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2025年4月19日07時05分 〜
記事 [政治・選挙・NHK297] 関税交渉の“落とし穴”に…飛び入りトランプ大統領「安保タダ乗り論」展開、日本を脅した本当の狙い(日刊ゲンダイ)


関税交渉の“落とし穴”に…飛び入りトランプ大統領「安保タダ乗り論」展開、日本を脅した本当の狙い
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/370702
2025/04/18 日刊ゲンダイ


国益守る交渉役が自ら「格下」と言ってしまうようでは…(左が赤沢亮正経済再生相、=内閣官房HPから)

 想定外の飛び入り参戦で案の定、高関税と安全保障の一体化ディールを持ちかけた。交渉役の赤沢経済再生担当相は言葉を濁したが、17日の日米関税交渉の席で、トランプ米大統領にいわゆる「思いやり予算」の増額を突きつけられたのは確実だ。

 会談直前にトランプは自身のSNSで「軍事的支援の費用」を議題のひとつに挙げ、約50分に及んだ会談で従来からの「安保タダ乗り論」を展開したと報道されている。在日米軍の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を巡り、米国だけが対日防衛義務を負っているのは「不公平だ」と不満を表明したというのだ。

 第1次政権期からトランプは日本側負担の大幅増額を迫ってきた。駐留経費の特別協定は5年おきに更新。当時の安倍政権は交渉を先延ばしする一方、トランプの言うがままに数千億円単位で米国製兵器を爆買いした。次のバイデン政権下で駐留経費の協定を更新し、年100億円の増額にとどめたものの、22年度以降5年間の負担総額は約1兆円超に上る。

 現行協定の期限は27年3月末、トランプの任期は29年1月まで。次回は先延ばしが困難で、厄介な相手との本格交渉は避けられない。関税交渉との取引に使われるのは目に見えている。

再び迫られるのは米国製兵器の爆買い


またぞろ無意義な米兵器を買う羽目になるのか…(C)共同通信社

「トランプ氏の安保タダ乗り論は日米安保条約の半分しか語っていません。確かに5条で『米国による対日防衛義務』を規定する一方、憲法の制約上、米国を守れない日本は6条の『対米基地提供義務』に基づき、代わりに基地を提供している。しかも年度平均約2110億円の思いやり予算は安保条約上、日本側に義務のない負担です。他にもSACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費や在日米軍再編費、防衛省の基地周辺対策費などを加えれば、真の駐留経費は年間約8000億円を超えます」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)

 さらなる増額は本来なら聞くに値しないが、「高めのボール」を投げて相手をビビらせるのが、トランプ流の交渉術。安倍政権時に負担4倍増を吹っ掛け、兵器を大量に買わせた成功体験に味を占めているのだろう。

「次はオスプレイ後継機『V280バロー』のトップセールスも考えられます。陸自配備分のオスプレイ17機を1機200億〜300億円で置き換えれば3400億〜5100億円、配備数を増やせば将来的に兆円規模のビジネスになる。トランプ氏の安保政策は米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の提言集に従っていると目され、その『プロジェクト2025』なる文書は中国を最大かつ真の脅威と位置づけています。地政学上も日本の防衛力を米国の名代として強化し、自前で兵器をもっと買えというわけです」(半田滋氏)

 こんなムチャぶりに応じていけば、日本の国力は衰退の一途だ。

  ◇  ◇  ◇

 今回の日米関税交渉で日本が持参した危険な「お土産」とは何なのか? 関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/166.html

記事 [政治・選挙・NHK297] 石破政権「現金給付」はやっぱり見送り…自公のスカスカ経済対策に国民ガックリ(日刊ゲンダイ)

石破政権「現金給付」はやっぱり見送り…自公のスカスカ経済対策に国民ガックリ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370714
2025/04/19 日刊ゲンダイ


瞬く間に腰砕け(公明党の西田実仁幹事長)/(C)日刊ゲンダイ

 ホント締まらない政権だ。参院選が迫る中、自公与党内で浮上していた3万〜5万円の現金一律給付の見送りが確実になった。3年を超える物価高騰に終わりは見えず、いわゆる「トランプ関税」の影響は未知数。石破首相いわく「国難とも称すべき事態」に見舞われているのに、野党のバラマキ批判や世論のイマイチ反応に腰砕け。今後打ち出される「経済対策」はハリボテ必至だ。

