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2003年デフレは深刻化する。 きったレポート12/24号
投稿者 Ddog 日時 2002 年 12 月 26 日 00:13:26:

内外政治経済・短期金融市場の動向 きった週間リポート12月24日号

●来年の日本経済は超緊縮予算の中で不良債権処理が加速するため、構造改革のステップの第三段階にあたり、企業と個人が一番痛みを受ける時期となる。痛みを避けて通れない年となろう●

2002年の日本経済は年初の回復祈願も空しく、デフレが一段と深化して暮れようとしている。

街角では「景気の回復祈願は返上じゃ」という祈り疲れの声も高まっている。小泉首相が昨年初めに提唱した構造改革は、改革の始まりから終わりまでを四段階のステップに分けることができる。改革は誰もが賛成する第一段階に始まり、達成の喜びを分かち合える改革完成の第四段階までの内容から成り立っている。

その中で問題なのは、改革の第三段階である。それはバブル崩壊による不良債権処理の加速があらゆる部門で進展して、一番「痛み」が大きくなる時期である。

第一段階で改革に賛成していた人達も、第三段階ではその痛みが自分達にも火の粉となって襲いかかってくるために改革賛成から離れ、また改革反対派の抵抗勢力が強まってくる。バブル崩壊後の不良債権処理の加速が進展するにつれて、痛みはますます強まっていく。しかし、この第三段階を乗り越えない限り、第四段階の改革完了には到達できない。

日本は失われた10年間に改革を進展させず、財政支出の拡大という麻酔薬で対応してきた結果、財政赤字の拡大→不良債権の増大というデフレ経済進展を許してしまった。

19世紀後半から20世紀初頭、栄華な繁栄をしたアルゼンチンが100年後国家破綻したのは、抜本的な構造改革をせず麻 酔薬に頼ってしまった結果である。日本もこうした結果になりかねない環境となってきた。過去10年間の長い失政によって日本のデフレは一段と進展しているため、抜本的な改革、即ち不良債権処理を加速させると日本経済は瀕死の渕に追いやられることになる。

構造改革を実現するために、母体を死なせてしまっては意味がない。日本の構造改革は現在、第三段階の一番痛みの強いところにきている。小泉主治医がいかに痛みを和らげながら手術ができるかによって改革の成功度は違ってくる。それを小泉首相ができるかどうかである。

日本経済の現状を眺めてみると、輸出の鈍化で生産の増勢にブレーキがかかり、景気鈍化の兆候が強まってきた。2002年、ほぼ横ばいで推移してきた卸売物価は下落し、消費者物価も季節調整済み指数でみると下落基調が続いている。

来年、デフレは5年目に入る可能性が高まってきた。頼みの減税は2兆円弱で依然として大幅な需給ギャップが残り、財政デフレにストック、フロー両面にわたるデフレ圧力が来年は再び強まりそうである。

政府は2002年の初めに日本経済の中期展望として「改革と展望」をまとめたが、その中で3年度までのデフレ脱却と4年度からの飛躍の10年というバラ色の楽観的見通しを提示した。しかし、政府はここにきて3年度中としてきたデフレ克服目標が約2年延期される可能性を示唆した。
最近の景気の実態をみれば当たり前のことであり、それでもまだ楽観的と言わざるを得ない。

このところの輸出鈍化と生産減少による景気回復ペースの鈍化に加え、これに不良債権処理加速が景気下押し圧力となってデフレを強める恐れが高まってきたことを考えると、今後、企業とか個人が受ける痛みは最高潮に達すると覚悟せねばならない。

鉱工業生産指数は4〜6月期3.8%プラス、7〜9月期2.2%プラスの高い伸びであったが、10〜12月期は1.2%プラスと落ち込みそうで、鉱工業生産の回復はほぼピークに達したようだ。また、10月の失業率は5.5%に上昇し、失業者は362万人と過去最高の2001年12月の371万人とほぼ並んだ。小泉政権は「向こう2年間に50兆円規模の不良債権が処理される」と言っているので、来年には失業率は7%台へ上昇しよう。

今年の年末ボーナスは過去最低の伸び率となったことから、将来への不安から消費が減少してデフレ圧力が一段と高まることになろう。先行き景気を占う上で重要な指数となる機械受注は、10月の同指数が船舶、電力を除く民需で前月比4.1%マイナスと明らかに弱含みに転じつつある。

