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株式日記と経済展望:幸田真音「日本国債」と中公新書「国債暴落」 狼少年のように騒ぐだけのマスコミと学者達
http://www.asyura.com/2003/hasan22/msg/350.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 21 日 23:52:38:


2003年2月21日 金曜日

 
●この小説「日本国債」には大きな誤りがあるという批判は、現場の人などからよく聞いていた。しかし、最近売れている『国債暴落』(中公新書ラクレ)を読んで愕然とした。この小説のプロットの中心となる「国債の未達」が実際に生じえないことが『国債暴落』では詳細かつ極めて説得的に説明してあるからだ。もし「国債未達」が起こりえないなら、この小説のプロットは完全に破綻する。

作者の調査不足だろうか?リアルさを売りにしたこのような小説を書き、小説家に留まらずに各種メディアに登場して国債問題を論じた以上、『国債暴落』に対し作者は何らかの反応をすべきだ。もし『国債暴落』が間違っているならそれを示してほしい。そうでなければ、世相を煽っただけ、というそしりも免れまい。

あるいは、しょせんはフィクションと言うならば、小説以外の場で国債問題を論じたのは不適当だった。小説にしては問題提起は良かっただけに非常に残念だ。それにしても『国債暴落』の著者たちのような専門家の判断を聞かずに、安易に小説や小説家を後追いするマスコミの姿勢もおかしい。国債バブルの問題はこの小説が出るだいぶ前から専門家の間では話題になっていたし、小説はどこまでフィクションか明確化してないからだ。
(「日本国債」アマゾンブックレビューより)

●国債暴落説に関しては、次の2つの重要ポイントが参考になる。一点目は、国内でファイナンスを自己完結している日本経済の特殊性ゆえ、とかく連想されがちなエマージング・マーケット型の財政破綻とそれに起因する国債暴落は、現実問題として生起する可能性が低いことだ。ただし、最近懸念されだした貿易黒字の縮小傾向(一時的な減少にとどまるかどうかの瀬戸際に立っている)はこの特殊性の前提を覆す可能性があること、また国債格下げ等をきっかけに、実態から乖離したマーケットの不安感拡大に由来する値崩れの可能性は依然否定できない。

二点目は、国債の暴落が起こるとすれば、それは現在のような構造改革の最中ではなく、むしろ構造改革が完成し、日本企業が国際水準以上の投資リターンを産み出せるようになった時点、つまり国債以外の投資機会が出現した時点、ということだ。裏返せば、銀行が消去法的に貸出よりも国債投資を優先せざるを得ない現状では、かえって暴落を招きにくい。この二点目の指摘は非常に示唆的だ。つまり、国債問題は畢竟民間企業の収益性の動向に帰着するということであり、また構造改革¨はすぐれて民間企業の問題でもあることを再認識させてくれる。
(「国債暴落」アマゾンビックレビューより)

国債を巡る政策論争はスローガンだけの応酬合戦の様相を呈している。二言目には「そんなことをしたら国債は暴落をする」と学者達は警告しながらも、国債は高値で買われている。毎年のように三十数兆円も国債を発行し、借換え債も増えてゆく一方だ。実質的な日銀による国債買い切りオペも増えてゆく一方だ。それにもかかわらずインフレにもならず、物価は下落を続けている。経済理論では説明のつかない事態が日本で生じている。

幸田真音氏は証券会社で日本国債のトレーダーをしていた実績を持っている。しかしながら現場の人からは大きな誤りがあると指摘されている。「日本国債」は小説であり、経済学理論を書いた学術書ではない。しかしマスコミでは専門家扱いされて、テレビにおいても経済問題を論じている。小説という形でわかりやすくするのはいいが、国債市場というものをわからぬまま論じていたのでは、読者に誤った認識を与えることになる。

現状分析が十分に正しく認識されなければ、正しい対策も立てようが無い。何故これほど日本国債が高値で取引されるのか。誰がどれだけなぜ買っているのか。その分析も明らかにすれば、国債のこれからの行方も予想できるだろう。政府がこれほど国債を発行してもインフレにならないのなら、税金も徴収せずに国家財政が成り立つことになる。金利も限りなくゼロに近いから、金利の支払い負担も増えない。アルゼンチンのような財政破綻と状況がかなり異なっている。

日銀が思い切ったインフレターゲット政策に踏み切れないのも、国債の暴落を恐れているからだ。もし景気が回復してしまうと、資金需要が生じて、銀行は保有している国債を売りに出す。それで国債は暴落するという理論だ。しかし現実は景気は回復せず資金需要も低調だ。さらに金融庁が銀行の持ち合い株式を売らせているから、売って得た資金は国債に回る。だから国債の高値が続いている。

国債が暴落するのは「国債暴落」に書かれているように、景気が回復し、投資利益の利回りが上がってくる頃だろう。株式や土地への投資も利益が上がるようになれば、同じ現象が起こる。つまりいくら金融を緩和しても、利益の上がる投資先が無ければ、景気自体はよくならない。その為には技術革新や大きな国家プロジェクトで需要を作り出して行く必要がある。

日本では10年間も株が売られ、国債が買われる市況が続いている。だから政府はもっと国債を発行して公共投資を増やせと催促しているが、公共投資は減らす一方だ。歳出カットに増税や社会保険負担増では景気はよくならない。これでは当分国債は暴落のしようがない。政府や日銀は、あつものに懲りてなますを吹いているのだ。

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