

関税交渉の“落とし穴”に…飛び入りトランプ大統領「安保タダ乗り論」展開、日本を脅した本当の狙い
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/370702
2025/04/18 日刊ゲンダイ
国益守る交渉役が自ら「格下」と言ってしまうようでは…(左が赤沢亮正経済再生相、=内閣官房HPから)
想定外の飛び入り参戦で案の定、高関税と安全保障の一体化ディールを持ちかけた。交渉役の赤沢経済再生担当相は言葉を濁したが、17日の日米関税交渉の席で、トランプ米大統領にいわゆる「思いやり予算」の増額を突きつけられたのは確実だ。
会談直前にトランプは自身のSNSで「軍事的支援の費用」を議題のひとつに挙げ、約50分に及んだ会談で従来からの「安保タダ乗り論」を展開したと報道されている。在日米軍の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を巡り、米国だけが対日防衛義務を負っているのは「不公平だ」と不満を表明したというのだ。
第1次政権期からトランプは日本側負担の大幅増額を迫ってきた。駐留経費の特別協定は5年おきに更新。当時の安倍政権は交渉を先延ばしする一方、トランプの言うがままに数千億円単位で米国製兵器を爆買いした。次のバイデン政権下で駐留経費の協定を更新し、年100億円の増額にとどめたものの、22年度以降5年間の負担総額は約1兆円超に上る。
現行協定の期限は27年3月末、トランプの任期は29年1月まで。次回は先延ばしが困難で、厄介な相手との本格交渉は避けられない。関税交渉との取引に使われるのは目に見えている。
再び迫られるのは米国製兵器の爆買い
またぞろ無意義な米兵器を買う羽目になるのか…(C)共同通信社
「トランプ氏の安保タダ乗り論は日米安保条約の半分しか語っていません。確かに5条で『米国による対日防衛義務』を規定する一方、憲法の制約上、米国を守れない日本は6条の『対米基地提供義務』に基づき、代わりに基地を提供している。しかも年度平均約2110億円の思いやり予算は安保条約上、日本側に義務のない負担です。他にもSACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費や在日米軍再編費、防衛省の基地周辺対策費などを加えれば、真の駐留経費は年間約8000億円を超えます」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)
さらなる増額は本来なら聞くに値しないが、「高めのボール」を投げて相手をビビらせるのが、トランプ流の交渉術。安倍政権時に負担4倍増を吹っ掛け、兵器を大量に買わせた成功体験に味を占めているのだろう。
「次はオスプレイ後継機『V280バロー』のトップセールスも考えられます。陸自配備分のオスプレイ17機を1機200億〜300億円で置き換えれば3400億〜5100億円、配備数を増やせば将来的に兆円規模のビジネスになる。トランプ氏の安保政策は米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の提言集に従っていると目され、その『プロジェクト2025』なる文書は中国を最大かつ真の脅威と位置づけています。地政学上も日本の防衛力を米国の名代として強化し、自前で兵器をもっと買えというわけです」(半田滋氏)
こんなムチャぶりに応じていけば、日本の国力は衰退の一途だ。
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http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/166.html