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金価格、急騰中(“パウエル・プレミアム”の行方)  ☆☆ [住友ゴールド]
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 07 日 00:06:02:


金価格の騰勢に拍車がかかってきた。

日本時間の本日早朝に取引を終えたNY市場の価格は、先物取引が高値380ドル
まであり終値が379.90ドル、前日比8.30ドル高となった。スポット(現
物)取引も379ドルレベルで取引を終えている。じつはテクニカル分析上(過去
の値動きを参考にした価格分析を指し主なものでも数種類ある)375ドルが節目
と指摘されていたのだが、それもあっさりと突破してしまい、単なる通過点に過ぎ
なかったという状況である。そして、当稿執筆中のいま、東京、シドニー、香港、
シンガポールというアジアでの取引は、NYの騰勢をそのまま引継ぎ、スポットで
なんと385.30ドルとあっさりと380ドルをも突破してきた(2月5日13
時25分)。

思えば、昨年末の当欄で「噴かねば終わらない相場」としたのだが、いま足元の騰
勢はそれが訪れつつあることを示している。過去1年余りの上昇相場のなかで、や
っと、しかも急速に過熱感が高まってきた。前回、ピッチの速い上昇相場にあって
も減らないショート(売り残)の存在を取り上げ、その意味するところは、金市場
は多くの専門家が指摘するほど過熱していないと言えるのではとしたが、どうやら
状況は一気に変わってきた。週末に発表されるデータを見る必要があるが、売り方
が音を上げて損失確定の買い戻しに入っていると思われ、目先のクライマックス到
来近しを暗示しているように思える。

材料となっているのは、日本時間の6日未明に予定されているパウエル米国務長官
による国連安保理でのイラク攻撃の正当性を示す証拠の提示である。どんなものが
飛び出すのかという関心もあるが、穏健派で知られる同長官がイラク攻めに関する
国際協調を求めること自体が「開戦避けられず」というイメージを高めることにな
り、金融市場も金市場も反応しているわけだ。また、日本時間の昨晩、米議会の公
聴会でのアーミテージ国務副長官の発言内容も金価格を刺激した。それは、米国が
イラクと交戦中に北朝鮮が韓国および日本を攻撃する可能性があり、アジア地域の
兵員と装備の増強を求めるというものだった。ちょうど昨年の12月に、金価格が
明らかな上昇トレンドに乗った際にも「イラク+北朝鮮」が材料になったが、その
再現が見られている。

市場価格という点で金は、時として他のものに比べ取引参加者の心理状態(センチ
メント)に左右される側面が強く出て、値動きが大きくなることがあるということ
を心に留めておこう。

この点で「コロンビア号、空中分解」という惨事も無視できない。澄み渡った青空
に白煙を引くシャトル。発生した事故からするとまったくバランスを欠くような映
像を伴って伝えられた事件は、それを見た者が必然的に中にいるクルーに考えが至
ることから、規模の差はあれ、あの“9・11”と同じく衝撃的なものだった。

スペースシャトルは、いくつかある米国の象徴のひとつと言っていいだろう。多額
の予算と高度な技術力、つまり経済的繁栄、ハイテク、軍事的優位性など“強い米
国”、“将来に向かって成長する米国”というイメージを自然発生的に世界に示す
という要素を備えた存在である。米国一般市民の心のなかにも、やはり自然発生的
に「誇り」あるいは「夢」として意識されているプロジェクトでもあろう。その点
で、“9・11”の記憶もまだ新しいうちに、再び米国の“象徴”が傷ついてしま
ったことになる。

今回の事故に関して、景気や金融市場には、それほど大きな影響を与えないだろう
という分析がある一方で、事故の影響は大きく、米国民は将来の不安を減らすため
に外交や内政で強硬な政策を支持する可能性があるとの分析が目を引いた。

事実こうした折に米国政府は、試練や悲しみに一致団結して立ち向かうことを訴
え、大統領はそのリーダーとしてより強いイメージを醸し出すということを過去に
やってきている。放送日や番組名は忘れたが、最近偶然見たTV番組でブッシュ大
統領のインタビュー場面があり、「国民が不安に思っているときにリーダーは、よ
り強い姿勢を示さねばならない」というくだりがあった。それでなくとも景気の先
行などヨロヨロと足元が覚束なくなりそうな昨今の状況もあり、ここは共通の敵に
立ち向かうため、まとまって行くという方向になるのではないか。つまり「コロン
ビア号の悲劇」が、イラク開戦に向け一歩駒を進めさせることになる。

前段で取り上げた昨晩のアーミテージ発言にしても、北朝鮮問題についてはこのと
ころの外交的解決を前面に出し妥協点を探ろうとの姿勢が、国民から弱腰に採られ
かねないとの指摘がブッシュ政権内部でも出ていると伝えられていたのだが、いま
この段階で強硬姿勢に転じるあたりに、「事故」の影響を読み取るのは穿ちすぎで
あろうか。

こうした中で“サプライズ”として前々回取り上げた「フセイン亡命シナリオ」
は、さらに遠のくように思われる。(想定外のことに株が急騰し消費者マインドに
も好影響など)金融市場主導の展開を考えるならば採る余地のある選択肢ではあっ
ても、作戦中止(攻撃中止)が危機管理の面から「先制攻撃」をうたったブッシュ
ドクトリン自体の後退をイメージさせることにつながるためである。

さて、今夜の発表を受けて、ここ2〜3日の間に金価格に乗った“パウエル・プレ
ミアム”はどうなるか?答えは数時間後に出るのである。
(2月5日記)


金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資にあたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。


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