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日銀は財務省の分局と化すのか?
http://www.asyura.com/2003/hasan22/msg/758.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 3 月 01 日 23:44:45:


1.日銀は財務省の分局と化すのか?

3月19日に任期が訪れる日本銀行首脳の後任人事として、新総裁に福井俊彦氏(元日銀 副総裁)、新副総裁に武藤敏郎氏(前財務省事務次官)と岩田一政氏(内閣府政策統括 官)の内定が発表された。この人事に対し、「武藤氏という"大物OB"の影響によって日 銀は財務省の分局と化し、実質的に国債安定消化機関となる」という見方がよく聞かれ る。確かに今回の副総裁人事は政府が望んでいた"アコード"を人事面で実行した感があ り、日銀へのくさびであることは間違いない。
しかしながら、武藤氏は"大物官僚OB"であるがゆえに政府・財務省の単なる代弁者に なる確率は現実には低いと思われる。武藤氏が5年後に日銀総裁に就任するとなれば、セ ントラルバンカーとしてのキャリアは今後10年間に及ぶことになる。現政権の意向を考 慮しつつも、実際の政策判断の際は見識に基づいた是々非々のスタンスで臨むことにな ると予想している(同氏を知る人ほどそのような見方が多い)。
米国のFRB議長の人事において半世紀前に興味深いケースが見られたので参考までに触 れてみよう。1951年にFRBと財務省は金融政策と国債管理政策の分離を確認し、FRBによ る国債価格維持政策を停止する「アコード」を締結した。しかし、その直後、当時のト ルーマン大統領はFRBに対する政府の支配力を取り戻すことを目的に、有力な財務省官僚 であったW.マーチンを議長に任命してFRBに送り込んでいる。ところが、皮肉なことに、 マーチンは議長就任後、大統領の意図とは裏腹に、長期国債を一切購入しない「ビルズ オンリー政策」という政策を導入してFRBの独立性確立に尽力した。

2.金融政策決定会合の存在意義が高まる

マーチンFRB議長の例は極端なケースだが、武藤氏も岩田氏も日銀に入って金融市場の 実態を観察することで、ゼロ金利の流動性の罠の状態から金融政策だけでマイルドなイ ンフレ醸成を実現することが如何に困難かという点を改めて痛感するのではないだろう か。また、岩田氏はインフレ目標導入と国債買切りオペ増額を明確に主張しているため 、金融政策決定会合においても当面はそれらを提案し続けるだろう。しかし、同氏は不 良債権問題、税制改革、新規産業のための研究開発促進などリアルな面での問題も重視 しており、インフレ目標派の中では日銀関係者と議論を組みし易い経済学者と思われる 。なお、岩田氏は福井氏と同様に物価インデックス国債の必要性も説いている。
中長期的な見通しでいえば、結果的には、強力な新首脳陣の加入によって金融政策決 定会合の存在意義は高まるだろう。特に福井氏と武藤氏との間で協調関係が築かれれば 、重量級の迫力が生まれる。政府と日銀が一体になることが今回の人事の趣旨なのだか ら、日銀政策委員会は金融政策にとどまらずに財政、税制、為替、金融システム問題な どにも踏み込んで政策提言を行うべきである。現行の量的緩和策の総括を行い、金融政 策の限界を率直に国民に説明することも必要である。また、国債買切りオペの上限枠撤 廃問題は政策パッケージの中で議論すべきと思われる。
インフレ目標に関しては、福井新総裁は「魔法の杖ではない」と言及しており、6人の 審議委員も否定的であるため早期の導入は考えられない。しかし、裏を返せばインフレ 目標が「普通の杖」に過ぎないことが広く認知されるようになれば将来は導入に至るケ ―スも考えられる。しかし、まだ先の話であろう。
なお、福井氏はかつて日銀の権限の源泉であった窓口指導を廃止して金融政策を短期金利誘導型へ移行させた「改革派」であっただけに、インフレ目標を掲げないからといって「保守的」と思い込むのは危険である。金融政策単独の力が弱まっているため、金融システム問題など制度面で働きかけられる面があれば攻めの姿勢を見せるのではないか。

