Re: 「宇宙開発委員会基本戦略部会報告書(案)−我が国の宇宙開発の中長期戦略について−」に対する意見募集について

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投稿者 業怪人 日時 2000 年 11 月 13 日 13:20:54:

回答先: 「宇宙開発委員会基本戦略部会報告書(案)−我が国の宇宙開発の中長期戦略について−」に対する意見募集について 投稿者 宇宙開発委員会 日時 2000 年 11 月 12 日 10:48:02:

【長柄部会長】ありがとうございました。それでは、討論をお願いします。

【海部専門委員】非常におもしろい視点を提供していただいて、私は大変 おもしろく伺いました。2つだけコメントさせていただきます
が、1つは、日本に対するいろいろ厳しい見方があるというのはよく理解できますけど、日本の宇宙技術が中国、インドより低いという
のは、事実としては問題になることで、特に宇宙科学の分野では、日本はアジアではほとんど唯一すばらしい成果を上げている国であり
まして、そういう面は見落とさないでいただきたいなと思いますし、そういう発言があった際には、例えば中国は科学衛星というものは
まだ上げる力が私はないと思います。それは科学と技術を結びつけるという面で弱いためで、日本はその点は随分頑張ってきているとい
う点は一つ指摘させていただきます。
 それからもう一つ、私、日本に要請されるものという、この辺に書かれているのは非常に賛成でして、データの公開性を高める、透明
性を高める、それから利用ということを徹底的に広めていくということは非常に重要なことだと思いますが、私はここで気になるの
は、今、日本はそれと真っ向から対立することを一つやっているんじゃないか。それは情報収集衛星です。私はこれはずっと
気になっているんですが、どうもこの委員会ではタブーになっているのかなと思いながら、非常に不思議なことだと思ってい
るんですよ。
 あれだけの巨大なお金を使い、いきなりふってきて、日本の宇宙開発政策をどうするのかという見通しの議論の中でどれぐ
らい議論されたか、私、残念ながら、その間、日本におりませんで、向こうにいて新聞等でしか存じておりませんけど、一体
あれはどう利用されるのか。膨大な情報が入るはずですが、利用する計画は何も明らかにされていないし、どう利用するかも
明らかにされていないし、このまま行くと、ほとんど全部秘密のままになるのかなと。一体、日本は何をやっているんでしょ
う。
 そういう不信感も招きかねませんし、それから、日本の宇宙開発の中で重要でありました。私、あれは一応非軍事ということになって
おりますので、そのことはいいとして、それを自衛隊なりどこなりが利用するというのは、これはあり得ることとしてですね。しかし、
あれで得られる膨大なデータというものはあるんですね。今のままで行くと、それはほとんどむだになるだろうと思うんです。なぜあれ
を公開しないのか、そういう議論がされないのかということを私はずっと不思議に思っております。そのことを申し上げます。

【村井専門委員】日本の宇宙技術力が中国、インドより高いということを 私も認めたいわけでございますが、私が言いたいことは、国際
的な場で、それでは、日本の宇宙技術力が高いということをきちんと説明する人がいるかということでございまして、アジアの人たち
は、少なくともインド人の説明力、例えば国連の場その他で、日本よりはるかにきちんとしております。中国においても同じでございま
して、そうしますと、日本の実情をよく知らない人から見ると、アジアでは中国とインドというのはすごい国であるという認識がされて
いるということを言いたかったわけでございます。
 それから2番目の情報収集衛星、私に関しては何も情報はございませんでコメントすることはできませんけど、先生がおっしゃいまし
たように、日本は一体何をしているかということを避けるためには、日本の宇宙開発がどういうパラダイムでこれをとらえているかとい
うことを公言すべきであります。したがって、情報収集衛星は、こういうパラダイムのもとでこういう目的で打ち上げるんだ。これは日
本の国防上必要であると明言するなら、しても結構だと思います。一方、宇宙開発事業団で打上げる地球観測衛星はこういうパラダイム
でやって、そのパラダイムをどう持つかをきちんと世界に公言するということが私の論点でございますので、私も、情報収集衛星につい
ては、いっそスパイ衛星と言った方が、世界でははっきりとその目的が明快になって、下手にごまかす必要がない。日本はスパイ衛星を
必要としていると言う方が、ショッキングかもしれませんが、むしろ世界にはわかりやすいと私は考えます。

