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■操作大豆、制限付き解禁、だが、種々の疑点 操作大豆、制限を加え臨時大統領が署名【ブラジル トゥデイ】
http://www.asyura2.com/2us0310/bd30/msg/184.html
投稿者 hou 日時 2003 年 10 月 10 日 23:28:52:HWYlsG4gs5FRk

http://www5b.biglobe.ne.jp/~bravo/20031013.htm
 3日にわたる躊躇の後、アレンカル臨時大統領は種々の制限を挿入した遺伝
子大豆解禁の暫定令に署名した。内容は、1)遺伝子操作大豆の2003/04年の
植付を次ぎの制限付きで全国的に許可する。2)農家手持ちの遺伝子操作種子
の播種は認めるが、この種類の種子を購入してはならない。3)環境保存およ
びインディオ保護地区のおける遺伝子操作作物の栽培を認めない。4)操作大
豆生産者は環境、有機大豆栽培者、その他に与えるすべての損害に対し連帯し
て責任を負う。5)2004年末以後、操作大豆在庫は焼却しなければならない。

遺伝子操作大豆の制限付き植え付けを認める暫定令の官報出版へ回された
原稿が環境相による修正項目の挿入以前のものであったため、出版された官報
が誤報となり、取消し修正、号外を発行した。遺伝子操作の是非は専門家に任
せるとして、ここでは経済問題に限定して説明する。

栽培者は責任を持つ筈だが、実施に疑問

暫定令は遺伝子操作大豆栽培および販売する者に対し、30日以内に栽培へ
責任を持つ旨の書類に署名することを定めているが、検査官は全国で2,700
人、南リオグランデのみで操作大豆を植え付ける者は15万人。操作大豆栽培を
認められたのは手持ちの種子を使用、責任を持つとの書類に署名した者だけ
で、種子を購入または書類に署名しなかったことが証明された場合は栽培を駄
目にするという。だが、果たしてこれで統制することが可能であろうかと危惧
される。

検察総長、遺伝子操作解禁は違憲と提訴

 フォンテレス検察総長は10月3日、最高裁STFへ「来る収穫の遺伝子操作大
豆の植付を解禁する暫定令は憲法の5点に抵触する」との直接違憲提訴を提出
した。また、農業労働者連盟Contag、および与党『緑の党』PVも別個に同様の
訴訟を提起、いずれも、即時に解禁暫定令効力停止の仮処分命令を要求してい
る。

生産性の低い操作大豆の経済性

 南リオグランデの大豆農は非常に遺伝子操作大豆の栽培を好み、密栽培は
70%とも80%ともいわれる。しかし、他の州では操作大豆の栽培は少なく、例
えば、同じ南伯でもパラナ州は15%程度、ブラジル全土では10%に満たない。
なお、2002/03年の大豆生産はマットグロッソ1,310万トン(25.2%)、パラ
ナ1,089万トン(20.9)、南リオグランデ936万トン(18.0%)、ゴヤス636
万トン(12.2%)、南マットグロッソ408万トン(7.8%)の順。

南リオグランデ農業労働者連盟のピンヘイロ会長は「州内の生産者は操作
大豆を植え付けた者は決して有機大豆に戻ろうとしない。ヘクタール当りの経
費が有機大豆はR$300、操作大豆はR$60。その上、大豆収穫後の耕地は小麦ま
たはトウモロコシの無耕起栽培に適し、耕地準備費が不用となる」と説明す
る。他方、有機大豆を主とするパラナはヘクタール当り3,077キロ、ブラジル
全土の平均は2,800キロ。操作大豆の多い南リオグランデは2,400キロ、アル
ゼンチンは2,600キロと生産性において有機大豆の方が勝る。

生産性向上の著しいブラジル

ブラジル有機大豆の生産性は高く、2002/03年の平均はヘクタール当り
2,818キロ、特に操作大豆15%のパラナは3,016キロ、操作大豆のほとんどな
いマットグロッソは2,930キロ、70%以上の南リオグランデは2,680キロ、2
/3のアメリカは2,600キロ、90%以上のアルゼンチンは2,500キロと操作大
豆の生産性が劣る。

 国連農業機間FAOの資料からは「有機種を主とするブラジル大豆の生産性は
年2%の成長を示し、2002年はヘクタール当り2,570キロ、他方、操作大豆が
81%を占めるアメリカ大豆は96年以来、年0.04%づつ生産性が落ちており
2,520キロ」という。しかし、カンピーナス大Unicampのテイシェイラ教授は
「ブラジルの生産性は96年以来8.8%の成長、アメリカは1.8%に止まっており、
アルゼンチンの2002/03年の生産性は遺伝子操作大豆が導入される以前の97/
98年の水準である」と報告。サンタカタリーナ連邦大のメルガレジョ教授は
「米・亜の操作大豆生産性の問題は第5年になると明白になる。除草剤ラウン
ドアップ使用の大豆の根には菌が繁殖し生産性が落ちるが、この菌は他の除草
剤を使用した場合には現れない」と生産性低下の原因を説明した。

ブラジルでの原価差は約10%

2001年11月に出版された米国農務局USDA『アメリカとブラジルにおける原
価調査書』の資料に基けば、生産地はアメリカUS、ブラジルのパラナPRとマッ
トグロッソMTの3ヶ所、ヘクタール当り生産はUS45俵、PR50俵、MT50.4俵で計
算されている。ヘクタール当り原価はUSが591ドル、PRが297ドル、MTが311
ドル。その主な差は種子(US45ドル、PR14ドル、MT11ドル)、肥料は(21、
39、82)、農薬(56、61、67)、労賃(3、19、13)、その他変動費(62、
56、51)、固定費は償却費(126、35、41)、土地代(224、30、7)、その
他固定費(54、43、39)であり、一俵当りの原価は(11.72、6.60、6.23)。
これに港までの運賃(0.96、1.86、2.94)が加算され、港渡し原価は
(12.68、8.46、9.17)となる。

