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劇症性(?)の新型(?)インフエンザ脳症による死者が大阪に集中。なぜだ?!
http://www.asyura.com/2003/health3/msg/113.html
投稿者 佐藤雅彦 日時 2003 年 2 月 21 日 00:58:13:


●下記の20年付け朝日新聞記事によれば、「前触れ症状をほとんど示さないまま、発熱して数時間から半日で急死した(インフエンザ脳症の)ケースが大阪府で6例、他県でも少なくとも2例起きていることがわかった」とのこと。

●大阪は、戦後に「梅田奇病」が流行し、119人の患者と2人の死亡者を出しましたが、それは旧満州で731部隊が研究開発していた腎症候性出血熱(HFRS)だったことが判明しています。それに数年前には病原性大腸菌0-157の感染爆発もありました。
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腎症候性出血熱(Hamorrhagic Fever with Renal Syndrom : HFRS)については
下記のような投稿をしてきました――

【1】根室でハンタウイルス肺症候群が突発的出現……の不気味さ
  日時 2002 年 5 月 15 日 07:25:38:
  http://www.asyura.com/2002/war12/msg/206.html
【2】セラチア菌院内感染事件の闇?
  日時 2000 年 7 月 05 日 02:30:26:
  http://www.asyura.com/sora/bd7/msg/1174.html

・下記の解説が参考になります
http://idsc.nih.go.jp/kansen/k99-g52/k99_48/k99_48.html
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●そういえば731部隊の残党が作った製薬会社・ミドリ十字も、大阪に本拠を置いていましたね。……なんとなく気になる環境なのであります。

●以下は、朝日新聞が最近報じた“インフエンザ脳症”についての記事
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朝日新聞2003年2月20日
http://www.asahi.com/national/update/0220/035.html

新タイプのインフルエンザ脳症、8例報告半日で急死も

 インフルエンザによる子どもの脳症で、今冬、発熱から半日以内に、けいれんなど危機の前触れとなる症状を示さないまま急死してしまう例が大阪府内などで8例以上あったことが、20日、厚生労働省の研究班(主任研究者、森島恒雄・名古屋大教授)で報告された。これまでにないタイプの脳症で、死者の集中した大阪府も状況調査に乗り出す。

 インフルエンザ脳症はこれまで、ほとんどの場合、発熱後にけいれんや意味不明の言葉を話すといった神経症状や意識障害が、容態が危機的になる前に現れていた。

 しかし森島教授らが集めた患者情報によると、今冬の死亡例の中に、こうした前触れ症状をほとんど示さないまま、発熱して数時間から半日で急死したケースが大阪府で6例、他県でも少なくとも2例起きていることがわかった。

 森島教授は、死者が集中している大阪府で疫学調査を行う必要性を指摘した。また、けいれんなどの症状は現在、インフルエンザ脳症の診断のポイントともなっていることから、医療機関に注意を呼びかけている。(21:02)

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朝日新聞2003年2月15日
http://www.asahi.com/national/update/0215/022.html

インフルエンザ 突然の「脳症」症状よく見て

インフルエンザにかかった子どもが脳炎を併発し、死者も出る「インフルエンザ脳症」の被害が各地で続いている。インフルエンザの患者数全体からみれば、脳症にかかる割合は少ないが、毎年、数十人の死者が報告され、今冬はけいれんなどの予兆がないまま急死する例もみられる。1週間で10万人を超す子どもたちがインフルエンザにかかっており、重症になるのを心配する親たちが救急現場に殺到するケースも出ている。

広島県内の公立病院に6歳の男児が運び込まれたのは昨年暮れのことだ。前日、39度の熱が出て診療所で診てもらったが、普通の風邪薬をもらっただけだ。

この日の夕方、熱は41度を超えた。夜、けいれんが起きた。「怖い」などと何かにおびえているようだ。両親は救急車を呼んだ。公立病院に着いたのは午後8時半だ。

けいれんはしばらくしておさまった。当直医は熱性けいれんを疑った。間もなく意識が正常になるはずだ。

だが、男児の視点は定まらない。両親が呼びかけても反応がない。点滴の針にも痛みを訴えない。

「インフルエンザ脳症?」。医師はコンピューター断層撮影(CT)を試みた。脳がはれている。脳症の兆候だ。

集中治療室の医師2人と計3人で処置を続けた。呼吸は荒く、身体が冷たくなっていく。

両親は待合室でうなだれていた。早朝、再びCTを撮った。脳のむくみが進行していた。やがて瞳孔が開いた。「もうだめでしょうか」。親が問いかけてきた。

後は子の生命力に頼るしかない。が、その夜10時、息を引き取った。

インフルエンザに詳しい名古屋大医学部の森島恒雄教授らの調べによると、今冬にインフルエンザ脳症で死亡した子供は、わかっているだけで30人を超える。

■あふれかえる病院

〈一医療機関で処理できる限度を超えています。緊急性のある症状を家族に説明していただき、緊急性のない患者には自宅安静で様子を見ていただけるよう(患者の)指導をお願いします〉

