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総裁選と総選挙 経済コラムマガジン
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 06 日 06:46:49:ieVyGVASbNhvI

 
03/10/6(316号)


総裁選と総選挙

絆創膏(バンソウコウ)政策
本来、本誌は経済を中心に扱うべきであろう。しかし今日の政府が行っている経済政策を見ていると、経済に対してどれだけ正しい見解を示しても、多くの場合、全くの無駄になる。あまりにも政府の経済政策が異常だからである。例えばデフレ経済の状態なのに、緊縮財政を目指すなんてとても考えられない。どうしても経済を問題にする前に、政治のあり方を考える必要がある。

例えば、銀行の不良債権問題では、本誌は、端的に言えばソフトランディング路線を主張して来た。ただし単にソフトランディング路線が良いというより、これと積極財政との組合せが是非とも必要と主張して来た。積極財政によってデフレを解決しながら、不良債権を処理する。仮に不良債権を蒸発させることができたら理想的と考えている。

しかし竹中金融担当大臣が最初に進めた路線は、緊縮財政を続けながら、銀行に早期の不良債権の処理を迫ることであった。いわゆる金融再生プラン、つまりバードランディング路線である。もちろん本誌はこれに強く反対した。しかし日銀に銀行の持株を買わせた頃から、政府の路線がまるで分らなくなった。とうとう最後はりそな銀行に2兆円の公的資金の注入である。しかも株主責任を問わない減資である。これはまさにソフトランディング路線である。ただし財政政策は変えないというのだから、実にいい加減で、中途半端な対処療法である。

先週号で述べたように、小泉首相は、新規国債発行枠30兆円を死守すると宣言しておきながら、税収が減ると増税せずに簡単に国債発行を大幅に増やす。そして「公約を守れなくても大した問題ではない」と開き直る。しかし財政は依然として緊縮型を堅持すると言っている。一体何をやりたいのかさっぱり分らない。

日本政府の経済政策が稚拙なため、財政赤字が急速に増えているのに、内需は増えない。したがって経済全体が外需依存型から脱却できない。このようなことをやっておれば、企業は輸出に活路を求めるしか方法がなくなり、経常黒字だけが増えることになる。この結果、為替は円高になる。しかし政府・日銀は、これでは経済が立ち行かなくなるので為替介入を行い、円高の阻止を図る。今年に入って介入額は既に13兆円と異常な額に達している。この資金が回り回って株式市場に流入し、株価だけが上昇している。


このように小泉政権は中途半端な政策をずっと続けている。小泉経済政策は完全に破綻している。しかし経済が最悪の状態に陥らないないように、政府は、財政の赤字を拡大し、銀行に資金を投入し、為替市場に大きく介入し、さらに株式を公的資金で買い支えている。このような状況なのに、驚くことに小泉首相は「改革の芽が出て来た」と言い出し始める始末である。

このようにどれだけ小泉政権の経済政策が間違っていると指摘し、その指摘が正しくとも、それだけの話である。政府と日銀は、問題が起ると、それに対して財政支出という名が付かなければ、どのような奇策までも使って小泉政権を支えている。筆者は、正直に言って、日銀が銀行の持株を買うと言い出した時に、日本の資本主義経済は終わったと感じた。

筆者は、通常では行わない政策を必ずしも否定しない。日本経済の状態が異常なのだから、それに対する政策も、通常では行わないようなものが含まれることは仕方がないと考える。しかしこのような政策を行うには、日本経済が異常な状態であることを認めることが先である。そして将来の展望を示しながら、このような通常では行わない政策を行うべきである。今の小泉政権の経済政策には、この将来の展望というものが一切見られない。

しかし今日、まるで絆創膏を貼るように、対処療法的に一連の異常な政策が行われている。これは政府が、過去の政策が完全に誤っていたことをどうしても認めたくないことが原因である。また一連の異常な対策によって経済が決定的に悪くならないため、「構造改革が進んでいないから経済が上向かない」「改革の芽がやっと出て来た段階」とボケたことを言っていても、構造改革派のエコノミストは延命できる。政府の政策担当者も、自分が矢面に立っている間だけは、経済の破綻だけは避けたいのである。しかしこのような中途半端な政策が続く限り、日本はデフレ経済から脱却できず、社会は荒れる一方である。

マスコミの自殺
このような小泉政権に、総裁選に果敢に挑戦したのが、亀井、藤井、高村の三氏である。三氏の共通する主張は、デフレ脱却のために一時的に財政の赤字を大きくしても、財政出動を行う点である。この政策は、現在日本国内に遊んでいる生産資源を活用することである。筆者は、これが正しい政策と考える。内需を拡大し、失業を減らし、為替が円高になるのを阻止する。特に亀井候補の主張する「10兆円のゼロ金利国債の発行」と言った実質的に国の借金にならない財源の確保策は、日本においては画期的な政策である。このような財源の確保は、今後年金を考える上で重要である。