その後、2003年10月4日付のフォーリャSP紙に掲載された米国農務局USDA
およびSagypa、パラナ州組合機構Oceparにより計算された現在の大豆生産原価
は一俵60キロ当り、アメリカ(有機種11.86ドル、操作種11.43ドルにて差は
3.6%)、ブラジル(6.34、5.68、10.3%)、アルゼンチン(8.69、6.74、
22.4%)であり、アルゼンチンにおける操作大豆の優位性、ブラジル操作大豆
に対する両調査の差額が目立ち、後者が南リオグランデにて調査されたとすれ
ば、差が理解できる。

米国の弱みは土地代、ブラジルの強みは生産性

この原価を見れば、アメリカ農業の最弱点は土地代と償却費に集中してお
り、このような高い土地を使用しての農業はよほどの付加価値のある農産物あ
るいは現在行なわれているような補助金漬けでなければ成立しない点が判る。
生産面での他の特徴は遺伝子操作の影響と思われる米国の種子代の高さ、これ
に対しブラジル、特にMTは肥料代が高いのが特徴である。モンサントの遺伝子
操作大豆を使用した場合、人件費は原価に関して大きな比重を占めておらず、
ロイヤリティを含め種子代が上がるのは確かである。

遺伝子操作、EU裁判で認めたが消費者は別

 モンサントとシンゲンタの両社はヨーロッパ連合裁判所が遺伝子操作食料品
に有利な判決を下し、勝利の凱歌を挙げた。しかし、裁判所が認めたからと云
って、消費者が使用するとは限らない。ヨーロッパの消費者の70%は「遺伝子
操作産物を消費しない」との意見、食品と石鹸の大手、ユニレバーのブルグマ
ンス社長は「消費者が嫌というなら遺伝子操作産物は提供しない」と宣言し
た。ヨーロッパのように飼料にしか使用しなくても消費者は有機大豆を要求す
る。

中国は有機大豆の証明を要求、だが、本年は譲歩

それ故、大豆製品を直接、食品とする極東諸国が有機大豆を求めるの当然
である。中国との貿易が盛んとなり、その輸出商品のトップに大豆が挙げられ
る。遺伝子操作大豆が大きく取上げられる端緒を作ったのは昨年の中国への輸
出交渉、中国は遺伝子操作大豆の有無に関してブラジル政府の証明書を要求し
た。しかし、その後は譲歩し、2004年からは厳重に操作の有無を管理すること
を約束したが、有機大豆の方が好ましいことに変わりない。

 ブラジル大豆および関連製品の2003年の輸出量は粒にて2,130万トン、大豆
カス1,432万トン、油271万トンにて合計3,833万トン、83.1憶ドル。大豆粒
の主な仕向け先は中国が36%、オランダ17%、ドイツ10%、スペイン8%、日本
は5位で4%。大豆カスはオランダ28%、フランス21%、韓国6%。油はイラン
36%、中国16%、インド16%であった。日本では中国、韓国とともに直接、食
品として使用されるであろうが、有機大豆生産の最も多いブラジルからの輸入
の少ないのに驚かされる。

遺伝子操作作物、知らぬ間に消費者へ

 遺伝子操作作物は「その安全性が証明されていない」との理由にて、ブラジ
ルで禁止されていた筈である。だが、グリンピースおよび消費者保護研究所
Idecで調査した結果「遺伝子操作大豆ラウンダップレディおよび操作トウモロ
コシBT176は多くの市販商品に含まれている」と警告を発した。最も操作作物
の含有率の高かったのはペルディゴンのモルタデラ『ボログネラ』の12%(02
年3月のテスト)とサルシシャ『ペルディゴン』5%(01年7月)、BacOsの
ベイコンチップ8.7%(00年5月)、エストラのサルシッシャ8.0%(03年2
月)、ニッシンの鶏肉味カップヌードル4.5%(00年5月)など16商品がリス
トに載せられている。

除草剤製造も種子生産も手配済みのモンサント

 遺伝子操作大豆に関して、南リオグランデの大豆農は解禁に熱を上げている
が、表面では沈黙を守りながら、最も望んでいるのはモンサントであり、知的
所有権は既に所有権院Inpiへ登録済みである。種子と除草剤の双方を独占的に
販売できる以外に、ロイヤリティ収入1億ドルが得られる。例えば、本年植え
付けが解禁されたなら、種子は現在の約倍のヘクタール当りR$60を要するとの
予想、アメリカにおいても操作大豆種子は有機より56%高い。また、除草剤の
ラウンドアップはサンジョゼ・ドス・カンポス(SP)およびカマサリ(BA)の
2工場を有している。

 種子に関しては農産研究公社Embrapaとの技術協力契約中に「技術料金はモ
ンサントと交渉して決定されるが、モンサントが他社より直接徴収する料金を
越えてはならない」と記されており、パラナの技術開発中央組合Codetecおよ
び南リオグランデのパイオニア社との契約もほぼ同一内容であり、現在の暫定
令が承認されるならば、2005年または2006年には国産化され、価格は技術料金
を含めヘクタール当りR$150程度と見積られる。

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