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エコノミスト「名目成長目標で政策大転換へ」UFJ総研・嶋中雄二氏
http://www.asyura.com/2003/hasan22/msg/361.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 2 月 22 日 03:13:30:


エコノミスト「名目成長目標で政策大転換へ」UFJ総研・嶋中雄二氏
QUICKエコノミスト情報VOL.86 UFJ総合研究所 投資調査部長 嶋中雄二氏
03/02/19

【景況判断】現状(3ヵ月前比):悪い 先行き(3ヵ月後):悪くなっているGDP予測:02年度1.4%(0.9%) 03年度▲0.5%(0.1%)
【金 利】短期:弱含む TIBOR3ヵ月 0.09%
長期:強含む 10年物新発国債0.925%
【円 相 場】円高118円/1ドル
【株 価】株安 日経平均8,000円
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年5月末)の予測値

1.景気見通し:「昨年11月を山に後退局面入り」昨年12月4日付の本欄で、「一歩間違えば、8月の生産水準を年末までに上回れないという事態さえ考えられる」と述べたが、現実に、鉱工業生産は昨年8月の98.1(1995年=100)をピークに、4ヵ月連続で前月比マイナスとなり、昨年末の水準は95.8にまで低下してしまった。
但し、前回2000年10月の景気の山もそうだったのだが、生産は、内閣府の景気動向指数・一致系列に含まれるその他の指標に比べ、若干早目にピークアウトすることがある点に留意しておきたい。今のところ、生産と共に昨年8月に山をつけたとみられる指標は、稼働率と投資財出荷と中小企業売上高の3つであり、生産と合わせて4つなので、一致系列に属する計11指標のうちの過半数である6つには及ばず、したがって、この時点では景気回復が続いていたとの見方ができる。しかし、その後10月には生産財出荷が明らかに天井を打ち、次いで11月に所定外労働時間と商業販売額が同時にピークアウトした模様で、この時点で11分の7となり一挙に過半数を記録したことになる。なお、現時点では、各々5月ないし7月がピークとなっている営業利益と大口電力使用量は、関連指標の動きから見て、それぞれ11月ないし今年1月に山が移動すると推定される。
このように、景気全体の山は昨年8月の生産の山に3ヵ月遅れ、11月に形成されたとみられるが、いずれにしても、現在は既に景気後退の初期局面に入っているとみなしてよいであろう。昨年10−12月期の実質GDP成長率(第1次速報値)は、予想外の前期比プラス0 .5%であったが、これはGDPデフレーターの改訂の影響があったとはいえ、実態的には明らかにマイナス成長だったといってよい。それは、GDP統計を供給側からとらえた全産業活動指数が、10−11月平均で前期比0.7%減(12月は生産が前月比0.4%減だが、全産業でもかなりのマイナスの見込み)となっていることからも、端的に理解される。
ただ、景気の山の位置が10−12月期へと移動する可能性が高まっているため、その期のGDPが実質プラス成長であることは必ずしも不自然ではない。問題は、先行きだが、日本の景気の先行指数として、当社が作成しているUFJ先行指数・日本景気版の推移を見ると、コンポジット・インデックス(CI)ベースでは、過去、平均3四半期程度と比較的長目の先行性をもつ長期先行系列が、既に昨年5月をピークにして年末まで下降傾向を続けており、また半年程度の先行性をもった総合系列も、8月をピークに下降過程に入っている。過去の平均ラグからすれば、いずれも今年1−3月期、つまり現時点が景気の山付近で、これから後退局面に入るというタイミングを指し示しているといえる。だが、景気後退の前駆症状として現われる生産の頭打ちが昨年8月にあって、その他の一致系列も11月が中心的な転換点となっているとすれば、現在は既に後退局面の初期時点といえるのではないか。今後景気は、これまでの先行指数の低下の動きをなぞるように、下降の一途を辿るだろう。
2.金融環境:「一段の金融緩和しかない」