3.新体制初の決定会合は、当座目標引き上げ、買切りオペ増額か

中長期的見通しはひとまずおいて目先の動向であるが、新体制で迎える初の金融政策決定会合は4月7、8日となる。新総裁・新副総裁に対する政府の期待と6人の現行の日銀審議委員との落とし所として、日銀当座預金目標を20〜25兆円に引き上げ(実際の誘導水準は22〜23兆円か)、国債買切りオペを月間1.4兆円に増額するのではないかと見ている。根拠としては、

4月から郵貯・簡保は郵政公社に移行する。

郵政公社は法定準備預金を課されないが、日々の資金繰りのバッファーとして数兆円(さほど巨額ではないだろう)の資金を日銀当座預金に常時保有することが予想される。本来は日銀当座預金が20兆円もあれば余剰資金が膨大に存在するため、郵政公社が少々の資金を保有しても影響は出ないはずだが、現在は市場機能が大幅に悪化し流動性が低下している。このためコ―ル市場でタイト感が現れないようにするためには当座預金目標の引き上げが考えられる。

基本的には現在の審議委員や福井氏、武藤氏は長期金利低下の行き過ぎを懸念していると思われる。しかし、当座預金目標の引き上げという「大義名分」があれば、上限ルールに抵触しない範囲内での国債買切りオペの増額が行われるのではないか。

岩田新副総裁の主張も一部考慮されることになる。なお、今後の日銀当座預金の推移を大まかにイメージすると、3月31日の期末日に財政諸払いが5兆円前後出てくることが予想されるので、当座預金残高はその日に25〜30兆円程度に急激に増加(売出手形がオファーされないことが前提。去年は無かった)。その後、市場の状況を見ながら残高は緩やかに減額されて行き、4月8日の決定会合で当座目標が実際の残高にキャッチアップするように引き上げられるのではないかと予想している。

4.25日の衆議院予算委員会公聴会の様子
2月25日の午後に衆議院予算委員会の公聴会に呼ばれた。貴重な機会と思い、与えられ た20分間で量的緩和政策下の短期金融市場の機能不全の問題とインフレ誘導の技術的な 困難さについて説明させてもらった。その後の各党代表による質疑応答も含めた印象で は、短期金融市場の実態に関して新鮮な驚きを示す議員が多かったように思う。今後イ ンフレターゲットの議論を国会で進めるにあたっても、観念的な議論に終始するのでは なく、市場参加者の現場の声を常に反映した議論が望まれるのではないかと感じた。
(なお、衆議院ホームページに掲載されているビデオで当日の様子がご覧になれます。)

5.来週の主なイベントと短期市場見通し

3月4、5日に開かれる日銀金融政策決定会合は現状維持と予想する。
来週は法人税揚げを主因に4日に4.5兆円の大幅資金不足が到来する。このためコール市場のオーバーナイト物に関しては、それ以降、資金余剰感が後退しややタイトになるだろう。一方で、買入手形オペがこのところ積極的にオファーされているため落札レートは低下傾向。株価はバブル後最安値圏内ではあるが、コール市場の期末越え金利は来週も落ち着いた状態が予想される。
短期国債市場は、4日にTB6ヶ月物、5日にFBの入札を控えている。このところディーラ ―の在庫がやや重いため、アウトライトレートは下がりにくい展開か。レポGC及び現先 は需給関係から強含んでいたが、来週後半には歪みの修正が見られると思われる。

コマーシャルペーパー(CP)のプライマリー(新規発行)は来週は閑散と思われる。既に発行金利は超低水準で推移しているためレートは横ばいか。A1+で期内・期越え供に0.01%を割れた水準と思われる。なお、日銀のCPオペは4日オファー、6日スタートが予想されるが、ABCPの組成が活発化していることもあって、ディーラーは積極的な応札を行うことが予想される。
以上

東短リサーチ加藤レポート より

ちょっとこの掲示板には専門すぎるて面白くないかな・・・・?。

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