不況下の超緊縮財政政策に限定的な減税、そして不良債権処理加速の竹中路線が加わり、さらにその後に待ち構える増税などを考えると、消費センチメントの回復などはもはや幻想にすぎないと考えられる。

来年の日本の景気減速はもはや既定路線となりつつあるようだ。来年度予算案は地方交付税、公共事業費削減など緊縮路線を強化して、長期金利の低位安定、国債本位制の維持を優先する姿勢が強く伺える内容となっている。

先週後半、日経平均株価は一時バブル崩壊後の終値最安値である11月14日の8,303円39銭を下回り、8,200円台まで下落する場面があるなど、崩壊後の最安値をうかがう動きが強まっている。

上場企業の2003年3月期は連結経常利益が前期比7割増になる見通しで、業績だけをみれば株価はもっと高くなってもよさそうであるが、実際には数字ほどの回復感はなく、業績で株式を買う動きは乏しい状態である。来年2〜3月に日経平均株価は7,000円台後半のバブル後の最安値となろう。

今後、銀行の不良債権処理に伴い経営不振企業の淘汰が進むとなれば、企業間では全体的に生き残り競争が強まってくる。不良債権処理の加速によって、市場による企業のふるい分けは一段と進行し、企業は厳しいデフレ下で生き残り競争に勝ち抜くための胸突き八丁を迎えることになる。

以上のように、日本経済の来年の動きをみてみると、循環型景気回復のピークアウト、不良債権処理の加速、大幅な需給ギャップにデフレ深化など、経済原則に懸念が強まりそうな年になりそうである。


●来年、米国は大型減税で景気回復をねらっている。1月イラク開戦は避けて通れない。開となれば1ドル=110円程度も。戦争が短期であれば年央以降、景気急回復●

このような日本経済の動きに対して、来年の米国経済はどうなるであろうか。本年1年を振り返ってみても、デフレが地球規模に拡散する兆しが明確になっている。デフレの最初の被害者は日本であった。そして、すぐ後をドイツが追い、米国も転落の瀬戸際に立った。

今やデフレについて日本国民は、一旦デフレが支配的になると流れを変えるのは難しいということを、ここ一年間で嫌というほど痛感した。日本の二の舞とならないために、米国はこのところの経済政策では需要の刺激策に専念している。

米国経済は景気後退に逆戻りする寸前のところでどうやら踏みとどまったようである。

第二・四半期の実質GDP成長率は、1.3%とかろうじてプラス成長となり、第四・四半期も1.0%ほどの拡大が見込まれ、二番底懸念はぎりぎりのところで回避されたようである。

米国は 、先般の新経済チームの発足で減税の大型化など経済テコ入れを強化した。ブッシュ政権の優先政策をテロ戦争から国内経済の回復へと軸足を移したことで、イラク開戦による地政学的リスクはまだ残るものの、米国景気に二番底形成の可能性はなくなったようである。

ブッシュ大統領の今回の非情とも思われる経済閣僚の更迭は、2年後の大統領本選を睨んだ決断である。そうした断固たる決意の根底には、父親のブッシュ元大統領が湾岸戦争に勝ちながら失業対策という経済政策に失敗して92年の大統領選に敗れ、再選を果たせなかった苦い教訓があり、父親の轍だけは踏みたくないとの思いがあった。

新年早々、経済チームは2004年の大統領選でのブッシュ再選を睨み、減税を柱とした新経済政策を発表する。新対策の柱は、個人投資家対象の配当課税の軽減、設備投資の加速度償却、4年度導入予定の低中所得者層対象の所得税率引き下げ前倒しなど、減税パッケージが中心となっている。

これら対応策は、2002年11月の中間選挙で共和党が上下両院とも議席の過半数を占めたことから、全議案とも両議会を通過して早急に実施される見通しである。今回の減税パッケージでは株価押し上げの推進力が期待されるもので、もしイラク開戦が回避されれば、米景気は2〜3月以降、急速に回復するであろう。

しかし、不幸にしてイラク開戦となっても、短期間で戦争が終れば、一応当面のテロ戦争は決着したとして米国景気は年央には大幅に拡大していこう。

日本経済は超緊縮予算によるデフレの進展、片や米国は大型減税で経済テコ入れとなるため、来年は日米の経済格差が大きく拡大するであろうから、大幅なドル高・円安の発生が予想されよう。