もちろん、以上のような、やや機械的な景気判断に加え、米国など世界経済の動向やイラク情勢等を考慮しなければならないが、現状において、上記の見方を覆うような楽観的な環境条件は、世界的にもなかなか見出せまい。むしろ、米国経済が足元で一段と弱含んでいることは、特に消費者マインド面から顕著にうかがわれる。
したがって、今後の我が国の金融政策は、基本的に、デフレと景気後退、ドル安・円高下で展開せざるを得ないだろう。今年1月のマネタリー・ベースの3ヵ月前比年率伸び率が僅か6.0%で、同じくマネーサプライ(M2+CD)の伸び率がマイナス0.8%の世界では、一段の金融緩和しか方向は考えられまい。
3.注目点:「政府・日銀は、名目成長率目標で協調を」しかし、このデフレ不況に立ち向かうためには、同時に財政出動も不可欠といわざるを得ない。最近、政府・日銀一体となってのデフレ克服のための取り組みに関連して、政府と日銀の間で締結される可能性をもつ「アコード」(政策協定)の枠組みや内容についての議論が高まりを見せる中、日銀によるインフレ目標の設定とは別に、より高次のマクロ政策目標として、「名目GDP成長率目標」を設定する考え方が急速に浮上している。物価安定を目的とするインフレ目標が、インフレに伴う利得の意図的な発生を目指す調整インフレと混同されやすいことや、金融政策は短期的には物価のみではなく、実体経済を含む名目GDPに影響するという意味で財政政策と共通の要素を持っているため、インフレ目標だけでは不十分な面がある。そこで、政府が実質潜在成長率とGDPギャップを、また日銀がインフレ目標をそれぞれ推定し、両者で整合性などを検討・協議しながら、金融・財政政策共通の目標として、名目成長率目標を設定するのが望ましいとの見方である。
ある一定の名目成長率、例えば年2〜4%を掲げて、日銀は一段の金融緩和でマネーを増加させ、政府は財政出動をして有効需要を創出して行く。もちろん、現下の財政状況では、財政出動に伴う大量の国債発行に対し、日銀がマネーの裏づけを与えなければ支障が生じよう。一方で、野放図に国債を買い上げて無計画にマネタイズすることも問題だろう。そこで、名目成長率目標に沿って、量的金融政策の公準であるマッカラム・ルールで計算し、適正と考えられるマネタリー・ベースの伸び率の範囲内であれば、思い切って国債(及びその他の資産)を買って行けばよい。そうした政府・日銀一体となったデフレ克服へ向けての政策の大転換ができるような日銀新総裁が、果たして誕生するのかどうか、小泉首相の決断に期待したい。
<嶋中雄二氏略歴>
1955年生。78年早稲田大学政経学部卒、三和銀行入行。同行を退職後、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。仏リヨン経営大学院(CESMA)留学、日本経済研究センター応用研究部研究員などを経て、89年三和総合研究所調査部主任研究員、99年同主席研究員、2000年同投資調査部長、2002年から現職。主な著書・論文「日本経済の油断」(東洋経済新報社、2000年5月)、「メジャー・サイクル」(東洋経済新報社、96年10月)、「複合循環」(東洋経済新報社、95年5月)、など。日経ビジネス「時流超流トレンド」、東洋経済「統計月報『エコノミスト・コンセンサス』」、などのコメンテータ。エコノミスト人気調査ランキング10位(2002年3月25日付日経金融新聞)。


News ID : NAA2259 02/13 08:10
エコノミスト「なんと言っても日銀総裁人事」UBSウォーバーグ・白川氏
QUICKエコノミスト情報VOL.85 UBSウォーバーグ証券会社 チーフエコノミスト
白川浩道氏03/02/12
【景況判断】現状(3ヵ月前比):減速 先行き(3ヵ月後):横ばいGDP予測:02年度0.7%(0.9%) 03年度▲0.3%(0.1%)
【金 利】短期:横ばい TIBOR3ヵ月 0.01%
長期:幾分上昇10年物新発国債1.0%前後
【円 相 場】やや円高113円〜115円/1ドル
【株 価】上昇 日経平均10,000円程度
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年5月末)の予測値

1.景気見通し:「秋口以降は再び生産回復へ」
