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※紙面抜粋

※2026年5月27日 日刊ゲンダイ2面
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またまた戦前回帰にワンピース 高市政権が情報を支配することに戦慄
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/388180
2026/05/27 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

国民そっちのけ(C)日刊ゲンダイ
国家情報会議設置法案が可決したが、政治的中立性を担保する文言もなければ文書もこれから議論というずさんの極み。こんな政権に内調、公安など日本のスパイたちが集結するのか。
折しも目に余る思想統制、情報非開示、教育介入、自衛隊の私的利用、名称変更の軍隊化。なぜ、こんな法案を急ぐのか。
◇ ◇ ◇
高市政権が「国論を二分する政策」と自ら位置付ける「国家情報会議」設置法案が27日の参院本会議で、自民党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立する見通しとなった。
同法案は首相を議長とし、官房長官、国家公安委員長、外相、法相ら計9閣僚で構成。現行の内閣情報調査室(内調)を「国家情報局」に格上げし、各省庁に対して情報提供を要求できる総合調整権を付与する仕組みだ。
「重大な危機を未然に防ぐためには、政策部門の的確な意思決定を情報部門が支える体制が極めて重要だ」
26日の参院内閣委員会では高市首相が出席して質疑が行われ、同設置法案を「改革の第1弾」と位置付ける高市はその必要性をこう強調。
高市はさらに次の段階として、人権侵害の懸念が大きいスパイ防止法の制定に加え、CIA(米中央情報局)などを念頭に国外でも本格的な諜報活動を行う「対外情報庁」や情報要員の養成機関の新設に向けた検討に入るとみられている。
大ざっぱに言えば、高市政権は国家情報会議の設置に合わせて情報要員の養成機関までつくるという事実上の“日本版CIA”構想を一気に推し進める気マンマン。このまま思惑通りに進めば、情報の上流から下流までを官邸が全て握る体制が整ってしまうことになるわけだ。
個人よりも国家を優先する高市政権の国民愚弄
同法案に対し、衆参両院の審議で野党が繰り返し求めていたのは「個人情報保護」と「政治的中立性」の明文化だ。
「個人情報やプライバシーを無用に侵害するような情報収集、提供を行わない方策を検討する」「国民からの情報取得を容易にする新たな捜査権限を新設したり、拡充したりするものではない」(8日の参院本会議)
高市は野党側の懸念に対して繰り返しこう訴え、さらに「国家情報会議」の設置後、「情報活動の中長期的な方策」を文書にまとめ、国会に報告、公表する方針を示していたのだが、26日の参院内閣委では公明党議員がこの文書の政治的中立性の担保について質問。すると、高市は「人材育成、先端技術の導入・活用、政治的中立性を損なう情報収集を行わないための具体策を議論したい」などと言っていたから唖然呆然ではないか。
今ごろ「具体策を議論したい」とは一体何なのか。これぞずさんの極みだろう。そもそも文書の骨格が整っていない段階で法案成立に前のめりになっていること自体、政策形成の順番が間違っているのだ。
中道改革連合は、法案修正で個人情報保護を明記し、政権に有利な情報操作を禁じる文言を入れるよう要求。しかし、木原官房長官は「必要な情報収集をためらえば国益に重大な影響を与える」と言ってこれを拒否していたから言語道断ではないか。政府が情報権限を拡大する法案にもかかわらず、情報取得の際の歯止めはナシというデタラメ。要するに個人情報やプライバシーよりも「国家の都合」を優先するという国民愚弄の高市政権の実体がよく分かるではないか。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「内調など既存の情報収集機関があるにもかかわらず、なぜ、今、新たな組織をつくる必要があるのか。しかも不備や問題が指摘されているにもかかわらずです。高市政権の特徴は国民に対して丁寧に説明する姿勢があらゆる面で見られないこと。何でも好き勝手に進めて、国民には『黙って従え』と言わんばかりです。一体どこまでこの内閣は暴走するのか」
民主主義の原則を理解していない戦後最悪、最低の悪女政権

国民の声は昨夜も…(C)日刊ゲンダイ
とりわけ同法案で問題なのは情報収集の対象範囲だ。政府の政策に反対する市民デモを監視対象とするのかについて問われた高市は「一般的に想定しがたい」としつつ明確に否定しなかった。
「想定しがたい」という表現は主観的な捉え方だ。つまり、市民デモが監視対象となる可能性は残っているわけで、政権批判を萎縮させる作用が働くのは避けられない。
野党側は、調査対象者の個人情報が過剰に把握される危険性を指摘。しかし、政府側は「関係規定にのっとって適切な運用を行う」と建前論を繰り返すばかりで、懸念を払拭する具体策はいまだに何も提示されていない。
過去の歴史を振り返っても、政治的中立性が確保されていない情報機関が民主主義国家にとって最大級のリスクとなるのは論をまたないだろう。
法案審議を巡る参考人質疑で、海渡雄一弁護士(第二東京弁護士会=秘密保護法対策弁護団共同代表)は、法案第7条について「各行政機関の情報をかなり強制的に取得できる根拠になっている」と主張。個人情報の目的外使用を認めている個人情報保護法(第69条)とともに使用されることで「各省庁が集めた個人情報が『国家情報局』に集中する可能性がある」「どういう情報を取得してはならないのか、どういう活動をしてはならないのかを法案の中に書き込んでほしい。そうでないと暴走を避けられない」と警鐘を鳴らしていたのも当然なのだ。
悪名高き国家総動員体制を想起させる動き
絶対的な政治権力があらゆる情報を握り、支配できる構図が整い、そこに第三者の監視が機能しなければ権力は容易に暴走する。まさに悪名高き国家総動員体制を想起させる動きで、またまた「戦前回帰にワンピース」と言っていい。
折しも最近の高市政権の国家主義的な動きは目に余るだろう。例を挙げれば枚挙にいとまがない。
自衛隊幹部の階級呼称を大佐などに変更して組織を軍隊化したり、東京都内のホテルで開かれた自民党大会に陸上自衛隊中央音楽隊所属の女性3等陸曹を呼んで国歌を斉唱させたり(私的利用)。
このほか、憲法が保障する思想・良心の自由や表現の自由が侵害される恐れがあるとして反対の声が強いにもかかわらず、高市の「肝いり」として「国旗損壊罪」の制定を急ぎ、沖縄県名護市辺野古沖の小型船転覆死傷事故では文科省が研修旅行を実施した同志社国際高(京都)の学習プログラムが政治的中立に反するとして教育基本法違反を認定。
その一方、26日に衆院本会議で審議入りした再審制度見直し法案(改正刑事訴訟法案)では野党などが求めていた再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)の全面禁止については後ろ向きだ。挙げ句、身内からも「大政翼賛会」と批判された新たな議員連盟「国力研究会」だ。
要するに高市政権の判断基準は「国家>国民」。「国民は国家に忠誠を尽くせ」という独裁的な国家観が透けて見える。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「高市首相は衆院選で大勝したため、有頂天になって好き勝手に何でもできると思っている。少数意見の尊重や説明責任を果たすといった民主主義の原則をてんで理解していない。おそらく、この勢いで憲法改正に突っ込む気でしょう。戦後最悪、最低の悪女政権です」
「新たな戦前」の始まりと言うのか、つくづくこの政権が情報を支配することに戦慄を覚えるではないか。
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