Re: RAND報告の危険な内容

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投稿者 全文 日時 2001 年 7 月 01 日 16:45:30:

回答先: RAND報告の危険な内容 投稿者 付箋 日時 2001 年 7 月 01 日 09:17:33:

RAND報告の危険な内容

 5月にアメリカのシンク・タンクの一つであるRANDは、米空軍の委託調査の結果を「米国とアジア」と題する報告として公表した。報告の作成者の一人が国家安全保障会議の要職いりしていること、また、報告が米空軍の委託調査であることを考えると、1民間研究機関の報告として軽視することはできない。しかもその内容は、就任後半年弱にしてすでにおおよその輪郭をあらわしてきたブッシュ政権の対アジア政策とくに対中政策と軌を一にしていることも注目を要する点である。しかも、報告は200頁以上におよぶものだが、日本にとって見逃せない内容が数多く含まれている。

 ここでは報告の要約と台湾の部分の大要を1と2で紹介し、注目すべきポイントには傍線をして段落ごとに筆者注の形でその意味を明らかにし、おわりに報告全体の意味について若干のコメントをくわえておきたい。

1.要約

 「米国は、アジアにおける事態が経済発展、民主化および地域の平和の道のりを続けることに大きな利害をもっている。しかしアジアは、平和と繁栄の構造をつぶしかねない深刻な問題を内在している。インドそしてとくに中国は勃興中の国家であり、世界にその地位をしめようとしており、その過程においては地域の秩序を乱す可能性を秘めている。同時に、インドはパキスタントンとのあいだに係争中であり、双方が核兵器能力をもつにいたっている。パキスタンは統治上深刻な危機に直面している。北京はどん欲な目つきで台湾をにらんでおり、言葉および行動の双方で台湾に対して脅威的な姿勢をとっている。東南アジアでもっとも人口が多いインドネシアは、民族的、宗教的緊張に引き裂かれ、空中分解しかねない。マレーシアとフィリッピンもそれぞれ内部的不安をかかえている。米国の視点からすると、他のすべての影を薄くさせる朝鮮半島における軍事的対峙は、好ましい政治的傾向はあるものの、いまや60年目に入っている。」

(筆者注)冒頭の段落はアジア情勢全般についての判断である。ここではアメリカにとって脅威となりうる対象が要約して示されている。しかし報告が中国をもっとも警戒していることは、傍線部分の表現からもただちに明らかである。

 「アジア情勢において平和と安定を確保するようにするため、米国としては多くの重大な挑戦に対処しなければならない。米国にとって目前の関心事は朝鮮である。東北アジアにおける米国の軍事態勢はひきつづき、北朝鮮を抑止しこれに対して防衛することだ。しかし長期的には、朝鮮半島の政治的統一、南北間の歩み寄り、あるいは北朝鮮政権の崩壊によって北朝鮮の脅威が消滅する可能性がある。2000年6月の南北首脳会談は、アジアにおける政治軍事情勢がかつて考えられていた以上に速やかに変化する可能性があることを証明している。」

(筆者注)この段落を読んで驚かされるのは、朝鮮半島情勢が「目前の関心事」であるという報告の位置づけよりも、傍線部分に示されるような朝鮮問題に対する報告の楽観的な姿勢である。

 「かりに朝鮮の脅威が続くとしても、他のアジア情勢は米国の戦略および軍事態勢の大きな調整を必要とする方向で変化しつつある。もっとも重要な変化の一つは台頭する勢力としての中国の登場、その軍事力の現代化計画および東アジア地域における増大するプレゼンスである。米国の軍事力にとっては、このことは短期的には台湾に対する中国の武力行使の可能性に対してどう対応するかという問題を際だたせる。長期的には、とくに中国が地域的優越の政策を追求する場合には、中国の力の増大は地域および米国の戦略および軍事力にとって重大な意味をもつことになるだろう」

(筆者注)この段落では中国に対する警戒感がもっともあらわな形で表明されている。以下に続く文章との関連でとくに注目しなければならないのは、アメリカが近未来における中国との武力衝突の可能性を考えていることが示されていることだ。