【西田専門委員】2つ目の問題は極めて重い問題ですから、それはちょっと後にして、今の1つ目の日本の技術力の方だけお話しします
けど、各委員が言っていただいたので言う必要もないんですが、宇宙科学の分野においては、日本のレベルが低いとか、過去の国だと
か、不透明だとかというのは、村井先生はそういうつもりで書いて、宇宙科学を含んでいらっしゃらないと思いますが、ここにはプレス
の方もおられますから、そういうふうに思われたら大変ですので、これは一言言っておかなきゃいけませんが、正反対でありまして、宇
宙科学研究所の衛星計画には国際協力が常に行われていて、ですから、日本でその関係のシンポジウムなんかをやっていますと、外国か
ら大勢の方がいらっしゃる。ちょっとおこがましい言い方をすれば勉強にいらっしゃる。それぐらいになっておりますので、これは決し
て間違いないようにお願いしたい。
 それを含めまして、私、今の戦略そのものはおもしろいと思いました。ですが、それと前の参考資料を合わせてみますと、ちょっと気
になることがありますのは、現場の顔が見えなくなってきているところがあるんじゃないかと。つまり、現場は、地球観測なら地球観測
の特性のミッション目的を持って、それを達成するために最善の努力をしている。その観点から見れば、国際協力というのは、そのミッ
ションをよりよく達成するための一つの手段である。明らかに先生はそれと違う観点を出されたので、これは両方大事ということになる
んだというのはわかりますけど、この際、それを言っておかなければいけないという気がします。
 先ほど外国の会議に出ると、インドや中国の方が立派に見えるというのは、私はそれに関係があると思いますのは、例えばSAF(ス
ペース・エージェンシー・フォーラム)という会議に手出て見ていますと、そこで日本代表をなさる方は事業団の方ですらないんです
ね。こう言っては何ですが、科技庁の若い方がいらっしゃって、その方は訓令どおりのことをおっしゃっているんです。
 ですから、ご本人の持っている情熱とか誇りというものを出席者に伝えるという点において、それは何といっても、インドの人なんか
に比べれば、これは全く違うわけですよ。ですから、今のはつまらないあれかもしれませんが、もっと大きな問題は、現場の声、現場の
代表者。よく内容のわかっている人を出して、その人たちの情熱で全体を引っ張っていくということ、これは共通の問題として大変大事
なこと。宇宙科学がここまで来たのは、まさに宇宙科学はそれ しかやっていないわけで、本人が出ていって物を言うから迫力があるから
評価を受けている。それをちょっとお話ししたいと思います。

