中谷防衛長官 ミサイル防衛で独自の情報収集をめざす

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投稿者 kamiura.com 日時 2001 年 6 月 29 日 10:53:54:

中谷防衛長官 ミサイル防衛で独自の情報収集をめざす (朝日 6月29日 朝刊)

[要約]
 中谷長官は先のラムズフェルド米国防長官との会談で、BMD(弾道ミサイル防衛)で日本は主体的な運用を目指すと表明した。その真意をさぐるインタビューである。中谷長官は、主体的な運用を目指すために、独自に弾道ミサイルの発射や飛翔を探知できる能力を目指すという。
 しかし外国から情報提供があっても、主体的な運用を害するものではないとも語った。(アメリカの早期警戒衛星からの発射情報のこと) また、米国のようにブートス(上昇)段階での迎撃は考えていない。あくまで憲法が禁じた集団的自衛権を逸脱しない方法を研究するという。(インタビューをした本田 優編集委員は、米国のNMDと日本のBMDの線引きは困難と解説記事を掲載)

[コメント]
 日本独自でBMDを配備するには無理がある。日本には北朝鮮のテポドンしか頭にないようだが、アメリカは中国やロシアの弾道ミサイルを重視している。日本がBMDで中国やロシアの弾道ミサイル対抗するためは、技術的に、資金的に、地政学的、そして憲法上にも無理がある。
結局、莫大な防衛予算をつぎ込んで、無用の長物を作ろうとしているだけだ。まさの現代の「万里の長城」である。防衛庁として、なんとしても米BMDの研究に参加して、そのノウハウを得たいのだろうが、すでに構想の段階でも、日本の憲法や社会常識を超えている。その無理を押し通すと、日本の国防全体がゆがんでくる。
 ここは軍事の原点にもどって、もし北朝鮮が日本に弾道ミサイルを発射すれば、日本は北朝鮮に対し耐え難い程の軍事報復を行うと考えたほうがよい。むろん、そのような非常事態がくれば、日本国民の大多数が憲法改正を支持し、自衛隊に報復攻撃を期待することは明白である。今は不確実な弾道ミサイルの迎撃を考えるより、相手に耐え難い報復が行える潜在力を養うほうが重要だ。
 だが北朝鮮が弾道ミサイル開発や、核兵器開発を行わないなら、日本が不要な報復力を高める必要はない。アメリカがBMDを必要としているのは、非対称の考えをもつ中国の核攻撃を恐れるからである。(非対称とは、アメリカとロシアのように互いの核威嚇が通用(成立)せず、中国が広大な領土と12億の人口を背景に、アメリカに核攻撃を行うのではないかという恐怖心のことだ)。
 要は核兵器大国同士の確証破壊戦略(MAD)が、最近の中国の台頭で不安定さを増してきただけの話だ。ここは核兵器大国同士で核兵器削減交渉を行うことが先である。この視点が日本に欠落している。つきつめていけば、アメリカのBMDは中国の核戦略との問題である。北朝鮮やイラクやイランに対して、アメリカは通常兵器で耐えがたい報復を行う戦力を保持しているし、ロシアの核兵器とMADの信頼性は保たれているからだ。
 中谷防衛庁長官に助言する。「BMDの本質を理解して、幻想を見て踊ってはいけない。すでに空論の域である」。




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