「この流動的な地域において重要な変化が起こっているのは、朝鮮および中国だけではない。インドもまた地域の政治軍事情勢においてより大きな役割を担いはじめており、しかもカシミールではパキスタンに支持された反乱に直面している。そして状況は1998年に両国がおこなった核実験によってさらに危険なものになっている。東南アジアにおいては、スハルト政権の崩壊による混乱にインドネシアの分離運動と内戦が加わり、この国家の領土的保全と安定は不確実性を増しつつある。東南アジア最大の国家であるインドネシアの成り行きはこの地域全体に巨大な衝撃をもたらすだろう。さらに日本とロシアは政治的および軍事的な比重を高めることに意欲を持っている。統一した暁の朝鮮もこの地域において主要な政治軍事的な役割を担うことになるだろう。韓国は、統一しなくても、より活発な地域政策をおこなうための経済的、技術的および軍事的な資源を開発するとみられる。」

「以上の潜在的な挑戦に対処するため、米国は包括的な地域戦略を形成することに着手しなければならない。この地域における米国の全体としての長期的な目標は、戦争に通じる可能性のあるライバル、疑心および不安定要素がアジアにおいて生まれることを排除することだ。この全体的な目標から地域的な覇権国家の台頭を防止する…という目的が引き出される。」

「以上の目的を達成するためには政治軍事経済を包括した戦略が要求される。…政治軍事的には4つの部分から構成される戦略が求められる。

 第一、米国は、包括的なパートナーシップを創造するための二国間の安全保障同盟を深め、拡大しなければならない。この多国化は、究極的には米国、日本、韓国、オーストラリア、そしておそらくシンガポール、フィリピン、およびタイを含むことになろうが、現存の二国間の同盟に代わるものというよりは、これを補完するものになるだろう。しかしさしあたっては、米国としては同盟国間の信頼を促進し、同盟国が地域の危機に対して連合して対処する軍事力を創造することを奨励する必要がある。…さらに米国は、日本がその領域防衛以上に安全保障を拡大し、連合の作戦を支援する適当な能力を取得するよう、日本憲法改定の努力を支持するべきである」

(筆者注)報告が「地域の危機」として中国を念頭においていることは、これまでから明らかだが、中国に対処する戦略の冒頭に、アメリカを中心とする二国間同盟の枠組みによって多国籍軍方式の対処(報告でいう「連合して対処する軍事力を創造する」というのはまさしく多国籍軍方式のことにほかならない)を考えていること、そしてその脈絡のなかで日本の憲法改定の必要に言及していることはきわめて重大である。

 「第二、米国は、現在米国の同盟構造を構成していない主要な台頭勢力やカギとなる地域国家(中国、インドおよびロシアを含む)とのあいだでバランス・オブ・パワー戦略をおこなうべきである。この戦略の目標は、これら諸国のいずれかが地域の安全保障を脅かす…ことを抑止し、米国のアジアにおける戦略的利益を損なうために手を組むことを防ぐことにある。…」

(筆者注)一般論の形で書かれているが、中国を標的とする報告の基本姿勢 をふまえるならば、傍線部分が中国を意識しているとみるのが自然であり、中国が他の大国(たとえばロシア)と手を組んでアメリカに対抗することを警戒していることがうかがえる。

 「第三、米国は他の国々が武力行使に駆られる状況に対処する必要がある。たとえば米国は、中国が台湾に対して武力を行使すること(および台湾が独立を宣言すること)に反対する(注)。…

(原注)米国が台湾その他の問題をめぐって中国と紛争になるときには、米軍は他の潜在的敵対国が保有する以上の能力(戦域弾道ミサイル、情報などの作戦能力および米国の目標物を核兵器で攻撃する手段)をもつ相手に直面することになる。米国の死活的な目標は中国を敵に回さないことにあるが、中国のあからさまな挑戦に対して将来のある時点において東アジアに米軍事力を投入する場合に、中国にいかに対抗するかについて十分に考えておかなければならない。」

(筆者注)報告は注書きの形ではあるが(どぎつさを避けてわざわざ注書きにしたことも十分考えられる)、中国がもつ軍事能力(アメリカはこの能力を「非対称的脅威」としてとらえる場合がある)がけっして無視しえないものであることをふまえ、台湾有事に際しての武力衝突の可能性を念頭においた軍事戦略を作成する必要性を強調しているのだ。

 「第四、米国はアジアのすべての国々と包括的な安全保障対話を促進するべきだ(注)。…

(原注)安全保障対話は、中国を怒らせる協力に多くのアジア諸国が消極的であることに対応するうえで重要である。」

(筆者注)報告は、アメリカが今後アジア諸国と進める安全保障対話が、この地域の真の安全をめざすものであるよりは、対中関係を配慮するこれら諸国を対米軍事協力に巻き込むための考慮に基づくものであることをあからさまにしている。厚かましいまでの正直さ(?)である。