 確かに、現金給付に対する視線は決して温かくなかった。報道各社による世論調査では、半数超が「反対」や「評価しない」などと回答。それで「カネを使って票を減らしたらシャレにならない」(自民党中堅議員)との声が上がり、少数与党では裏付けとなる補正予算案成立に難儀することから立ち消えになったのだが、SNSなどでは〈現金給付なし 減税もナシ〉〈結局、何もしないのか!〉などと幻滅が広がる。〈給付も減税も両方してほしい〉という本音が拡散中だ。

 そもそも、公明党は創価学会が支持母体で、現金給付に一家言ある。コロナ禍をめぐっては、自民党が「減収世帯限定の30万円給付」で着地しようとしたところ、当時の山口代表が官邸に乗り込んで安倍首相に直談判。「一律10万円給付」を押し込んだ経緯がある。世間には公明のゴリ押しを期待する向きも少なくなかっただけに、ガックリの乗数効果を生んでいるというわけだ。

消費減税はトランプ大統領も納得


本気に「国難」の心構えならば「消費減税」に踏み切るべき(C)日刊ゲンダイ

 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。

「円安物価高を招いたアベノミクスを始末するのは当然として、消費税の減税を断行すべきです。トランプ米大統領が目くじらを立てる非関税障壁には消費税も該当する。輸出企業は『輸出戻し税』の名目で還付を受け、大企業は年間数兆円もの恩恵にあずかり、販売競争力を維持している。さらに円安誘導もあって濡れ手で粟だった。政府にしても、インフレに比例して膨らむ消費税収にウハウハ。ですが、庶民は踏んだり蹴ったりです。いま消費減税に踏み切れば、有権者もトランプ氏も満足するでしょう」

 しかし、検討されている経済対策は3年にわたるガソリン補助金の延長、電気・ガス代の補助再開など。もっとも、資源エネルギー庁は17日から23日までガソリン補助金をゼロにすると発表。「トランプ関税」の影響による需要低迷見通しで原油価格は下落し、円安が緩和されたからだ。この傾向が続けば電気・ガス代の高騰も一服する。対策は小規模どころか、看板倒れのスカスカ。有権者をナメるのも大概にした方がいい。

  ◇  ◇  ◇

「次の首相」を狙っている高市早苗前経済安保相は石破政権を強烈批判。 声が大きい高市派に石破首相は押し切られるのだろうか。●関連記事【もっと読む】『自民・高市早苗氏が森山幹事長を猛批判!「減税」巡り党内で“内ゲバ”勃発の醜悪』で詳報している。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/167.html

記事 [政治・選挙・NHK297] 立花孝志、大逃げで大敗訴(チダイズム)


立花孝志、大逃げで大敗訴
https://chidaism.com/news/20250415-01/
2025年4月15日 - 5:35 PM チダイズム

 反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」の尊師・立花孝志が、兵庫県議会の百条委員会で委員長を務める奥谷謙一さんを名誉毀損で訴えていた裁判で、15日、立花孝志が請求の放棄をしたことで裁判が終わり、立花孝志の敗訴が事実上確定した。

 あとで立花孝志は「話し合いをしよう」などと屁理屈を述べる動画をアップしていたが、裁判で致命的な判決を下されることを回避するために放棄したのは明らかだ。

 「『NHKから国民を守る党』とは何だったのか?」(新評論・1650円)の著者で、この裁判を傍聴していた選挙ウォッチャーちだいは、「1ラウンドの開始のゴングと同時にタオルを投げてギブアップしたようなもの。たくさんのマスコミの前でこれほどの醜態を晒しておきながら、アホのN国信者にはアホであることを良いことに、もっともらしく言い訳をしている。あっさり騙されるアホのN国信者もN国信者だが、立花孝志という反社会的カルト集団の尊師の卑劣な人間性は、もっとマスコミに知られるべきだ」と話した。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/168.html

記事 [政治・選挙・NHK297] (5)「盗っ人に追い銭」外交の生け贄にコメを差し出してはいけない 令和のコメ騒動の深層 鈴木宣弘 東京大学教授(日刊ゲンダイ)

(5)「盗っ人に追い銭」外交の生け贄にコメを差し出してはいけない 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370474
2025/04/14 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し


前回は先送りされたが…(C)共同通信社

 輸入米が増加している。77万トンの「ミニマムアクセス」(最低輸入量)を超えたら、1キロあたり341円の関税がかかる。「禁止的関税」と言われ、この額を払ってでも入ってくる輸入米はないと思われていた。しかし、今回のコメ価格高騰で、その関税を払っても国産米より安く販売できる状況が生まれている。