【今井専門委員】とりあえず、私、長年の国際協力とか、国際戦略という のが、日本の場合、つき合いというのがずっと来たと思うんで
すね。それは例えば南極観測なんかに関してもそうですし、これは宇宙開発に関しても、体質として変わらないと思うんですね。そうい
う中で、今の国際的な立場がどういうふうになっているかというのを、今ここで村井委員がお書きになっているのに関しては、例えばイ
ンドや中国よりも云々と言われても、これは向こう側がそういうふうに見るんだから認めざるを得ないと思うんです。過去だと言われて
も、そういうふうに思われているのに違いないというか、思われているかもしれないと思って仕方がないことだと思うんです。
 なぜならば、ずっとやっているそういったプロジェクトがとても熱心なんですね。すごくいいことをやっているんですけれども、例え
ば南極観測なんかにしても、それが広報がうまく整っていかないというか。だから、実際には、アメリカの技術が一番で、日本はそれに
追従している、ヨーロッパの方がちょっと上みたいに、科学技術というとみんなそういうふうにされちゃうんだけど、実際に南極なんか
では、日本がアメリカに対して教えてあげている技術なんか結構いっぱいあるんですけど、そういうことについてはどこにも広報されな
いから、結局は日本はただつき合っているだけで、しかも、だんだんマンネリ化して疲弊していっちゃうと見られがちだし、内部もそう
いうふうになっていくという方向にあると思うんですよ。
 これについては、先ほどいわゆる広報の技術がないというお話がありましたね、スピーチなんかにしても。この辺のところというの
は、国際戦略の1番に挙げる必要はないけど、ここで戦略の一つに挙げてらっしゃるのが、私としてはもっと順番を上げてすごい大切な
ことと思います。
 それから、ここにはというか、今回、この御発表いただいたものを全部通してなんですけど、一番最初から、国際情勢ってどうなって
いるのかと見たときに、今ここで村井委員が挙げられた2番に関しては、いわゆる国際貢献の方向の部分を挙げてらっしゃるんですけ
ど、よその国もみんなそうなんですか。というのは、いわゆる自分の国の利益というものに関しては、かなりしたたかにきちっとその戦
略を持っていると思うんです。でも、日本は、そこを絶対公表しないのか、それとも持っていないのか、よくわからないんですけど、国
の利益に関してというところが、これもそうだけど、常にどんな場合にもおろそかというか書いていないというか、そっちの方向に行き
がちだと思うんですね。
 国の利益というのをきちっと考えようとしたら、国の持っているいわゆる技術の優位な部分の特徴をきちっと見据えなければいけない
と思うんです。
 それともう一つは、国際情勢がどうなっているかを見据えないといけないと思うんです。これは私、不勉強で存じませんが、例えば衛
星の開発からその商業的なものも含めて、国際社会の中で宇宙産業というのは、例えばISO9000みたいな規格。まあ、14001
までは行かないと思いますけど、そういった規格とか、基準とか、そういうものがあるのかないのかとか、それから、これはハードのも
のに関してなんですけど、ソフトなものに関しては、電波と、電磁波と、エコーと、現段階では日本はどこに一番優位性を持っているの
かとか、そういったことを分析した上で、今から1年、2年の間はこう、それから3年以降はこう。弱い部分については、これからそこ
の部分を強化するためにはこうみたいな。そういうものも必要になってくるんじゃないかと思います。以上です。

【村井専門委員】私は特に反論するものはございませんけど、一つ、おそ らく宇宙開発委員会で決めたことだと思いますが、日本の通信
衛星はビジネスになっておりますが、地球観測衛星に関しては日本は商業衛星はとらないと。
 つまり、地球観測関係でもうけるということはしないと。アジアの人たちに対して、日本はトヨタ、ソニーでもうけておりながら、な
お宇宙関係でもうけているのかと言われないようにしようというのが、商業衛星を打ち上げているアメリカ、フランスに対する言い分だ
ったわけでございます。そういうことで、私は、地球観測分野については、これを商業衛星として日本の産業育成、大いにもうけるとい
う国益に資するというならばそれはそれで結構でございます。
 私が、少なくとも従来から行われている商業衛星の立場をとらないということを踏まえて書いたわけでございます。そういうことでご
ざいましたので、私は、もちろん日本人ですから、国益を優先させるというのは、前の懇談会で随分議論いたしました。国益とは何か
と。
 まず領土人民の生命を守ることが第一優先でございましてまた友好国 敵対国の調査をきちんとする。そういうようなことを懇談会では
申し上げて、その結果、見えない形でしかレポートは出ませんでしたので、私にとっては、既に議論済みということで、ここでは触れて
おりません。しかし、昨年度の委員会では、そのような議論をしてまいりました。

【今井専門委員】ありがとうございました。わかりました。ただ、要する に国のメリットと言ったときに、いわゆる商業衛星云々という
ふうに、さっきからの議論がずっとみんなそうなんだけど、すぐお金のことになっちゃうんですね、日本の場合。なんだけれども、今、
私が申し上げたかった国益をしたたかにというのは、まさにお金の問題ではなくて、国にどういうメリットがあるかという、したたかな
メリットの部分というのはほかの分野で、お金のものではなくて、いろいろあると思うんですけど、そこを一つずつきちっと第3章を作
って挙げておられた方がいいのかなということでした。

