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【ちょっと古いですが】12歳・闇は晴れたか<上> 西日本新聞
http://www.asyura2.com/2us0310/nihon9/msg/223.html
投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 08 日 06:28:58:ieVyGVASbNhvI

 
「更正信じたい…」
「頑張れよ」。生徒はうなずいた 孤独感じる様子なく
 十二歳が四歳を殺害―。その衝撃から九十日目。長崎市の種元駿(しゅん)ちゃん=当時(4つ)=誘拐殺人事件で、長崎家裁は二十九日、中学一年男子生徒(12)の処分を決定した。「家庭と学校で見逃された障害」「母親の間違った改善努力」、そして「中学入学による環境の大きな変化」…。決定理由は、現代社会の「病理」には触れず、「障害」「家庭」「教育現場」を中心に男子生徒の「心の闇」を浮かび上がらせた。果たして、社会を震撼(しんかん)させた事件の真相は解明されたのか。処分決定を受け、あらためて事件を検証する。

 「児童自立支援施設に送致する」。伊東浩子裁判長が告げる決定主文を、生徒は神妙な面持ちで聞いた。
 二十九日、長崎家裁三階の少年審判廷。灰色のTシャツに紺色っぽい半ズボン姿。審判廷には裁判官や三人の付添人弁護士のほか、生徒の両親も初めて出席した。
 審判終了後。「頑張れよ」「(自分の)両親に手紙を書けよ」と弁護士から声を掛けられた生徒はうなずきながら、「はい」とだけ答えた。

 ■□失われた交友
 「こんなとこ逃げ出してやる」。少年鑑別所職員の注意に号泣して扉をたたき、本を机にたたきつける。
 処分決定要旨は、弁護士が「普通の少年」と語った印象とは異なる生徒の素顔を描き出した。幼稚園のころから、教師や親のしっ責に過剰に反応し、混乱状態となって学校や家から頻繁に逃げ出した生徒。同年代の友人と意思疎通ができず、その一方で、男性性器へのこだわりが異常に膨らんでいく。
 「対人的共感性の乏しさが顕著」「異常なこだわり」。家裁決定が「アスペルガー症候群」と指摘した生徒の障害を、親も教師も気づかなかった。母親は同級生にばかにされないよう付ききりで勉強を教え、寄り道したり、帰宅が遅れたりすると激しくしかった。生徒は追いつめられていった。
 ■□勘違いが発端
 事件当日の七月一日夕。帰宅が遅れた生徒は自宅に電話した。「お母さんは電話に出られない」と父の声。いさかいが続く両親は夫婦げんかの最中だった。
 母親が帰りが遅いのを怒っていると勘違いした生徒は、百円ショップではさみを購入。家電量販店に入った。ゲームコーナーに一人でいた駿ちゃんを見つけた。
 「お父さんとお母さんを追おう」。一緒に路面電車に乗り、夜の街を歩いた。「お父さんは駐車場にいるはず」と駿ちゃん。二人で近くの駐車場ビルの屋上に上った。生徒の男性性器への異常なこだわりが頭をもたげる。駿ちゃんを裸にし、体を傷つけた。
 泣き叫ぶ駿ちゃんに暴行を続ける生徒の目に、防犯カメラが映った。動転した生徒の頭に浮かんだのは「逃げる」ことだけだった。邪魔になった駿ちゃんを屋上から突き落とし、すばやく現場を離れた。
 「泣き叫ぶ駿ちゃんを見ても、ちゅうちょしたり、ふびんに思ったりした様子はない」。家裁決定はこう指摘した。
 ■□「確信はない」
 事件から三カ月。短いスポーツ刈りだった生徒の髪は少し伸びた。
 「遺族の心情を思いやることができない」「母と面会できなくても、他の少年と接触がなくても、孤立感や孤独感を感じる様子はない」―。鑑別所での生徒の様子から、更生へ向かう姿はまだ見えてこない。
 八月二十四日。駿ちゃんの両親が家裁で陳述した意見書を読み聞かせた弁護士は、生徒に聞いた。
 ―もし願いが一つだけかなうとしたら何がしたい。
 「(事件前の)六月三十日、七月一日に戻りたい」
 ―誰に対して一番悪いことをしたと思う。一人挙げてみて。
 「…」
 ―じゃあ、二人では。
 「駿君と両親です」
 家裁決定は、生徒の処遇について「専門家の援助を受けながら、障害がある少年に対応可能な特殊教育課程を履修させるべきだ」と指摘した。
 弁護士の一人は言う。「反省は深まっていると思うが、更生できるかどうか正直、確信はない。だが『あんなことは二度としない』という生徒の言葉を信じたい」
 二十九日夕、少年は国立武蔵野学院(さいたま市)へ向け、長崎空港を飛び立った。


20030930付朝刊

http://www.nishinippon.co.jp/news/2003/jiken/nagasaki/rensai/r030930.html

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