 このタイミングで米国も圧力をかけてきた。「日本のコメ関税は700%」だという牽制がトランプ大統領からも発せられた。日本のコメ関税は重量税だから、その時点の輸入米価格によって税率は変化する。現在の国際価格だと700%という高率にはなり得ないが、米国は関税引き下げを狙っている。77万トンの「ミニマムアクセス」についても、マークアップ(輸入差益)を問題視し始めた。

 実は第1次トランプ政権からの流れがある。前回も25%の自動車関税で脅され、他の国は毅然と突っぱねたが、日本は「うちだけは許して。何でもしますから」という「盗人に追い銭」外交を展開した。

 日本の当時の交渉責任者は、記者会見で米国との今後の自動車関税撤廃の交渉にあたり、「農産品というカードがない中で厳しい交渉になるのでは」との質問にこう答えた。「農産品というカードがないということはない。TPPでの農産品の関税撤廃率は品目数で82%だったが、今回は40%いかない」と。つまり、「自動車のために農産物をさらに差し出す」ことを認めていたのだ。

生産者の崩壊、飢餓に陥る確率は急上昇

 まさに「属国が宗主国の言うことをすべて聞く交渉」がエンドレスに続く「底なし沼」だが、今回もこのような自動車の追加関税に怯えて、食と農を際限なく差し出す「盗人に追い銭」構造にはまることが懸念される。

 第1次トランプ政権での日米貿易協定で、日本は牛肉と豚肉への関税をTPP水準に引き下げると譲り、コメや乳製品の実施は先送りされた。牛肉関税は最終的に9%、豚肉関税は実質ゼロになった。すでに自動車関税の25%が適用されてしまった今、何とか見直しを懇願するため、農産物の「生け贄リスト」に残るのは日本にとっての最後の砦、コメと乳製品だ。これが前回の積み残し分で、本丸中の本丸だ。コメについては、少なくともTPP交渉で米国に与えた7万トンの無税新設枠の実現だけでなく、さらなる上乗せを求めてくるのは間違いないだろう。

 ここで踏ん張れなかったら、日本のコメ生産、酪農の崩壊は加速する。コメさえも輸入に頼ってしまったら、いざというときに日本人が飢餓に陥る確率が格段に上昇してしまう。恐れて墓穴を掘る愚を反省し、今度こそ日本の国益を毅然と主張して、日本の独立への一歩を踏み出したい。

 我が国は長らく、米国の要請に応えることが「外交」という「思考停止」を続け、独自の国家戦略、外交戦略を欠如させてきた。欧州などは、独自の国家・外交戦略を持っているから米国と対等に主張が交わせる。日本が独立国として米国依存を脱却して世界の中でどう生きていくのか、それを確立する機会にできるか。大きな岐路に立っている。 (つづく)

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 https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4587


鈴木宣弘 東京大学教授

1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/169.html

記事 [政治・選挙・NHK297] パブリックコメント20万件の衝撃 誰が何のために(国こそ何の為に集め如何に扱っているのか?)
 国家放送協会のこのニュースは、見出しでは「誰かが悪戯してるのだろう」と答えさせたいかのようだが。実際にコメントしている多くの人が知っているように、パブリックコメントはよほど大量に寄せられることでもないと「手続き」として冊子にまとめられ黙殺されるのが常だ。国などから「回答」があっても、其の殆どは国の立場を押し付ける「コピー&ペースト」のごとき類似文が並ぶだけとなる。さらに、記事中の「除染土利用」のパブコメなどは資料が難解で、どう書けばよいのか解らない問題があった。
問題なのは形骸化した制度のほうで、意見を寄せる市民ではない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ここから)
パブリックコメント20万件の衝撃 誰が何のために
2025年4月19日 17時36分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250419/k10014781621000.html