【山之内専門委員】村井先生のお話が5つぐらい違ったものが、ポイントを指摘されているような気がしますね。
 1つは、外国から日本がどう見えているか。これはいろいろな見方がありますし、事実として承認しなきゃいけないけど、必ずしもこ
れだけではなくて、人によって随分違うのかなという気もしますし、今、共同国際学会をやって、五代さんが会長で行っていますけど、
そういった世界でも必ずこういう意見があるのか、私はよくわかりませんが、これを一言で片づけるのは、ちょっと軽率かなという気が
しないでもない。
 それから、日本が外国に対する情報発信力が弱いということ、これは絶対にそうだと思うので、ここは非常に大きなポイント。じゃ、
日本の宇宙技術が、ロケットは今失敗しているし、衛星もほとんど上がっていないというのは事実でございますから、その責任あ る立場
として物が言いにくいんですが、とはいえ、日本の今のロケット、衛星を含めた、あるいはその背景にある理論的レベルがインドや中国
より低いと言い切ることは私はかなり議論の余地がある。ここはもう少し慎重な認識をする必要があるのではないか。
 それから、国際貢献についても、極端に言うと、ただでやれば相手が評価すると言うけど、それはそうでしょうけど、今井さんみたい
な視点がないと、世の中、そんなにいい話はないのではないかというのが私の印象なのと、ましてや、情報収集衛星というのは、言いが
たいところは各国ともあるはずなので、その部分ですから、あまり書生っぽい議論だけする世界ではないのではないかという気がいたし
ております。

【長柄部会長】飯田さん、特に通信の方からもしあれば……。

【飯田専門委員】2ページに通信のことが書いてあるので、ちょっとコメントしたいんですが、確かに嫌な国と見られる、反省しなきゃ
いけない点があるんですが、通信の場合は双方向なんですね。ですから、単に受信するだけではないものですから、そこでマンパワーと
予算が伴いますので、全部が全部できることは難しいと思います。それで、現在、我々、ここ10年ほど、確かに遠隔医療関係をアジ
ア・大西洋地域の国とずっとネットワークを組んでやっておりまして、パートナーズということなんですが、やっていまして、非常に活
発化しています。特に最近、非常にいいと思うのは、従来ですと、我々の方が、何かこういうものをやりませんかという提案をすること
だけだったんですけど最近はそうじゃなくて、相手の国からこれをやりたいというのが非常に出てきていまして、その辺が非常に変わっ
ていることはあると思います。
 ただ、これを10年前に始めたときは非常に苦労しました。というのは、アジア・太平洋地域というのは、昔の日本のものがあります
から、日本が出ていくだけでも出ていかれないところがあったわけですね。そういうことを打破しながら、やっとネットワークを組んで
いったという経緯がありますので、まだ歴史は浅いと思います。ただ、おっしゃるとおり、これからもやらなきゃいけないところはたく
さんとあると思います。