昨年12月の鉱工業生産統計は、出荷が前月比マイナス2.1%と2ヵ月連続のマイナスとなる中で、前月比マイナス0.1%と、小幅ながら4ヵ月連続の前月比減少を記録した。生産活動は、昨年8月をピークに調整過程に入ったようにも窺える。しかし、生産の調整圧力が足元からさらに大きく高まっていくというシナリオを想定する必要はないだろう。生産活動は、今後、夏場にかけては「一進一退」となるものの、秋口以降は、再び緩やかな回復基調に戻るものと予想される。
その背景は、次のとおりである。すなわち、@米国経済、アジア経済ともに、年前半こそ、昨年好調であった耐久消費財消費の反動的な減速から踊り場局面を迎えるものの、年後半には、昨年来の循環的な企業収益の回復を背景に設備投資需要が徐々に盛り上がるため、急激な需要の縮小は見込まれない。従って、輸出の急減速も予想されない。
A機械受注や企業収益といった先行指標からすれば、ごくマイルドではあろうが、国内製造業の設備投資が回復する(回復期は1−3月期、4−6月期)ものとみられる。B在庫率は昨年7月をボトムに幾分上昇しているが、絶対的な水準は2000年度平均近傍と、依然として低水準であり、在庫面から生産調整圧力が大きく高まることは想定されない。C個人消費の調整圧力は、昨年10−12月期、今年1−3月期が最も強いものとみられる。年央に向かっては、ボーナスの下げ止まり等を背景に個人消費が徐々に落ち着きを取り戻すものと考えられる。
なお、こうしたシナリオに対する最大のリスクは、米軍のイラク攻撃等を背景にした米国景気の後退や、為替円高化による製造業収益の下ぶれである。米国経済に下押し圧力が生じるとともに、110円を超えるような想定外の円高が生じれば、生産の調整圧力が一気に強まり、景気が腰折れする可能性がある。
2.金融環境:「日銀の政策転換で株価上昇へ」
日銀の流動性政策は転機を迎えつつある。キーワードは「量から質へ」である。中長期国債を年間14兆円超のペースで購入し、20兆円もの水準の当座預金を維持しても、株価は上昇せず、目立った円安が演出できているわけでもない、というのが、政策担当者の率直な印象であろう。更なる財政出動が必要であるという議論を牽制したいとすれば、答えは1つ。日銀の資金供給の方法を変えて行くしかない。日銀の資金供給方法が変化していくとすれば、その方向性は大雑把に言って2つしかない。1つは外債の購入であり、もう1つはETFの購入である。これは、日銀が、市場にかわって、為替変動リスク、ないしは株価変動リスクを採っていくということである。その考え方の基本は、市場のリスク・テーク能力が相対的に劣後する部分に関して日銀が積極的にリスクを採る、というものである。いわば、リスク仲介の補完と言える。日銀による外債購入の可能性が依然にも増して上昇しているとみられる背景は2つある。1つは、当局が1月中に行った不可解な為替市場への覆面介入である。同介入は、通常の平衡操作というよりも、為替介入を利用したベースマネー供給の色彩を帯びている。2つめは、米国財政赤字の拡大が見込まれることである。03年度、04年度と3,000億ドルを超える財政赤字の発生が予想される中で、米国当局は長期金利の上昇を抑制するという観点から、従来に比べて、日銀による外債購入に前向きになる可能性がある。日銀によるETF購入については、株式市場の需給改善策として、一部与党議員の間で根強い支持があるが、銀行から個別株の購入を決定した日銀としても、「銀行のバランスシート健全化を更に後押しする」との位置付けが可能であることから、現実性の低い政策ではない。日銀による外債購入、ETF購入ともに、手続き面での問題はない。現行の日銀法下で実行が可能である。ただ、政府(財務省)の承認が必要であることからすれば、日銀による外債やETFの購入には政府の意向も反映される。政府とすれば、両者を比較した場合、日銀によるETF購入に対して、より前向きとなるであろう。なぜなら、銀行のバランスシート健全化の後押しといったプラス・イメージを打ち出せるからである。逆に、日銀による外債購入は、米国財政の窮状を暗に示すことにもなり、マイナス・イメージを伴うため、相対的にハードルが高いオペレーションである。
