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どうする日本:「大義なき力は暴力」直言 1年後首相は米支持 (毎日)
http://www.asyura.com/2003/war24/msg/1338.html
投稿者 えっくす 日時 2003 年 3 月 02 日 20:00:09:

どうする日本:
「大義なき力は暴力」直言 1年後首相は米支持


 「パスカルの言葉がある。大義なき力は暴力である、と」――。昨年2月18日、小泉純一郎首相は来日したブッシュ米大統領に直言した。

 直前の一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮を名指ししたブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言が物議を醸していたさなかの初来日。大統領は首相に「すべての選択肢をテーブルに載せている」とイラク攻撃を念頭に置いていることを示唆したが、首相はあえて自分の言葉で、国際社会の理解と支持のないイラク攻撃にクギを刺した。この発言は、周囲の日本政府関係者も驚かせた。

 17世紀のフランスの科学者・思想家のパスカルは、自著「パンセ」の中で「力なき正義は無力であり、正義なき力は暴力である」と記している。「首相はこれをアレンジして大統領に自制を促したようだ」と、ある外務省関係者は言う。

 7カ月後の9月12日。米国同時多発テロ1年を迎えたニューヨークで大統領に再会した首相は、「もう我慢の限界だ」とイラク攻撃にはやる大統領に「大義」を重ねて求め、「耐え難きを耐えるのも大事だ」と付け加えた。「2月よりもっと強い調子で大統領に戦争回避の努力を訴えた」(外務省筋)という。

 「パンセ」の引用から1年。単独攻撃も辞さない米国への対応をめぐって国際社会は分裂し、日本は米国の武力行使「支持」へと傾いた。日本にとっての「大義」は見えてきたのか――。

 昨年11月。国連はイラクに「無条件・無制限査察」を迫る安保理決議を採択し、米国のイラク攻撃に一定の歯止めをかけた。「米国の若者が死ぬのはブッシュ政権にとって得策ではない。我々はそう思い、いちるの望みを持った」。外務省筋はこう振り返る。

 首相にとって、大義とは「国際協調」、すなわち国連のお墨付きを意味した。米国が単独攻撃に踏み切れば、日本の世論の反発も強まる。

 しかし、今年1月28日の一般教書演説で大統領はイラクを「無法者の政権」と呼び、攻撃的トーンを一段と強めた。国際協調を犠牲にしてでも実力でフセイン政権を排除する、という米国の断固たる意思を感じ取った日本政府は、せめて新決議採択をと米国に要求する一方、「(新決議がなくとも)開戦は避けられないとハラを固めた」(外務省幹部)。

 こうした中、湾岸戦争や米同時多発テロとは違って「切迫した危機」が見えにくいにもかかわらず、イラク攻撃への構えをとり続ける米国への反発から、世界で反戦運動が起きた。国際社会では「米英対仏独露」の対立が激しくなった。

 2月22日。パウエル米国務長官を迎えた首相は会談冒頭から約20分間、熱弁をふるった。

 「(今回は)米同時多発テロとは状況が違う。だからこそ国際協調が大事だ。最後まで忍耐強くやってほしい」。新決議のないまま米国が武力行使に踏み切れば、支持する「大義」が一層見えなくなる――。そんな苦悩がにじんでいた。

 米国の開戦決意を変えられないなら、イラク攻撃の「大義」に代わる攻撃支持の名分をどこに見いだすか。浮上してきたのが、北朝鮮の核開発をめぐる脅威だった。

 「東アジアには北朝鮮の問題があり、日本は欧州とは違う国益がある。イラクに対して国際社会が一致して対応できないと北朝鮮にも間違ったメッセージを送る」

 2月19日、シラク仏大統領と電話協議した小泉首相はこう言った。冷戦が終わった欧州と、朝鮮半島という冷戦の残滓(ざんし)が近くにある日本は違う。イラク問題で国際社会が足並みを乱せば、北朝鮮はそれにつけ込んで瀬戸際外交をさらにエスカレートさせかねない――。首相は親日家のシラク大統領にこう訴え、「イラク問題での日本の立脚点は日米同盟」という立場を鮮明にさせた。

 国際社会はもはや米国を支えることでしか結束維持はできない、というのが政府の結論だった。「大義」という名の国際社会の支持と理解は、いつのまにか、イラクの次に控える北朝鮮への抑止効果としての側面にすり替わっていった。

 だが、パスカルを引用して「大義」を米国に説き、北朝鮮の脅威を仏に伝えたリーダーの率直な肉声は、国民には明確に響いてこない。川口順子外相は、国民との直接対話の場の1日のタウンミーティング(神奈川県横須賀市)でも「(武力行使への賛否を)今、言うことはできないし正しくない」と言った。

 戦後、日本は日米安保条約に基づき、日米同盟を基軸に国の安全を確保してきた。しかし、同盟を重視して「米支持」を打ち出す政府と各種調査が示す国民の8割がイラク攻撃反対という世論との開きは大きい。

 ある外務官僚は冗談めかして「日米関係を良くしよう、と取り組んできた人間は20人くらいしかいない。そのうち半分は外務官僚だ」と漏らす。日米安保体制とは一握りの外交当局者が危機管理してきた「密教の世界」(元外交官)だ。「米国についていくしかない」という政府当局者の論理と一般国民の実感、いわば草の根の「同盟意識」との溝が、イラク攻撃への日本政府の対応をめぐり噴出した形だ。

 米国の同盟国カナダは先月25日、安保理の歩み寄りを狙って、武力行使の可否を「3月末」に設定する調停案を安保理構成国に打診した。中東地域に原油の88%を依存する日本も、国益を踏まえた独自のアプローチはできないのか。ある外務官僚は「カナダのような行動は日本にはできない」と語った。「金縛りの日米同盟」なのだ。

 加藤朗・桜美林大学国際学部教授(国際安全保障論)は「イラク問題で日本は日米安保に軸足を置き、戦後復興資金を負担する従来の『カネで済ます外交』を続けようとしているが、中長期的に見れば、日米安保に代わる安保構想を自力で構築できるかが必ず問われるだろう」と話す。

 「北朝鮮の脅威があるから米国のイラク攻撃を支持するなら、北朝鮮問題がある限り、日本は米追随から脱却できない」(外務省幹部)。イラクと北朝鮮の危機は、日本の安保論議の限界を浮き彫りにしている。 【及川正也、白戸圭一】

[毎日新聞3月2日] ( 2003-03-02-03:01 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20030302k0000m010126000c.html

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