「アジアにおいて以上の広範囲にわたる柔軟な戦略を実施するためには、現在の米国の軍事態勢を大幅に修正する必要がある。50年代以来米国のアジアにおける焦点はソ連および北朝鮮に向けた北東部にあった。この態勢は大きく南方に移動する必要がある。もちろんこのことは北東アジアにおける現存の安全保障の取り決めを放棄することを意味するものではない。米国にとって韓国および日本における基地を維持することは利益である。実際には、琉球諸島南部に米空軍戦闘機用の前線作戦基地を設置するように日本における基地機能を修正することは、中国との紛争において台湾の支援を求められる米軍にとって大いに役立つであろう。しかし、このことは日本においては政治的に問題となりうる。…」

(筆者注)報告は、アメリカ(とくに空軍)の軍事態勢の重点を中国にシフトさせるうえで、沖縄県南部の島嶼の軍事機能に着目している。報告もこのような考え方が日本において政治問題化する可能性を予見しているが、だからといってこの考え方を引っ込める気持ちではないことはまもなく明らかになる。

2.台湾

 「…短期的には中国は台湾を侵略する能力は有していないと見られる。中国が台湾に対して武力行使をすることを決意する場合は、台湾側が何らかの和解を求めるようにし向けさせるような、速やかな政治的心理的効果を達成することを計算してのうえである可能性が大きい。そうするためには様々な方法があるので、米軍が中国の攻撃から台湾を防衛することを援助する役割を担わされる場合には、中国がいかなる方法を選択する場合であっても、その効果を妨げることを考えなければならない。」

(筆者注)報告は台湾有事のシナリオとして中国の全面侵略戦争を想定していない。むしろありうる可能性として心理作戦を重視したものになる可能性が強いとしている。重要なことは、そのようなケースにおいても、アメリカとしては中国の意図を阻むに足る軍事作戦をおこなうべきだと主張していることだ。

 「中国のとりうる行動としては、侵略以下のレベルとしては、以下のケースを含む。

〇挑発的な演習及び実験(すなわち1996年に行われた台湾の主要港近辺の海洋におけるミサイル実験)

〇台湾近辺または上空での挑発的な空軍活動

〇台湾に対する小規模なミサイル攻撃

〇台湾経済に損害を与え、その自衛能力を損ない、人口の士気を阻喪させることを目的とした大規模なミサイル攻撃

〇機雷敷設、商業用海運に対する潜水艦攻撃及び港湾封鎖によるシーレイン妨害

〇離島占拠…

〇台湾の軍事能力を破壊することをねらったミサイル攻撃及び空襲」

「…米国の軍事活動の目的は主として中国側による心理的圧力に対抗することにおかれることになろうし、…より一般的には台湾のモラルを高め、パニックを防止することを意図したものとなるだろう。

 したがって米国の軍事援助は、台湾の抵抗の意志が弱められる前に、中国の行動のショックに対抗するべく迅速に行われなければならない。…」

(筆者注)報告が中国によるさまざまなレベルの軍事行動を考えていることが確認できる。重要なことは、直接的な台湾そのものに対する武力行使にいたらない段階の軍事行動も含めていることだ。つまりアメリカの軍事行動も中国の武力行使にいたらない軍事行動の段階で開始されるということである。そうしたアメリカの軍事行動がすべて日本を発進基地としておこなわれることは見やすいことであり、日本が米中軍事衝突に巻き込まれる可能性はきわめて早い段階からであることを認識しておかなければならない。

 「将来における中国との衝突の際に台湾を支援する選択肢を確保するため、米空軍としては東シナ海に軍事力を投入するための作戦上の要件を把握しなければならない。台湾のいかなる有事シナリオにおいても最も重要な問題は基地である。台湾海峡の中心部から500海里の円周の範囲(筆者注:報告は、500海里という行動半径を考えた理由として、F―15,F―16,F―22などの戦闘機が給油なしで作戦できる半径であると説明している)内には中国大陸をのぞけばほとんどが海域であって、陸地部分はほとんどない。したがって短期的な選択肢としては台湾本島に基地をおくか、日本に基地をおくかのいずれかである(原注:米国の韓国基地は台湾海峡から800海里以上であり、三沢は1400海里以上、またグアムは1500海里以上離れている)。」

