木村愛二「アウシュヴィッツの争点」より:


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投稿者 にゃにゃ 日時 1998 年 12 月 21 日 19:54:29:

回答先: お手数です。。(^-^; 投稿者 倉田佳典 日時 1998 年 12 月 21 日 17:34:46:

 IHRについての全体的なイメージづくり、または「悪魔化」(米語でデモナイゼーション)
の第一の手段は、IHRの「創設者」、ウィリス・カルト(またはカート)の「正体暴露」(米語
でアンマスク)という手法によっている。解説は、つぎのようにつづく。
「アーヴィングは一回の講演につき、 一万ドル以上の支払いをIHRから受けとっている。だ
が、IHRの巨額の運営資金がどのように集まるかはさだかではない。謎の鍵をにぎるのはIH
Rの創設者、ウィリス・カルトである。カルトは、アメリカの極右勢力の黒幕といわれている」
 画面には、カルトが別途におこなっている資金カンパの行くさきが矢印でしめされる。解説は
つづく。
「ウィリス・カルトは、アメリカの反ユダヤ活動団体、リバティ・ロビーの主導者でもある。
さらに人民党を介して、デービッド・デュークなる人物とも親しい関係にある」
 矢印がカルトからリバティ・ロピーにのび、そこからつぎの矢印が「人民党」にのびる。そこ
からまたあたらしく矢印がのびて、デイヴィツド・デュークにつながる。解説はこうつづく。
「クー・クラックス・クランの元最高幹部であるデュークを、カルトは英雄的人物と称してい
る」
 人種差別の秘密結社として有名なK・K・K(クー・クラックス・クラン)の団貝が、三角帽
子の自衣装でタイマツをかざしたり、なげたりする儀式がうつしだされる。ウー、ウー、ウー、
ダン、ダン、ダンと、おもくるしい音楽をバックに解説がはいる。
「デービッド・デュークは、 一九九一年のルイジアナ州知事選に立候補し、落選はしたが四〇
%もの票を獲得した。 一連の右翼系団体はカルトを中心にむすばれており、デュークやIHRは、
その一部に位置づけられる」
 画面の地図のうえには、カルトを中心にした組織のつながりがしめされる。
 アメリカの非政府組織、市民運動の資金づくりや、運動への参加の仕方は、日本にくらべれば
格段にオープンである。どの運動も、相手の政治的立場を無視して資金カンパを要請するし、だ
す側も運動の内容にあまりこだわらない。だから、一人の出資者が、政治的主張がまるで反対の
運動に同時に資金カンパしているという現象も生じる。こうした現地の実情を知らないと、この
種の「悪魔化」にはひっかかりやすい。
 しかも、わたしには別に、IHRに借りがあるわけでもないし、組織としてのIHRの肩を持
つ義理もない。もともと、わたしの資料収集の基本方針は、日本の調査機関の典型だった満鉄調
査部などの原則に見習ったものだ。相手の組織や個人の思想、政治的立場などにいっさいとらわ
れず、可能なかぎりの関係資料、耳情報を収集して、比較検討、総合分析を心がけるのが主義で
ある。情報のゆがみは、すべての資料にあると思わなければならない。先入観による情報の排除
は禁物である。自分の目で見て判断すべきである。
 そういう立場からいうと、個別の資料の「行間を読む」とか「眼光紙背に徹する」とかいうこ
との方が重要なのであって、資料を読みもせずに「データベース」で発行元が云々などというレ
ッテル貼りでごまかす怠け者の記者などは、下の下の沙汰でしかない。
 わたしは一応、そう考えて、一時は、このカルトの問題をたなあげにしようと思ったのだが、や
はり、事実を正確に知るにこしたことはない。
 わたしがカリフォルニアの「歴史見直し研究所」を直接おとずれる決意をした理由の一つは、
このカルトの正体と「歴史見直し研究所」との関係をたしかめることにあった。この点でも、や
はり行ってみてよかった。意外も意外の事実が判明したのである。
『歴史見直しジャーナル』の編集長、ウィーパーは、わたしの質問を聞くなり頭を強くふって、
こう断言した。
「カルトとデイヴィッド・デュークの関係は間接的で漢然としたものでした。しかも、カルト
は昨年、この研究所と縁が切れました。ちょっと待ってください。資料をさしあげます」
 そういって立ちあがり、書類棚から取りだしてくれたのは、A4判で四九ページの「ウィリ
