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イラク問題:査察追加報告の詳報(1)〜(3)一括 [毎日新聞]
http://www.asyura.com/2003/war23/msg/939.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 15 日 14:20:11:


イラク問題:査察追加報告の詳報(1)

 国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が14日行った国連安保理追加報告の詳報は次の通り。

<ブリクス委員長>

★査察の実績

 我々は(査察)能力を高め続けてきた。8機のヘリも十分活動している。飛行禁止空域での移動も改善された。ヘリの利用を多くするつもりだ。

 400回以上にわたり300カ所以上を査察した。すべての査察は抜き打ちで、立ち入りはほとんど迅速に認められた。いずれの査察でも、査察官が来るのをイラク側が事前に知っていたと納得できる証拠はなかった。

 工場、武器庫、研究所、大学、大統領宮殿、移動実験室、民家、ミサイル工場、軍の基地や農場まで全土で査察が行われた。これまでの査察で、イラクの工業、科学の状況や、ミサイルの能力についてかなりの知識を得た。しかし、すべてを知っているわけではない。98年12月から02年11月まで査察が中断した欠陥を効率的に補いつつある。

 200以上の化学物質、100以上の生物物質のサンプルがさまざまな場所で採取された。その3分の1を調べたが、今までのところイラクの申告と合致している。

 イラクが申告しUNMOVICが封印している50リットルのマスタードガスの廃棄に着手。3分の1は廃棄を終え、他の場所で発見したマスタードガスの生成過程で作られる物質も廃棄した。

★イラク側の態度

 UNMOVICがすべての場所に立ち入り、必要な設備を作るのを助けるようイラクが決定したように思える、と1月27日の報告で言った。その印象は続いている。査察を受けたこともない場所や大統領宮殿、民家などに、これまで問題なく立ち入りできている。

 査察を通して大量破壊兵器の廃棄を完結するためには、実質的な協力が欠かせないと前回の報告で言った。そのような協力には「ドアを開ける」以上のことが必要だ。国連決議1441が求めているのは、兵器廃棄に関して残された疑問を解くため、イラクが即時、無条件に努力することだ。

 バグダッド滞在中に南アフリカの代表団と会った。同国は核兵器廃棄の際、IAEAとの2年間にわたる全面協力によって、世界の信頼を得ており、代表団が説明した。さらなる会談のため、専門家を派遣したいという南アフリカの申し出をイラクが受けたことも分かった。

★説明不足

 これまでのところ、UNMOVICは大量破壊兵器を何ら発見していない。少数の空の化学弾頭だけで、それらは申告され、廃棄されるべきものだった。重要なことだが、多くの禁止兵器や物質が説明されていない。例えば、イラクの提供した資料によると、1000トンの化学物質が説明されていない。それが存在しているという結論に一足飛びにはいけないが、可能性は排除できない。あるなら提示して廃棄すべきだ。ないなら納得いく証拠を示すべきだ。

 炭疽(たんそ)菌、神経ガスVX、長距離ミサイルの問題は、真剣にとらえるべきだとイラクに伝えた。昨年12月7日に提出されたイラクの大量破壊兵器申告書は、疑問に答える新しい材料や証拠を提供する機会を逃した。

[毎日新聞2月15日] ( 2003-02-15-14:12 )


イラク問題:査察追加報告の詳報(2)


★ミサイルの射程

 イラクが提出したデータに基づき、安保理加盟国と協議した結果、申告された2種類のアルサムード2は射程150キロを超える能力があるとの結論に達した。このミサイルは国連決議で禁止されたもの。アルファタハミサイルについては性能を調べる前に、イラクがデータをはっきりさせることが必要だ。禁止されたバダール2000の製造に使おうとしたミサイル燃焼室の廃棄を命じた。

 ミサイルの発射実験装置は、データを調べたところ、禁止された兵器とは関連していなかった。380SA2ミサイルエンジンは、禁止された兵器だと判明したアル・サムード2に使おうとしていたとイラクから知らされた。そのようなエンジンも禁止されている。

★生物化学兵器

 2月8、9日の会合で、イラクは炭疽菌や培地、VXガス、ミサイル生産に関する資料を渡してきた。資料には新しい証拠は何もないが、資料を提示するのは、重要な問題に積極的に取り組もうとする姿勢を示しているとも言える。

 イラク側が一方的に廃棄したというかなりの量の炭疽菌と二つのVXガスの前駆物質については、確実な技術や分析方法によって解決されるだろうとイラク側は示唆した。我々はこの示唆を評価しているところだ。

★科学者聴取

 2月12日のイラク側からの手紙が重要だ。これには「91年夏に行われた化学兵器分野の一方的廃棄」に参加した83人の名前のリストがある。聴取可能な人物のリストが提示されたことは役に立ち、実質的な協力とみなされるだろう。生物兵器の分野で、同様のリストをイラク側が提出するよう信じている。

 イラク側との会合で立ち会いなしの(科学者への)聴取の問題は長時間、話し合われた。イラク側は、イラクの国内外を問わず、(科学者に)聴取に応じるよう促すことを確認した。これまでのところ、バグダッドでのみ聴取を行った。何人かはイラク当局者の同席を認めない限り聴取を拒否したし、中には録音を認めない限り拒否するという例もあった。以前に拒否していた3人が2月8、9日のバグダッドでの会合を前に聴取を受け入れた。これらの聴取は有益だとわかった。それ以後は聴取は受け入れられていない。

 バグダッドでの会合で、私とエルバラダイ事務局長は、大量破壊兵器に関する国連の禁止条項を実施する法律を制定するよう促した。生物・化学と核兵器の輸入・生産の禁止を含む大統領令が発せられたとの知らせを今朝受け取ったが、詳細を検討している時間はなかった。

