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「"市場に3基調顕在化"本格調整局面か」みずほ総研・眞壁氏
投稿者 Ddog 日時 2003 年 1 月 23 日 00:25:53:

(回答先: 「円高の痛み 投稿者 Ddog 日時 2003 年 1 月 23 日 00:22:44)

QUICKエコノミスト情報VOL.80みずほ総合研究所 主席研究員 眞壁昭夫氏
03/01/15

【景況判断】現状(3ヵ月前比):やや悪い 先行き(3ヵ月後):やや悪い
GDP予測:02年度0.8%(0.6%) 03年度0.2%(0.1%)
【金 利】短期:横這いTIBOR3ヵ月 0.10%

長期:低下 10年物新発国債0.90%

【円 相 場】緩やかなドル安の進行117円/1ドル
【株 価】株安 日経平均8,500円
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年4月末)の予測値

1.景気見通し:「明るい構図が描き難い世界経済の先行き」

ベルリンの壁が崩壊し冷戦構造が終焉を迎えた90年以降、世界経済のパラダイムは大 きく変わっている。そのパラダイム転換を要約すると、二つの言葉で表現できるだろう 。一つは経済のグローバリゼーションだ。政治制度の対立が消滅するに伴って、旧共産 圏諸国が世界経済の枠組みに参入した。中国や東欧のように安価で優秀な労働力を擁す る諸国が、何の不自由もなく、廉価な製品を世界市場に供給することが出来るようにな った。もう一つは、インフレからデフレ傾向への転換だ。冷戦の終結で、第2次世界大戦 以降続いてきた、需要が供給を上回る状況が変わった。軍需物資生産の必要性は減り、 旧共産圏の生産能力が加わったことが大きな要因だ。
このパラダイム転換によって、90年代初頭以降、世界経済の様相は変わるべきだった のかもしれない。しかし、90年代中盤からのITバブルによって、日本を除く欧米諸国で は、パラダイム転換の発現が遅れた。ITバブルの発生で、株式市場が活況を呈し、期待 収益率の上昇で資産価格も上昇した。高い成長は構造的な問題を覆い隠したのである。
ところが、最近、世界的にグローバリゼーションとデフレ傾向が、少しずつ、日本以 外の国でも顕在化している。要素価格均等化定理に基づき賃金水準は頭打ち傾向になり 、名目ベースの株価は不安定な展開が続いている。株価の低迷等によって企業や家計が 、今後、バランスシート調整を余儀なくされる可能性が高まった。米国の家計部門は、 住宅価格の上昇で、何とか高い消費水準を維持してきた。しかし、その住宅価格にも伸 び悩みの徴候が見られ、過去2年間に増加させてきた借入金の負担が重荷になり始めてい る。クリスマス商戦の不振を見ると、個人消費の先行きにも黄色信号が灯り出した。欧 州でもドイツを中心に、急激な株価下落と大規模な水害の保険金支払い負担で金融機関 の経営に懸念が出ている。
世界経済がパラダイム転換を追いかけて、本格的な調整局面に入るのは、むしろ、こ れからと考えるべきだろう。米国のブッシュ政権が、2004年の大統領選挙を目指して、 積極的な減税を行なうなど、景気にプラスの要因はあるものの、中期的な世界経済の先 行きには、明るい構図が描きにくい。

2.金融環境:「デフレ傾向定着に伴う、株価の伸び悩み、債券上昇余地の拡大」 世界的なデフレ傾向は、今後も、簡単には脱却できないと見る。それは、デフレ傾向 が世界経済のパラダイム転換に起因しているからだ。デフレ傾向が続くと考えると、日 本の金融市場では三つの基調が顕在化するだろう。一つは、短期金利の低位安定だ。速 水日銀総裁は、安定的に消費者物価がゼロ近辺になるまで、ゼロ金利政策を続けると明 言している。当分、ゼロ金利政策の変更はない。短期金利上昇余地は限られる。

二つ目は、残存期間の長めの債券価格の上昇圧力が増すことだ。もともと、債券価格 の理論値は、経済成長率と期待インフレ率を合算した数字に、リスクプレミアムを足し 上げた水準になる。今後、デフレ傾向が続くとなれば、期待インフレ率が低下すること に加え、債券を保有することに伴うリスクも低下する。極論すれば、デュレーションの 長い債券も、次第に貨幣に近づくことになるのだ。債券保有に要請される利回りは低下 し、価格は上昇圧力がかかることになる。一方、長期債券を保有する投資家が、金融機 関などに偏っているのは注意が必要である。投資家を取り巻く事情にばらつきがなく、 意見の相違が出来にくい。相場が一方的に動き易いからだ。
三つ目は、名目ベースである株価の上昇余地が限定されることだ。実質ベースの企業 価値が不変であれば、デフレ傾向で貨幣価値が上昇すると、その分だけ株価は減価する ことになる。マクロで見た株価水準は上昇し難い。株価指数の上昇余地は限られると考 える。

3.注目点:「米国の住宅価格動向」

今年、世界経済にとって最も重要な要素は、米国の住宅市場動向と考える。それは、 住宅価格の上昇が、米国の堅調な個人消費を支えている大きなファクターだからだ。有 体に言えば、株式バブル崩壊の負担を住宅価格の上昇が埋め合わせている。その住宅価 格が本格的な調整局面に入ってしまうと、家計部門の消費能力を支えるのは難しい。特 に、最近、米国の家計部門はモーゲージ・エクイティー・ローン(住宅ローン)の借り増し で、借入残高を膨らませている。借金で耐久財等を購入して堅調な消費水準を続けてい る。住宅ローンの借り増しが出来るのも、住宅市場が堅調で、その価格水準が上昇して いるからだ。
しかし、ここには大きな問題がある。それは、家計部門のバランスシートが膨らんで いることだ。ライアビリティーサイドで借金を増やし、一方、アセットサイドも膨らん でいる。こうした状況は、住宅価格が上昇している間は、問題が顕在化しない。しかし 、一旦、下落傾向が始まると、一挙に、家計部門にもバランスシート調整が必要になる 。バランスシートを膨らませている分だけ、その負担は増加するはずだ。そうなると、 旺盛な消費行動を続けることは困難である。足許の米国経済を見ると、設備投資の回復 に時間を要すると見られる。個人消費が落ち始めるようだと、米国経済の減速シナリオ が現実味を帯びてくる。
米国経済の先行きが怪しくなると、世界経済もかなり厳しい状況に追い込まれるだろ う。現在、米国に代わって世界経済を牽引する国が見当たらないからだ。中国を中心に したアジア諸国も、世界を引っ張るエネルギーは見当たらず、米国依存の構図に大きな 変化はない。米国の住宅価格動向が、重要な鍵を握っているといっても過言ではないだ ろう。

<眞壁昭夫氏略歴>
1953年生。76年一橋大学卒、第一勧業銀行入行。83年ロンドン大学経営学部大学院終了 。メリルリンチ社ニューヨーク本社出向、第一勧銀総合研究所金融市場調査部長、同主 席研究員などを経て、2002年4月から現職。主な著書・論文「図解これ以上やさしく書けな い金融」(PHP研究所、2001年9月)、「資本コストの理論と実務」(東洋経済新報社、2001年2 月、共著)。東洋経済「統計月報『エコノミスト・コンセンサス』」、週間東洋経済「マーケ ットLINE UP」、村上龍「JMMメールマガジン」、などのコメンテータ。

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