1月末、埼玉県久喜市など3市9町をカバーする小児二次救急輪番の3病院は、開業医らに「お願い」の文書を送った。3病院のひとつ高木病院で起きた、こんなことがきっかけだった。

日曜日の先月26日の当直時間帯だった。午後8時台にインフルエンザの疑いがある16人の子が来院した。午前0時までにさらに14人。未明まで合わせると42人が訪れた。

医師は1人。看護師3人。救急用の待合室にはいすが6人分しかない。立ちながら子をあやす父親や、うずくまる子を抱える母親。それをかきわけながら看護師が走る。

受付にきた父親がその様子をみてつぶやいた。

「戦場みたいだなあ」

高木学院長(52)が3病院連名の「お願い」を送ったのはこの直後だ。

高木院長は昨年、脳症を起こした患者を助けられなかった苦い経験がある。軽症者に追われて重症者を助けられないでは何のための輪番制か。

一方、「自宅安静」を促して、結果的に手遅れになりかねない、とも思う。「救急態勢を整備しないと、病院としても、限界だ」ともらす。

■「前兆なし」も

森島教授は、今シーズンの脳症の特徴として(1)死亡例が従来の1〜3歳から0〜8歳に広がった(2)けいれんなど前兆がないまま急死する例が目立つ――の2点を挙げる。

大阪府内では前兆なしで突然亡くなったケースが6人もあった。2歳から8歳までの男児だ。

ある男児は夜9時ごろに病院の救急外来でインフルエンザと診断され、特効薬タミフルドライシロップを飲んだ。だが、自宅で寝ていて呼吸が止まり、親が気づいたときには亡くなっていた。

前兆なしの脳症の原因はわかっておらず、大阪市立総合医療センター小児救急科の塩見正司部長は「タミフルの効果が出るのは24時間後。見張っていても手遅れになることもある。完全な予防策はない」と話す。

ただ、専門家によると、インフルエンザから脳炎を併発し、さらに死にいたるのは、まれなケースだ。はしかの場合、年間の患者数は10万〜20万人、死者は80〜100人に上る。死亡率は発症者1000人に1人の割合とされる。これに対し、インフルエンザ患者のうち脳症を発症するのは1万人に1人、死者は5万人に1人だという。(17:17)

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朝日新聞2003年2月14日
http://www.asahi.com/national/update/0214/043.html

インフルエンザ、峠越す? 報告患者数2週連続減少

厚生労働省は14日、今月3日から9日までに指定した全国約5000の医療機関から報告があったインフルエンザの患者数が2週連続で減った、と発表した。患者数は13万7108人で、1つの医療機関が報告した1週間の患者数は平均29.03人。前々週は38.52人、前週が35.02人で少しずつ減少している。厚労省は「ピークは越えた感じだが、下がり幅は小さく、まだ警戒が必要」としている。

また、2日から8日までに学級閉鎖などをした保育所や幼稚園、小中学校から報告された児童・生徒の患者数は10万3525人で、前週より約2万人減った。昨年11月からの累計は36万5020人で、昨シーズンに比べ4.6倍になっている。

(22:42)
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朝日新聞2003年2月9日
http://www.asahi.com/life/health/medical/K2003020900087.html

インフルエンザ脳症 子ども26人死亡

インフルエンザが原因の脳症によってこの冬、少なくとも26人の子どもが死亡していることが名古屋大学医学部の森島恒雄教授らの研究グループの調べでわかった。森島教授は「子どもが急に発熱し、少しでもインフルエンザの疑いがあったら、すぐに医師の診察を受けて欲しい」と注意を呼びかけている。

研究者や専門医で構成する厚生労働省の「インフルエンザ脳症研究班」が、全国の医師らのネットワークを通じて独自に集計した。1月末現在で0〜8歳までの子ども26人の死亡が確認された。2月に入っても報告が続いており、すでに同じ年齢層の子ども30人以上が死亡していると見られるという。

