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シオニストはたんなる駒でありユダヤ人を代表しているわけでもありません
http://www.asyura.com/2003/war24/msg/975.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 26 日 21:25:09:

(回答先: GAME OVER なのはブッシュ大統領の方 投稿者 理佳子 日時 2003 年 2 月 26 日 19:00:13)


理佳子さん、初めまして。

興味深い論考拝読しました。

いくつかの点で前提的認識や判断が異なるのでレスさせていただきます。


● 「近代イスラエル」とは何か

シオニズム運動を基礎に19世紀末から始まったパレスチナ入植運動の背景を次のように考えています。

当時欧州に在住していたユダヤは、シオニズム運動を軸に分けると、「近代主義国家同化ユダヤ人」と「伝統信仰的ユダヤ人」に識別できます。


「近代国家同化ユダヤ人」:ユダヤ人としてのアイデンティティとしてユダヤ教を信仰しているが、その教義を生活規範とする意識が希薄なユダヤ人。フランスや英国でとりわけ顕著で、ドイツでも、第一次世界大戦でユダヤ人がドイツ国民として果敢に戦ったのでそのようなユダ人が多数だった。

「伝統信仰的ユダヤ人」:東方系ともアジア的とも言われるロシア領から難民として西欧に流入してきた人たちで、神秘主義やトーラー主義の信仰に篤かった。


シオニズムの創始者であるヘルツル氏は、同化ユダヤ人から狂信者として受け止められていましたが、彼自身も同化ユダヤ人で、「伝統的ユダヤ人」の流入で反ユダヤ主義が沸き起こることに不安を感じシオニズム運動を起こしたと言われています。

伝統的信仰に凝り固まっている東方系ユダヤ人が西欧社会に入り込むことで、反ユダヤ主義が復活し、自分たちの経済権益が脅かされるのではないかと考え、そのために、宗教価値観に訴えやすい東方系ユダヤ人を第一義的にはパレスチナに移住させるシオニズムという考えを確立したようです。
(ヘルツル氏はパレスチナがダメながら南米でもどこでもいう代替案を持っていました)
シオニズムは、西欧国民国家価値観とユダヤ教歴史観が歪に結合した近代特有の産物であり、その背景には富裕なユダヤ人が邪魔なユダヤ人を身近から放逐するという狙いがあったのです。

これは、欧米の経済面で力を持つユダヤ人が、イスラエルに対して経済的及び政治的支援は行っても、イスラエルに移住することはない現実からも理解できます。
現在も、イスラエルに移住するユダヤ人の中心は東方系です。
ロスチャイルド家に「イスラエル」が再興されたのだから、そこに移住すれば奨めれば、笑顔ながらも固く拒絶するはずです。

経済面で力を持つユダヤ人は、「イスラエル」に対する資金集めには協力しますが、それは同胞への支援という意識がある一方で、裏切り者の烙印を押されて活動に支障を来すこと恐れてという面もあります。

伝統的に経済的力を持っているユダヤ人は、商業及び金融業に従事している人たちです。
商人や銀行家は、土地に執着することなく、商業や金融業をより効率的に行える場所を活動拠点として選択するものです。
古代イスラエルの時点でも、イスラエルに居住するユダヤ人よりもイスラエル外のローマ帝国領に居住するユダヤ人のほうが多く(800万人)、ローマ帝国の人口の10%を超えていたといわれています。

現在、国際金融や国際商業で経済的利益を得ているユダヤ人は、年中物議を醸し中東という一大産油地域を不安定にしているイスラエルの存在を疎ましく思っています。
ただし、そういう意識が「近代イスラエル」の解体につながるには至っていません。
なんとかうまくパレスチナや中東諸国とうまく折り合いを付けて、共存を実現して欲しいと思っています。
このような意味では、非シオニスト・ユダヤ人は、イスラエル労働党的政策に期待していると言えます。


