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悲観の中で生まれた相場が懐疑の中で育つ」☆☆ 金価格が上げ足を速めた。 [住友ゴールド]
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 20 日 18:05:36:


昨19日の東京、香港、シドニー、シンガポールという、いわゆる“アジアの時間
帯”の取引は、チューリッヒ、ロンドン、NYというそれまでの欧米市場の堅調地
合を引き継いで始まり、そして間もなく値動きは加速した。結局、日本時間の午
後、現物価格で355ドル台まで買い進まれることとなった。その後、再び取引を
開始したロンドンでは、逆に利益確定の売りに押され345ドル台での取引となっ
た。取引時間中の価格も含めると1日の値幅が10ドル以上という荒れた展開であ
る。

余談だが、このように国際商品である金の取引は、時差を追って24時間どこかで
取引が行われる。為替などと同じように必ずしも取引所だけで取引が行われている
わけではないからだ。例えば、海外のある銀行が買いの引き合いを出し、どこかの
銀行が売りで応えれば、それで取引は成立する(目には見えないけれど通信回線や
電話回線を使ったお互いに取引相手がわかる“確たる”市場が存在するのであ
る)。そして現物取引であれば、多くはロンドンにある金取引専用の口座で決済さ
れる。

話を取引の流れに戻すと、NYに入り、活発に取引される先物市場の方では、売り
買い交錯するなかで、中心となっている取引(03年2月もの)は、高値で35
5.7ドルと97年3月以来の水準を記録した。その後、やはり利益確定の売りに
押され、前日比3.8ドル高の346.50ドルで取引を終えている。結局、7連
騰、合計で22.3ドル、約7%の上昇となった。「7連騰」ということならば今
年の5月もあったのだが、上昇幅、率では99年9月の「ワシントン協定」発表直
後の値動き以来のことである。

この日のNY市場は、前日明らかになった住宅ローン会社や生損保を傘下に持つ金
融サービス大手「コンセコ」の破たんやイラク関連で米国政府が大量破壊兵器に関
するイラクの申告書につき「欠陥がある」と表明し、それに英仏中ロも同意の方向
と伝えられたことが刺激材料となった。特にイラク問題については開戦に一歩進ん
だイメージが、買いに弾みをつけた。この日、NY株式市場は薄商いのなか続落、
債券市場は逆に買いを集め、取引の指標となっている10年国債の価格は上昇して
終わっている(利回りは下落し4%割れ)。いわゆる、「質への逃避(Flight to
  Quality)」が起きているのだ。

金市場については、前回配信号で触れたように、急上昇の大きなエネルギーは「売
り方」の買戻しだった。それも昨日のアジア市場そして昨晩のNY市場の状況をみ
ていると、ほとんどパニック的な買戻しがあったと見られる。当然、「実需」と呼
ばれる宝飾や産業関係の買いは手控えられ、いわば“霧が晴れる”のを待っている
状態である。早い話が、いまの金市場は投資マネーあるいは投機マネーが、がっぷ
り四つに組んだ形となっている。パニック的な買戻しの方は、一巡したものと思わ
れるため、目先は利益確定の売りをどうこなすのかが焦点となる。


今回の上昇については、結果論として言うわけではないし、手前味噌になるが、い
くつかある想定のひとつだった。何度か書かせていただいたように、ここまでの金
市場は、上げ下げを繰り返しながらも一貫して下値切り上げ型できた。別の表現を
すると、この数日間のように“噴く”場面がなかった。ある面で“古典的な”上昇
相場を演じてきたわけだ。それで、今年に入ってからの価格展開を見ていていつも
思っていたのは、「金価格はいつ噴くのだろう」ということだった。端的には、
「どこかで噴かねば終わらない相場ではないか」と。

もちろん、“噴く”といっても火山に例えれば小噴火も大噴火もあるわけで、いま
足元で起きている動きをもってすぐに結論付けることは出来ない(それに当欄は価
格予想を目的としていない)。つまり、もう少し様子を見る必要がある。その中で
あえて個人的イメージを書かせていただくと、(変動相場商品への投資経験の浅い
方には少し分かり難い表現かもしれないが)いまの相場は“若い”ということであ
る。長いあいだ続いてきた下落トレンドは、今や多くが認め始めているように終わ
り、新たなトレンドが始まってまだ間もないというイメージである。この相場が時
間をかけて育つのかどうか。

筆者も含め、毎日の値動きを見ていると、とかくファンドの動きやら何やらと目先
の現象の変化を追いかけがちであるが、視点を大きく引いてみると、いまの金市場
の状況は、世界経済とか国際情勢という、(従来にない)大きな流れの変化を映し
たものと思われるのである。したがって、足元の波乱は、大きなうねりのなかで発
せられた、ひとつのシグナル(世界の変化を示す)のような出来事のように思える
のである。筆者の好きな格言(?)の一節に「悲観のなかで生まれた相場が、懐疑
のなかで育つ(ジョン・テンプルトン)」というものがあるのだが、いまの金市場
を見ていてそれが頭に浮かぶのである。つまり、この相場はまだまだ育つと見てい
るのだが、果たしてどうか。
(12月20日記)


金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資にあたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。

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