森島教授によると、この冬はインフルエンザ脳症を発症しやすい「A香港型」が猛威を振るっている。発熱から数時間で意識がなくなり、死亡した症例も報告されているという。

同研究班では3月末までに全国の保健所や病院などを通じて最終的な数字を集計する。森島教授は「今冬の被害は、我々の推計で約100人が死亡したとみられる97〜98年の冬に次ぐ規模になる恐れがある」と話している。

(02/09)
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●単なる参考のために、厚生労働省の関連サイトを示しておきます。
 国立感染症研究所は、新宿の人口密集地にむりやりP3施設を建設して
 危険な病原体の研究を続けているアブナイ研究所ですね。

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●インフルエンザ:感染症情報センター(国立感染症研究所)
http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-enc.html
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インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について

2001.11.30.更新


●インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について(平成13年5月30日)**NEW**
  http://www.mhlw.go.jp/houdou/0105/h0530-4.html
●小児のライ症候群などに関するジクロフェナクナトリウムの使用上の注意の改訂について(平成13年5月30日)**NEW**
  http://www.mhlw.go.jp/houdou/0105/h0530-3.html
●インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について
  緊急安全性情報(ドクターレター)
  http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1211/h1115-1_15.html
●インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について(日本小児科学会理事会)
  http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-enc.html#JP
●「インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について」厚生省より記者発表
  http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-enc.html#IES
●インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班の補足
  http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-enc.html#SG
●インフルエンザ関連脳症についての見解(日本小児感染症学会運営委員会)
  http://idsc.nih.go.jp/others/topics/inf-enc.html#IIC

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●●インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について

インフルエンザに関連しておこる脳炎・脳症に対するジクロフェナクナトリウム及びメフェナム酸の使用について、本学会の見解は以下のとおりである。

1999、2000年のインフルエンザ脳炎・脳症研究班(森島恒雄班長)の報告では、解熱剤を使用していない症例でもインフルエンザ脳炎・脳症は発症しており、その死亡者が5分の1を占めているところから非ステロイド系消炎剤が脳炎・脳症を引き起こしていることは証明されていない。
しかし、1999年のデータに比して2000年のデータではインフルエンザ脳炎・脳症が発症した場合の致命率についてはジクロフェナクナトリウムは有意差を持って高くなっている。一方、メフェナム酸に関しては2000年の調査でははっきりした傾向は認められなかった。
また、他の非ステロイド系消炎剤の使用については、調査症例数が少なく、現段階でその関連性が明確になっていないので、さらに調査が必要である。
一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。
以上より一部の非ステロイド系消炎剤はインフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではないが、その合併に何らかの関与をしている可能性があり、インフルエンザ治療に際しては非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである。
今後も本症の原因を含めてさらに研究班の継続した調査を要望する。

平成12年11月12日
日本小児科学会理事会

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●●インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について


平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:森島恒雄名古屋大学医学部教授)より以下の報告を受けた。

@平成11年1月から3月までにインフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した事例に対してアンケート調査を実施し、解析が行えた181例(うち小児170例)について解熱剤の使用の関連性について検討を行った。

Aその結果、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸が使用された症例では使用していない症例に比較して死亡率が高かった(表1)。
しかしながら、インフルエンザ脳炎・脳症においては発熱が高くなるほど死亡率が高くなることが知られており、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸はこうした重症例の解熱に使用される傾向にあることを踏まえ、さらに統計的な解析を行ったところ、これらの解熱剤とインフルエンザ脳炎・脳症による死亡について、わずかではあるが有意な結果を得た(表2)。

B本研究は、今後更なる研究が必要であり、これらの解熱剤とインフルエンザ脳炎・脳症による死亡との関連については、結論的なことは言えない状況と考える。


表1
-----------------------------------------------------------
全症例数  死亡者数  死亡率
-----------------------------------------------------------
解熱剤使用せず
  63    16    25.4
-----------------------------------------------------------
アセトアミノフェン
  78    23    29.5
-----------------------------------------------------------
ジクロフェナクナトリウム
  25    13    52.0
-----------------------------------------------------------
メフェナム酸
  9     6    66.7
-----------------------------------------------------------
その他の解熱剤
  22    5     22.7
-----------------------------------------------------------
(注)複数の薬剤が投与されている症例があるために、症例数の合計は181にならない。

