ソニーのIT革命戦士

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投稿者 記事転載’ 日時 2000 年 10 月 04 日 09:38:40:

回答先: IT宣教師の方のサイトは宝の山 投稿者 記事転載’ 日時 2000 年 10 月 04 日 09:16:18:

ソニーにもIT革命の担い手としての高潔な精神性をお持ちの方がいらっしゃるようであります。
日本経済はこのままでは生き残れない、駄目だ、逃げようが無い、創造的破壊は不可欠である、ぐずぐずするな、リストラせよ、中間管理職を解雇せよ、空洞化せよ、というIT革命評議会の皆様の苦言は日本をしてIT玩具の世界的発信地とした原動力であろうかと思います。

No.119  1998 9  科学技術庁 科学技術政策研究所
NATIONAL INSTITUTE OF SCIENCE
AND TECHNOLOGY POLICY
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IIASA(ルクセンブルグ宮殿)において

目次 [Contents]  <画像>T.レポ−ト紹介
  行政機構内外における科学技術政策推進のための支援体制 <画像>U.コラム
  IIASAを訪問して <画像>V.創立10周年記念シリ−ズ
  政策研の思いで5  「企業社会と政策研」 清家元特別研究委員 <画像>W.トピックス
  「個の発信」によるネットワ−ク価値創造の時代へ 前田客員総括研究官
  科学技術政策研究への期待 香月客員研究官 <画像>X.海外事情
  藤垣2研主任研究官海外出張報告
  木場2調上席研究官海外出張報告  <画像>Y.最近の動き
             

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「個の発信」によるネットワ−ク価値創造の時代へ


客員総括研究官 前田昇

  戦後めざましい発展を遂げた日本経済は、21世紀への入り口を前にして新しく生まれ変わるべく苦しんでいるようである。戦後の急速な発展は、明治維新の変革と共に近代日本の奇跡として世界史の中で語り継がれていくであろう。しかしながら追いつく目標を失った今日の日本経済は、従来の得意としていたキャッチアップパラダイムに代わるべきビジネスモデルを探しあぐねている様であり、バブル崩壊の時期とも重なり馬車馬のように働いてきた企業人の中には、虚無感を 持つ人も少なくないであろう。
 ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授は、日本企業にあるのは品質向上、納期短縮、コスト削減等のオペレーショナルインプルーブメントのみであり、いわゆる経営戦略といわれるものはほとんどなく、戦略無き日本企業に世界競争での勝ち目はないとまで言い切っている。最近の日米欧次世代産業基盤を築く動きを見ても、アメリカは「情報ハイウエー」、欧州は統一通貨「ヨーロ」と一言で表現できる巨大なシナリオがある。日本には「追いつき追い越せ」の次の産業を創造する為の巨大なシナリオが待たれている。その答えは「科学技術創造立国」だといわれても、判るような気もするが産業界にとって今一つピンとこないのではないか。例えば戦後の日本をリードしてきた巨大な電機業界や産業機械業界にとって、科学技術対応以前にビジネスとしての新時代対応の問題を解きほぐす必要が有りそうだ。新時代へのビジネスモデルを構築し、その構造の中で初めて新時代の科学技術創造立国が生きてくると思われる。日本のあの大成功した戦後ビジネスモデルの創造的破壊が必要な時代になっている。
 常なる創造的破壊こそが資本主義経済の発展の源であると説いたシュンペーターによると、イノベーションは、生産要素の「新結合」によりもたらされる。すなわち1)新商品 2)新生産技術 3)新市場 4)材料の新供給源 5)新産業組織 であり、これらの生産要素の新結合を企てることが「企業」(enterprise)であり,その実行者が「企業家」(entrepreneur)なのだ。このシュンペーターのいう「新結合」のコンセプトを今の時代に合わせて考えてみたい。価値の源泉が 農業→工業→情報→知識 と変化してきており、ボーダーレス、IT(情報技術)革命、規制緩和という三大潮流変化が押し寄せている今日、イノベーションを起こす「新結合」とは、「知識」を持った組織・個人がネットワークを通して結ばれた状況であると言える。その時の組織は専門性のある小集団の方が結合には有利である。これらの小集団あるいは個人を総称して「個」と呼ぶことにすると、これらの「個」が、組織の内外に向けて「発信」することにより、グローバルベースでネットを通して産業を越えて「結合」し、新たな価値を創造し得ることになる。三大潮流の変化はこれらの結合の促進剤となる。
 フィナンシャルタイムズの企業イメージ調査で3年連続1位に選ばれているABBと言う企業は、この「ネットワークによる個の発信」を最大限に取り入れて成功している企業と言えるのではないか。21世紀の企業形態を先取りしていると言われているこの企業は10年前にスエーデンとスイスの企業が合併してできた重電の企業であり、世界中の20万人の社員を5千の利益責任のある小集団に分けて、ネットワークで結ぶことにより、小企業でありかつ大企業、地方分権でありかつ中央集権、ローカルかつグローバルと言う相反するテーマをうまくバランスを取り経営している。40人ほどの小集団は企業内の他グループに向け自分たちの商品・技術特性を発信し、企業内外での競争・提携を通じて生き残りのための磨きをかけている。これはベンチャー企業の企業家特性を生かした大企業と言える。ABB社のマトリックスマネジメントは、従来の縦横斜めに管理され、創造性欠如となる「個」ではなく、「個」が自ら自由奔放に発信することにより縦横斜めのマネージメントを最大限に利用する「発信型マトリックス」と言える。重電という成熟産業でここまで大胆に行動を起こし高収益をあげているパーシイ・バーネビク会長は今や時代の寵児であり競争会社であるGEや日本の重電大企業の脅威となりつつある。
 ABBほどまで極端な小組識への変革ではないが、日本での社内分社化の動きや、欧米での企業の専門分野への絞り込みは、より小さな単位での専門性による他企業との「新結合」への方向性と似ている。また顔の見えない組織よりも個性あふれるリーダーに率いられた組織のほうが、産業や国をまたがるアライアンスによる「新結合」に向かいやすい。その意味でもこれからの時代は「個人の知識」をベースとした「発信」と「ネットワーク」こそが価値創造の源泉であるといえる。「個」の強いリーダーシップのもとにベンツとクライスラーやBTとATTの様な海洋をまたぐ合併や提携、大企業とベンチャーとの対等な技術提携等もどんどん増えてきそうである。
 このように強力な「個」に主体を置いたネットワーク経営が、21世紀の知識創造型ビジネスモデルと想定できるが、15年以上も前に世界に先駆けてこのコンセプトを強烈に打ち出した科学技術庁の研究開発システムであるERATOは、経営学上 も大変進んだシステムといえる。これらの「個」が、ビジネスの世界に発信を始めると相互効果が大きい。最近の例ではソニーのコンピュータゲームビジネスの成功は、40才代のエンジニアである「個」が、技術とビジネスを、ソフト制作のネットワークの場で総合的に短期間でプロジュースした例である。ビッグバンの進行により、長らく規制下にあった金融産業においても、スペシャリティを持った若い「個」たちが発信を始めた様にも見える。流通・薬品・食品等の産業もハーモナイゼーション等の規制緩和の潮流と共に「個の発信」が始まるであろう。日本人は動き始めたら早い。
 「個」の発信によるネットワーク価値創造メカニズムがビルトインされた新ビジネスモデルが日本に根づくことにより「科学技術創造立国」が「科学技術ビジネス創造立国」の意味を持つようになるのではないだろうか。    
(まえだ のぼる ソニー株式会社 渉外部門技術渉外部 部長)





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