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※紙面抜粋

※2026年5月1日 日刊ゲンダイ2面
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高支持率の裏側はボロボロだ トランプの黄昏と“バディー”高市の命運
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/387196
2026/05/01 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

一皮むけばボロボロ、似た者同士(C)ロイター
戦争終結に焦り、イランに核合意を迫るトランプは戦争前の各交渉に戻っただけ。何のための戦争で、どれだけの犠牲と混乱をもたらしたのか。
そのトランプと「最強バディー」を組む高市も一皮むけばボロボロだ。「原油は足りてる」宣言が命取りになる懸念、物価も今後は死活問題のレベルになるだろう。
◇ ◇ ◇
米国とイスラエルが始めたイラン戦争は、いっこうに終結の見通しが立たない。米メディアの報道も右へ左へだ。
苛立つトランプ大統領のために、米情報機関が「一方的な勝利宣言」での手じまいを検討しているとロイター通信が報じたら、その翌日、戦闘終結に向けてイランが示した新提案をトランプが拒否する意向だと米ニュースサイト「アクシオス」が伝えた。イランが譲歩しなければ「短期間かつ強力な爆撃」を行う計画も策定したという。
「降参したと口にすればいいだけだ」
イランについてトランプは4月29日、記者団にこう豪語した。そして「現時点では、核兵器を一切持たないことに同意しない限り、合意が成立することはない」と強調。核問題を巡る米側の要求に応じるまで、イラン港湾に対する海上封鎖(逆封鎖)を継続するという。
また始まった。TACO大統領の毎度の脅しの手口である。
イラン側の新提案は、米国が港湾封鎖をやめて戦闘を終えれば、イランが事実上封鎖を続けるホルムズ海峡を開放するというもの。一方で、核問題を巡る交渉は先送りする内容だとされる。これを拒否するトランプは、核兵器保有の永久阻止にこだわっているわけだ。
しかし、ちょっと待って欲しい。米国とイランは数年にわたって核協議を続けてきた。直近でも2月26日にスイス・ジュネーブで閣僚レベルの協議が行われ、仲介役のオマーンの外相は「大きな進展」があったと話していた。その2日後、トランプは国際法違反が明確な騙し討ち軍事攻撃に踏み切ったのだ。
それから2カ月。イランに核合意を迫るトランプは戦争前の核交渉に戻っただけじゃないか。一体、何のための戦争なのか。その結果、どれだけの犠牲と混乱をもたらしたのか。主権国家や人命を軽んじすぎている。
パスポートに肖像画!
「イラン側は核開発を5年間は止めると言っています。一方で米国側は永久を求めている。しかし、例えば、大統領や外相が約束できるのは自身の任期までであり、『永久』という約束には意味がありません。つまり、核合意の要求はイチャモンのたぐいで、むしろ、トランプが一番の問題だと考えているのはホルムズ海峡の封鎖です。かつて自由に航行できていた海峡を、イランが制圧し、湾岸諸国をコントロールできる“武器”を手に入れてしまったのですから。米メディアはそこを突いて、今回の軍事攻撃は『トランプの敗北』と見ています。米国にとって長期的にマイナスな行動だったという評価です」(元外務省国際情報局長・孫崎享氏)
原油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖により、世界経済は既に大混乱だ。
世界銀行は28日、原油などのエネルギー価格について今年は昨年比23.6%上昇し、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来の水準になるとの予測を発表した。
欧州では深刻な航空燃料不足で、航空大手の欠航便が出始めている。6月にも欠航が一段と広がる恐れがあるという。
グローバルに人、モノ、カネが動かなくなる。米国第一主義のトランプ支持者は我関せずかもしれないが、ホルムズ封鎖と無関係な産油国の米国も原油価格高騰のダメージを当然、受ける。
米国ではガソリン価格がまた最高値を更新。それに反比例するようにトランプの支持率はつるべ落としだ。最新のロイター通信などの世論調査で34%となり、2期目の最低を更新した。理由はもちろん経済運営への不満である。対イラン軍事作戦の費用はこれまでに約250億ドル(約4兆円)に達したという。国民生活を考えたら他に使い道があっただろう。
トランプは3度目の暗殺未遂事件を受け、自らを「神に選ばれし者」とする思考にますます傾倒。自身をキリストに模した画像の連続投稿といい、ちょっとマトモな米国民ならのけぞるようなことばかりだ。建国250周年を記念する限定版パスポートの表紙の裏側にトランプの肖像画が印刷されるという。これに対し、カリフォルニア州知事(民主党)が「自身の肖像画入りの運転免許証を夏に発行する」とSNSに投稿して揶揄していた。トランプはもはや嘲笑の対象だ。
6月を迎える頃に高市首相は青ざめる

