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IBMやオックスフォード大学が、200万台のコンピュータの余った処理能力を利用して、天然痘の治療法を発見しようとしている (ZDNet)
投稿者 Sarah 日時 2003 年 2 月 06 日 20:35:44:

天然痘の脅威と戦うグリッドプロジェクト
IBMやオックスフォード大学が、200万台のコンピュータの余った処理能力を利用して、天然痘の治療法を発見しようとしている(ロイター)


 IBMをはじめとするハイテク企業数社が2月5日、数百万台のPCのコンピューティングパワーを利用して、天然痘の治療法の発見を支援する研究プロジェクト「Smallpox Research Grid Project」を発表した。

 これらPCで構成されるコンピューティンググリッドには、IBMの大型コンピュータやデータストレージシステムも含まれる。このグリッドは、3500万種の薬品分子の化学的相互作用や、天然痘の複数のターゲットタンパク質を分析する際に、大量のデータ処理を実行する。

 2001年9月11日の同時多発テロを契機に、生物兵器を使ったテロの可能性がささやかれるようになり、米国内で天然痘が発生するのではと懸念する声が高まっている。一部の医療機関や救急隊員には既存の天然痘ワクチンが支給されているが、このワクチンは感染前か感染から数日以内に接種しなければ効果がない。

 PCユーザーは米サンディエゴの企業United Devicesから無料のグリッドソフトをダウンロードすることで、このコンピューティンググリッドに参加できる。このグリッドには、既に200万台のコンピュータが参加し、余ったコンピューティングパワーをプロジェクトに提供していると、United Devicesは語る。

 グリッドとは、さまざまな組織が所有するコンピュータやデータストレージをリンクして、コンピューティングパワーを共有する1種のハイパーネットワーク。これに対し、インターネットではユーザーがデータを交換することはできるが、コンピュータリソースを交換することはできない。

 有効な薬品分子の組み合わせやターゲットタンパク質の発見は、天然痘に感染した後でも効く抗ウイルス薬の開発に至るいくつもの段階の第一歩だと、United DevicesのCEO(最高経営責任者)、Ed Hubbard氏は語る。

 「3500万種の分子を、子供のころ持っていたペグ(棒差し遊びの棒)のようなものと考えるといい。四角や丸、三角のペグがあり、そしてわれわれの手元にはペグボードがある」(Hubbard氏)。

 「われわれがやろうとしているのは、ペグがボードのどこにはまるのか調べることだ。四角の穴を天然痘のターゲットタンパク質とすると、われわれはこの穴をふさいで、天然痘ウイルスが人体の中で活動しないようにする四角のペグを探している」と同氏は説明している。

 プロジェクトに参加するコンピュータの数にもよるが、初回のデータ処理には2−3週間かかるかもしれないと同氏は語る。このグリッドには200万台のコンピュータが参加しており、ピーク時の処理能力は1100テラFLOPS(1秒間に1100兆回の演算)に達するという。

 米国陸軍感染症研究所(USAMRIID)が、米国防総省の依頼でこのプロジェクトの管理にあたる。プロジェクトの成果を利用して、天然痘を軍事兵器として使った攻撃に対抗する手助けをしていくことが同機関の目標だ。

 天然痘ワクチンの副作用に加えて、衛生当局職員は現在手に入るワクチンでは治療できない疾病についても懸念している。

 United Devicesは、企業、個人、大学が所有している200万台のコンピュータでネットワークを構築したとしている。これらコンピュータは、英オックスフォード大学の同様のプロジェクトでも、ガンや炭疽菌に関連した分子のスクリーニングに使われているという(2002年1月の記事参照)。

 グリッドは大学で利用されてきたが、今はIBMやHewlett-Packard(HP)などの企業も、ゲーム用ネットワークの構築など、グリッドの商業利用を模索している。今回のプロジェクトでは、IBMは分析プロセスの一部で使われるデータベースソフトを提供している。

 企業が互いに自社のコンピューティングリソースを開放するにあたっては、セキュリティの問題も懸念されるが、United Devicesは、同社のソフトはセキュリティテストに合格しており、またプライバシーに関しては、コンピュータハードに関する情報しか収集しないと説明している。

 同社のプログラムはwww.grid.orgで入手できる。このプログラムにより、Smallpox Research Grid Projectは一般的なPCのマイクロプロセッサにアクセスして、余ったコンピューティングパワーを利用することができる。

 オックスフォード大学および英エセックス大学、カナダのウェスタンオンタリオ大学のロバーツ研究所、米国のスローン・ケタリングがんセンターの研究者が、データベースにどのようなデータを格納するかを決定した。

 そしてこれらのデータを分析するために、ライフサイエンスソフトを手がけるAccelrysが「LigandFit」というソフトを提供している。

[ニューヨーク 5日 ロイター]


http://www.zdnet.co.jp/news/0302/05/xert_grid.html
●研究してるのは利用法じゃなくて治療法なんだよね…?

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