日銀によるETF購入が年央までに実現する確率は、日銀総裁人事とも絡んで上昇傾向にある。日銀によるETF購入は、株式市場の需給を改善するのみならず、銀行のバランスシ―トの早期健全化期待をもたらすことで、株価対策の切り札となるであろう。循環的な生産回復が同時に見えてくれば、株価は、夏場前には上昇軌道に乗る可能性が高い。
3.注目点:「なんと言っても日銀総裁人事」
日銀によるETF購入の話は日銀総裁人事に絡む。次期日銀総裁については、元日銀副総裁の福井氏の確率が上昇していると判断される。同氏については、かなり積極的な行財政改革論者である一方、「中央銀行は1つの経営体として購入資産の分散を図るべき」との考え方を持っているものとみている。こうした同氏の考え方の背景には、「中央銀行がある特定の金融市場に介入し過ぎると、その市場における価格形成を歪めることになる」という思想も流れている。日銀が国債をさらに買い増して国債バブルを煽ることは、その後の国債価格の大幅な下落を招くリスクがあり、それがひいては金融機関経営にも悪い影響を及ぼす、という考え方である。また、日銀自身、国債の保有リスクを溜め込み過ぎると、財政赤字の拡大によって国債相場の下落が生じた際に自らのバランスシートに大きな影響が及び、通貨の信認も崩れてしまう、との発想もあろう。いずれにせよ、福井氏は安直な公的債務マネタイゼーションによる円安誘導を嫌うのみならず、追加的な財政刺激策との同時出動に関しても色好い反応を示さないであろう。しかし、その反面で、リスク管理の手法さえ確立できれば、ETFやREIT、社債等の信用リスク資産を購入しても良いというスタンスに傾く可能性が高い。新総裁の任命についてはG7会合前の2月20日が目処になる。福井氏が次期総裁に就任するのか、そして、日銀としての運用資産分散の議論に踏み込むのか、市場にとっては最大の注目点であろう。
<白川浩道氏略歴>
1961年生。83年慶応義塾大学経済学部卒、日本銀行入行。金融研究所エコノミス
ト、88-
89年米国ワシントン大学経営大学院博士課程、調査統計局副調査役、国際局調査
役、金
融市場局調査役を経て、99年11月より現職。91-94年の3年間、経済協力開発機構
(OECD)
経済総局にエコノミストとして出向。債券市場分析、金融政策分析に関する論文
多数。
共著に「マネーサプライと経済活動」(東洋経済新報社、96年)。東洋経済「統計
月報『エコ
ノミスト・コンセンサス』」、などのコメンテータ。エコノミスト人気調査ラン
キング7位
(2002年3月25日付日経金融新聞)。
次回のQUICKエコノミスト情報は、2月19(水)配信予定。コメンテータは、UFJ総合研究所投資調査部長の嶋中雄二氏です。


News ID : NAA3730 02/14 08:10
アセットフロー「分断・鎖国される日本市場」日本生命・川北英隆氏
QUICKアセットフロー情報VOL.1日本生命 取締役財務企画部長 川北英隆氏
03/02/13

【トピックス 】公社債と株式の市場、内外の市場は分断されているようだ。複数の市場を横断的に評価してみると、株式、海外というリスクのあるアセット・クラスを無視するスタンスが目立つ。
【アセット環境】イラク情勢、年度末といった要因から投資家の様子見気分が強く、リスクが少ないと思われている公社債に資金が集中した結果、最終投資家にとって魅力のない水準にまで金利が低下してしまった。【アセット戦略】株式は個別銘柄の分析、公社債は海外へと視点を転じることが求められよう。いずれも機関投資家としての能力の有無が問われている。
1.トピックス:「分断・鎖国される日本市場」
投資パフォーマンスの悪化、機関投資家のリスク許容度の低下、微視的な投資スタンスへの偏重などから、市場の分断と隔離が目立つ。国内では株式市場と公社債市場が分断されているようだ。また、国内市場においては、株式、公社債ともに海外市場から分離されているようだ。日本市場が鎖国状態にあるともいえよう。国内での株式市場と公社債市場の分断の代表例は、配当利回りと国債利回りに見られる。最高利益を更新している優良企業の配当利回りが1%を超えているのに対して、10年国債の利回りは0.8%前後で推移している。国の財政が超赤字なのにである。もちろん、株式の価格変動性は公社債よりも大きい。しかし、国債金利の今後の低下は高々数十ベ―シスの可能性でしかない。株式か公社債か、どちらに投資するのが魅力的か、真剣に考える段階にある。