国が政策を決める過程で、国民から広く意見を募る「パブリックコメント」。

ふだんは数件から数十件というケースが多い中、ここ最近、ひとつの政策に1万件を超える意見が寄せられる異例の事態が相次いでいる。

政府は、一部の人たちが大量の投稿を行っていると分析。行政事務を妨げ、制度自体をゆるがしかねないと強い懸念を示している。

一体、誰が何のために大量投稿を行っているのか。

取材班はSNS上で繰り返し投稿を呼びかけていた複数の投稿者に話を聞くことができた。

そこで語られたこととは。

●対応省庁では夜まで残業も
先月、農林水産省の執務室では、多くの職員たちが夜遅くまで対応に追われていた。

食料不足などに備えた方針案についてパブリックコメントを行ったところ、およそ1万3000件の意見が寄せられたからだ。

これまでは数件から数十件程度というケースがほとんどだったが、一度に大量の意見が寄せられたことで職員らは読み込み作業に多くの時間を費やさざるを得なくなった。

意見の取りこぼしがないように、1つずつ丁寧に目を通し、内容ごとに仕分けして回答案を作成。上司の決裁も必要だ。

仕分けと回答にかかった時間は延べ500時間にも及んだ。

農林水産省によると、1か月の募集期間中にはXを中心に意見を提出するよう呼びかける動きが見られたという。

その影響か、特に最後の5日間には全体の半数以上にあたる7000件近くに急増。

しかし、寄せられた意見を分析すると、全く同じ内容のものが90%を占めていたことが明らかになったというのだ。

・農林水産省 河野研 企画官
「想定以上の件数が寄せられて戸惑っている部分もある。広く意見をくみ取って政策に反映させるためのパブリックコメント制度だが、職員が一つ一つ手作業でやっているので大量に意見が寄せられると、意見のくみ取りが難しくなるのではないかと課題を感じている」

●急増する1万件超のパブリックコメント
そもそも、パブリックコメント制度とは、国などがある政策やルールを決める際にあらかじめその案を公表して広く国民から意見を募集するものだ。

政策決定の過程に国民の意見を反映させる目的で2005年に今の形で導入された。

国が募集しているパブリックコメントでは、専用のホームページや郵送で誰でも意見を提出することができる。

1人が出せる意見の数に制限はなく、匿名でも提出が可能だ。

提出された意見は、募集した省庁が内容を検討した上で、反映すべきと判断すれば政策案を修正し、反映できない意見に対しては理由を回答することになっている。

自治体のケースだが、過去には川崎市がヘイトスピーチなどの差別的な言動を禁止する条例案について、パブリックコメントを踏まえて禁止する内容や期間などを修正するなど、実際に反映されたこともある。

国は毎年、数千件のパブリックコメントを募集しているが、2005年に制度が始まって以降、1つの案件に対する意見の提出数は数十件程度がほとんどで、ゼロという案件も少なくなかった。

中には、原発やエネルギー関係など賛否を二分するような政策案に対して、数千件や1万件以上寄せられることもあったものの、非常にまれだったという。

しかし、ここ数年で事情は大きく変わってきた。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250419/K10014781621_2504181048_0418110254_02_08.jpg
2020年以降、1000件を超える意見が集まったケースが10〜20件ほどに増加。

2024年に入って、1万件以上を超えるケースも急増している。

●20万件の意見 96%が「コピペ」
特に意見が多かったのが、環境省が2025年2月15日までの1か月間に募集した、福島第一原子力発電所の事故後に除染で取り除かれた土の再生利用に関する基準案についてのパブリックコメントだ。

1か月で20万7850件の意見が集まった。

異例の多さで注目されたものの、農林水産省のケース同様、同じ文面の投稿が多く見られた。

句読点や改行なども含め一字一句同じだったものを1件として数え直したところ、意見の数は8277件になったという。

つまり、20万件余りのうち96%は、ほかの意見とまったく同じ「コピペ」意見だったということになる。

環境省によると、中には同じ投稿者の名前で1000件を超える意見が投稿されたケースもあったという。

・浅尾 環境相
「職員はすべての意見に目を通す必要があるが、同一の方から同一の意見が大量に送られると、行政事務の適正な執行の妨げにつながる可能性もあり、パブリックコメント制度のあり方自体に影響を及ぼしかねない」

●SNSで広がる呼びかけ
政府はこうした大量投稿が行われている事態が相次いでいる背景に、XなどSNS上での呼びかけがあると見ている。

X上では、パブリックコメントへの投稿方法を拡散したり、意見のひな型を共有しながら提出を呼びかけたりする動きが見られるという。

さらに、提出件数を競う動きや、意見を提出した際に発行される通し番号で「キリ番」と呼ばれる区切りのいい数字を得たことをアピールする投稿も見られ、政府内では一種のゲーム感覚で行っているのではないかという疑念も持ち上がっている。

