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朝鮮半島における緊張の高まりがソブリン格付けに及ぼす影響
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 2 月 26 日 22:33:19:

朝鮮半島における緊張の高まりがソブリン格付けに及ぼす影響

(2003年2月26日、シンガポール= S&P)朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が寧辺にあ る原子炉を再稼動させ、場所が明らかにされていない施設で、ウランの濃縮を再開した ことにより、北アジアの地政学的リスクが高まっている。また、北朝鮮が核拡散防止条 約からの脱退を宣言し、さらに米国が北朝鮮の港湾を封鎖するなら北朝鮮は1953年の停 戦協定を破棄して事実上の戦争状態に戻ると宣言したことで、状況はさらに悪化してい る。北朝鮮の瀬戸際外交は大きな賭けである。しかしスタンダード&プアーズは、北朝 鮮の脅威が、韓国や日本、米国から援助を引き出し、さらに米国が反対している二国間 直接交渉の実現を狙った、口先外交に過ぎないと考えている。
地政学的リスクの高まりによって最も大きな影響を受けるのは、韓国(自国通貨建て格 付け「A+/安定的/A-1」、外貨建て格付け「A−/安定的/A-2」)と日本(AA−/ネガティ ブ/A-1+)である。いずれの格付けも、緊張の高まりから軍事衝突に至ったり、北朝鮮 経済が崩壊して半島の統一が加速したりという事態を想定していない。

韓国
軍事衝突が回避された場合、2つのシナリオが考えられる。第一のシナリオは、両サイド の体面を保つ平和的な妥協案が導き出され、現在の緊張が緩和するというものである。 妥協案は国際的なフォーラムの場で仲介される可能性がある。この場合、北朝鮮の脆弱 な経済を浮揚させるために、十分な援助が確実に必要になる。代わりに北朝鮮は、非政 府組織や敵対国に対する武器輸出の放棄に合意する。米国はイラク情勢に当面、注力し たいと考えていることが、このような解決策を可能にするだろう。
第二のシナリオは、軍事衝突には至らないものの、核開発をめぐって北朝鮮との
膠着状
態が続くというものである。このシナリオは、現在の韓国に対する格付けの想定
範囲内で
あるが、北朝鮮の交渉力が高まるために、韓国の北朝鮮政策は一層困難となる可
能性が
ある。しかし、こうした状況は朝鮮半島で半世紀にわたって続いてきたバラン
ス・オブ
l パワーの構図と大きく違わないものである。安全保障上のリスクは高まるが、北朝鮮 の崩壊による南北統一コストを未然に防ぐ。

第三のシナリオは、軍事衝突に至るものである。軍事衝突は長くは続かず、北朝鮮では 体制の変化が起きる。しかし、これには膨大な人的犠牲を伴い、特に北朝鮮と韓国の犠 牲は大きいだろう。非武装地帯の両側の再建にも巨額の財政コストがかかる。現在の韓 国の格付けには、このようなネガティブなシナリオは織り込まれていない。

日本
スタンダード&プアーズが最も実現性が高いと考えるシナリオに基づくと、北朝鮮の脅 威により日本の地政学的な信用リスクが大幅に高まることはない。しかし、日本は防衛 予算に対する再検討をしなければならなくなる可能性があり、その財政負担は、それを 補うような方策がなければ、日本のソブリン格付けに影響を及ぼす可能性がある。
1993年および1998年の北朝鮮による長距離ミサイルの発射や、2月24日の対艦ミサイルを 日本海に向けて発射した事件から、北朝鮮は日本や韓国に向けて、領土への着弾の意図 の有無にかかわらず、弾道ミサイルを発射する能力を持つ。そのような挑発的なミサイ ル発射実験は、半島での戦争を口にするよりはるかに現実的な脅威である。しかも、現状 の日本の防衛力ではミサイルが日本の領土に達する前に撃ち落とすことが出来ない。ま た、日本は、外国が日本の領土を攻撃する重大なリスクが存在しない限り、先制攻撃を 行なうことを憲法で禁じられている。防衛庁長官や一部の政治家が先制攻撃も合憲とい う考え方を唱えても、軍事的脅威が迫った場合、日本は法的に手を出せない可能性が高 い。法的な制約以外にも、自衛隊は攻撃を行なうための訓練も装備も十分でなく、日本 を狙ったミサイル攻撃に対処するための、米軍との共同演習すらしていない。北朝鮮は こうした日本の弱点を心得ており、1998年に隙を突いて2発のミサイルを既に日本の領空 に向けて発射している。その際、日本は北朝鮮への経済援助を一時的に凍結する以外、 何も出来なかった。
軍備を改善する必要から、日本の防衛費は今後数年で上昇する可能性がある。こうした 支出には、日本と米国が合意した戦域ミサイル防衛システムの開発も含まれる。但し、 日本には防衛支出を国内総生産比1%以内に抑制するという政府のガイドラインがあり、 それが少なくとも当面、防衛予算の拡大を制限することになろう。
北朝鮮の脅威に対処するための歳出増加に加え、日本はイラクでの戦費および戦争終結 後に必要となる平和維持活動のコストの一部負担を迫られる可能性が高い。こうした追 加的な財政歳出は、他の歳出の相応の予算削減をしない限り、すでに脆弱な日本の財政 や日本に対する格付けを圧迫する可能性がある。


日本語ウェブサイト http://www.standardandpoors.co.jp

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