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投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 09 日 22:31:24:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: Re: 日本近世と西洋近代の相違:被害者同盟について質問 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 10 月 09 日 20:44:21)


すみちゃん、レスありがとうございます。

>しかし英米のような徹底的に冷徹な寄生価値観に徹するところまでいくことができず、
>恐ろしく冷血な寄生からお人好しの平等的アジア主義まで実に幅広いスペクトルを
>持っていました。
>この不徹底と分裂につけ込まれたと総括できそうな気がしています。

>なぜこうなったのか?
>「西欧近代」との初遭遇で相手の正体がよく見えていなかったことかな?


「近代」の正体がよく見えていなかったということが究極的な要因だと思います。
そして、それは、成功した近代国家となり物質的生活条件も高くなった日本人の多くが現状に不満はありながらも、近代に愛着を覚える支えになっています。

英米にしても多数派は日本人と同じ感覚で、徹底的に冷徹な寄生価値観をおためごかしの空虚な理屈で覆って世界全体を宿主にしようとしているのは、ごく一握りの“彼ら”だけです。

今後の世界は、だらだらと続く戦争もですが、農産物は過剰気味で産業力もあふれんばかりなのに、飢えに苦しんだり満足に食事がとれない人が10億人を超えて存在したり、失業が増大したり実質給与が低下したり老後の年金はカットされるのはなぜなんだという意識を持たざるを得なくなります。

そのような現状認識が広がったときに、グローバリズムや「小泉改革」(民主党の改革も同根)といった政策で解消できると騙されてしまうのか、「近代システム」の基底にある病弊が先進国でさえ覆い隠せなくなった現象と捉えるのかで決定的な違いが起きます。

“彼ら”は、「近代システム」の終焉を自覚しています。
(産業的拡大を通じた吸い上げが行き詰まったことを理解しています。金融的手法で広く浅く吸い上げるしかないと考えています)

暴虐の近代が築いた諸力を新しく編成し直し、生存維持活動が楽になったり、勉学や娯楽に時間を費やしたり、お伊勢参りの物見遊山といったことに活用する手段とするか、それとも、稼ぎに日々追われても生活条件はそれほど良くならず、老後や身の安全に不安を抱えながら生きていくかたちで“彼ら”の宿主であることを続けるのかという重大な歴史的結節点が目の前に迫っています。


>しかし私には疑問が残ります。
>なぜこれほど「近代的価値観」を全面的に取り入れるに至ったかということです。

>私は、江戸時代から、金銭崇拝思想を持つ集団や個人が広く存在しており、それが明
>治時代にいたって西欧思想と共鳴したのではないかと思うですが。


支配層は先行していましたが、日本人多数派が「近代的価値観」を全面的に取り入れるに至ったのは、戦後高度成長期を通じてだと思っています。
(徴兵される心配もなく物質的生活条件が目に見えるかたちで向上したあの時代が、日本人を近代に取り込んだのです。そして、その残像が今なお日本人に近代にとどめていると思っています)

欧米の武力的威嚇が攘夷の無効性を悟らせ、一部支配層に近代化を志向させたとしても、それで利益を得るものは少数で、日本人多数派はなんでこんなひどい世の中になったのかと思っていました。

支配層の近代化の志向についても、それを目的とする立場とそれを手段とする立場に分かれています。(西郷隆盛は後者に属すると思っています)

初期の活動層は、西欧思想に共鳴したわけではなく、防衛的近代化という側面が強かったと見ています。
華族などの有閑層やその子息そして経済的利益を手に入れた財界は、瞬く間に西欧思想に共鳴し始めます。(フランス自由主義にはまった西園寺公望が有閑層の代表例です)
自由民権運動は、日本的近代に対するアンチテーゼとして西欧近代の思想をぶつけたもので、植民地がマルクス主義を含む西欧思想を支えに独立運動を起こしたことと類似的なものだと思っています。

江戸時代の豪商も国家に後押しされるなかで近代財閥となったのであり、国家の庇護のもとで自立的に近代財閥になったわけではありません。
近代的ブルジォアジーと言えるのは渋沢栄一や鮎川義介など限られた存在で、近代国家成立後に出現したものです。


経済的に豊かなものと乏しいものという構造は、近代に限らず普遍的に存在するものだと思っています。
おそらく、程度の差はあれ、近代後も続くはずです。


(「商品貨幣経済の発達に伴う村落共同体のしきたりの破壊と憑霊」という小松和彦氏の研究は面白いと思いますが、江戸期の都市を対象とした経済活動を通じた金銭蓄財で生じる村落共同体のバランス崩壊はたかが知れていると思っています。明治維新を契機とした入会地を含む土地の私有化と租税金納制そして以降絶え間なく深化する貨幣経済と小作農の固定化が農村共同体のバランスを崩壊させたと考えています)


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