★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産19 > 702.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
http://www.asyura.com/2003/hasan19/msg/702.html
「なぜ今消費税か」 (日本総合研究所 調査部長 高橋 進氏)
投稿者 ご破算に願いましては 日時 2003 年 1 月 24 日 01:38:39:

 浮上した消費税論議
 昨年末から消費税をめぐる議論が活発化している。少子高齢化のもと増大する社会保障負担をまかなうためには、将来的に消費税を目的税化して引き上げることはやむをえないとの考え方は徐々に定着しつつある。ただし、今回消費税引き上げ議論が急速に浮上してきた背景は、2004年に予定される年金制度の見直しである。年金制度は5年毎に見直しが行われているが、今回の改革では年金給付に関わる国庫負担が3分の1から2分の1に引き上げられる。その財源を消費税で賄おうという議論である。折から法人税負担の軽減を求める財界は、社会保障負担を間接税のかたちで個人が負担することについて異存はなく、消費税引き上げに賛成の立場をいち早く打ち出したようにみられる。もちろん、将来的に社会保障のコストを消費税の引き上げで賄うとしても、今回、増税すべきか否かは別問題である。国庫負担の財源捻出の方法としては、歳出の見直しが当然考慮されるべきであり、増税の場合でも、消費税か所得税か、他の目的税かといった検討が必要である。消費税が相応しいとしても、安易に消費税を引き上げれば、将来の財源を先取りしてしまい、家計負担がとめどなく増大する恐れがある。そして何より、わが国経済がデフレの罠にはまっているなかで、先行減税というかたちで経済活性化を模索している折から、今増税を行うべきか否かという検討が必要である。

 なぜ消費税か

 今後本格化する高齢化社会に備え、年金財政を立て直し国民の将来不安を払拭すると同時に、年金制度に対する国民の信頼を確保し、制度のこれ以上の空洞化を防止することは喫緊の課題である。とりわけ、財源の確保は最重要課題である。年金給付の財源としてなぜ消費税が望ましいのであろうか。それは、今後現役世代の年金保険料負担がさらに重くなり、世代間の負担の不公平がさらに増すからである。わが国の年金制度はすでに現役世代3人で引退世代1人を支える構図になっているが、2025年頃には現役2人で1人を支えなければならなくなる。加えて、戦後のわが国経済成長の果実を持っているのは主として引退世代である。個人金融資産1400兆円の半分以上を60才以上が保有している。保有する実物資産を加味すれば、さらに、引退世代の保有する資産は増加する。したがって、消費税を目的税化し、その税率を引き上げることで、年金負担を広く薄くし、引退世代にも応分の負担を求めるというのが、消費税引き上げの根本にある考え方である。もっとも、引退世代内にも大きな資産格差や所得格差が存在する。したがって、引退世代でも増税に抵抗力の弱い世帯については、消費税引き上げの影響を極力軽減していくことが不可欠である。食料品、その他生活必需品などについて、消費税の無税化や軽減が不可欠であろう。また、年金制度そのものやそれに関わる税制についても、引退世代内の格差を是正すべく見直しをしていく必要がある。年金に関わる所得控除制度の見直しなどはその例である。

 消費税引き上げの条件

 団塊の世代が完全に引退する2010年以降に備えて年金の支払い原資を確保するため、消費税を段階的に引き上げていくことはやむをえない。他の先進諸国に比べて消費税率の低いことも消費税引き上げの根拠となっている。しかしながら、肝心なのは、家計全体の将来負担と、給付水準がどうなるかということである。社会保障の給付と国民負担のレベルは、各国まちまちである。わが国の国民皆保険・皆年金の制度を維持していくことが不可欠であるとしても、今後、どこまで個人に自己負担を求め、一方で裁量に任せるべきかについては再検討が必要である。また、わが国は深刻な財政危機下にあり、今後増税というかたちで家計の負担が増加することも不可避である。

 したがって、年金給付の原資を消費税で賄うことを検討するうえで、政府は国民に対し、以下の点について明確な方針を示すべきである。第1は、現役と引退世代の負担の不公平をどのように是正するか、第2は、家計負担における税と保険料のバランス、第3は、税負担における間接税と直接税のバランス、第4は、家計と企業の負担のあり方である。

また、財源の議論と同時に、年金制度自体の抜本改革も急ぐべきである。厚生労働省は最近、制度見直しの一環として、個人に対する保険料率の上限の設定、それにともなう給付額の見直し案を提示した。しかし、この案でも、負担と給付の関係についての抜本的見直しには程遠く、世代間の不公平の問題も解消せず、したがって年金制度の空洞化に歯止めをかけることは難しいとみられる。

 今年は年央に向けて来年度予算の基本方針の策定やさらなる税制改革についての議論が活発化するとみられる。社会保障制度に対する将来不安が家計の消費マインドにマイナスの影響を与えているとの指摘も多いなか、年金制度の明確な将来設計に基づいた総合的な議論と、足元のデフレ状況をきちんと踏まえたうえでの民間負担についての議論を望みたい。

 次へ  前へ

国家破産19掲示板へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。