【畚野専門委員】村井先生の話、おもしろいんですけど、これは地球観測 の立場から、しかも、アジアの視点で見たんだと割り切ってい
かないと、科学の方の人は確かに頭に来るだろうと思うんですけど、そういう意味でエキセントリックとか、非常に独特の立場から言わ
れたんだと思うんです。
 それから地球観測の商用をやらないということこれやれないんですね。 スーパー301があって。だから、そういう状況があって、商
売はやらないけど、コストは少しあれしたいというところがあるわけですね。だから、それをどうするか。そんなのはわずかだから国際
協力をやった方が評価がよくなるというのか、そこまで突っ込んで話をしないといかんだろうと思います。
 それから、海部先生から情報収集衛星の話が、この前からも随分出ているので、この中で情報収集衛星にかかわっているのは私だ
けなので、ちょっと言っておきたいと思うんですが、あれは確かに、はっきり言ってスパイ衛星と言った方がいいんです、現実
の問題として。それは何で言わないかというと、言えない事情がいっぱいあるわけですね。これは憲法9条と同じことで、だから、軍事
目的じゃないというか、平和のあれに矛盾しないと言っているわけですねだから、そこまで突っ込んで本当に言った方がいいのかどう
か。今、もし本当に突っ込んで議論するんだったら、宇宙の3原則というのを変えないといかんことになるかもわからん。そこまで言わ
れるのは、それをどう考えておられるのかですね。
 それで、はっきり言って、あれは決まった事情というのは、例の北朝鮮のあれで驚いただけじゃなくていろいろあって、そ
ういう政治家の不満をなだめるために何千億か出したというのが単純な理由であるような気もするし、気がするんじゃなしに
本当にそうなんだろうけど、実はもうちょっと踏み込んで考えてみると、あれは、ああいう時点でこういうリアクションをき
ちんとしないとなめられるぞという政治家の鋭い感覚みたいなものが表に出てきた結果じゃないかと私は思っています。いずれ
にせよ、そういういろいろないきさつがあってあれが決まって、実際にやるわけです、大金をつぎ込むわけですね。その時点で国益とい
うのは、さっき言われたように何かということをよく考えないといかん。
 例えば今、村井先生のにも出てきたんですけど、GPS、これは元軍事だったんだけど、民間も使えるようになったと言うんですけ
ど、あの事情をよく知っておられる方は、意図的に精度を下げたようなことを今までどんどんやってきているわけですね。一たん中東戦
争が起こると、精度をどんどん下げて実際に使えないようなことをやってきた。それが国益なんです。その中でやってきたにもかかわら
ず、今度、第2世代でああいうシステムをどうするか、民用の方がむしろどんどん出てきたときに、ヨーロッパは独自のやつが出て来
た。あれじゃ使うのに困るからということで、そのとき、日本もそういう動きをするだろうという情況の中で、アメリカは政治的にヨー
ロッパや日本に圧力を非常にかけてきている。その中で、日本が本当に自分で独自に持つというのは、コストパフォーマンスも含めて得
かどうかというのは別問題なんですけど、そういうのはいろいろ背景にあるわけで、日本だけ格好よく言ってもしようがないところがあ
るんじゃないか。
 それで例えば今データを出すか出さないかという問題に絞るとしますと 何のためにあの大金をかけているか。表を向いて言う言わない
にかかわらず、何の目的かというと、あれで日本が何をやろうとしているのかというのを外に見せたら、今、はっきり言って、あの大金
はむだになる。だから、そこまで要求するのかどうか。私自身は、あの中で、とにかく日本は何をやっているのかわからないような形で
実質的にデータを出した方がいいんじゃないかという話はしていますし、多分そっちの方に動いていくと思うんですけど、外から言うと
きに、出さないのはけしからんと、さっき書生っぽい議論って山之内さんは言われましたけど、そういうことを言っていたんじゃ両方と
も話は進まない。
 だから、非難するだけではしようがない。判断の基準が違いますから、そんなことを非難したって、あれをやっている人たちの組織と
いうのはびくともしないです。何の効果もない。言うだけでせいせいするんじゃ、何の意味もない。
 本当にデータを利用したければ、それなりにどういうふうな形にしたら出せるか。例えば何をやっているかわからん、何をやっている
か見えないような形で、実際のデータは、例 えば分解能が少し違うとか、それからどういうところをどういう意図でとっていくかという
ようなことが見えない形でデータを出すような形ででも、実際にかなりのデータを使いたいのかどうか。
 そういうことをはっきり、もっと冷静に、どういうふうにして利用するのか、何が自分たちの目的かをよく理解して言わないといかん
のではないかなという気がします。

【海部専門委員】私は冷静に言っておりますが、私は、何もあの衛星を上 げるなと言っているわけではない。決まったものは仕方がない
と思いますね。
 それから、日本がスパイ衛星を上げるんだと本気で言うなら、それはそれで一つの方向。まあ、賛成するかしないかは別としてです
ね。ただ、あれはスパイ衛星とは言っていない。それから、実際に運用の一部はほかのことに使うということに一応なっていると私は今
理解しています。ただ、それがどのように使われるかがはっきりしていないだけです。私ははっきり言って、あれがどれぐらい日本
の国益になるのか理解しておりません。
 畚野さんがおっしゃったのが一番正しくて、あれで日本が何をしているかわからないのが一番の国益だというのは、多分軍事筋から見
れば、そういう見方をされるだろうというのはこれはわかります。しかし、今の日本の立場、日本が宇宙を平和利用するのだと言ってき
た立場の中であれをどう見るかということは、これはやはり大事なことであって、大人の議論だからといって、そっぽを向くわけにはい
かない問題を含んでいると私は思っています。
 私が言いたいことは、あれを自衛隊なり外務省なりが使うというのは、それはそれでいいでしょうと。それをどこを見ているかは知ら
れたくない。そういうこともあるでしょう。しかし、じゃ、あの衛星の運用全体を考えたときに、常にそれをやっているかって、そうじ
ゃないんですよ。そのことを私は明らかだと思っています。だから、実際にそのような目的で使われるデータというのは非常に少ない、
あれから得られる中から比べればですね、あの能力と比較したときに。それ以外の部分をいかに有効に使うかという発想がどうしてでき
ないのかということを私は言っているんですね。
 それを畚野さんのおっしゃるように、いや、幾ら言ってもそれは動かないよと言われればそれまでです。だからこそ、皆さんも議論な
さらないということであれば、私はここで引っ込みますけど、しかし、日本の宇宙政策を考えているこのところで、その種の議論が全く
ないまま行くというのは私には非常に不思議に思われるんです。日本の国益というなら、まさにあの衛星をどのように、そこから出
てくるさまざまなデータを、これは民間から見ても、私はチャンスだと思っています。
 要するに基本的にただでいろいろなデータが出てくるわけで、それを使うことによって、あるいは実際にどのようなニーズがそこから
生まれてくるかということを考えていくチャンスでもあるし、そのような形で私はもっと有効に使うことが、税金という面でも国際的な
面でも有効ではないかと思って申し上げております。