終わらないホルムズ海峡封鎖(C)ロイター
そんな黄昏のトランプと「最強バディー」を組む高市首相も一皮むけばボロボロだ。微減の調査結果も一部で出てきた高い内閣支持率はいつまで続くだろうか。「原油は足りている」と言い張る高市の頑迷が命取りになる懸念が高まっている。
建築現場や医療現場などで石油由来のナフサの供給不安が高まっているが、驚いたのは埼玉県の外食チェーン「ぎょうざの満洲」が5月1日から、関東地方の93店舗で持ち帰り商品「冷蔵生ぎょうざ(12個入り)」の販売を休止すると発表したことだ。生ぎょうざ自体は販売するが、ナフサを使った食品トレーが品薄となったための休止だという。
「ナフサは6月に詰む」と報道番組で発言した専門家に高市政権は猛反論だったが、トヨタ自動車系の部品会社幹部が「ナフサは5月末までは確保できているが、6月のどこかで懸念が出るという情報がある」(豊田合成・安田洋副社長)と発言するなど、産業界からは厳しい見通しが次々だ。
イラン戦争は終わりが見えない。30日の日経新聞の報道によれば、トランプ米国によるホルムズ海峡の逆封鎖は、この先まだ数カ月続く可能性もあるという。高市は30日の中東情勢に関する関係閣僚会議で、ナフサ由来の化学製品について「年を越えて供給を継続できる」との見通しを示した。だが、これまでの「大丈夫」路線の延長で考えると、真に受けることはできない。
ナフサはあくまで「川上」の原料であって、そこからエチレンなどさまざまな「川中」物質が作られ、「川下」の製品になる。ナフサの総量があっても、川下の現場では生産調整が始まっているのだ。やはり、6月を迎える頃に、高市は青ざめることになるのではないか。
「たとえ今、戦争が終わったとしても、ホルムズ海峡は機雷の除去に6カ月かかると米国防総省が分析していると報じられています。原油やナフサについては、この先、確実に危機的な状況がやってくる。国民生活のあちらこちらで、品不足や価格上昇が起き、それが明白に目の前に現れた時、それでも国民は高市内閣を支持するのでしょうか。見限るのではないですか」(孫崎享氏=前出)
「具体的な成果を出してほしい」
27日に首相官邸で高市と会った岸田元首相が、就任半年で高支持率を維持する高市を評価しつつも、「国民の期待に応え、具体的な成果を出してほしい」と言っていた。裏を返せば、「まだ成果が出てない」という皮肉に聞こえなくもない。
高市は政権発足から物価高対策を「最優先」と掲げてきたが、対策どころか物価はどんどん上昇。物価上昇率を国民の肌感覚より低めに予測してきた日銀も、ついに28日発表の展望リポートで今年度の見通しを1.9%から2.8%に大幅修正した。
狂乱物価はホルムズ封鎖の影響で、さらなる加速が必至だ。今後も死活問題のレベルになるだろう。物価高は4年以上続いている。食料品は度重なる値上げだけでなく、内容量が減ったのもはっきり分かる。庶民はもうウンザリだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「高市首相は何の成果もあげていません。物価高対策はその最たるもので、中でも『悲願』とまで言った『食料品の2年間消費税ゼロ』を国会で議論せず、国民会議に丸投げ。そこで出てくる意見は、消費税減税に反対論ばかりです。おこめ券配布もガソリン暫定税率の廃止も石破政権からの引き継ぎ事項で、高市政権になってから新しく始めた物価高対策は何もない。国民は騙されているんです。この先、物価はまだまだ上がる。高市首相への幻想から早く覚めないと生活をボロボロにされてしまいますよ」
頼みのトランプ同様に高市にも黄昏が迫っている。
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