「強いドル」の信奉者であった米経済担当2閣僚が更迭されたことから、一時ドルが売られ「強いドル政策」の去就が注目された。しかし、新補佐官に就任したフリードマン氏はどちらかと言えば、株式の安定を優先する上でウォール街の利益を代弁しつつ、これまでの強いドル政策を維持する政策を続ける人物である。

それに米国は現状、減税の増額、財政支出の拡大などで国債の増発が不可避となり、長期金利の安定には外国マネーへの依存度は高まる。一方には、未曾有の額に達した経常収支の赤字の累積問題を抱え、これも外国マネーなしには経済運営ができない状況にある。とても安易に産業界の言い分に沿ってドル高政策を放棄することはできない。

以上の点を考えても、12月のドル安・円高騒ぎは投機筋による思惑的な動きとしか考えられず、来春3〜4月頃からドルに大きな反動高場面が訪れる可能性も高い。現状のドル安・円高は、イラク、北朝鮮などの国際情勢を反映したものである。これもイラク開戦となれば悪材料出尽くしとなって、ドル高に変化していこう。

為替市場のドル安の動きを憂慮した米政府は、大統領報道官を通して「米国の為替政策は変わらない。強いドルを支持している」との声明文を発表した。米国のドル高政策は不変のようである。
現状、イラク開戦は避けて通れない状況にある。米大統領は来年1月の全ての国際会議への出席予定をキャンセルした。以前、当レポートで1月17日頃が開戦のXデーになるであろうと指摘したが、どうもそのあたりが米国の開戦準備がすべて整う時期のようである。

開戦となれば、ドルは115円割れまで一旦売られるであろう。110〜115円程度がドルの最安値と考えられ、ドル投資のタイミングになるであろう。イラク戦が短期間で決着すれば、3〜4月頃130〜135円、夏には140〜150円になるものと考えられる。

●来年3月、速水日銀総裁の退任に合わせて、小泉政権は日本経済再生の手段として日銀の非伝統的な金融政策「インフレ目標策」を目玉にしよう●

来年の日米の経済格差は、はっきりと米国優位の姿が浮き彫りとなってきたことは上記の日米経済比較でお分かり頂けたと思う。しかし、経済は何といっても生きものである。ましてや、イラク戦争という地政学的リスクを抱えていれば、予想通りの景気回復は見込めない。

米国政府が減税の増額など財政支出の拡大、ゼロ金利を視野に入れたさらなる利下げによるデフレ対応、規制の撤廃など然るべきデフレ対策を打ち出して経済のテコ入れを図っても景気が回復しないならば(こうしたケースはまずないと思うが)、最後の手段としてドル安容認は考えられる。

こうしたケースに対処して、日本は前もって実効ある円安誘導策に踏み込んでおかなければならない。要するに、円安のノリシロ分を確保しておくことが必要である。このような時こそ日本としては世界経済の盟主である米国の同盟国として、米国の経常赤字ファイナンスの危機的状態を側面から支援しなければならない。

最近、日本では政府高官を中心に円安誘導論を唱える人達が多くなってきている。この人達の円安論は、日本のデフレに対して強い危機感をもっての円安志向論が中心となっている。

先般、塩川財務相が日経新聞への寄稿で、最近の円相場を「行き過ぎた円安」と発言して話題を呼んでいる。財務相は購買力平価を例示して、OECDの分析で2001年には購買力平価は150円程度なので、最近の円高1ドル=120円は現状30円程度の格差が生じているとして、為替相場に対し本格的な円売り・ドル買いの市場介入も辞さないとの発言をしている。

財務相が為替へのこだわりをみせる背景には、デフレへの危機感と政策面での対応の手詰まりがあると考えられる。こうした日本政府の意図する円安志向が、国際的な理解を得られるかどうか非常に難しいところである。

国際的に理解を得られるのは、日本が適切な経済政策パッケージを取り、成長を回復する過程で円安に振れたときではないか。日本発の現状の円安誘導論は、貿易相手国に日本の財政・金融の手段が手詰まりなので円安誘導するという風にとられがちである。そのような印象を貿易相手国に与えることは禁物である。

