サラリーマン未来史〜昭和43年1月4日(木)日本経済新聞

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投稿者 記事転載・時空超越版 日時 2001 年 1 月 04 日 01:26:29:

投稿者注:【 】内および太字は投稿者によるもの、なお5年後(昭和48年)の予測部分は省略しました。


サラリーマン未来史

昭和43年1月4日(木)日本経済新聞


 10年後【1978年】20年後【1988年】21世紀
会社ではホワイトカラーに高能力が求められる
  全体の8%が専門的技術労働者に
  全就業者の30%がホワイトカラー
コンピューター導入が4万台を越える
  1台当たりの就業者数は5,000人に。1
  カ月の賃貸料50万円、中小企業にも
  普及。全国の官庁に280台導入、お
  役所仕事もスピードアップ
ビジネスワークに大変革起こる
  同時多元テレビ電話などの普及で、
  出張減る








月給10.5万円で、現在の西独なみ
週休2日、週40時間労働
石油化学、通信機器産業が好調
実力社員は転職が思いのまま
60歳定年と退職年金制がさらにふえる
大卒社員が新就職者の26%に
ホワイトカラーも研究者に
  5人に1人は専門的技術労働者時代
  全就業者の33%がホワイトカラー
コンピューター導入は9万台
  1台当たりの就業者数は2,500人
  いまのサラリーマンの社内事務はほ
  とんどが機械まかせに

自宅にいて仕事や会議も
  テレビ電話が家庭に普及

就業者の80%が雇用労働者
経営者の再教育が激しくなる
婦人労働者も専門職に進出し地位向上
  数では全体の31%で現在より暫減
人事評価は完全に実力主義
  賃金も職能給が普通
ホワイトカラー、ブルーカラーの仕事が
接近、賃金格差も縮まる
  ともに技能、経営知識が要求される
月給20万円で、現在のアメリカなみ
年休20週、週30時間労働が普通に
エリートは情報処理、研究部門
  経営学、技術開発が企業業績を左右
65歳定年制もふえる
大卒社員が、新就業者の30%に
高能力の一部エリートの手で企業が運営
されるようになる

コンピューターは、中小企業もふくめ半
数以上の企業が導入



わが国にも人種問題が起こる
  アジア諸国から低賃金労働者の流入
  がふえて、人種構成が複雑になる



経営者も1年のうち11カ月は大学で勉
強、会社の仕事はあとの1カ月だけ

事務屋は失業
  いまの形の仕事はほとんどマンマシ
  ン(判断力をもつロボット)が代行

月給40万円、実質所得は現在の6倍
週20時間、年間1,200時間労働
  生涯時間の6〜7%を働けばいい

65歳定年

家庭では国民所得1人当たり54万円
個人所得の使い方は
  個人消費72%、税金、社会保険負担
  13%、個人貯蓄15%
エンゲル係数31に
物価上昇率、年率2.6%
レジャー費ふえ、雑費が家計の34%に
社会的消費(交通費、教育費など)増加

乗用車7人に1台のわりで普及
  総台数1,575万台に
車両交通と歩行者との分離すすむ
オートメ地下鉄実現

肉類消費倍増
  牛乳・乳製品3割ふえ、米は1割減
全国世帯数3,078万
早婚目立ちだす。収入増加と住宅難緩和
  1戸当たり住居面積86m2
  住宅資材ユニット化
腕テレビ普及する



老化防止薬できる
コンピューターで健康診断
国民所得1人当たり90万円
個人所得の使途は
  個人消費70%、税金、社会保険負担
  17%、個人貯蓄13%
物価上昇、年率2.0%
乗用車4〜5人に1台
  総数2,585万台に
交通事故は半減する
  道路、車に安全装置
  が普及する
空中列車実用化で遠距離
通勤可能に
社会資本充実のため税金
ふえる、現金不要、ヘソ
クリ不能時代
  信用制度普及、電算機使い口座決済
牛乳 0.5リットル時代
全国世帯数3,627万
1人1室実現、1戸当たり100m2
  収入に見合った住宅に住める
立体テレビ普及
経済的食用たんぱく合成に成功
幼稚園の義務教育化実現
  高校進学率90%、大学へは37%
ガン治療薬出現
精神病対策が重大問題に



レジャー省、レジャー大臣誕生
  レジャーが生活の中心に
乗用車はレジャー用専門
  交通はより高速なものに変化










都市にビジネス用セカンドハウスがふえる
  木造住宅はぜいたくに





人工臓器移植の利用範囲ひろまる
性格改造業できる
社会では国民総生産90兆円
鉱工業生産指数400(1960年=100)

公園面積(1人当たり)8.4m2
  現在は3.0m2
老齢人口は全体の12%
東京の人口1,500万人

労働人口は5,200万人
総人口1億1,000万人


材料、エレクトロニクス、燃料革命時代
電話普及1 00人当たり20台
情報センター登場、百科事典不要に
人工衛星で世界的通信網完成
大型機就航で、国際交流活発に
  空からの入国者1,000万人と10倍増
国民総生産120兆円
鉱工業生産指数 700
貨物輸送量、年間7,000億トン越える
公園面積12m2で、現在の4倍に
老人非行ふえる
  働ける老人多いが、機会は少ない

  老人世帯数は現在の10倍に
  老齢人口は全体の14.4%
メガロポリスの形成すすむ
  全人口の80%が都市集中
労働人口は5,400万人
総人口1億3,000万人

