
※2026年4月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大

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※2026年4月27日 日刊ゲンダイ1面
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気づいたときはもう遅い この国のメディアは再び大本営発表タレ流し
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/387023
2026/04/27 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

会見でも一方的な高市首相(C)共同通信社
原油、ナフサの品切れがこれだけ顕在化しているのに、なぜ、政府の「足りています」発表をタレ流すのか。
高市政権が急ぐ「国論二分法案」の問題点や拙速をなぜ、きちんと報じないのか。
忖度報道から大本営の国策報道へ加速化しているメディアの劣化。
◇ ◇ ◇
予算案成立後、持論の「国論二分法案」成立にエンジンを吹かしている高市首相。先の自民党大会では改憲について「その時が来た」と力み、殺傷武器の輸出を閣議決定したと思ったら、間髪入れずに国家情報会議設置法案も衆院を通過させた。今後はスパイ防止法、対外情報庁設置法案、国旗損壊罪、皇室典範改正、安保3文書の見直しなど、高市色全開のタカ派メニューがズラリと並ぶが、恐ろしくなるのは、こうした動きについて世の中があまりに鈍感なことだ。
「平和国家」の理念を根底から覆す「戦争する国」づくりに動き出しているのに、野党は沈黙し、大メディアも大きく取り上げようとしない。ニュースの大半が岩手の山林火災というのは、やはり異様だ。だから、国民にも緊迫感が伝わらない。高市支持は高止まり──。
小沢一郎前衆院議員はSNSで<我が国の戦前の歴史を見てもわかる通り、あまり意識されないまま、その場の雰囲気だけで、国がどんどんおかしな方向へと向かっているとしても、それでも一度行くところまで行かないと皆が気づかない(中略)というのであれば、それはあまりに不幸なこと。その時はもはや取り返しがつかないこともあり得る>と書いていたが、この年代の政治家ならではの嗅覚であろう。時代のキナ臭さはもはや、覆い隠せないレベルである。
「6月に詰む」識者の見解は正しかった
とりわけ、昨今、酷いのが大メディアの大本営発表タレ流しぶりではないか。
「原油は足りている」「ナフサも足りている」と豪語する政府は今年4月4日、TBSの「報道特集」で「ナフサは6月に詰む。もうホルムズ海峡を通る一択しかない」と発言した境野春彦氏(エネ庁の有識者グループの委員でコネクトエネルギー合同会社CEO)に噛みついた。境野氏の発言の翌日に高市はXで反応、「国内需要4カ月分は確保している。指摘は事実誤認」と投稿、木原官房長官も会見で同じ趣旨の発信をした。そうしたら、他のメディアもすっかり沈黙し、ナフサ報道は姿を消し、境野氏がSNSでバッシングを受ける事態になったのである。
境野氏と高市のどっちが正しかったのかは、医療機関の悲鳴を受け、政府が備蓄する医療用手袋5000万枚を放出することを決めたことでも明らかだろう。境野氏の懸念は「当然」だったのに、首相が「事実誤認」と息巻き、TBSにも抗議が行った。明らかな情報統制で黒を白と言いくるめてしまったのである。
まさしく、「勝った勝った」の大本営発表だが、そうしたことが当たり前になっていることにはギョッとするのだ。
米イ決裂でナフサ不足はますます深刻
その境野氏は今月25日、東京新聞の「こちら特報部」に登場、高市に反論していたが、<『詰む』という表現では甘かったと思っている>と言い切った。
<(高市氏の国内需要4カ月分という発信は)ナフサから分解された基礎化学品以降の『川中製品』の在庫2カ月分をナフサ自体の2カ月分に単純に加えており、正確な表現ではない>
やはり、統計の“いいとこどり”だったのである。
実際、日本塗装工業会は供給不足を政府に申し入れているし、ユニットバスが納入できずにリフォーム工事も滞っている。
そこに持ってきての米国、イランの2回目交渉は面会すらできずに流れてしまった。ホルムズ海峡はイランが封鎖し、その周りを米国が海上封鎖するというバカげたチキンレースが続いている。6月を待たずにナフサは詰むのではないか。高市らはトランプの大ボラを信じて、楽観情報を振りまいたのか、買い占めを懸念した確信犯か。だとしたら、他に表現法もあるだろうに、国民をなめているとしか思えない。
ほとんどの経済学者が高市石油政策批判
原油についても同様だ。高市は「備蓄はたっぷりある」「年を越えて供給を確保している」として、「石油危機再来」を否定。節電節制などの需要抑制策もかたくなに拒否し、補助金をばらまいて、「ふつうに使って」と煽っている。赤沢経産相にいたっては石油供給不足への懸念を「ホラーストーリー」とまで言った。とはいえ、こんな発言も大本営発表よろしく、大メディアがタレ流してくれるものだから、マトモな意見が「異端視」「パージ」されていく。高市シンパが席巻するSNS上で餌食にされて炎上する。かくて、言論は封じ込まれていくのだが、実態はといえば、今も原油は足りないのだ。
日経新聞は25日、50人の経済学者に政府の原油高対応についてアンケートし、その結果を報じていたが、「消費抑制策が必要」が66%にも達した。これがまっとうな意見というものだ。
人気のための補助金は百害あって一利なし