★情報

 情報機関からの情報はUNMOVICにとって有益なものだった。一例を挙げると、そうした情報によって我々は(イラク人科学者の)自宅で主にウラン濃縮に関する書類を発見できた。

 (パウエル)米国務長官による米情報機関の情報の提示は、イラクが査察に備え、事前に対象施設を片付け、禁止された兵器開発の証拠を移動していたことを示唆した。そのことで一つの例に言及したい。

 それはイラクの武器庫近くで発見され、米国の分析家によって化学汚染除去車と確認されたトラックの件だ。これはイラク側から申告されており、イラクは査察を予測していた。我々は(米国務長官の示唆を裏付ける)2枚の衛星写真が、数週間の間をおいて別々に撮られたと気付いていた。(パウエル長官によって)報告されたこの場所での武器の移動は、査察に備えて禁止された軍需品を移動したものとも考えられるが、通常の活動だったとも考えられる。

[毎日新聞2月15日] ( 2003-02-15-14:12 )


イラク問題:査察追加報告の詳報(3)止


★今後の活動

 昨日、UNMOVICはイラク政府に対し、来週の早い時期にU2偵察機の使用を始める意図を伝えた。来週の終わりからフランス製ミラージュ戦闘機の使用を実現する準備を進めており、ドイツ政府によって提供される無人偵察機使用も準備している。ロシアの暗視機能付きアントノフ機提供の申し出は歓迎されている。こうした動きは、査察能力の一層の強化を図るとするフランスの最近の提案と一致している。

 地上移動、特にトラックによる移動の調査の可能性を検討することが我々の狙いだ。移動式生物兵器製造部隊に関する調査報告を考えた場合、そうした方法が査察の効果を高めるかもしれない。

★査察期限

 国連安保理決議1441(02年)によって「順守のための最後の機会」としてイラクに与えられた「大量破壊兵器廃棄義務」と同様、決議687(91年)や決議1284(99年)が想定した兵器廃棄は、いずれも短い期間内での実現を要求されていた。残念ながら、イラクに要求された査察における高い程度の協力は、91年には得られなかった。

 もしイラクが91年当時に必要な協力を提供していたならば、決議687による廃棄廃棄は短い期間で終わり、10年にわたるイラクへの経済制裁は避けられたかもしれない。今日、決議1441の採択から3カ月たった。もし、UNMOVICとIAEAがイラクから即時無条件の協力を得られるのならば、査察を通じての廃棄廃棄の期間は短くてすむだろう。

<エルバラダイ事務局長>

★現在の査察活動

 IAEAの査察は、主な核施設や関係者を割り出す「偵察の段階」から、米国が憂慮している点などを調べる「調査分析段階」に入った。1月27日の国連への報告以降、IAEAは19カ所で38回の査察を実施した。これまでの査察個所は計125カ所、177回。イラクはすべての場所で即時、査察を受け入れた。

★査察方法

 査察施設で水や植生サンプルを採取し、施設内外でガンマ線調査をしている。今後、ヘリによるガンマ線調査を行う。

 最近、イラク政府の立ち会いなしで科学者4人の聞き取り調査を行った。対象者はやり取りを録音した。聞き取り方法についてイラク当局との協議を続けている。先日、バグダッドを訪問した際、イラクは国内外での聞き取り調査に応じるように技術者に促すと約束した。イラクは300人の技術者リストを提出し、現在の職場も明らかにした。

★ウランの入手

 イラクが80年代以降、輸入していないと主張するウランについて、IAEAは追加的な情報を得た。(イラクのウラン購入に)関係したとされるアフリカのある国の協力を得て、さらに調べる。

★ウラン濃縮

 イラクが輸入したアルミ管が、ウラン濃縮に使われていなかったかどうかを引き続き調査中。イラクは通常のロケットに使う目的だったと主張しており、ロケット製造があったことを確認した。

 イラクはかつてウラン濃縮のガス分離機に炭素繊維を使っていたが、IAEAはイラクの炭素繊維入手に関する文書を多数入手した。文書を精査したが、ウラン濃縮に使われていない模様だ。引き続き調査する。

★HMX

 爆発性の高い爆薬HMX32トンについて、イラクはセメント工場の採掘作業など産業用に使ったと主張しており、追加的文書提出を受けた。引き続き調べている。

★レーザー技術

 1月16日にイラクの科学者の自宅で見つかった2000ページの文書は、ウラン濃縮を含むレーザー技術に関する内容で、会議議事録や機密文書もあった。だが、IAEAが得ていた以上の新たな情報はなかった。

★ほかの疑問点など

 先週、イラク側はIAEAに98年以降、不明となっていた(核)兵器や遠心分離機などについての文書を提出したが、新たな情報はなかった。

★今後の査察

 今後数週間かけて、IAEAは査察をさまざまな手法で拡大する。査察官や支援スタッフらの数を増やす。イラク国内外での聞き取り調査も増やす。リアルタイムの監視システムも拡充する。米国のU2偵察機なども利用したい。

★結論

 イラクが禁じられた核や核関連の活動をしていたという証拠は今日までに見つかっていない。だが、結論は出ておらず、安保理決議による権限を最大限に生かして査察活動を行いたい。検証システムを押し付けることによって協力が得られなくても、核兵器開発の有無を明らかにすることは可能だ。だが、イラクの協力は作業を早める。イラク政府が最近表明した(協力への)約束が実行されることを期待する。

[毎日新聞2月15日] ( 2003-02-15-14:12 )

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