ス・カルトの歴史見直し研究所にたいするキャンペーン」と題する「特別背景報告」であった。
ウィーバーの説明を要約すると、研究所の中心的な創立者はアイルランドうまれの作家、ディ
ヴィッド・マッカーデンで、一九九〇年に死んでいる。カルトは共同創立者に当たるが、資金は
一セントもだしていない。日常の仕事をしたこともない。それどころか、研究所への出資金をく
すねて問題になった。ウィパーたちは裁判にも訴えて、カルトの追放に成功した。
 マッカーデンの方は、カルトと仲たがいして、途中で研究所を去ったという。
 帰国後には、『クリスチャン・ニューズ』(94・4・25)に掲載されたA4判でニページの記事の
コピーがおくられてきた。ウィーバーが執筆したもので、さきの資料とおなじく「ウィリス・カ
ルトの歴史見直し研究所に対するキャンペーン」という題になっていた。それによるとカルトは、
リバティ・ロビーが発行する『スポットライ卜』という週刊新聞の紙面で、「歴史見直し研究所」
にたいする攻撃をつづけているようである。
 アメリカのジャーナリスト、ジェームズ・リッジウェイの著書『アメリカの極右』には、IH
Rにかんする記述はない。だが、「『リバテイ・ロビー』のウィリス・カート」についての記述が
ある。「カート」がはじめて登場する小項目は「がたがたの人民党」である。以下、その要約を
しるす。
「カートは最初から人民党全米執行委員会の委員となり、このカートに、ビル・シアラーとそ
の配下のカリフォルニア・アメリカ独立党を加えた組織が、最初は党の中枢を形成した」。だが、
その後、「シアラーとカートは、主に金の問題で対立した。シアラーは、カートが『党を資金集
めに使って、集めた金を自分のさまざまな会社に流用している」と非難」した。人民党は分裂し、
カートが「再興」した方の人民党は、 一九八八年の大統領選挙でデイヴィッド・デュークを候補
者にした。 ヽ
 どうやらカルトは、よくある金にきたないハッタリ専門の政治ゴロのようだが、ともかくカル
トが現在では、「歴史見直し研究所」を支配するどころか、完全に対立関係にあることは確実で
ある。
『マルコ』廃刊事件以後、日本の雑誌にも「歴史見直し研究所」(IHR)についての記事が、
いくつか現われた。IHRそのものが独立した商業的組織ではなくて、「自由の存続のための軍
団」(Legion for the Survival of Freedom)という名の親(Parent)組織の下にある研究および
宣伝機関だったりするので、 事情はそう簡単ではないようだ。細部の論評は本書の続編に予定し
ているが、たとえば「宝島30』(95・4)の「差別表現問題としての『マルコポーロ』事件/ユダ
ヤ反差別団体の対日戦略」などの記述は、予備知識がなくても気をつけて読めばでわかるように、
新聞報道(わたしも入手)とSWCのようなユダヤ人エスタプリッシュメント組織が提供する資
料だけで記事を構成している。これが「大学教授」の肩書きの文章とは、とうてい思えないよう
な週刊誌風の記事づくりである。しかし、それでも、「[歴史見直し]研究所に内紛が起こり、カ
―トー[カルト]が追放されたという」などという、「という」つきの伝聞情報部分などは、逆
に、IHRの現スタッフが「反ユダヤ団体も設立」(同記事)したカルトの支配を、拒絶した事
実を伝えていることになっているから面白い。
(木村愛二「アウシュヴィッツの争点」p.272-277、リベルタ出版、1995)

−−− −−− −−− −−− −−− −−−

> > #倉田さんが持ってるかと思いましたが... ^^;
> 御時間のあるときでいいです。(^_^)
例によってちびちび投稿します。(^。^)

> この問題、実は、ずっとひっかかってまして、
> 関連資料がないかなーと思っていました。
そうですか、「マルコ」事件のときは
リアルタイムで資料収集されなかったですか?

私は某所でこれを取り上げて袋叩きに遭った経験がありますので(苦笑)
その後意地になって ^^;; 資料収集に精を出しました。^^

オウム事件に巻き込まれたのも結論が曖昧なまま
全く不幸な結果に終わってしまいましたね...



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