電話普及100人当たり35台
汚職少なくなる
  コンピューターにはワイロがきかず

局地天候コントロール実現
人口の都市集中化目立つ
  全人口の93%が都市に住む
農業人口は全体の3%に
老人マーケットがひらける
  老齢人口は全体の20%








労働人口は6,000万人
総人口1億6,000万人

月への往復実現




「バラ色」は心がけ次第
機械がやらぬ 想像力の勝負

 にわとりやねずみの時間には、三十秒以上の未来はないという。われわれ人間はそこが違う、といばってみたいが、こう激しく世の中が変わっては、自身をもって将来を予見することは、なかなか困難である。
 ナポレオンは二年先のことしか考えなかったそうだ。それ以上は確信のある予想が出来ない領分だというわけ。今はもっと短いはずだが、逆に最近は未来論ブームで、十年、二十年先が話題になる。”あまりに早く変化する社会に対する不安”がブームの原因のひとつという学者がいる。
 未来予測の手がかりをつかむには@過去、現在の延長線からA体験にもとづく一種のカンによってB先進国とわが区にとの技術や生活の格差から――などの方法がある。このサラリーマン未来史年表は、これまでに出た多くの予測を総合してほぼ中央値をとった。
 未来のサラリーマン社会は決して気楽な時代ではないようだ。確かに、戦争さえなければ二十年後の月給は二十万円。三十年後には一生の時間のうち六―七%働くだけですむようになる。
 だが、その豊かな社会をささえる大きな力のひとつ、コンピューターが、オフィスで十分に活用されるようになると、いまのサラリーマンがやっているような書類作り、社内外の連絡といった仕事はすべて機械がやってしまう。すでに現在でさえ、人類の三分の二に当たる知能指数一一〇以下の労働者なら、機械にまかせた方が正確で、早い仕事ができるそうである。
 そうなるとサラリーマンの仕事自体が変わってくる。学歴なんかは役に立たない。学校を出て経営者になってからも、一生教育を受けなければなるまい。そのころも日本的がハラやカオでビジネスを運べるだろうか。コンピューターが間に入れば”そでの下”もきくまい。
 ものをいうのは実力だけ。情報産業、教育産業が花盛りで、高い知的な働きが求められる。社内でもたとえば市場開発、PRなど創造的な能力のいる仕事が中心になろう。取引自体が国際的になる。勤務時間は短くなっても、仕事の密度は高まる一方である。
 もっとも、レジャーに徹し、マイホーム主義を守るサラリーマンもふえる。暇がふえ、便利な器具もふえるので条件はそろう。だが、レジャー中心の毎日で”豊かな社会”に住んでいると実感出来るかどうか。仕事に生きがいを求めず、暇をもてあます生活には、それなりの精神的なよりどころがいるので、精神生活も豊かでなければなるまい。ともかく、のんびりとは暮らせない時代になりそうだ。
 「そんな先のこと――」という気がするかもしれないが、二十年といえば六十五歳定年の会社には、まだわれわれの大部分が働いている勘定だ。未来はバラ色に輝いているのだが、その高度な社会の恩恵を十分に受けるかどうかは、やはり、いまからの個人の努力次第といえそうだ。年表を参考に、自分なりの未来予測を作ってみることも、そろそろ必要な時かもしれない。

【写真:'68年当時最先端の科学技術用コンピューター端末・略】
 機械との対話 ブラウン管に直結した電子計算機のボタンを押して指令を出すと、回答がただちにスクリーンに写し出される。これにライトペンを当てて「データ変更」の指令を与え、さらに新しい回答を求め技術計算の検討をする。機械との対話はすでに始まっている。(東大宇宙航空研究所穂坂研究室のコンピューターグラフィック)




★コメント

石油危機やバブル誘導とその崩壊、などの「予測不能」な出来事よりも前の時点において、それらがどのような根拠(あるいは『意志』)に基づいた長期予測なのか、を想像してみると、大変に興味深い奥行きがうかがえるとも思えたのですが、如何思われますでしょうか?
ただし、情報技術の急激な発展を別にしても、本質的に大ハズレの点が一つ…

被雇用労働者の労働時間は、今から約20年前の予想到達水準にて「進歩」が停滞したまま、と言えなくもなかろう。もちろん、労働生産性や価格競争力など克服し難い事情のために、勤務時間をこれ以上削っては、仕事が成立しない業種が少なくない事もあるでしょう。
しかし同時に、株式や通貨の投機化を通した、労働者を間接抽象的に収奪するための超国家的な投機化搾取経済が、瀕死の日本経済と国民に呪縛となってなお腐蝕し続ける事実を指摘できるのではないか?
その「対外価格競争力」の低下にしても、通貨の実需よりも遙かに支配的な地球規模の通貨投機を通して、日本の自国通貨が購買力平価に比べて故意に釣り上げられた結果ではないのかと私は思っている。
こうした結果、日本国内の「企業 対 労働者」の需給関係の崩れを、通貨が安すぎる国からの労働者が補うことで成り立ってしまうという、人件費の下方硬直を安易に正当化する図式が故意に演出させられているのか?と疑ってしまうのだけれど。

場合によっては市場寡占達成で得られる収益逓倍効果を狙って地球規模化された、過度に激しい企業間競争の恒常化と、高等数学化された投機搾取経済、
これら二頭の毒蛇の締め上げによって、21世紀を臨む日本国民はこれからも、
許された檻の中で働けば働くほど、ま すます貧しくさせられていくしかないのだろうか。

それでは、この'68年当時と比較して、逆に我々が失ったものは何か…?
たとえ予見できていたとしても、事前に予防策を講じる余地はあり得なかったのか?

21世紀のこれからも、過ぎ去った時間を二度と取り戻すことはできないのだ。




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