「日本経済の力強い復活は貿易相手国にとっても良い結果を生み、しかも円安は一時的な現象である」と説明しての円安誘導論でないと国際的な理解は得られない。日本の政治家は、自国のことのみを考えての発言でなく、円安によってどのような国際的な流れが発生するかも考慮して発言した上で円安を誘導していくことが重要ではなかろうか。

日本で最近、円安誘導論が俄かに起こってきた背景には、デフレへの強い危機感がある一方で、かたくなにインフレ目標策の導入とか、外債の購入など非伝統的な金融政策に反対してきた速水日銀総裁が来年3月19日で5年の任期を終えることもある。これが円安誘導論などの金融緩和策に大きな影響を与え、非伝統的な金融政策議論を高める結果につながっている。

小泉首相は速水総裁の後任人事について「デフレ退治に積極的な人がいい。できることなら民間人がいい」とし、塩川財務相、竹中経済財政・金融相も「国際性、デフレ克服、金融システムの体質強化のできる人で、現在民間にいる人」という条件をあげている。

次の金融界の焦点は、来年度の先行減税や予算案が固まり、当面、財政面では追加手段を取りにくい状況となっていることから、日銀の総裁人事とその政策の行方に絞られてきた。インフレ目標や円安誘導による景気浮揚策は、従来から日銀内では伝統的に発言御法度の風潮が強かった。

しかし、今まで日本経済が経験したことのない強いデフレスパイラル化が進む中で、伝統的な金融政策ではデフレに歯止めがかからなくなってきた。次期日銀総裁の候補には、民間企業代表のN氏が急浮上してきた。N氏は現在、量的緩和の強力な推進者であると共に、早くからインフレ目標についても前向きに検討すべきだと主張していた人物であり、政財界から期待が高まり始めている。

小泉首相の右腕的存在である竹中金融相も、すでに幾度となく日銀に対してインフレ目標の導入を申し込んでいる。黒田財務官もインフレ・ターゲッティングなど非伝統的手段への日銀の踏み込みを主張した。また、日本経団連の奥田会長も物価目標という概念について検討の余地ありと前向きの発言をしている。来春は日銀の金融政策が大きな話題となりそうである。

日経平均株価はすでにバブル後の最安値を先日更新し、10年物国債利回りは1%を割り、来年3月頃には0.7〜0.8%に低下しそうだ。また、円相場は120円程度で膠着状態となっている。こうした状況は、先般の政府の財政面による景気対策ではとても改善させることはできない。

米国は財政赤字の拡大を意識しながらも、あえて来春早々にはインフレ的経済対策である大幅な減税に踏み切ることを決意した。日本では、小泉首相は金融政策でデフレ脱出の機会を得ようとしている。

それも速水日銀総裁が任期満了となる3月に、インフレ目標論を小泉政権の経済政策再生のシナリオとして採用していきそうだ。インフレ目標といっても単に目標設定が重要なのではなく、その達成手段の選択方法が重要となってくる。そのためには、国債買い入れ額上限の撤廃、外債の購入などの非伝統的な金融政策を推進していかなければならないであろう。

日銀は17日の金融政策決定会合で企業の資金繰り支援策を決めたが、企業金融の回復の決定打とはならないであろう。このところ、金融緩和の目安になる日銀の金融市場への資金供給残高(マネタリーベース)の伸びが鈍っている。4月時点では平残ベースで前年同月比36.3%増だったが、11月には同21.8%増となり、来年3〜4月には1ケタ台の伸びに落ちる可能性が高まった。

先般の会合では、長期国債買い入れ(現行、月1兆2,000億円)を2兆円に増やす案も話題となったようだ。来春には国債買い入れ額の上限撤廃も含めて議論が本格化しそうだ。いずれにせよ、来春は金融政策が大きく変わる可能性が高まってきた。

●皆様、良いお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願い致します●

月日の経つのは早いもので、今年も今週号で終わりとなりました。一年間のご
愛読、感謝致します。来年もがんばりますので、よろしくお願い致します。どう
ぞ、良いお年をお迎え下さい。(終)
(東短リサーチ 特別顧問 橘 田 昭次記 )

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すいません、転載するのは卑劣な行為だと思いますが、これほど秀逸なレポートは無いと思います。
匿名をいいことに来年も罪悪感を感じつつ・・・・・

まともなレポートを読んでもらうことで、この板では、無知な悲観論極論に脅え動揺するする記事が少なくなったかなー?

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