私たちは、20万件を超える投稿があった除染土の再生利用の基準案について、SNS上での広がりを分析した。

すると、「パブリックコメント(パブコメ)」「汚染土」というキーワードを含む投稿が、意見募集期間の終了間際の数日間に急増し、1万件近く拡散されていることがわかった。

政府は、意見が多数寄せられること自体は問題ないとしつつ、同一人物による大量投稿はパブリックコメントの趣旨にそぐわない上、個々の意見について丁寧に対応することが難しくなっているとして、AIを使って意見を集約するなどの対応について検討を始めた。

●パブリックコメント呼びかける投稿者に取材
一体、誰が何のために大量投稿を行っているのだろうか。

取材班は、さまざまなパブリックコメントについて呼びかけを繰り返している複数の投稿者に取材を試みた。

なかなか取材を受けてもらえない状況が続く中、このうちのひとりから「対面でなければ取材に応じても良い」という意向が伝えられた。

会社員の男性で、活動を始めたのは、ある施設の建設に関するパブリックコメントがきっかけだったという。

Q. 活動を始めたきっかけや理由は?
きっかけは、政治ネタを投稿している仲間がスペース(音声チャット)で集まる中で「パブコメ」という仕組みを知ったことです。

当時、長崎大学にBSL4施設(エボラウイルスなど致死率が高いウイルスを使った実験施設)が建設されるという話題があり、「なぜ日本に必要なのか?」「長崎大学内に建設されるのはおかしい」「メディアが報道しないのはなぜか」といった疑問が原動力となりました。

Q. 同一の案件について、1人で複数のパブリックコメントを投稿することはあるか?
はい、同一の案件について複数回投稿したことがあります。

その理由は、投稿数を増やせば行政機関やメディアが振り向き、問題を認識してもらえると考えたから。

大量のパブリックコメントが投稿されることで行政機関側が騒ぎ出し、「パブコメ」という仕組みが世間に広まるきっかけになると期待したから。

件数が増えることで、参加する楽しさや背中を押される感覚が生まれるからです。

Q. 政策決定や行政機関の業務への影響についてはどう考えるか?
行政機関に与える影響は限定的であると考えます。
行政機関側には、もっとAIを活用していただき、件数が増えたくらいでへこたれないでほしいです。

Q. どのように文章を作成している?生成AIも使う?
基本的に、自分で文章を作成しています。
ただし、他の人の意見を参考にすることもあります。
具体的には、Xやグループチャットに投稿される文例を参考にしています。

また、AIについては、パブコメの意見募集に添付されている説明資料を解読する際に活用しています。

これらの資料は専門用語や役人言葉で埋め尽くされており、非常に分かりにくいため、AIを使って内容を理解しやすくする工夫をしています。

私たちの質問への回答からは大量投稿への問題意識は感じられず、むしろパブリックコメントという制度を知らしめることが目的だといった主張が繰り返し伝えられた。

●“政府のパブコメ運用に不信感”
取材を続けるうち、意外な申し出を受けた。

自分がパブリックコメントを始めるきっかけになったグループを立ち上げた中心人物にも、話を聞いてほしいという。

私たちは紹介を受けて、この人物とコンタクトを取ることができた。

除染土の再生利用の基準案や食糧不足に備えた方針案のパブリックコメントも主導したという。

Xでは、パブリックコメントの投稿手順や例文も紹介している。

メディアでの取り上げられ方に懸念があるとして、個人情報は明かさないとしながらも、取材は受けても良いという。

活動の狙いを聞いたのに対して語ったのは、政府によるパブリックコメントの運用に対する不信感だった。

・投稿呼びかけるグループの中心人物
「(パブリックコメントを)政策決定に反映していただければ良いと思うのですが、どんな内容の意見文でも、どんなにたくさんの意見文でも、結論ありきで強行されているのではないか?という疑念はあります。それではパブリックコメントを募集する意義とは何か?『とりあえず意見は聞きましたけど、反対意見はなかったですよ』そんなアリバイ作りに利用されないためにも、意見文を届けることは重要であると考えます」

その上で、何らかの規制が行われることへの警戒感も示した。

「(政府に)不利な投稿は『危険性を指摘する投稿』ということで制限される懸念があります。広く意見を募集するという姿勢と違うのではないでしょうか?今行政はこんなことをしようとしていて、それについて意見文を募集していると拡散する活動は『広く意見を求める』というパブリックコメントの趣旨と合致する活動と考えています。『数』に訴えるやり方に嫌悪感や危機感を持たれる方もおられると思いますが、『数』に頼るのが悪意ある人々と決まっている訳ではありません」