【畚野専門委員】いや、私もそれには賛成なんですけどね。いや、クール にと言ったのは、海部さんは非常にクールに発言しておられま
すけど、この前からも含めて、あれを出さないのはけしからん、これは非難でしかない。これはクールな言い方じゃないんですよね。
 一応、その話をしておきたいと思うんですけど、何点かあったと思うんですが、結局、あれは一体どうするんだ、どういう考え方をす
るんだというところまで踏み込むのは、これは憲法の問題と同じで、それは今ここでやってもしようがないし、そこまでやるなら、別の
ところでやってもいいし、そんなことを、やっても大体むだだということは、みんなほかのことでもわかっているわけで、それは言って
もしようがないんじゃないか。それを言いたい人は言えばいいので。
 ただ、それとデータを出す出さんの話とは切り分けた方が私はいいんじゃないか。とにかく出さないのはけしからんと言ったってびく
ともしないんだけど、実はこういう目的でこういうふうな種類のデータは欲しいということであれば、当然、それは検討の対象になるん
じゃないかと思うんですね。
 もっと正直なことを言うと、これを計画したり何かしている人たちは、はっきり言って、宇宙の「う」の字も衛星の「え」
の字もわからないというか、ちょっと前までは全然関係のなかった人がやっていて、十分理解してないんです。どんなものが
とれて、どういうふうな運用で、どの程度のものが自分たちの直接使いたいデータ以外に入ってくるかということを理解して
いない。
 だから、今すぐに出さないのはけしからんなんて言ってけんかを売ってもしようがないのであって、これからもうちょっと実用的に何
をやっているかわからないような形で出しても我々としては有用なので、そういうデータをこういう形でなら出せないかという話をクー
ルにしていく必要があるだろう。
 だから、何度も言いますけど、あの衛星の考え方そのものとデータを出す出さない、使う使わないの問題は切り分けた方がいいんじゃ
ないかなと思いますね。

【長柄部会長】大分時間が迫ってまいりました。一つだけ、山之内委員に お聞きしたいんですが、前回も、宇宙ステーションをアジア諸
国に、従来の方針を変えて大いに利用してもらうように条件を考えていきたいという話があったんですが、今日、村井先生の最後のペー
ジにあるような衛星データを、特に今度、宇宙事業団はADEOS−IIとか、ALOSとかが既に上がってデータをとっている。ADE
OSのデータとかああいうものを、今までよりはもっとアクセスしやすくする。そして、数多くのアジア・太平洋地域の人たちに大いに
活用していただくという、一言で言うと、そういうことがいろいろと書いてあると思うんですけど、それについてはNASDAとして
は、いろいろ難しい点はあろうかと思いますけど、大体この方向なんでしょうか。

【山之内専門委員】基本的には賛成でございます。ただ、その前に、まだ 衛星が上がっていないということもありますけど、データをき
ちんと解析する能力、逆にオブジェクト指向というか、こういうデータが欲しいからこういうものを、そこのところがまだきちんとでき
上がっていない。そこが私は一番ファンダメンタルで、それをできる限り有料あるいは無料で流すことについては全く異論がない。むし
ろそこのところが一番ポイントのような気がするんですけど。