表2
-----------------------------------------------------------
   オッズ比   95%信頼区間
-----------------------------------------------------------
アセトアミノフェン
    1.03    0.48-2.24
-----------------------------------------------------------
ジクロフェナクナトリウム
    3.05    1.09-9.21(P=0.048)
-----------------------------------------------------------
メフェナム酸
    4.6    1.03-20.49(P=0.045)
-----------------------------------------------------------
その他の解熱剤
    0.71    0.21-2.48
-----------------------------------------------------------
(注)発熱時の最高体温、年齢、発熱から神経症状発現までの日数を加味して多変量解析により解析した。

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●●インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班の補足

厚生省医薬安全局安全対策課より、インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤使用についての私共の研究班報告(インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班)の結果が発表されるとうかがいました。インフルエンザが今年も流行し始めた現在、医療の現場で混乱が起こることを私共は心配しております。発表したデータは客観的資料に基づきだされた結果ですが、症例数が解析には満足すべき数に達していない薬剤もあり、今後のさらなる調査が必要と考えています。

(1)インフルエンザ脳炎・脳症において発熱が高くなる程予後は悪くなります。
  (42度以上では100%死亡、41度以上では同42%)
(2)一般に今回問題となったジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸はこうした熱の下がりにくい子どもたちに使われる傾向にあります
(3)したがって表1の解釈にはこの点に配慮する必要があります。
(4)発熱時の最高体温を含めた多変量解析がおこなわれたのは、こうした様々な因子を考えにいれて評価する必要があると判断したためです。
(5)多変量解析の結果は表2に示しましたように、インフルエンザ脳炎・脳症の死亡と解熱剤のあるものに有意な差がでてまいりましたので、厚生省にご報告した次第ですが、その有意差はわずかなものでした。
(6)また、重要な点は、解熱剤を使用しない症例でも25.4%死亡し、また比較的安全と思われるアセトアミノフェンでも29.5%死亡が認められており、解熱剤だけが原因でこの病気が起きるわけではありません。

今後さらなる原因の究明と治療・予防方法の確立が急務と考えます。以上を研究班として補足させていただきます。

インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班

森島恒雄(班長、名古屋大学医学部保健学科)
富樫武弘(市立札幌病院小児科)
横田俊平(横浜市立大学小児科)
奥野良信(大阪府立公衆衛生研究所)
宮崎千明(福岡市立心身障害者福祉センター)
田代眞人(国立感染研ウイルス製剤部)
岡部信彦(国立感染研感染症情報センター)

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●●インフルエンザ関連脳症についての見解

    日本小児感染症学会運営委員会
   (小児感染免疫1999,Vol.11,No.4,429-431)

福島市で開催された第31回小児感染症学会総会(会長鈴木仁教授、福島県立医大)において、インフルエンザ関係の演題が30題に上り、その内、インフルエンザ関連脳症の演題は15題を占めた。脳症の問題は、我が国の小児科臨床上の大きな問題となり、さらに社会問題となりつつある。本学会においても、脳症のいくつかの問題点について、現状での見解をとりまとめ、会員と全国の小児科医に情報を伝え、診断、治療などに混乱を招かないようにする必要がある。

●発生状況

厚生省の研究班「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究」の報告では、平成11年1月1日から3月31日までに、小児で、217例(そのうちインフルエンザの確定診断がついている例が129例)の脳症と考えられる症例があり、5歳までに全体の82.5%が含まれ、中央値は3歳であった。217例のうち、完全に回復したものが86例、後遺症の残ったものが56例、現在経過観察中が17例、死亡したものが58例であった。インフルエンザの発症から脳症の症状を呈するまでの期間は、平均1.4日であった。インフルエンザワクチンの接種例はなかった。

●原因

インフルエンザ関連脳症のほとんどの症例が、A香港型インフルエンザウイルス感染に伴って発症している。しかし、pathogenesisは現在のところ不明で、いくつかの説が提案されている。

1)インフルエンザウイルスが、ウイルス血症を介して、中枢神経系に侵入して、脳症を起こす。
2)インフルエンザウイルスが、ウイルス血症を介して、中枢神経の血管内皮細胞に感染しサイトカインが産生され、脳血管を障害し脳症となる。
3)インフルエンザの全身症状(高熱、頭痛、四肢痛、倦怠感)は、呼吸器細胞や単核球、リンパ球から産生されるサイトカインによって生じるといわれる。インフルエンザウイルス感染により、サイトカインが異常に強く産生され脳症を起こす。
4)欧米では、日本で報告されているような、インフルエンザ脳症の多発はみられないので、インフルエンザ感染に加えて、HLA、人種、薬剤等の要因も考えられている。