● 戦後世界で中東原油支配の道具となった「近代イスラエル」

米国とイスラエルの関係を考えるときには、第二次世界大戦後とりわけイスラエル建国後が中心になります。

シオニスト国家を中東の端に位置付けることで中東諸国との関係で恒常的な火種を燃やし続け、各国に政治的不安定と軍事力増強を押しつけてきました。

いわゆるイスラム原理主義勢力も、当初は、アラブ社会主義への対抗勢力として米英が育成した経緯があります。

米国は、覇権国家として、イスラエルを制御できる唯一の存在であると同時に中東諸国支配層に“安全保障”を提供できる存在として、中東に対する支配力を高めていきました。
(中東産油国は米国にとって兵器輸出の一大マーケットでもあります)

エルサレムは、既に、実質的なイスラエル支配地です。
(エルサレムをイスラエルの首都として認めれば、制御不能の反イスラエル運動が起きると考えているので容認されないだけです)
ガザやヨルダン川西岸も、入植地で覆われ、半分以上はイスラエル支配地です。

シオニストは、近代国家に同化した富裕ユダヤ人によってパレスチナに送り出され、続いては米英の中東支配の道具として使われてきた駒なのです。

もちろん、イスラエルは核ミサイルも保有していますから、イスラエルを解体しようと動く国家がその射程内に存在すれば攻撃も辞さないという狂信性は持っています。
しかし、それは、イスラエル国家存亡の危機以外には実行されません。

しかし、富裕ユダヤ人や米英に逆らったかたちの軍事行動ができるわけではありません。それらからの資金援助なしでは、攻撃されずとも、イスラエルを存続させることができなくなるからです。


● イスラエルはイラク攻撃を望んでいるか

シャロン政権は、ブッシュ政権のイラク攻撃に反対はしていませんが、かといって、積極的な“イラク叩き”を行っているわけではありません。

この問題については、『イスラエルがイラク攻撃を嫌うわけ』( http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/317.html )を参照してください。


● その他

>アメリカが執拗にイラクを攻撃対象にするのは、
>イラクがパレスチナ支援を止めないから。
>イラクも国民が本当に大事なら、戦争を回避したいなら、
>パレスチナ支援を止めればいいのだ。


ブッシュ政権は、パレスチナ支援とリンクさせてイラク攻撃を決意しているわけではありません。
そんなまったく利益にならない名目で膨大な資金を浪費する戦争を起こそうとすれば、メディアの総動員で叩き潰されます。

また、イラクを始めとした中東諸国がパレスチナ支援を止めたとしても、パレスチナの対イスラエル闘争がやむことはありません。
(中東諸国からの支援がなくなっても、パレスチナ人の生存を維持するために国連を中心とした国際社会が支援を増額して支えることになります。生存条件が満たされている限り、反イスラエル闘争は続きます)

米英がイラクのパレスチナ「テロ」支援を非難するとしても、それは、イラクを悪く印象付けるためや「テロの恐怖」を煽るために利用しているだけです。

このような意味で、イラクがパレスチナ支援を止めてもイラク攻撃が中止されることはありません。

イラク攻撃は、中東「近代化」の端緒として位置付けられたもので、イラク攻撃を機に生じる中東の大混乱のなかから中東全域を一気に「近代化]することをめざしていると考えています。


>で、パレスチナ難民を第三国に引き渡せばいい。
>例えば、日本。
>日本だって、イスラエルとアメリカにケンカして貰っちゃ困る。
>何故ならそうなると、アメリカは日本を保護したくても物理的に保護が不可能になる。
>現在、アーミテージが迎撃機を準備して日本を守る意志を見せている。
>が、そういう事も不可能になって行くかもしれない。

パレスチナに帰還したくても帰還できないパレスチナ人は、現在パレスチナに住んでいる人口よりも多く、中東全域に分散して生活しています。

殺されることになってもパレスチナを離れないというパレスチナ人も多数います。

あなたも、他国の人々の犠牲を代償に自国の安全を守るというお考えをおもちのようですが、300万人に達するかもしれない新たなパレスチナ難民を受け入れるほうが「日本の安全」に資するとほんとうにお考えですか?