 「台湾に基地をおくことの最大の問題は、…中台間の緊張が高まっている時期に米軍が台湾に進駐することほど北京を怒らせることはほかに考えられないということだ。台湾に外国軍を展開することは、極度の緊張を衝突に転じる引き金となるだろう。したがって米空軍を台湾に駐留させることは、政治的に…非現実的な選択である。」

 「作戦的に見ても、台湾を基地にすることは問題である。政治的に破滅的な結果を回避するためには、実質的な戦闘が行われるまで展開を遅らせる必要があるだろうが、ということは中国のミサイル及び航空機による激しい爆撃と特殊作戦部隊による攻撃のもとで米空軍が基地に到着するということになる。しかし米空軍はそのような状況の下で作戦を開始し、継続する実戦経験はほとんどない。…(台湾の基地とし ての能力の問題にも言及)」

(筆者注)報告は、台湾有事の戦争シナリオにおいてカギとなるのが基地だとそのものズバリの形で指摘している。しかも台湾有事に際しては陸軍および海兵隊は出動する余地がなく、海軍航空兵力以外には空軍が主力になるという認識を示す。たしかに海兵隊は敵国への殴り込みが任務であり、台湾有事のような防衛作戦を主体とする場合には海兵隊の出る幕はない。また陸軍部隊の投入は、湾岸戦争以来、戦死者を出す戦争にきわめて慎重なアメリカの発想にはないと考えるのが自然である。アメリカ空軍の基地としては台湾か日本かという選択肢をいちおう示しつつも、台湾については軍事的にも政治的にも実際的ではないとして退けているのだ。

 「台湾に基地をおくことが政治的にも軍事的にも妥当でないとした場合、日本はどうか。中国が明らかに侵略者であるとされる場合(すなわち、台湾が独立宣言など必要以上に挑発的なことをしないならば)、米国が台湾防衛の一定の作戦に日本の基地を使用することについて、日本は許可を与えるであろう。しかし、日本の基地から軍事力を投入することに対する制約は厳しい可能性がある。たとえば、日本は、その領域から中国本土に対する攻撃を行うことに対しては許可しない決定を行うかもしれない。しかしながら、台湾空域または公海上空において行われる中国軍との作戦のために施設を使用することについては、日本が許可する可能性は高いというのが我々の判断である。」

(筆者注)この段落はきわめて重要な指摘を含んでいる。報告(そしておそらくアメリカ自身)が、日本はアメリカが台湾有事に際して日本の基地を使用することを認めると判断していることだ。「中国が明らかに侵略者であるとされる場合」という限定はいちおうついている。しかし、古今東西の戦争において、また、日本が芦溝橋事件を引き起こした実例が示すとおり、中国が最初に侵略的行動をとったと主張することは、なにもむずかしいことではない。ましてやアメリカが国際メディアに対する支配権をにぎっていることを考えればなおさらである。もうひとつ注目すべき点は、米中の本格的な武力衝突の場合にも、日本が基地提供に応じると判断していることだ。この場合にも「中国本土に対する攻撃」には許可しないかもしれないといちおうは断ってはいる。しかし、本格的な武力行使すなわち戦争になっても日本が基地使用を認めると「判断」しているということは、日本がアメリカに対してそう考えるだけの予諾をおこなっていると考えるしかないだろう。そしてそういう形でいったん本格的な戦争になってしまった場合、アメリカが中国本土に攻撃をくわえる必要があると判断したときに、その段階で日本が基地使用を拒否することなど考えられるはずがない。

 「しかし、米空軍の嘉手納基地は台湾海峡からほぼ500海里離れている。…嘉手納はまた、戦闘機の大部隊が頻度の高い作戦を行うことを支援する能力が限られている。…」

 「航続距離が長い偵察機や重爆撃機については、台湾防衛支援のためにグアムから作戦することが可能である。…米空海軍の共同作戦は短期的には選択肢であり得る。…」

「長期的には、台湾支援のための必要に応じて、より強力な態勢を展開させる努力が必要である。ひとつの方法はフィリピンとの協力を拡大することだろう。マニラは台湾海峡中央部から約650海里だが、ルソン北部の基地であれば約450海里となる。バタン島であれば約300海里となる。…」

