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米経済コラム:世界の年金危機が証券市場を変える [ブルームバーグ]
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 20 日 17:45:33:


ロンドン 12月18日(ブルームバーグ):英政府は17日、家計が苦しい高齢者の増加に対処するため、年金商品と課税を簡素化する年金制度改革案を発表した。政府のこの勇断が将来、非難されることはないだろう。高齢者の貧困化傾向に変化がない限り、必要不可欠な措置だと専門家はみている。

  英国の年金危機には恐い数字がある。英国保険協会によると、年金受給者の現在の生活水準を維持するには、年間270億ポンド(約5兆2200億円)余りが必要だという。年金協会によると、最終給与に基づいて年金を給付している企業年金基金の約3割が、2000年以降に新規加入を停止している。

  年金危機は英国だけに限った話ではない。米国では株価がピークを付けた 2000年3月以降、株式投資で損失を被った年配の投資家の5人に1人が引退を延期している(ロビイスト団体AARP調べ)。

             30年ぶりの危機

  世界的にみても年金基金は過去30年間で最悪の危機に直面していることが、コンサルティング会社ワトソン・ワイアットによる1900の年金基金(総資産4880 億ドル)を対象に実施した調査で報告された。運用利回りが急低下し、平均寿命が延びているため、多くの年金基金が年金給付責任の達成に苦戦することになりそうだ。

  年金危機で明白な点は、老後のための貯蓄や勤労の形態に変化が生じ始めていることだ。引退年齢が70―75歳になれば、雇用主は高齢労働者に対する偏見を捨て、政府も70歳以上の労働者の所得税廃止などを打ち出して高齢者雇用を促進するかもしれない。裕福な工業国なら、こうした人口統計上の問題の解決を海外に求めることもできよう。欧州連合(EU)が東方に拡大し、欧州大陸の労働市場の自由化が進展すれば、英国やフランスの年金制度は、ポーランドやチェコから移住した若者の納税によって一部賄われるだろう。
              変わりゆく証券市場

  一方、年金危機であまり知られていない点は、危機が証券市場を変化させる可能性が高いことだ。年金基金は長年にわたり証券市場最大の資金源の一つだった。金融機関は数年来、年金を積み立てる人が増えれば、資産運用サービスは人口統計的にみて成長業種だと主張してきたが、そうでなくなることもあり得る。勤労者のかなりの部分が積み立ての余裕がないなどの理由で加入しなくなれば、証券市場に流れる年金資金も縮小しかねない。年金基金は企業の年金基金が主体だったが、ここにきて企業年金の解散が相次ぎ、それに代わって個人が自己責任で年金資金を運用する形態が普及しつつある。

  英国では年金資金の多くが不動産市場に向かい、欧米の貯蓄家は株式を見限って債券市場に資金をシフトさせている。このため、伝統的なファンドマネジャーの影が薄くなり、新種の金融専門家のチャンスが拡大している。ヘッジファンドが成長しているのも、運用収益を上げたい資産家による投資が一因だ。かつては年金基金が市場を支配しているとよく言われたものだが、今ではヘッジファンドが影響力を広げつつある。

  従来型の投資信託会社が大げさに宣伝していたような株式文化が実現しなくなった今、欧州企業は新株の発行を従来の株式投信向けではなくヘッジファンド向けに調整している。こうした傾向が続けば、投資資金は証券市場から流出するだろう。証券業界では、特定層だけに的を絞った新種のファンドマネジャーが頭角を現してくるとみられる。

  第2次大戦以降、年金基金の力は強くなっているという前提で年金は運用されてきた。だが、ファンドマネジャーや金融専門家はもう一度この前提を見直してみるのが賢明だ。年金加入者と同様、伝統的な年金ファンドマネジャーも、年金危機の犠牲者になり果てる恐れがあるのだから。(マシュー・リン)

(リン氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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