●解熱剤の使用について

脳症の多発が問題になるにつれて、欧米でのライ症候群とアスピリンの関係から、我が国でのインフルエンザ関連脳症についても、解熱剤が関与しているのではないかという懸念が広がっている。一部では、インフルエンザには、解熱剤を使用するべきでないという意見もでている。しかし、幼児のインフルエンザでは、高熱が持続するために、非ステロイド系抗炎症剤を使用せざるを得ない症例も多い。本学会では、解熱剤を使用していないにもかかわらず、脳症を発症した例も報告された。欧米でも、アセトアミノフェンと非ステロイド系抗炎症剤であるイブプロフェンの解熱剤は小児のインフルエンザ患者に日常的に使用されている。少なくとも、現在、我が国の小児科で中心的に使用されている、アセトアミノフェンの使用は、脳症の発症に関連はないとする意見が多数を占めた。


●診断

臨床経過からは、脳症の発症の可能性を予測することは出来ない。

脳症を疑う重要な臨床症状として意識障害があるが、発症患者に低年齢の幼児が多いこともあり、意識障害の出現を早期に見極めることは困難である。また、インフルエンザ脳症では、痙攣を伴う例が多数を占め、低年齢層では、ほとんどの症例にみられるが、熱性痙攣の好発する年齢でもあり、痙攣をもって脳症を予測することは出来ない。ただし、痙攣が長引いたり、意識障害が確認できる場合は脳症を疑う必要がある。

脳圧亢進症状を早期に発見することが重要で、髄膜刺激症状、精神症状(興奮など)を注意深く観察する。画像診断では初期には変化がみられないことも多い。

ウイルス診断としては、A型インフルエンザの迅速診断キットが発売され保険適応も認められた。これを利用すれば、ウイルス感染の有無は、約10分で診断可能である。鼻汁や気管内吸引物を検体とすれば、ウイルス分離と比較して、90%以上の感度が期待できる。

●治療
インフルエンザ脳症に対する確立した治療法はない。脳浮腫に対する脳保護療法、抗脳浮腫療法が主体である。アマンタジンがA型インフルエンザに有効であることから、脳症の治療にも試みられているが、現時点では、有効性について結論は出ていない。

アマンタジンは、A型インフルエンザ用の抗ウイルス剤であり、治療に用いると、発症後48時間以内ならば、軽症化が期待できる。本学会においても、小児のインフルエンザに使用して、有意な解熱効果が認められたことが報告された。

脳症は、ほとんどの症例が、A香港型インフルエンザ感染症に伴って発症しているので、多くの施設で、アマンタジンによる脳症の治療が試みられている。欧米では、脳症の多発はないことから、脳症に対するアマンタジンの用法、用量等に定説はない。本学会での報告では、5-8mg/kg/日、分2で、1週間前後の投与がなされている。意識障害のあるときは経胃管投与、意識回復後は、内服させている。嘔吐や胃出血のあるときは、アマンタジンの注腸投与も試みられ、経口と同程度、血中濃度の上昇することが証明された。アマンタジンの効果は、発病早期に、肝機能異常のない時期に投与が開始された場合は、有効例が多い印象がある。

インフルエンザ発症後、脳症を疑って、どの時点で、アマンタジンの投与を開始するかには、一致した意見はない。早期に使用すれば、作用機序から、有効性は高いと考えられるが、迅速診断でA型インフルエンザが証明され、特に痙攣が認められる例には、アマンタジンを投与することを奨める意見もある。しかし、耐性ウイルスが出やすいことや、副作用の点から、アマンタジンの使用に慎重な意見もある。

1歳以下の乳児での使用には反対意見が多い。


●インフルエンザワクチン接種について

インフルエンザ予防には、乳幼児であっても、ワクチン接種は、安全で有効な方法である。ただし、その有効性は、学童に比べると低く、特に、B型インフルエンザでの効果は低い。本邦の報告では、A香港型インフルエンザには、大きな抗原変異があった状況下でも、2-6歳児で、50%以上の感染防止効果が報告されている。

脳症の予防に、インフルエンザワクチンが有効かどうかはデータはないが、ほとんどの症例がA香港型インフルエンザに伴っており、ウイルス血症が発症に関与しているとすれば、有効と考えるのが妥当である。またインフルエンザ発病から中枢神経系に障害を起こすまで、1.4日と短時間であることから、インフルエンザ関連脳症では、治療は困難であり、むしろ予防としてのワクチン接種が重要という意見もある。

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