「北方においても米国は日本との間の緊密な安全保障関係をより活用する選択肢をもっている。在沖米海兵隊を削減ないし廃止する場合、米国は普天間にある海兵隊空港を戦闘機用共用作戦基地とする可能性を調査するべきである。同基地は、平時における予備的地位にあるが、危機においては戦闘用及び支援用航空機の急速な配備を受け入れるようにすることが考えられる。家島の海兵隊基地も使用できるし、那覇の航空自衛隊基地にも配備することができる。」

「沖縄は琉球列島のちょうど真ん中に位置している。さらに南西方向の台湾にかなり近い地域には多くの島嶼がある。…たとえば下地島は台北から250海里以下であり、10000フィートの滑走路をもつ商業用空港がある。同島はまた日本の巡視船の基地として機能する相当の規模をもつ港湾も擁している。しかし、滑走路拡張、武器貯蔵施設設置などの十分な施設をつくるためにどれほどの投資が必要かは定かではない。」

(筆者注)報告がここまで事細かに沖縄の軍事基地の可能性を検討していることを平然と明らかにする神経には、日本人として許容限度を超える、と思うのは筆者だけだろうか。それはともかくとして、台湾に対する空軍の作戦をおこなううえで、台湾に隣接する沖縄県南部の島嶼が標的に定められていることは、今後の日米交渉をみていくうえで忘れてはならないことである。そうした折りもおり、下地島空港所在の伊良部町町長が自衛隊基地誘致に積極的姿勢を示していることには、暗然とした気持ちになるほかない。自衛隊誘致から米空軍の常駐化までは瞬く間のことだろう。しかも自衛隊が使用するということで「滑走路拡張、武器貯蔵施設設置などの十分な施設」がつくられれば、報告が懸念する投資問題は一気に解決することになる。

「また、米空軍の基地体制を拡張しあるいは最小限南方に重点を移すことが日本の立場から可能であるか否かについては、今後の評価に待たなければならない。米軍の基地は長いあいだ日本政治において論議を呼ぶ問題であり、新基地をつくろうとすれば、…論議を呼ぶことはほぼ避けられないだろう。とくに沖縄県が環境に優しいリゾート地として開発しようとしている琉球諸島の南部に空港使用を求める場合にはなおさらである。」

「沖縄の南部に米国のアクセスを許可しようという試みに対する抵抗を克服する一つの手段は、日本政府とくに沖縄の人々に見返りの取り決めをなんらかの形で提示することではないか。沖縄からの海兵隊撤退など沖縄駐留の米軍の撤退または削減は、台湾海峡という紛争水域周辺の重要な地域に足場を確保するために米国が支払う代価でありうる。」

(筆者注)報告は米空軍の基地拡張および新設に対する日本とくに沖縄の反対をかわすエサとして在沖海兵隊の撤退を示している。しかし報告自身が明らかにしているように、朝鮮有事が差し迫った問題ではないいま、沖縄に海兵隊を常駐させておく必要性はないというのが実相である。インドネシアの政情不安などに対処するためには、沖縄ではなくグアムに駐留することで十分用は足りるのだ。すなわち報告が提起するのはアメリカにとって何ら痛くもかゆくもないもので、本来「代価」にもならないものなのだ。報告自身がそういう手の内を見せたうえで、なおそのエサで日本をだまそうとすることを提案している。これはまさに、もはや手狭になって役に立たなくなった普天間を「返還」するとして、ハイテクを駆使した代替基地を手に入れようとする手法そのものである。ここまで来ると、本当に日本もなめられたものだという以外に言葉が見つからない。

(おわりに)

 紙幅がかぎられてきたので、報告(要約および台湾の部分) について是非とも確認しておく必要がある点を箇条書きにしておく。

第一、アメリカの軍事戦略は中国を主な脅威として位置づけていること

第二、アメリカは台湾有事を軸とした米中戦争の可能性を近未来的な事態として想定し、戦略をつくりあげる構えであること

 第三、アメリカは、台湾有事を念頭においた対中戦争遂行上の最大の軍事拠点として日本を位置づけ、日本の憲法改定を含め、今後対日要求を強めようとする構えであること

 第四、保守政治が本格的有事法制、改憲を声高にとなえるのは、以上のアメリカの戦略および対日軍事要求をふまえたものであり、私たちが甘い幻想を抱くと取り返しがつかない事態を招くこと



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