(安全を脅かすものは、外からやってくるだけではありません。失業者が増加し、生活困窮者が増大すれば、内から安全は崩れていきます)

アメリカがどこから日本を保護してくれるとお考えかわかりませんが、アメリカを自国に関わりがない原因で起きる紛争から、自国を犠牲にしてまで日本を保護してくれると考えるのは錯誤でしかありません。


>フセインが独裁者だというのはある意味当たっている。
>彼の政策一つで本当は、何万ものイラク国民の命を救う術を
>フセインは単独で持っているのだから。
>フセインはイラク国民の命を救う事と引き換えに失脚するかもしれないが、
>国民は誰一人死なないで済む方法がある。
>イラクは良く考えるべきだ。

あなたは、フセイン氏が命を差し出しパレスチナ支援を止めれば、米国主導のイラク攻撃は行われないと保証できますか?

そして、軍事的な力を持つものが日本の政治的支配者の排除や政策の変更を迫ったときは、日本国民の生命を救うためにそのような選択をすべきだと思いますか?
(私はそれも選択肢の一つだと考えています)

歴史的に形成されてきた国際法や国際秩序を破り、道義的にも名分がないイラク攻撃を敢行しようとしているのは、米英(そして日本など)なのです。

イラク国民の命を貴重なものだとお考えならば、その理非を明確にするほうが先だと思います。

※ 参考書き込み

『【唾棄すべき妄言】「北朝鮮脅威」をリンクさせた米国支持論は理性なき暴論 【政府を超えた恥ずべき亡国論】』
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/260.html


>民主化し豊かになった後世では、人々はフセインを伝説の人物として称えるだろう。
>また、アラブ諸国は戦争に負ける事を恐れてはいけない。
>そんな事は表面的な事象でしかない。

あなたのような“ド腐れ”価値観を持っている人は、イスラム世界では少数派です。

西欧的「民主化」や「近代化」は、イスラム世界の多数派にとっては忌み嫌うべき対象です。
イラクの反フセイン政権勢力のほとんどは、フセイン政権が進めた「近代化」政策に対抗しているのです。

そして、神に背く侵略者を、日本のように“解放者”として受け入れることもありません。

それは、アフガニスタンの現状を冷静に見ればわかることです。


『【イラク攻撃の行方】 産油国の「近代化」には失敗し、ブッシュ政権には“悪の烙印”が押され、「近代」は終焉に向かう』
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/375.html


>重要なのは戦後の展開だ。
>日本は戦争に負ける事によって豊かになった。
>ベトナムは戦争に勝つ事によって貧しくなった

日本についてはそう言えますが、その代わりに、現状の日本政府やあなたのような価値観を持っていても“違和感”を覚えない人が多い国になりました。

ベトナムは、戦争で貧しくなったことは事実ですが、「ベトナム戦争」後は貧しくなったわけではなく、戦後日本のような経済発展の道を阻害されているだけです。
(南ベトナムの一部階層が、米国の援助と米軍が落とす金で豊かだったことは間違いありませんが)

多くのベトナム人は、南北分裂状況の解消と経済発展と秤にかければ、民族統一を選択するでしょう。だからこそ、戦争に負けなかったのです。


「イラク攻撃問題」にどう向かい合うかというのは、人間そして国家としての尊厳を投げ捨ててまで米国と抱き合い心中するのか、それとも、ぎりぎり最後の一線で尊厳を保つかの選択を行うことなのです。

それ以外にあれこれ判断の理屈を付けることができない選択を迫られているのです。


※ 参照書き込み

『感動的な書き込みを汚して失礼:「こんな事ができるのは人間だから」です』
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/452.html

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