しかし総裁選の結果は、ご存じの通りである。経済の疲弊が特に酷い地方でも小泉陣営が勝つという不思議なことになっている。総裁選については、実に色々なことがあったと筆者の耳にも入っている(総裁選はもう一度やり直すべきと思われるくらい酷い選挙戦であった)。しかし一つの重要なことは、マスコミの動きである。筆者の感想では、週刊誌は反小泉であり、新聞・テレビははっきり小泉支持であった。

実際、反小泉の政治解説者が番組を降ろされたり、異常な状態が続いた。このようなマスコミの状況を政治評論家森田実氏は鋭く批難している。森田実氏の意見を知ったのは、亀井静香勝手連のホームページ亀井静香勝手連のホームページhttp://www.nb-j.co.jp/katterenの掲示板に、この森田実氏のホームページを紹介する投稿があったからである。特に森田実の時代を斬るhttp://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/index2.htmlの9月16日からのマスコミ批難が注目される。

どうも新聞・テレビには関係者でグループが形成されており、ここの人々が論調を合わせることを頻繁に行っているらしい。しかし今回の総裁選の報道では、毎日新聞の突出した記事がいつも我々の間で話題になった。我々のメンバーの一人が毎日新聞に電話して、毎日新聞の内状を聞こうとしたほどである。この点で森田実氏も同様に、毎日新聞がとてもおかしいと言っているのが興味深い。

昔、テレビ朝日の椿報道局長が「細川政権は我々がつくった」と発言し、物議をかもし国会で喚問されている。結局、この人物はテレビ局を辞めたが、マスコミ界では同じことがその後もずっと行われているらしい。ただしこの事件以降、マスコミは権力寄りの行動が目立つようになったようである。もっとも権力と言っても、必ずしもその時の政権とは限らないようで多少複雑である。しかしこのようなことが事実なら由々しい問題である。しかし国民生活の現状を無視し、このようなマスコミの権力を誇示するこのような行動は、まさにマスコミの自殺行為である。


マスコミの影響は別にして、今回の総裁選の結果は、かなり自民党支持者の気持ちと乖離した結果になっている。中には「総裁選後に大きな政策転換がある」と言われ、小泉支持を打出した人も多いはずである。しかし総裁選後、小泉首相は「政策変更はない」と明言している。反小泉陣営はこれに対して「それ見たことか」と言っているが、大変なのは「政策変更がある」と説得して回った小泉支持派である。おそらく政策変更を前提に小泉支持を唱えた人々は随分と白けていると思われる。

過去の総選挙で自民党が大敗した時の特徴は、政策で決定的に失敗した時である。これをマスコミが増幅し、一般有権者に影響を与え、自民党は大きく議席を失っている。党首の人気自体は、ほとんど選挙結果に関係がない。むしろ党首に人気がなくとも運動員が危機感を持ち、活発に動いた時に自民党はけっこう善戦している。ちなみに前回の総選挙は、至上最低の支持率の森首相のもとで行われたが、自民党は善戦している。

党首の人気が選挙結果に影響するという話は、マスコミ自体の営業トークであり、マスコミの政治に対する脅しの一種である。けっしてマスコミの話を過大評価する必要はない。このようなことを気にして政治家が行動すれば、その政治家はマスコミの奴隷になるだけである。

むしろ総選挙の行方は、自民党の運動員が一生懸命に活動してくれるかどうかにかかっている。また、昔から自民党に投票している人は、あまり他の政党に投票することはない。しかし政府の政策に不満を持っている場合には、他党に投票するのではなく、投票に行かない。棄権するのである。今回の総裁選の経過と結果を見て、自民党の運動員と昔からの支持者がどのような行動を取るかがポイントである。

来週号は、日本の構造改革派のバイブルになったと思われる論文の一つを取り上げる。また総選挙についても引続き触れる。

総裁選の敗北で、亀井さんは気落ちしているのではないかという話をよく聞く。筆者は、最近ある政治家のパーティーに出席した。ここに亀井さんは来賓として招かれており、この政治家を激励するスピーチを行った。「総裁選は第一ラウンドであり、これから次のラウンドが始まる」とご本人はいたって元気であった。勢いが余って演台(高さ約20cm)から落っこちそうなるほどであった。一瞬ハッとしたが、もちろんなんともなく、むしろ出席者の笑いを誘っていた。亀井さんは、今日の日本人の中で一番元気のある人ではないかと思われた。

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