
※2024年3月23日 日刊ゲンダイ2・3面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋
安倍派裏金20年…ずっと仕切ってきたのは森喜朗
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/336601
2024/02/23 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし

清和会で講演する森喜朗元首相(2006年)/(C)日刊ゲンダイ
自民党が公表した裏金議員らへの聞き取り調査の報告書は、安倍派(清和会)の裏金づくりが20年以上前から行われていた可能性を指摘した。森喜朗元首相の会長時代と重なる。森は26年前の1998年から2006年まで首相在任中をのぞき、派閥のトップに君臨。裏金システムの起源と経緯を知る最重要人物だ。
裏金づくりの実態を解明する上で、森を追加対象とした自民の再調査はもちろん、本人の国会招致は欠かせない。森は入居金だけで億単位とされる都内のセレブ向け高齢者施設で悠々自適。夜な夜な高級ホテルのレストランで舌鼓を打つほど元気らしい。招致を拒む理由はないが、野党の要求に岸田首相はノラリクラリ。安倍派幹部5人衆が政治倫理審査会の出席に消極的だったのも、森に飛び火することを恐れたのだろう。
自民の誰もが忠誠心を競い合うようにかばう森は、ゴッドファーザーさながらだが、1年余りの短命に終わった首相時代は支持率1ケタに沈み、付いた蔑称は「サメの脳みそ」。しかし不人気政権の反動から、続く小泉純一郎政権がフィーバーを起こすと、森は「兄貴分」として力を高めた。
小泉人気で清和会は地歩を固め、05年の郵政選挙で党内第1派閥に躍り出た。小泉に続き、安倍晋三、福田康夫両首相を輩出。清和会支配の到来で森はいよいよデカイ顔に。安倍の死去で派閥会長が不在になると、お気に入りの5人衆による集団指導体制を呼びかけ、他方で蛇蝎のごとく嫌う下村博文元政調会長を派閥の中心から外すなど、やりたい放題。最大派閥のドンとして岸田の後見役のように振る舞い、キングメーカーを気取る。その力の源泉は他力本願の強すぎる運と言えよう。
12年の政界引退から10年以上が経った86歳の今なお、時の政権が屈服する姿は異常だ。ロシアのプーチン大統領の初就任は00年。当時、日本の首相としてカウンターパートを務めたのは森だ。以来、隠然たる影響力を誇示し続けるとは、かの国の独裁体制と変わらない。安倍派裏金20年と共に、ずっと仕切ってきた森の歴史的検証も必要だ。
20年以上の「改革」路線が低成長を決定づけた
森が率いてきた清和会は「文教族」のたまり場。この20年「新しい歴史教科書をつくる会」などの保守層とつるみ、教育行政を偏らせただけでない。所管の文科省を通じて宗教法人とも癒着。森の「神の国」発言が、神社本庁を母体とする「神道政治連盟」の国会議員懇談会で飛び出したのは必然だった。最たるものが統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との蜜月だ。長年にわたり「保守」「反共」で共鳴し、選挙支援などズブズブ関係を築き上げたのである。
こうして、うわべでは保守の顔を維持しながら、清和会はこの20年以上、米国流の新自由主義に邁進してきた。森政権時代の00年には「IT戦略会議」が発足し、そのメンバーに竹中平蔵氏を加えたのも「イット」と読み間違えた森だ。
今度の今度こそ逃げ切りは許されない
竹中氏は当時の中川秀直・官房長官を通じて森に政策提言し、所信表明演説の草案づくりに関わった。月刊誌「中央公論」(00年12月号)では、わざわざ森の名前を冠して「モリノミックス」と命名し、日本がとるべき政策をブチ上げた。「アベノミクス」に先駆けること13年前の話である。
こうして政権中枢に食い込んだ竹中氏は、次の小泉政権で民間大臣として入閣。新自由主義の権化が日本に残した負の遺産は数え切れない。
「小泉・竹中コンビは『構造改革』を加速。5年半の長期政権下で規制緩和、自由化、民営化、グローバル化を促進し、もたらしたのはデフレの長期化と格差の拡大です。12年発足の第2次安倍政権も新自由主義路線を継承。7年8カ月に及ぶ歴代最長政権のアベノミクスがダメ押しとなり、分厚い中間層は衰退の一途です。GDPの約6割を占める個人消費を支えてきた中間層が活力を失ったせいで、もはや日本は低成長から抜け出せない。日本のGDPはこの間、10年には中国に、昨年はとうとうドイツに抜かれ、世界4位に転落。それでも株価だけが空前の上昇を続けているのが、アベノミクスの円安政策と日銀の株買い支えの歪みを物語ります。外需頼みの財界と結託した清和会の『改革』路線で、日本はズタボロです」(政治評論家・本澤二郎氏)
清和会が政界を支配した20年間で日本全体が低成長で干上がる一方で、規制緩和などが生み出す怪しい金に群がる連中も後を絶たない。昨年死去した坂本龍一さんらが「緑と歴史を守れ」と反対の声を上げた都心の神宮外苑再開発。この東京五輪開催を足がかりにした再開発利権にも、森の関与が疑われている。
金とポストと利権を源泉に膨張してきたのが、常に森がデンと中心にいた清和会ではなかったか。それにしても醜悪な政治屋集団だ。まさに「今だけ金だけ自分だけ」。その象徴が派閥ぐるみの裏金づくりである。
「安倍派の裏金は5年間で6億円超。これだけの資金を集められた背景には、最大派閥と財界の癒着がある。安倍派のパーティーでは経済界のリーダーが率先して乾杯の音頭を取り、場を盛り上げたものです。国内は低成長、国際競争力も失い、税金にぶら下がる大企業のなんと多いことか。膨大な助成金、補助金、給付金の類いで経済を回しているから、そこに政治がツケ込む。新自由主義政策で経済のパイが縮小するほど、利権政治屋集団が潤うという清和会支配のパラドックスです」(経済評論家・斎藤満氏)
森はリクルート事件の昔から幾度となくカネ絡みの疑惑が浮上しながら、いつも逃げ切り、ウヤムヤの連続だ。五輪汚職事件でも検察に数回聴取されたが、元五輪組織委理事で盟友だった高橋治之被告の逮捕・起訴を尻目に放免。高橋側は法廷で森の証人尋問を求めている。裏金事件の今度こそは、森にシロクロ決着をつけさせるしかない。
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題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。