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2002/12/13 海外市場動向:金価格、年初来高値更新! ☆☆(ジオポリティカル・リスク)[住友ゴールド]
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 16 日 15:27:58:


現地時間12月12日のNY市場で、金価格が330ドルを突破した。

このところレンジ取引ながら強含みに推移してきたが、現物価格でも331.10
ドル、前日比6.5ドル高と一気に年初来の高値を更新してきた。

背景とする材料は、盛りだくさんである。

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)が、その政策決定の場であるF
OMC(連邦公開市場委員会)に際してのコメントでも再三取り上げ、金融界で今
や流行り言葉のようになっているものに「ジオポリティカル・リスク(地政学的リ
スク)」がある。ジオポリティックス(地政学)とは、「政治的現象(政治的発
展)と地理的条件の関係を研究する学問」ということだが、正直言って、この説明
は難解である。ジオポリティカル・リスクとは、具体的には、米国のイラク攻撃あ
るいは緊張高まる気配の朝鮮半島をめぐる問題にからむリスクを指している。例え
ば、イラク攻撃により想定される原油価格上昇、中東の政治的安定の危機、米国の
個人消費への悪影響、そしてそれによる株価や為替の乱高下と経済への影響を指し
示す言葉として理解していいだろう。

こうしたジオポリティカル・リスクは、ますます高まる気配であり、それらは、い
ずれも金価格を刺激する材料となる。言うまでもなくそれらが株式や為替の乱高下
を引き起こす要素となるため、「資産の安全性」への関心が高まるためである。

今週相次ぎ発生した事件は、この点ですべて条件に適うものだった。

イラク攻撃にからみ国連による査察状況とイラクが提出した申告書の分析に耳目が
集まっている最中に起きた北朝鮮によるイエメンへのスカッドミサイル輸出の露
見、その後の北朝鮮政府の核施設の稼動と建設凍結の解除宣言(12日)、米ワシ
ントン・ポスト紙が報じたイラクによるアルカイダあるいはそのグループへの「神
経ガス(VXガス)」供与の可能性(12日)、クリスマスシーズンを標的とした
テロの可能性の高まり、などである。

まだある。OPEC(石油輸出国機構)が来年1月から実質日量150万バレル減
産合意(それでなくてもイラク攻撃の可能性の高まりから原油価格が神経質な値動
きをしているなかでの減産合意、12日)、米国の7−9月期経常赤字1270億
ドル(通年で史上最高更新となる赤字5000億ドル台乗せの可能性、ドル安要因
の高まり、12日)、先週から今週にかけて進んだ米国経済閣僚の入れ替え(スノ
ー新財務長官、フリードマン新大統領補佐官任命と経済、為替政策の先行きに対す
る様々な憶測、「強いドル」政策の行方)、ユナイッテッド航空など大型破綻の継
続、などである。いずれも先週から今週にかけて発生したが、とくに昨日12日に
集中した。それが金価格をして、過去3度トライして突破できなかった330ドル
の心理的な壁を打ち破らせたというわけだ。

実は、このところアナリストの間では、ドル建て金価格に関し強気の向きが増えて
いた。

ただしそれは、もっぱらテクニカル分析上から導かれた結論だった。先に、このと
ころの金価格はレンジ取引を続けてきたとしたが、それは言葉を替えれば“目立っ
た値動きがない”あるいは “値動きが乏しい”という意味でもある。価格の上では
相当に“煮詰まった”展開となっていた。以前取り上げたことがあるが、株式でも
為替でも相場というものは、値動きが乏しくなり、価格がある点に収斂(しゅうれ
ん)されると、その後の展開は、上げるにしろ下げるにしろ値動きが荒くなる修正
があるとされている(いわゆる経験則)。そして一般的にその上限値また下限値の
突破をもって、当面の価格の方向性が示されるとされる。その形から、いわゆる三
角保合い(もちあい)とかフラッグ(三角旗)とか呼ばれるが、価格が、そこを
“放れる(なはれる)”という意味でそれぞれ「上放れ」「下放れ」と表現され
る。

話を戻すと、ドル建て価格がまさに三角保合いを放れようとしており、その基準価
格が325ドル台にあったのだが、それ上回ったのが、先週末のことだった。この
時点で、ドル建て価格は、テクニカル分析上、長い膠着状態を上に抜け出したとの
判断が成り立ったわけだ。昨日の値動きは、それがついに330ドル突破につなが
ったために、空売り筋の損失確定の買戻しや、新規買いの増加なども入り、さらに
派手な値動きにつながったのである。

この先は、もちろん利益確定の売り物なども増えるため、一本調子の値上がりは難
しいが、この動きが収まって分かるのは、結局また価格レンジが一段階上がった、
ということになるのではないだろうか。

金市場が活況を呈するのはいいのだが、それが世界の不安定さの表れでもあること
を思うと、なんとも複雑な心境である。 (12月13日記)


金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資にあたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。

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