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亀井幸一郎氏:迫る「政治的決断」の時 (☆☆) [住友ゴールド]
http://www.asyura.com/2003/hasan23/msg/154.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 05 日 18:00:08:


トルコ国会が米軍の同国への駐留案を否決した。現地時間の3月1日のことである。
僅差ではあったものの否決は否決であり、それが国会の、つまりはトルコ国民の意
思ということになる。

伝えられているように、米国にとってもまた情勢を見守る我々にとっても予想外の
ことだった。米国にとっては誤算という他はないのだろうが、イラク開戦となった
際の作戦の前提としてトルコを経由したイラク北部からの侵攻作戦は、クウェート
やペルシャ湾からの南部ルートと合わせて「要」と伝えられていた。先の湾岸戦争
後、難民の流入など大きなダメージを受け低迷を続けているトルコは、中南米など
と並ぶ金融経済上の問題国でもありIMFの支援を受けながら立ち直りを模索中と
いう国である。米国は、大型の金融支援を前面に出し政府サイドの協力を取り付け
てはいたものの、結果的には国会で蹴られることとなった。これから再調整が進め
られる可能性は高いが、またまた現れた障害は米国にとってこの戦いが、一般に認
識されている以上に難しいものであることを物語るものである。すでに地中海に面
したトルコの港には、受け入れを前提に米軍が一部物資の陸揚げを開始していたと
伝えられている。まさに「寝耳に水」の出来事であったわけだ。

安保理に提出している新決議案の採択もままならぬところへ、作戦現場に直接かか
わる問題の登場。それでなくとも時間の経過は、その間の国際世論の変化や戦費の
問題など米国にとって負担が増すばかりであり、これを前哨戦とするならば米国は
既に形勢は不利ということだろう。

国際世論に関しては、攻撃に着手できないこと自体が、この戦争の正当性に疑問符
をつける方向に作用するため、時間が経てば経つほどに窮地に追いやられるのは米
国であるように見える。事実、米国内世論も徐々に攻撃賛成派が減り始めている
(ワシントンポスト紙の調査)。そうこうしている内に、かの地は砂嵐の季節に入
ってしまい、今度は物理的な戦い難さという難題が降りかかる可能性もある。おそ
らく対策は十分であろうが、たしか湾岸戦争の際には非常にきめの細かい砂がベア
リングの軸受けなどに入り車両故障や重火器に障害が出たのではなかったか。湾岸
戦争時はサウジからクウェートまで移動距離にして約100キロだったというが、
今回は、バクダットまで約600キロになるという。

余談になるが、砂漠地帯が中心のようなイメージのイラクではあるものの、ペルシ
ャ湾岸からバクダットへの進撃路は(文明の発祥で有名な)チグリス、ユーフラテ
ス川に沿った道になるという。その辺りは、湿地で肥沃な土地であることから農村
地帯で人口密度も高いという。じつは筆者も今回認識を新たにしたのだが、当時、
陸軍大将で統合参謀本部議長だったパウエル現国務長官が敗走するイラク兵の追撃
をやめたのは、農村地帯ではゲリラ戦の危険があったためという分析がある。誰も
が認める軍備力の圧倒的優位性にものを言わせた短期終結シナリオも、こうなると
割引く必要があるのやも知れない。

問題は、それでも米国はイラクへ進むと見られることだ。すでに各国大使館員はイ
ラクから退去しはじめている。

言うまでもなく、障害が多ければ多いほど米国の抱えるリスクも大きくなる。これ
は金融上も同じ事である。そうした情勢の変化に敏感な金市場は、トルコ国会の受
け入れ否決(3月1日の土曜日)後に最初に開いたシドニー、東京、香港というアジ
ア市場では開戦が遠のくのではということから売られたものの、欧米市場に取引が
移る頃には下げ分は買い戻され、その後上昇気味に推移している。これは、事態が
複雑化することが、米国はじめ世界の金融経済にとって良くないことを予見しての
ものである。

週末7日に予定されている国連監視検証査察委員会ブリクス委員長による活動の経
過報告が予定されているが、イラクが一部ミサイルの廃棄を始めていることから、
その辺の報告が為されるのであろう。足元の情報では、すでに米英は新決議案の取
りまとめを来週中にでも打ち切る方向という。できるだけの“外交努力は尽くし
た”、これ以上は時間の無駄で、これ以上の延期は事態をますます複雑化するとい
う政治的決断である。またブッシュ大統領は、北朝鮮問題に関して「外交的努力が
うまくいかなければ、軍事的にやる必要があるだろう」とはじめて軍事的対応につ
き取りあげたという。「正当防衛」あるいは「緊急避難」という言葉には、「超法
規的」という言葉がともに使われることが多いが、イラク問題は大詰めを迎えそう
だ。

金市場は、350ドルを挟んだ値動きに始終している。NYベースでの高値から1ヵ月
経過し、その間にファンドを中心とした買い方の売りも一巡している。買い越し量
は2月4日のピーク時(重量換算207トン)から2月25日の83トンへと6
0%以上も減っている。これは昨年12月に金価格が急騰する前の水準であり、内
部要因からは急激に整理が進んでいるといっていいだろう。これはファンドに買い
余力が生まれていることを意味する。むしろ、これからはグロスで105トンほど
残っているショート(空売り)の存在が、クローズアップされるのではないだろう
か。すなわち、いずれ空売りポジションが買戻される展開があるのではないだろう
か。(3月4日記)


金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資にあたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。

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