【村井専門委員】私のこの文が日本人の誇りを大変傷つけたようでおわび いたします。中国、インドより劣っているとは私は思っており
ませんけど、ただ、アジアの人たちは、中国とインドというのがいかに大きな国であると認識しているか ということを是非知っていただ
きたいと思って過激に書いたわけでございます。私は本報告書が出るとすれば一切こういうことは書きません。
 私が書くのは、私はレポートを書くつもりはありませんが「はじめに」の真ん中ほどにある「使命」宣言文と、一番最後のページに説
明抜きで箇条書きだけ書いて私の責務といたしますので、今日のこの資料は部外秘にして、気に食わない方は破り捨てていただいて構い
ません。ですから、これは、今日説明いたしましたように、議論を活発にするための材料を一つの偏った見方で書いたものにしかすぎな
い。言いわけしておきます。

【長柄部会長】特にには言いわけは要らないと思います(笑)非常にプレゼンテーション、ありがとうございました。
 時間が参りましたので、今日の討論をこれで打ち切りたいと思います。 次回でございますけど、10月19日(木)9時30分から1
2時30 分まで、この同じ部屋でお願いしたいと思います。
 それで、当初、先生方にお渡ししましたスケジュールでは、次回は各分野の目標の2議案を各委員から提案してもらうということに今
なっているのでございますが、各分野を担当されている委員とも今後いろいろ打ち合わせしてやっていきたい、こう思っておりまして、
それで、それぞれの目標なり戦略なりというのが間に合わないかもしれません。それで、今日までで一応一通り、当初予定した項目につ
いてはディスカッションが終わりましたので、事務局の方とちょっと相談しまして、この部会の報告書の目次プラス骨子といいますか、
アウトラインといいますか、同じですけど、たたき台みたいな、報告書のアウトラインみたいなものを一応皆様に提示して、それで、そ
こでいろいろディスカッションしていただきたいと思っています。いずれにしましても19日(木)の午前中、この部屋で行いますの
で、是非よろしくお願いしたいと思います。
 議題の方につていは若干流動的でございます。
 それから前回までに宿題で例えば今日おいでになりません狼先生の方が 例えば宇宙開発機関における人材育成とか、そういうような問
題で後にしてくださいというのがございましたので、そういうこともやるかもしれませんし、若干流動的でございます。いずれにして
も、19日の日にやりたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
 なお、後でお配りしましたH −IIAの1号機の商用機の打上げについての書類でございます。特に何か質問ございましたら、数分ござ
いますので。

【西田専門委員】前回、海部先生がお出しになった宿題の答えを渡してく ださい。

【長柄部会長】大臣の?

【海部専門委員】大臣も含めてですが、私の申し上げたよりも前に、ここ として最終的に日本の全体政策というのをどこで考えていくの
かという問題の中で私は申し上げたわけで、ですから、この委員会として、最終的に答申をまとめる段階でそういう方針が示され、そこ
で大臣のご返事がいただければ、私としては結構でございます。今日いただけるとは実はあんまり思っていませんでした。

【長柄部会長】次回に報告書の目次なりアウトラインのドラフトが出れば 前書きのところに、例えばどういうことを書こうかということ
も議論していただきたいと思います。

【西田専門委員】黙っていた方がいいんですが前回も言ったんですけど 長柄委員はかねがね、予算の関係からお考えになっているようで
すけど、そういう考え方をとるかどうかということを基礎に今の話があるわけですね。ですから、今後の議論を進めていく上で、そこは
やはりはっきりさせていただきたいと思うんですけどね。

【長柄部会長】今日の村井先生の話もございましたように、ミッションと ゴールと。まあ「ミッション」という言葉がいいか「目的」と
いう言葉がいいか「使命」がいいかわかりませんが、何かゴールを示すとしますと、何回も、言っていますけど、アベイラブルなリソー
スがこのぐらいしかないということをある程度念頭に置かないと、ゴールの設定のしようがないじゃないかということで、これも次回の
多分大きな議論になろうかと、次回にさせていただきたいと思います。
 特に質問がございませんでしたらH-IIAについて今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。




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