消された国会前デモのニュース(C)日刊ゲンダイ
「ホルムズ海峡封鎖による1日当たりの石油供給停止量は世界規模で1500万バレルと見込まれています。これは、1973〜74年の第1次石油危機での430万バレル、79〜80年の第2次石油危機での560万バレル、2022年のウクライナ戦争勃発による300万バレルの合計1290万バレルより、16%も大きな規模です。すなわち、第1、2次石油危機、ウクライナ戦争を合わせたよりも大きな危機が今、目の前で起きているのです。だから、経団連など財界は高市首相に石油の全面的な節約を呼びかけることを求めているのに、高市首相は耳を貸そうとしない。バラマキでガソリン価格を安く抑えれば、高支持率の維持につながると思っているからでしょう」
こう指摘するエコノミストの田代秀敏氏(テラ・ネクサスCEO)は高市政権の失敗について、こう続けた。
「恐らく、政府は総需要と総供給量というマクロの視点しか頭にないのだと思います。しかし、現場の経済はミクロの場面の集積です。欲しい主体が欲しい時に手に入らなければ、目詰まりが起こり、一カ所が詰まると次も詰まる。不足を避けるための買い占めが起きると、どうしても必要な主体、とりわけ医療従事者などに行き渡らなくなる。経済においては、需給の調整を価格が担ってきたのに、補助金をばらまけば、それほど必要ではない主体も買い占めることができるので品不足を助長する。ますます、市場は歪んでくるのです。こうした混乱を突いて、海外の投機筋が日本円と日本国債と日本株の売りを同時に仕掛ける『逆高市トレード』によるトリプル安リスクも懸念されます」
本来ならば、財界、学界などアチコチから「高市おろし」の狼煙が上がってもおかしくないのだ。
NHKはなぜ国会前でも報道を潰したのか
それなのに、高市が安穏としているのは、大メディアが今や、忖度どころか、政権の言いなりで、大本営発表に全面協力だからだろう。
NHKが改憲反対の国会前デモの報道を直前に差し替えたこともつい最近、話題になった。朝日新聞の田玉恵美編集委員が会見で追及、コラムで取り上げたものだが、それによると、現場は放送するつもりで用意していたデモのニュースが直前に厚労省の発表モノに替わった。現場には変更理由の説明なし。そのくせ、自民党大会での改憲への意気込み、異様な演出はガンガン報じているのだから、ふざけた話だ。
こんな調子だから、今後の「戦争準備法案」の行方も心底、心配になってくる。高市でさえ、「国論二分法案」と身構えていたのに、野党がすり寄り、大メディアも堕したことで「国論二分」にもなりゃしない。小沢が懸念するように「気が付いたら取り返しがつかない」ことになりかねない。衆院議員の有田芳生氏はことのほか、一連のインテリジェンス強化法案に敏感だ。
「プライバシーの侵害はしない、と首相がいくら国会で答弁しても『怪しい』となったら尾行するのが警察です。私は実際、オウム真理教事件の際に、のべ50人の公安警察に連日、尾行され、事務所に盗聴器を仕掛けられた。まったく気づきませんでした。そうなったら、監視されるのは私だけではない。私が会った人間、その人がまた会った人間と無制限に監視が広がっていく。中曽根政権の85年に自民党が提出したスパイ防止法案は、強力な政権下でしたが、野党とメディア、市民、世論が一緒になって潰した。この時を思い出すべきです」
さもないと、あっという間に国の形が変えられてしまう。そうなったら万事休すである。
http://www.asyura2.com/26/senkyo299/msg/540.html




題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。