国内市場の鎖国は、株式市場にも公社債市場にもみられる。公社債市場を例にとれば、信用リスク・スプレッドが代表的だ。何故、国内の信用リスク・スプレッドが極端にタイトなのか、その合理的理由が見つからない。日本の場合、銀行が企業を支えているからとの理由が一応考えられるが、本当にそうなのだろうか。銀行が未来永劫のメイン・バンクとして機能し、企業を支え続けるとは考え難い。いずれ日本でも、企業の倒産率は欧米水準にまで高まろう。その時になって、現時点の投資から得ていた信用リスク・スプレッドが倒産による損失に見合わないと騒いでも遅い。新たな不良債権の山が築かれていることだろう。
市場の分断や鎖国の原因の一つは、委託者がアセット・クラス毎に投資顧問会社を選定していることに求められよう。投資顧問会社は、委託者が設定したベンチマークからの乖離をいかに抑制するのかにのみ精力を注ぎ、他のアセット・クラスへの関心をなくしてしまっている。インデックス運用がこの傾向を助長している。第二の原因はエコノミストやアナリストの能力不足である。内外の株式、社債を横断的に分析する能力がどこまであるのか、怪しい。能力がないので比較的身近な国内証券に親近感をいだいて分析していると批判されても、仕方ないだろう。第三に、投資家がリスクを取れないことも指摘すべきかもしれない。しかし、極端なリスクを回避しつつ、市場間で裁定的な取引を実行する方法はいくらでもある。リスクが市場の分断や鎖国の原因ではなく、委託者から投資家自身に課せられた投資制約や、投資家自身の能力、ノウハウの問題かもしれない。証券投資がグローバル化していると評価されている。それにもかかわらず、国内の多くの機関投資家は国内市場しか眼中になく、しかも株式と公社債を別々に評価している。この傾向は、市場の効率性を阻害し、少なくとも委託者に機会損失をもたらすことになろう。
2.アセット環境:「バブル的様相にある市場」
海外市場はイラク問題をかかえている。国内市場は決算末が近い。いずれも、投資家に様子見を強要していると思える。その中で国債が買われてきたわけだが、ディーリングを生業とするのならともかく、最終投資家として低クーポンの国債を10年間も保有する合理的な理由は見出せない。金利が1%ポイントでも上昇すれば、すべてのクーポン収入は藻屑の泡と消えるからである。
また、トピックスで述べたように、市場間の裁定関係が希薄である。株式市場では「保有するリスク」が強調される一方で、公社債市場では「保有しないリスク」が強調され続けている。1980年代末のバブル期の熱狂に包まれた株式市場と、閑散とした社債市場を彷彿させる。
いずれにしても、投資環境は異常である。異常であるがゆえに、内外の市場を客観的に評価、判断しなければならない。
3.アセット戦略:「個別銘柄へ、海外へ」
海外の証券投資を真剣に考えなければならない。株式市場において必要なのは、内外企業の競争力の比較である。巨大な中国市場を舞台にして、企業が近未来の経営を展開できるのかどうかの見極めである。国内における構造改革、業界地図のグローバルな再編が進行する現在、インデックス運用は投資パフォーマンスの低迷を黙認した行為に等しい。今こそ、個別銘柄の吟味が求められよう。
公社債は世界的なデフレ・リスクに備える必要がある。日本の超低金利が継続される条件とは、世界的な景気低迷が続き、日本経済に神風が吹かない状態だろう。その時、欧米金利がもう一段低下している可能性が高い。最終投資家、機関投資家からすると、ほとんど金利低下余地のない国内の公社債に投資するくらいであれば、為替リスクをヘッジしてでも欧米金利のポジションを高める方がはるかに望ましいと思える。
<川北英隆氏略歴>
1974年京都大学経済学部卒業、日本生命保険入社。ニッセイ基礎研究所、資金証券部長を経て、2001年から現職。日本ファイナンス学会副会長、日本アナリスト協会検定会員。主な著書:「日本型株式市場の構造変化」(1995年、東洋経済新報社)、「株式市場のマイクロストラクチャー」(1998年、日本経済新聞社、共著、日経経済図書文化賞受賞)他。
次回のQUICKアセットフロー情報は、2月20日(木)配信予定。コメンテータは、富国生命有価証券部長の櫻井祐記氏です。

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