以来、まだ一度も開かれてない。
 金融庁中枢筋が明かす。
「UFJとみずほに加え、りそなグループの株価も危険水準にある。株価がさらに下がれば、国民の間に信用不安が高まって取りつけなど不測の事態が起きることを想定し、その前に、金融危機対応会議を招集して一時国有化なり、公的資金投入で政府が全面支援するなり決めて、不安を鎮めなければならない。小泉首相と竹中大臣の間では万が一の時は一時国有化=破綻という断固たる措置を取ることで一致しているようだが、複数の大手銀行が同時に倒れることになれば収拾がつかず、危機が増幅される。一時国有化をするにしても1行が限度だ。現段階では大手行に一斉に公的資金を投入して支えた方がいい」
 小泉政権内部では、市場の大混乱に対してどんな方針をとるかも固まっていない。お粗末というより、それが最大の危機なのではないか。
 当のトヨタにぶつけた。広報部が答えた。
「UFJからはまだ正式に増資の要請はなく、経営の実態もわからないのが現状です。要請を受けてから検討することになる」
 ただし、UFJの買収やトヨタ銀行構想については、
「わが社はモノづくりの会社です。銀行業に乗り出すつもりはないという社の方針は変わらない」――と否定した。
 果たしてそうか。


(5) “トヨタ銀行”構想

 銀行業への進出に一貫して慎重な構えだったトヨタは最近になって大きく戦略を転換させた。子会社の千代田火災と大東京火災を合併して『あいおい損保』をつくり、保険部門を強化したのを皮切りに、00年にはグループの金融統括会社『トヨタファイナンシャルサービス』(TFS)を設立、金融事業に本格的に参入した。TFSの下に『トヨタFS証券』を設立して証券業務に進出し、『トヨタカード』によるクレジット事業も直営化している。
 同社の01年度決算では、そうした金融部門だけで686億円の営業利益をあげた。
 本体の自動車部門の戦略上も金融業務は重要になってきている。同社はカーナビやETC(自動料金収受システム)など車に搭載する情報通信システムを通じて、ユーザーが車に乗ったままインターネットなどを利用してモノや情報を購入できる『バリューチェーン』の構築を事業戦略の柱に位置づけており、その代金のやりとり、つまり決済機能を充実させるためにも銀行業務への本格進出を視野に入れているとみられているからだ。
 そこにトヨタがUFJを飲み込む形で≪トヨタ銀行≫にする経営戦略上の意味が出てくる。そして、「エース」トヨタの登場は、UFJ危機にとどまらず、銀行界全体の再編へとつながる。
 UFJの内部には、単に増資による支援だけではなく、トヨタをグループの再編に利用しようという思惑がある。
「当社には系列のUFJ信託(旧東洋信託銀行)を三井住友グループの中央三井信託と合併させて新会社をつくる構想がある。問題は両行が抱える不良債権の処理だが、そこでトヨタの協力を求める。トヨタはグループの巨大な資金運用を自前で行なうために信託銀行を持ちたいという希望があり、そもそも≪トヨタ銀行≫構想もそこから始まっている。トヨタに新たな信託銀行の大株主になってもらえば、互いにメリットがある」(UFJ幹部)
 それが実現すれば、4大メガバンク体制そのものが≪再再編≫を加速させるきっかけとなる。


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