●“自分のことばで” 呼びかける人も
ただ、パブリックコメントを呼びかける人の中には、「コピペ」の投稿が増えている状況を快く思わない人もいる。

その1人、かおりさんは、微量の化学物質に反応して体調を崩す、メカニズムなどが不明の症状に悩まされていて、4年前から薬品関係や環境問題に関するパブリックコメントを投稿をしている。

かおりさんは、同じような経験を持つ人とSNSを通じてつながり、投稿を呼びかけているが、投稿者には自分たちの気持ちをそのまま伝えてほしいと話す。

かおりさん
「パブコメをみんなで増やしていく。私はこんな風に書きましたよっていう例が見られると、そこに着目すればいいのかとまた別の視点が加わってより内容が練られたいいものが送れるということもある。皆さん自分の言葉で書いてほしいので、私はコピペは推奨していないんです。こんな熱を持った内容を送ってきてくれるんだということで、省庁も意識が変わっていくんじゃないかという期待を込めているんですね」

●専門家“多数決の制度ではない”
パブリックコメントが大量に投稿される現象をどう見るか。

総務省の審議会の委員としてパブリックコメント制度の整備に携わった、学習院大学の常岡孝好教授に話を聞いた。

常岡教授は、多くの意見が寄せられること自体は望ましいとした上で、SNSを通じてコピペなどで大量投稿を呼びかける動きについては、制度の趣旨にそぐわないと指摘する。

・学習院大学 常岡孝好教授
「ある団体が構成員などに呼びかけて組織票のような形で投稿されるというケースはこれまでも多くあった。SNSで呼びかけるというのは、その形が変わってきたということだと思うが、パブリックコメントが多数決の制度ではないということがしっかり理解されていないことが、1人でたくさん出してしまうということにつながってるのではないか。パブリックコメントは民主主義的な意思決定を行うための制度だが、多数決とは違い行政がすくい上げきれなかった情報を吸い上げることに本来の趣旨がある。多くの人がそれぞれ意見を出すことによって大量の意見が寄せられること自体は関心の高さを示していると思うが、1人が同じ内容の意見を繰り返し送ることは制度の趣旨からも必要ない」

一方で、多様な声を政策に反映するというパブリックコメントの趣旨が必ずしも実現されてこなかったとも指摘した上で、政府が効率的に意見を収集、分析し、政策に取り入れる仕組みを整えることが必要だと話した。

「パブリックコメントによって内容が修正されるケースがあった一方で、行政側が提出された意見に対して通りいっぺんの回答しかせずぞんざいに扱っていたこともあった。また、パブリックコメントのタイミングが政策決定の最終段階になるケースが多いが、原案の策定段階で幅広い議論をして内容に反対する側の意見も検討しておけば、そもそも今回の大量投稿のようなことは起こらなかったのでないか。また、多くの意見が集まること自体は望ましいことなので、行政側には、今は文章を整理したり要約したりするソフトも発達しているので、大量に投稿があったとしても効率的に作業できる体制を整備してほしい」

●パブコメ大量投稿が投げかけることとは
相次ぐパブリックコメントの大量投稿を受け、政府は同じ内容の意見を複数投稿することに対して注意喚起を行ったり、「キリ番」獲得を競う動きへの対策として受付番号を受付順ではなくランダムに表示するなどの対策を始めた。

行政機関の事務に支障をきたすような事態は放置できないという危機感がうかがえる。

一方で、パブリックコメントの制度そのものに対する不満や不信感にどう対応するかが検討されている様子は見えない。

国民が直接政策に関与できる民主主義の重要なツールとして導入されたパブリックコメント。

今の制度になって20年、本来の役割を最大限果たすために何が必要なのか、考える時期に来ているのではないかと感じた。

(4月19日 サタデーウォッチ9「デジボリ」で放送予定)
(取材:科学文化部 橋口和門 島田尚朗/経済部 樽野章)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ここまで)
関連:
■万単位のパブリックコメントが届くからって…「AIで集約」アリなのか 数の重み「ガン無視」を心配する声
http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/159.html
投稿者 戦争とはこういう物 日時 2025 年 4 月 18 日 03:26:44: N0qgFY7SzZrIQ kO2RiILGgs2CsYKkgqKCpJWo

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/170.html

   

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